東急不動産に騙された被害者の手記(違法販売編)
目次
本書は被告準備書面及び被告提出証拠に対する反論をまとめたものである。被告準備書面及び被告提出証拠は偽りや誤りが多く、驚きを禁じえない。相互に矛盾する内容もある。本書を執筆しながら、原告は胸に込み上げてくる悔しさを抑えることができなかった。指が震えてキーボードをまともに打つことができなかったこともある。
間違いは誰にでも存在するが、被告の場合は間違いが多すぎる。三人もの弁護士(井口寛二、野村幸代、上嶋法雄)を付していることが信じ難いほど粗末である(但し、これまでに出廷したのは一人のみ)。原告は本件訴訟に対し、真摯に臨んでいる。原告は被告がもう少し真面目に対応することを要求する。
【間取り一覧】アルスには全八種類の間取りが用意されている。間取りはA-Fのアルファベットで区別される。但しAタイプとCタイプは二種類の間取りが用意されている。間取りと居室の対応は下表の通りである。
|
No. |
Type |
間取り |
居室番号 |
|
1 |
A |
1LDK+DEN |
204, 304 |
|
2 |
2LDK |
404, 504, 604, 704, 803 |
|
|
3 |
B |
3LDK |
203, 303, 403, 503, 603, 703 |
|
4 |
C |
2LDK |
302 |
|
5 |
3LDK |
202, 402, 502, 602, 702 |
|
|
6 |
D |
2LDK |
201, 301, 401, 501, 601, 701, 801 |
|
7 |
E |
2LDK |
801 |
|
8 |
F |
3LDK |
802 |
【販売資料の欠落】奇妙なことにアルスの間取りの記述は東急不動産作成資料によって相違が存在する。資料によって掲載されている間取りと掲載されていないものがある。ここでは図面集プリント版、図面集冊子版(甲第7号証)、図面集(乙第1号証)、「アルス東陽町価額表」を比較した。各種図面集の異同については後述する。
同じマンションの販売資料であるにもかかわらず、資料によって記述に矛盾があるのは、東急不動産及び東急リバブルのいい加減さを示すものである。東急不動産は自社の販売する物件にもかかわらず、まともな資料一つ作成することができていない。
|
No. |
Type |
間取り |
記載がない販売資料 |
|
1 |
A |
1LDK+DEN |
図面集冊子版、乙第1号証 |
|
2 |
2LDK |
|
|
|
3 |
B |
3LDK |
|
|
4 |
C |
2LDK |
図面集冊子版、乙第1号証、アルス東陽町価額表 |
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5 |
3LDK |
|
|
|
6 |
D |
2LDK |
|
|
7 |
E |
2LDK |
図面集プリント版 |
|
8 |
F |
3LDK |
図面集プリント版 |
【各戸の間取り】各種資料に記載された各戸の間取りは下表の通りである。ここでは被告が証拠として提出した「3階平面図」(乙第4号証)も検討に加えた。網掛け部分が実物と相違する箇所である。
図面集冊子版(甲第7号証)、図面集(乙第1号証)、「アルス東陽町価額表」は1LDK+DENの居室を2LDK、2LDKの居室を3LDKと偽っている。東急不動産は消費者に実物と異なる間取りを提示して販売したことになる。東急不動産が虚偽表示、違法販売を行った動かぬ証拠である。
図面集プリント版は明白な誤りがない点で最も正確な資料と言える。図面集プリント版にはEタイプとFタイプの間取り図は掲載されていないが、801号室と802号室がそれぞれE, Fタイプであることは記載されている。
|
位置 |
号室 |
Type |
図面集 |
アルス東陽町 価額表 |
3階平面図 (乙第4号証) |
||
|
プリント版 |
冊子版 |
乙第1号証 |
|||||
|
北東 |
204 |
A |
1LDK+DEN |
2LDK |
2LDK |
1LDK+DEN |
なし |
|
304 |
A |
1LDK+DEN |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
1LDK+DEN |
|
|
404 |
A |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
504 |
A |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
604 |
A |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
704 |
A |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
803 |
A |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
南東 |
203 |
B |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
303 |
B |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
|
|
403 |
B |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
503 |
B |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
603 |
B |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
703 |
B |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
南西 |
202 |
C |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
302 |
C |
2LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
2LDK |
|
|
402 |
C |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
502 |
C |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
602 |
C |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
702 |
C |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
|
|
北西 |
201 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
301 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
|
|
401 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
501 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
601 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
701 |
D |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
801 |
E |
なし |
2LDK |
2LDK |
2LDK |
なし |
|
|
南 |
802 |
F |
なし |
3LDK |
3LDK |
3LDK |
なし |
【アルス東陽町価額表】「価額表」は一枚のプリント(A4サイズ)である。各居室の価格が掲載されている。原告は勧誘時に東急リバブル・中田愛子より受け取った(2003年6月)。
価額表では304号室を2LDK(実際は1LDK+DEN)、302号室を3LDK(実際は2LDK)と虚偽の表示をしている。
価額表では既に契約されている居室は販売済と記載され、網掛けになっている。原告が受け取った時点で既に多くの居室が販売済みとされている。しかし価額表上販売済みとされている302号室、304号室、401号室の購入者に確認したところ、購入したのは原告より遅い2003年9月以降とのことである。管理組合理事会(2005年8月21日)及び個別(2005年8月5日)に会って確認した。
キャンセルされたのか、それとも原告に売れそうにない問題物件を押し付けるために「販売済み」としたのか。売れ行き好調であるように見せるために、虚偽の「販売済み」「成約済み」の表示を掲げることは悪徳不動産業者の手法として紹介されている。
「全戸完売をうたっているマンションでも、実は売れ行き不振を隠すために自社保有にして完売を装っているケースが、とても多い」(橋本一郎、サラリーマンでもできるマンション投資・家賃収入で儲ける極意、明日香出版社、2004年、116頁)。これまでの嘘で塗り固めた東急不動産及び東急リバブルの対応を想起すれば、疑いは深まるばかりである。
【被告提出証拠の矛盾】被告は図面集(乙第1号証)と「3階平面図」(乙第4号証)を証拠として提出したが、両証拠には矛盾が見られる。一方が正ならば他方は偽である。
・ 図面集(乙第1号証)ではAタイプは全て2LDKとなっている。しかし「3階平面図」(乙第4号証)ではAタイプの位置する北東の居室(304号室)は1LDK+DENとなっている。
Ø LDの広さも異なる。図面集(乙第1号証)が10.8畳であるのに対し、「3階平面図」(乙第4号証)では11.2畳である。
・ 図面集(乙第1号証)ではC Typeは全て3LDKとなっている。しかし「3階平面図」(乙第4号証)ではC typeの位置する南西の居室(302号室)は2LDKとなっている。
Ø LDも図面集(乙第1号証)が10.0畳であるのに対し、「3階平面図」(乙第4号証)では14.7畳である。
図面集(乙第1号証)の記述が正しいならば、東急不動産は虚偽の図面(3階平面図、乙第4号証)を証拠として提出したことになる。「3階平面図」(乙第4号証)の記述が正しいならば、東急不動産は実際の間取りとは異なる図面を提示して販売したことになる。
実際は「3階平面図」(乙第4号証)の記述が正しい。図面集(乙第1号証)の記述は虚偽である。
【アルス新築工事竣工図】アルスの間取りと居室番号は竣工図から判断した。竣工図は管理組合に引き渡される文書で、管理組合保管の文書目録にも記載されている。しかし実際は管理組合に引き渡されておらず、管理会社東急コミュニティーの事務所にあった。原告の度重なる要求により、現在は管理組合が保管している。竣工図に関する経緯は下記の通りである。
2005年7月24日、原告は管理組合保管文書を調査し、「住宅性能評価申請書」を見つける。
7月31日、「住宅性能評価申請書」の内容が現状を反映していないため、より新しい図面がないか調査する。目録中に竣工図の記載を見つけるが、実物は発見できなかったため、アルス管理人・恒石俊造に照会する。
8月1日、管理人恒石俊造から回答文書が届く。東急コミュニティー東京東支店・力三郎に確認したところ、この「住宅性能評価申請書」は最後に建設業者その他不動産業者から送られてきたもので、これより新しい図面はないとのことであった。
原告は「住宅性能評価申請書」は「竣工図」とは名前が異なり、内容も現状と相違するため、東急コミュニティー宛メールで再調査をメールで依頼した。
8月2日、東急コミュニティーから回答文書(力三郎作成)が届く。竣工図は東急コミュニティー事務所で保管しているとのことであった。つまり、先の回答は虚偽であった。この種の書類は管理組合のものであるから、管理会社が理事会や管理会社に見せることなく、管理会社事務所内に保管することはあってはならないことである。「どうせ一般の消費者は見ても判らない」、「大手建設会社が建てたから大丈夫」等は管理会社が図面を保管する理由にはならない。居住者が後々困ることになるのは確実である。
管理会社は住民の利益を守るのが筋である。しかし被告子会社である東急コミュニティーはアルスの管理会社であるにもかかわらず、アルス住民である原告の竣工時の図面を見せて欲しいという要求に対し、見せたくない一心から虚偽の回答をした。本体の東急不動産の不正行為をカバーしようとした。被告子会社である東急コミュニティーの管理会社としての信頼も失われた。
アルスの管理会社は購入者の選択ではなく、被告の強制的な指定により東急コミュニティーと決定されていた。これは図面集最終頁「5.管理について」で「管理組合の業務の一部を管理委託契約に基き、株式会社東急コミュニティーに委託することを承認していただきます」と記載されている通りである。
管理会社を子会社の東急コミュニティーに強制することは、被告が販売する分譲マンションにおいては珍しいことではない。しかしこのような管理会社を指定して分譲する商法は公正取引委員会から不当抱き合わせに該当しうると問題視されている(公正取引委員会「マンションの管理・保守をめぐる競争の実態に関する調査」2003年10月24日)。
書籍も以下のように指摘する。「系列の管理会社は営業活動を行わなくても、親会社がマンションを供給し続ける限り、取り扱い件数は着実に増えていくという構造になっている。そのため、他業種のような競争原理がはたらかない面があり、「だれのための管理か?」「居住者よりも親会社に顔を向けて管理業務を行っているのではないか?」と疑問を投げかける声が根強い」(小菊豊久、マンションは大丈夫か、文藝春秋、2000年、180頁)。
【204号室】現在でも東急リバブルは204号室について虚偽表示を繰り返している。
204号室は1LDK+DENである。図面集プリント版と「アルス東陽町価額表」は正確に記述する。両者とも販売説明時に東急リバブル・中田愛子より原告に配布されたものである。
しかし下記の資料では2LDKと虚偽の記述をする。
・ 図面集冊子版(甲第7号証)。これは契約書記名後に受領したもので、販売時には参照していない。
・ 図面集(乙第1号証)。東急不動産が証拠として提出したもので、原告は受け取っていない。
2005年7月現在、アルス204号室は東急リバブル錦糸町営業所(石井力所長)の仲介物件として売りに出されている。物件担当者は遠藤隆志である。石井所長と遠藤隆志は共に宅地建物取引主任者である。
2005年7月25日頃、広告チラシが配布された。東急リバブルのWebサイトにも掲示されている。また、問い合わせをした人にはFAXでより詳細な広告が送付される。広告チラシには石井所長の検印、FAX広告には石井所長の検印と遠藤隆志の担当者印が押されている。
東急リバブルは広告で虚偽表示を行っている。実際はLDが11.2畳、洋室8畳、洋室4畳であるにもかかわらず、広告ではLD 11.4畳、洋室8畳、洋室4.5畳と表示する。東急リバブルが仲介用に作成したFAX送付用広告では間取りを2LDKとしている。東急リバブル(アルスの販売代理)は分譲時に1LDK+DENとして販売した居室を、仲介時になると2LDKと偽って広告する。DENの部分について部屋としてみせるために面積を半畳偽って大きくしたものと考えられる。
DENは納戸であり、建築基準法上、居室とは厳格に区別される。宅建資格取得用の教材でも納戸は「居室と表示してはならない」と記述する(DAI-X総研宅建試験対策プロジェクト、2005年度版ゴク楽宅建総まとめ!、DAI-X出版、2005年、288頁)。東急リバブルは宅建業者にとっては常識とも言うべき違反を堂々と行う業者である。
東急リバブルの虚偽広告の動かぬ証拠である。東急リバブルが慢性的に詐欺的商法を行っている証左である。販売代理でも仲介でも詐欺的商法は変わらない。ラテン語の諺にある通りである。「狼は毛を変えても心は変えないLupus pilum mutat, non mentem.」。
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時期 |
単位:畳数 |
間取り |
洋室 |
DEN |
LD |
キッチン |
|
|
分譲 |
図面集プリント版 |
1LDK+DEN |
8 |
DEN |
4 |
11.2 |
記載なし |
|
図面集冊子版 |
2LDK |
7 |
洋室 |
5 |
10.8 |
記載なし |
|
|
仲介 |
チラシ |
記載なし |
8 |
洋室 |
4.5 |
11.4 |
4.6 |
|
FAX |
2LDK |
8 |
洋室 |
4.5 |
11.4 |
4.6 |
|
|
Webページ(当初) |
2LDK |
8 |
洋室 |
4.5 |
11.2 |
記載なし |
|
|
Webページ(8月12日) |
2LDK |
8 |
DEN |
4 |
11.2 |
記載なし |
|
|
Webページ(8月19日) |
1SLDK |
8 |
納戸 |
4 |
合わせて15 |
||
|
Webページ(9月18日) |
1LDK |
8 |
書斎 |
4 |
合わせて15 |
||
【東急リバブルWebページの頻繁な修正】下図は東急リバブルWebサイトのアルス東陽町204号室広告ページに表示されていた間取り図である。ここでも洋室8畳、洋室4.5畳、LD 11.4畳となっており、本来の間取り(洋室8畳、DEN 4畳、LD 11.2畳)と異なる。
この間取り図は2005年7月中には掲載されていたが、遅くとも8月9日には当該Webページから間取り図だけが削除された。

URL: http://www.livable.co.jp/rue/1/CVE57013.php3
【間取り図修正】遅くとも8月12日には東急リバブルのアルス広告Webページに修正図面(下図)が掲載された。洋室8畳、DEN 4畳、居間・食堂11.2畳の1LDK+DENで図面集プリント版の記載と同一のものに改められた。但し間取りは相変わらず2LDKと表示している。「頭隠して尻隠さず」である。

【間取り図再修正】その後遅くとも8月19日にはアルス広告Webページの図面は下図のように再修正された。洋室8畳、納戸4畳、LDK 15畳である。間取りは1SLDKに改められた。Sはサービスルームの略で、建築基準法上居室とは認められない納戸を指す。DENから納戸に変更された理由は不明である。元々、DEN自体に明確な定義が存在せず、納戸との相違が曖昧である。
頻繁な修正は東急リバブルのいい加減さを物語る。分譲時に販売代理をしていたとは思えない企業である。このような企業が販売代理をしていたのであるから、分譲時の説明もいい加減なものであったことは容易に想像できる。

【間取り図再々修正】遅くとも9月18日には下図のように修正された。納戸が書斎に変更されている。納戸より書斎の方がイメージがよいと考えてのことであろう。間取りが1LDKから1SLDKに改められた。LDK、洋室、書斎で1LDKとは数が合わない。
その後、遅くとも11月6日にはアルス204号室販売ページは閉鎖された。また、遅くとも同日までには東急リバブルWebサイト「錦糸町営業所 > スタッフのご紹介」から204号室の物件担当者遠藤隆志の名前が消えている。代わりに「練馬営業所 > スタッフのご紹介」に掲載されている。問題を起こした従業員は責任を取らずに、ほとぼりが冷めるまで転勤させてごまかそうとする東急リバブルの体質が看取できる。

【駐車場料金】東急リバブルは駐車場料金についても虚偽の広告を出している。アルスでは5台分の駐車場が備わっている。機械式駐車場で上段2台、下段3台駐車できる。駐車場料金は月額で上段32000円、下段30000円である(価額表)。
しかし、東急リバブル錦糸町営業所作成の204号室媒介広告では駐車場料金を僅か600円とする。常識とはかけ離れたデタラメな金額を掲載する。不動産広告では、実際のものよりも優良又は有利であると誤認されるおそれのある表示をすることは不当表示として禁止されている。
【アルス敷地】アルスの敷地は北西の角と南東の角の私有地を囲む、いびつな形になっている。北西の角には隣地作業所(東急リバブルは倉庫と説明)、南東の角には住居が存在する。そのため、アルスの敷地は北側の西半分と西側の北半分が隣地作業所のために後退している。東側の南半分と南側の東半分も住居のために後退している。
【アルス周辺図】アルスと周辺建物の関係は下図の通り。本図は位置関係を示すために作成したもので、長さの比率は実際とは異なる。

【敷地境界】アルスの敷地境界の種類は下表の通りである。これは竣工図にも記載されている(株式会社SHOW建築設計事務所「外構図-1」「外構図-2」2002年12月9日)。
隣地作業所との境界部分のみコンクリートとなっている。アルスは原則として境界をフェンスとしたが、作業所との隣接部分のみコンクリートにしている。これは購入者には説明されなかったが、被告が騒音の発生する作業所であることを認識していたことを裏付ける。また、隣地所有者の要望でフェンスではなくコンクリートにしたことの傍証となる。
|
位置 |
境界の種類 |
隣接物 |
|
北側の東半分 |
フェンス |
洲崎川緑道公園 |
|
北側の西半分 |
コンクリート |
工務店作業所 |
|
西側の北半分 |
コンクリート |
工務店作業所 |
|
西側の南半分 |
なし |
一方通行の道路 |
|
東側の北半分 |
フェンス |
駐車場 |
|
東側の南半分 |
フェンス |
住居 |
|
南側の東半分 |
フェンス |
住居 |
|
南側の西半分 |
なし |
一方通行の道路 |
【不親切な図面集】東急不動産はアルスの購入を検討する顧客に対し、図面集を配布した。アルスは青田売り(図面売り)であるため、現物を確認することはできない。そのため、消費者は図面集から現物を想像するしかない。しかし、この図面集には消費者から見て不親切な点が多々あり、誤解を招きかねないものであった。
この図面集には各戸の間取り図が掲載されている。それらは紙の大きさに合わせて作成されており、縮尺(ex. 1/100)は表示されていない。そのため、この間取り図を見ながら家具の配置を考えることは危険である。
また、間取り図は平面図だけなので、垂直方向のイメージがつかみにくい。つまり、高さは判断できない。そのため、以下のような危険がある。
・ 腰高の窓を足元まである窓だと思ってしまう。
・ 下がり天井が想像した以上に低い。
【区々の方位】北半球においては、図面は北を上にして作図するのが暗黙の了解である。しかし図面集では不親切なことに、図面によって方位が区々であり、統一されていない。各図の方位は下表の通りである。各部屋の間取り図では全てバルコニーが下にくるようにしている。北が上で南が下という消費者の先入観を悪用した典型的な悪徳不動産業者の手口である。
本来、図面集は消費者に正確な間取りを把握してもらうために作成するものである。特にアルスのような青田売りの場合は、現物が未だ存在していないため、この点は重要である。しかし、東急不動産は消費者を混乱させ、物件の短所・問題点・瑕疵を隠すために作成したものと確信する。
|
図 |
方位 |
|
敷地配置図 |
ほぼ上が北 |
|
各階平面図 |
ほぼ上が北 |
|
A type (1LDK+DEN) |
ほぼ右が北 |
|
A type (2LDK) |
ほぼ右が北 |
|
B type |
ほぼ上が北 |
|
C type (2LDK) |
ほぼ上が北 |
|
C type (3LDK) |
ほぼ上が北 |
|
D type |
ほぼ左が北 |
|
E type |
ほぼ左が北 |
|
F type |
ほぼ上が北 |
【複数の図面集】東急不動産は内容が微妙に異なる複数種類の図面集を作成している。図面集は確認できているだけでも四種類ある。それ以上ある可能性もある。四種類の図面集をそれぞれ図面集プリント版、冊子版(甲第7号証)、被告保有版(乙第1号証)、管理会社保有版と名付ける。このうち、原告は前二者を東急リバブルより受領した。
各図面集では間取りや内容が相違し、実物と異なるものもある。しかし、何れの図面集も一見したところは同じものである。消費者が同一物と誤認することを期待して作成したものと判断せざるを得ない。
被告はこれら複数種類の図面集を使い分けて営業した。消費者に相違点を説明せずに配布していた。これは東急不動産が消費者に正しい図面を提示しない業者であることを示している。被告は複数種類の図面を作成して消費者の注意をそらし、問題物件を騙し売りした。ブランドイメージを盾とし、購入者の誤解に乗ずる販売手法は許されるものではない。宅地建物取引業者(宅建業者)として失格である。
【プリント版】図面集プリント版は、表面のみ印刷されたプリント11枚をホチキスで綴じたものである。文書の左肩一箇所にホチキス留めがされていた。裏表紙が存在しない点が冊子版と異なる。
原告は図面集プリント版を2003年6月21日に東急門前仲町マンションギャラリーにて、中田愛子から受け取った。中田は、このプリント版図面集を用いて間取りの説明を行った。
従ってアルス売買契約締結意思形成に影響を与えた図面集はこれである。この図面集プリント版には東急不動産が主張する「部屋毎のセールスポイント」は全く記載されていない。従って原告は契約締結時に被告主張の「部屋毎のセールスポイント」を何ら承知していない。
【冊子版(甲第7号証)】図面集冊子版(甲第7号証)は、冊子形態の図面集である。原告はこの図面集冊子版を契約書への記名捺印後に、各種書類と合わせて受け取った(2003年6月26日)。契約書上の日付は2003年6月30日となっているが、契約書を交わしたのは26日で30日には何もなされていない。
図面集冊子版(甲第7号証)は6月26日に受領したものであり、契約締結以前に原告が参照していたものは図面集プリント版であった。つまり冊子版(甲第7号証)は本件契約締結意思形成に全く影響を与えていない。東急不動産は勧誘時と契約後で異なる資料を消費者に配布した。
プリント版と冊子版には種々の相違があるが、これらはむしろ指摘されて判別できるものである。両者の内容は表紙が全く同じであるなど、ほとんど同一内容であり、一見すると内容的には見分けがつかない。形態(冊子、プリント)が異なるだけで、同一内容のものを別形態にしただけと判断しうるものである。一般の消費者は特別な説明がなければ、受け取った時点でまず同一内容と思い込んでしまう。
原告にとって冊子版はプリント版の内容を冊子化したものという認識であった。契約者に対して冊子として提供されたものと考えており、東急リバブルからもそれに反する説明を受けていない。図面集冊子版を渡された際に、東急リバブルから「以前、お渡しした図面集とは異なるものです」などの説明は全くなされていない。
本訴訟においてプリント版ではなく、冊子版を証拠(甲第7号証)として提出したのも、プリント版と冊子版は同一内容と誤解していたためである。図面集が複数種類あることに原告が気付いたのは被告準備書面(2005年7月8日)確認後である。準備書面において、図面集プリント版に全く記載されていない内容が図面集に記載されていたものとして主張されていたためである。
また、冊子版は204, 304号室を2LDK(実際は1LDK+DEN)、302号室を3LDK(実際は2LDK)と虚偽の表示をしている。仮に被告が本資料を契約前に原告に提示して説明していたと主張するならば虚偽の説明をしたことになり、逆に問題になる。
マンションを購入する際は購入予定の住戸だけでなく、隣の住戸の間取りにも気を配るものである。自宅の寝室が隣接住戸のトイレや浴室と隣り合っている場合、深夜寝ている時に隣家のトイレや浴室で水を流す音が聞こえてしまう可能性があるためである(小菊豊久、マンションは大丈夫か、文藝春秋、2000年、151頁)。しかし、図面集冊子版のように不正確な図面では消費者に誤解を与えてしまうことになる。
【被告保有版(乙第1号証)】被告保有版(乙第1号証)は被告が裁判所に証拠として提出したものである。原告が受領したプリント版とも冊子版とも相違する。また、乙第1号証には抜けているページがあり、全頁を確認できていない。
被告準備書面(2005年7月8日)は両者について「これは同じパンフレットである」と断言するが、完全な誤りである。原告は乙第1号証と同一の図面集は受け取っていない。従って当然のことながら、乙第1号証はアルス売買契約締結意思形成とは無関係である。
【管理会社保有版】東急コミュニティー(アルスの管理会社)が保有しているものである。原告は東急コミュニティー東京東支店・力三郎から、管理会社保有図面集の一部のコピーを受領した(2005年7月25日)。原告が受領したのはAタイプとDタイプの間取り図である(合計六枚)。このため、該部分以外の管理会社保有図面集の内容は不明である。
管理会社保有図面集ではAタイプの間取りが1LDK+DEN, 2LDK, 3LDK、Dタイプの間取りが1LDK, 1LDK+DEN, 2LDKとそれぞれ三種類ある。実際のアルスには存在しない間取りが含まれている。
また、管理会社保有図面集には下記相違が存在する。
・ Dタイプ(2LDK)の洋室2相当部分が和室になっている。
・ タイプと居室番号の対応に誤りがある。居室番号が振られる順序が実際のものと逆である。実際の204号室が、ここでは201号室となっている。
売主から管理会社に引き継がれる資料は正確な内容でなければ意味がない。ところが被告は管理会社の東急コミュニティーにデタラメの図面を引き渡した。アルス居住者にとってはとんでもない話である。
間違った図面ではリフォームや大規模修繕の際に混乱することは必定である。間取りが違うと配管も異なっている場合があり、工事をする際に穴を開けたら配管がなかったというように非常に困ることになる。
この事実を知った時、被告への新たな怒りが込み上げてきた。被告はマンション住民の安全な生活や利益については少しも考えていない。被告が考えるのは自らの利益のみである。新築マンションの宣伝広告には熱心だが、管理会社に渡す図面のような見えない部分は徹底的に手抜きをする。実態を全く反映していないデタラメな図面を引き渡して平然とする。
被告が無責任で杜撰な仕事しかできない倫理性の低い企業であることを改めて思い知らされた。企業としての無責任な行動や企業モラルの低さには心底怒りを覚える。近時、欠陥住宅がクローズアップされているが、アルスの質も知れたものである。目に見えない部分、即座に表面化しない部分の品質は全く信用できない。被告はやはり宅建業者失格である。
住宅はそこに暮らす人々の生命と財産を守る役割を果たすものである。「建物とは本来、外界から人体を守るものだ。住んだり、働いたりしている間の安全確保は大前提である」(「シックハウス法/規制と調査研究の両輪で」神戸新聞2002年7月9日)。東急不動産には住宅を供給する資格はない。
アルスの管理会社を東急コミュニティーとすることは住民の意思ではなく、売買契約の条件として被告が指定したものである。被告は子会社を管理会社に指定するならば、せめて引継ぎぐらいはまともに行うべきである。グループ企業が管理を行うメリットは、それくらいしかない。東急コミュニティーが保有するデタラメな図面の存在は、被告が住民の安全な生活を考えておらず、まともな引継ぎすらしていないことを雄弁に物語っている。
【図面集】図面集の相違点をまとめると下表になる。誤りの箇所は網掛けにした。
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図面集 |
プリント版 |
冊子版 (甲第7号証) |
被告保有版 (乙第1号証) |
管理会社 保有版 |
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形態 |
プリント |
冊子 |
不明 |
不明 |
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間取りの説明文 |
なし |
あり |
あり |
なし |
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A type (1LDK+DEN) |
あり |
なし |
なし |
あり |
|
A type (2LDK) |
あり |
なし |
なし |
あり |
|
A type (3LDK) |
なし |
なし |
なし |
あり |
|
C type (2LDK) |
あり |
なし |
なし |
不明 |
|
C type (3LDK) |
あり |
なし |
なし |
不明 |
|
D type (1LDK) |
なし |
なし |
なし |
あり |
|
D type (1LDK+DEN) |
なし |
なし |
なし |
あり |
|
D type (2LDK) |
なし |
なし |
なし |
あり |
|
D type 洋室2 |
正しい |
正しい |
正しい |
誤り(和室) |
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E type |
なし |
あり |
あり |
不明 |
|
F type |
なし |
あり |
あり |
不明 |
|
居室番号と階数の対応 |
正しい |
正しい |
誤り(全て二階居室番号) |
正しい |
|
居室番号とタイプの対応 |
正しい |
正しい |
誤り |
誤り |
|
構造・規模 |
鉄筋コンクリート造地上8階建 |
鉄筋コンクリート造地上8階建 |
RC造地上8階建 |
不明 |
|
建築確認番号 |
平成14年8月12日付 |
平成14年8月12日付 |
平成15年8月12日付 |
不明 |
|
裏表紙 |
なし |
あり |
あり |
不明 |
【図面集の頁構成】各種図面集の頁構成は下表の通りである。網掛け部分が相違点である。
但し被告保有版(乙第1号証)については、原告は保有していない。被告が証拠として提出したものは全頁ではなく、抜けている頁は「不明」とした。
管理会社保有版は一部のみコピーを受け取っただけなので、比較対照としていない。
|
頁 |
プリント版 |
甲第7号証 |
乙第1号証 |
|
|
表紙 |
表紙 |
表紙 |
|
1 |
敷地配置図 |
敷地配置図 |
不明 |
|
2 |
各階平面図 |
各階平面図 |
不明 |
|
3 |
立面図 |
立面図 |
不明 |
|
4 |
A type (1LDK+DEN) |
A type (2LDK) |
A type (2LDK) |
|
5 |
A type (2LDK) |
B type |
B type |
|
6 |
B type |
C type (3LDK) |
C type (3LDK) |
|
7 |
C type (2LDK) |
D type |
D type |
|
8 |
C type (3LDK) |
E type |
E type |
|
9 |
D type |
F type |
F type |
|
10 |
概要 |
概要 |
概要 |
|
|
なし |
裏表紙 |
裏表紙 |
【タイプ】各図面集の相違点として大きいものとして、掲載されている間取りの相違がある。
・ Aタイプ(1LDK+DEN)はプリント版と管理会社保有版にのみ掲載されている。
・ Aタイプ(3LDK)、Dタイプ(1LDK)、Dタイプ(1LDK+DEN)は管理会社保有版にのみ掲載されている。これらの間取りは実際のアルスには存在しない。
・ Cタイプ(2LDK)はプリント版にのみ掲載されている。管理会社保有版は不明。
・ Eタイプ、Fタイプは冊子版にのみ掲載されている。管理会社保有版は不明。
プリント版も冊子版も共にアルスの全間取りを網羅していない。どちらにも欠けている間取りがあり、二つ合わせて初めて全ての間取りを確認することができる。東急不動産は図面集一つ完璧に作成することができないようである。
被告準備書面(2005年7月8日)は「部屋別の間取り、仕様を記載し、部屋毎のセールスポイントを指摘したパンフレットを作成して、原告を含む顧客に交付した」と主張するが、乙第1号証には全く掲載されていない間取りもある。自分が購入を検討する居室の間取りが掲載されていない図面集は無意味である。それらの居室を検討した顧客には何を渡したのか疑問である。
【説明文の有無】図面集によって各タイプの間取りを記載した頁に説明文が掲載されているものといないものがある。プリント版及び管理会社保有版には掲載されていないが、冊子版(甲第7号証)、乙第1号証には掲載されている。
被告は各タイプの図面を掲載した頁に記載された説明文を「部屋毎のセールスポイント」と主張する(被告証拠説明書2005年7月15日)。しかし被告は説明文を全く記載していない図面集を作成して原告に配布した。被告が初めから原告を騙そうとしていた証拠である。
東急リバブル・中田愛子が勧誘時に用いたのは図面集プリント版で、これには間取り毎の説明文が全く記載されていない。中田は図面集プリント版を用いて、原告に間取りの説明を行った。セールスポイントは記載されておらず、当然のことながら説明も何らなされていない。
図面集冊子版の説明文ではその後のトラブルを見越したようにDタイプのみ記述が乏しく、被告に都合の良い形になっている。複数の図面集を使い分け、顧客の注意をそらせて問題物件を販売する。後日のトラブルにおいて、勧誘時には提示していないセールスポイントを持ち出し、「原告がこれらの記載を理解していた」と主張して責任逃れを図る。計画的で悪質な卑怯極まりない悪徳不動産業者の手法である。
原告は図面集冊子版(甲第7号証)を契約書への記名捺印後に受領した。契約前は見ておらず、契約締結意思形成に全く影響を与えていない。被告準備書面(2005年7月8日)は「原告がこれらの記載を理解していたことは言うまでもあるまい」と一方的に断定するが、これは完全な誤りである。問題は被告による欺罔行為によって、原告の注意をそらし、問題物件を売りつけたという事実である。
【居室番号】図面集の各タイプの頁(4-9頁)には居室番号が記載されているが、この記載が図面集によって相違する。プリント版と甲第7号証の記載は現物と同じで正確である。一方、被告保有版(乙第1号証)と管理会社保有版には誤りがあり、誤りの態様も各々で異なる。乙第1号証の場合は欠陥品と言わざるを得ないほど酷いものである。
居室番号の記載は各タイプの頁の右上にある。ここにアルス全居室の表が記載されている。これは当該頁で説明した間取りがどの居室のものであるかを示すもので、該当居室には色が塗られている。図面集によって何号室がどのタイプかについて相違があるのは前述の通りである。
居室番号の相違内容は二点ある。第一に階数と居室番号の非対応である。乙第1号証では全ての階の居室番号が201, 202, 203, 204と二階の居室番号になっている。それ以外の図面集は正確に記載している。常識的に考えて八階の居室を201号室と名付けることはありえない。これは完全な誤りと解する他ない。つまり乙第1号証は外に出すことができない失敗作であると考えられる。
第二にタイプと居室対応の非対応がある。乙第1号証及び管理会社保有図面はタイプと居室番号の対応が誤っている。居室番号の振られる順序が実際のものと逆である。実際の204号室が乙第1号証では201号室となっている。
これは設計変更前の居室番号の振り方である。そのため、乙第1号証及び管理会社保有図面は設計変更による反映がなされていない古いものと判断することができる。
乙第1号証と実際の居室番号の差異は下表の通りである。品質に対して常識的な感覚を有するビジネスパーソンならば、乙第1号証は顧客に配布できない欠陥品であると判断するはずである。東急不動産は顧客に配布できないような欠陥品を証拠として提出し、顧客に配布したと主張する。完成品と欠陥品の区別もできていない。東急不動産がいかに無責任で、いい加減であるかをよく示す事実である。
平然と嘘をつく悪徳不動産営業にとって、キャリアをかけた行動というのはあまり縁がないと思っているかもしれないが、それは大きな思い違いである。組織の中で活動し、キャリア形成を意識している限り、一つ一つの判断は必ずキャリアに影響を与える。一つ一つの行動や意思決定が自分のキャリアに影響を与えていると考えるべきであるし、その緊張感がよい仕事を生み出す原動力になる。被告従業員には望むべくもないことではある。
|
乙第1号証 |
|
実際の居室番号 |
||||||||
|
8F |
203 |
202 |
201 |
|
8F |
801 |
802 |
803 |
||
|
7F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
7F |
701 |
702 |
703 |
704 |
|
6F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
6F |
601 |
602 |
603 |
604 |
|
5F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
5F |
501 |
502 |
503 |
504 |
|
4F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
4F |
401 |
402 |
403 |
404 |
|
3F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
3F |
301 |
302 |
303 |
304 |
|
2F |
204 |
203 |
202 |
201 |
|
2F |
201 |
202 |
203 |
204 |
|
1F |
エントランス、駐車場、駐輪場 |
|
1F |
エントランス、駐車場、駐輪場 |
||||||
【建築概要の誤り】被告保有版(乙第1号証)が欠陥品である証拠はまだある。図面集の最終頁に物件の概要が記載されている。各項目を精読すると被告保有版(乙第1号証)には他の図面集と相違する箇所がある。
第一に「全体概要」「構造・規模」が前者では「RC造地上8階建」となっているが、後者では「鉄筋コンクリート造地上8階建」となっている。RCはReinforced-Concreteの略で、直訳すると「補強されたコンクリート」になる。コンクリートを鉄筋で補強した構造で、鉄筋コンクリートを指す。
従って一般的な用法に従う限り、鉄筋コンクリートもRCも同義語と考えられる。但し被告が「RC造」(乙第1号証)を他の図面集の「鉄筋コンクリート造」と同義で使用しているかについては未確認である。
被告が「鉄筋コンクリート造」と「RC造」を同義で用いている考えた場合、以下の推測が成り立つ。前者は一般的に使用されるが、後者は消費者には馴染みが薄い言葉である。そのため、図面集の推敲過程で術語を消費者に分かりやすい言葉に変更したものと考えられる。つまり、被告保有版(乙第1号証)は修正前の図面集であり、外部に出せるような代物ではない。
第二に「全体概要」「建築確認番号」の確認日付が前者では「平成14年8月12日付」となっているが、後者では「平成15年8月12日付」となっている。これは明らかに冊子版(乙第1号証)の誤記である。最初に建築確認がなされた後に二回、計画変更がなされている(平成14年12月3日付、平成15年2月21日付)。
もし最初の確認日付が「平成15年8月12日付」とすると、計画変更よりも新しくなる。しかもアルスは2002年11月に着工されており、着工後に建築確認申請をしたことになる。これはアルスが違法建築であることを意味する。従って乙第1号証の記述は誤りである。
乙第1号証は被告が証拠として裁判所に提出したものであり、提出にあたっては十分に精査されたものであると思われるが、これに従うとアルスは違法建築になる。被告は違法建築物を販売したことになり、宅建業者として由々しき事態である。被告があくまで乙第1号証を正規の図面集であると言い張るのならば、この点を明確にされたい。
【D type】アルス201号室、301号室、401号室、501号室、601号室、701号室は共通の間取りである(D type)。801号室だけは異なる間取りになっている(E type)。居室の専有面積もD typeが57.02平米であるのに対し、E typeは56.06平米である(図面集)。
D typeの各居室は同じ間取りとされているため、窓の大きさ及び部屋の中での位置は同じ筈である。但し北側の窓が二階と三階のみ網入り型ガラス(曇りガラス)になっている。四階以上は網入り透明ガラスである。
アルスは青田売りのため、販売時には建物は建設中で現物を確認することはできなかった。東急リバブルの販売担当者(中田愛子、宮崎英隆)からも「隣地建替えに備えて網入り型ガラスにする」という説明はおろか、「二階と三階だけ網入り型ガラスになっている」との説明さえなされなかった。図面集Dタイプの頁にもガラス仕様の相違は記載されていない。
そもそも販売時に宮崎英隆自身、二階と三階が曇りガラスであることを認識していたかは疑わしい。原告の問い合わせに対し、宮崎は「網入りガラス」にしたことの説明を繰り返すのみで、「網入り型ガラス」には触れていない。
・ 東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月13日)「将来的に隣地が建替えられた場合の事前対策として網入りガラスの仕様とさせていただきました」
・ 東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月24日)「一般的な将来の対策として、東急不動産の判断として網入りガラスとしました」
網入りガラスは網状の鉄線が入ったガラスである。網入りガラスは透明ガラスも曇りガラスも含むものである。透明ガラス、曇りガラスを区別するためには網入り透明ガラス、網入り型ガラスという。従って網入りガラスだけでは曇りガラスにならない。
建築基準法上、防火地域や準防火地域では延焼防止のため、この網入りガラスの使用が義務付けられている。このため、アルスでは全階(二階から八階まで)で網入りガラスを採用する。これは二階と三階のみ曇りガラスになっていることとは別の話である。
アルスが網入りガラスとしたのは建築基準法上の規定に基づくものであり、宮崎の回答は二階と三階だけ曇りガラスになっていることの回答にならない。原告が問い合わせした時点でも、宮崎が質問の趣旨を理解できず、「網入りガラス」と回答したものと考えられる。宅建主任者の知識がこの程度ならば、販売時に二階と三階だけが曇りガラスであることを説明できないのも当然である。
原告が窓の仕様の相違とその理由について知ったのは、2004年8月頃、隣地所有者から聞いたのが初めてである。隣地所有者から「こちらが三階建てに建替えられるから、二階と三階が曇りガラスで、四階以上が透明ガラスにしたのですよ」との説明を受けた。
【証拠説明書の虚偽】被告はは301号室と701号室、801号室の窓の位置、形状、大きさが等しいと主張するが、誤りである。「本件マンションの7階、8階の北側の開口部(窓)の位置、形状、大きさ等。本件建物も全く同じである」(被告証拠説明書2005年7月15日)。
301号室(D type)と801号室(E type)は間取りが異なり、窓の位置、大きさも異なる。形状も301号室は網入り型ガラスであるのに対し、801号室は透明網入りガラスが使用されている。301号室と801号室の間取りが相違することは図面集を見れば明白である。東急不動産は自社が販売した物件の間取りさえ、きちんと把握していない。
301号室と701号室は同じタイプの間取りではある。しかし窓の形状は、前者が網入り型ガラスであるのに対し、後者は透明網入りガラスで異なる。窓の位置は部屋に対する位置という点では共通と言えるかもしれないが、それぞれ三階と七階にあるため、高さが異なり、厳密には同じとは言えない。大きさは設計上同じ筈であるが、301号室の窓の幅を測定したところ、同じ大きさの窓でもバラツキがあったため、他の階と全く同じとは判断できない。
【管理規約】東急不動産が隣地に三階建てが建てられることを確実に知っていた傍証として管理規約の規定がある。
アルス管理規約72条7号は「プライバシーを保護するため、一部に型ガラスを使用しており、将来にわたって変更できないこと」と規定する。本条は組合員の承認事項を定めたもので、居住者が自己の負担で透明ガラスに変更することをも禁止する。
型ガラスは隣地建物に接する居室(Dタイプの二階と三階)及びアルス南東の住居に接する居室(Bタイプの二階、三階、四階)において、居室の窓に採用されている。管理規約は理由を「プライバシーを保護するため」とするが、居住者自身のプライバシーを保護するために居住者を規制するのは意味がない。
被告は一体誰のプライバシーを保護するために型ガラスを「将来にわたって変更できない」との規定を作成したのか。原告は東急コミュニティー(アルス管理会社)に本規定について問い合わせした(2005年7月22日)。回答は二週間以上後にようやく出されたが、理由は不明とのことであった。
「当社としては竣工前のことを把握できず、詳細については売主にご確認いただきたいとのことでした」(東急コミュニティー回答文書2005年8月8日)。ここからは本規定制定に竣工前の事情が関係していること、管理会社の東急コミュニティーも理由を説明できないことがわかる。全くおかしな規定であるので、被告には納得のいく説明を要求する。
本規定は近隣住民のプライバシーを保護することを目的としたと考えざるを得ない。東急不動産としては近隣への配慮として型ガラスにすると約束した以上、入居者に勝手に変更されては困ることになる。隣地所有者に対しても、東急不動産窓口井田から二階と三階を曇りガラスにしたとの説明がなされている。
近隣への約束事項を入居者が勝手に変更することがないように、管理規約に規定したものと判断できる。分譲マンションの最初の管理規約は売主が作成するもので、本規定は東急不動産が熟知しているものである。
いつ建替えられるかわからない、さらには資金調達ができなければ建替えられないかもしれないような計画に対して、ここまで周到に規定することは不自然である。建替えを不確定とする東急不動産の弁解は重要事項説明義務違反を逃れるために後から考えたものである。騙し売りを正当化するための偽りである。
【アルス北側】アルスDタイプの窓が三階まで曇りガラスで、四階以上が透しガラスとなっている点はAタイプと比較しても不自然である。型ガラス設置目的を「プライバシーを保護するため」(管理規約72条7号)と解すると不自然さは一層際立つ。
アルスで北側に面しているのはA, D, Eタイプである。このうち、Eタイプは八階のみである。AタイプはDタイプと異なり、二階から透明ガラスである。面している区立洲崎川緑道公園は高台となっており、二階部分(204号室)と遊歩道の高さがほぼ等しい。つまり、洲崎川緑道公園側から見るとアルス一階部分は地下のような形になる。
遊歩道と204号室の高さがほぼ等しいため、204号室の北側窓は通行人から覗かれうる高さにある。ここの窓は日中でも常時カーテンが閉められている。これは覗かれないようにするためであろう。本来ならば、この窓こそ型ガラスにすべきである。
一般論として一階の窓ガラスが防犯ガラスになっていない住戸は防犯上危険であり、特に女性から敬遠される。緑道公園からはアルス二階が地上に相当する高さであるため、上記は204号室にも当てはまる。東急不動産が居住者のプライバシーを考えて設計していないことを示す証左である。そのせいか、204号室は2005年7月以降、売りに出されている。
一方、Dタイプは二階(201号室)と三階(301号室)が曇りガラス、四階以上が透明ガラスになっている。アルス建設当時は隣地には二階建て作業所(東急リバブルは倉庫と説明)が建てられていたが、その二階の屋根はアルス201号室の窓よりも低く、外部から覗かれる危険はなかった。
それにもかかわらず、二階はおろか三階まで曇りガラスとしている。東急不動産が三階建てを建てるという隣地所有者の話を正確に受け止め、隣地所有者に配慮していたことを示す事実である。即ち、東急不動産自身、確実に三階建てが建てられると認識していた。
【当初は三階も透明ガラス】Dタイプは二階と三階が曇りガラスで、それ以上は透明ガラスである。しかし、これは最初からのものではなく、当初は二階のみを曇りガラスとして設計していた。
これは株式会社SHOW建築設計事務所「建具表-2」(2002年12月9日、アルス東陽町新築工事設計住宅性能評価申請書)から明らかである。この「建具表-2」の時点では以下の点が現状と異なり、後から設計変更がなされたことをうかがわせる。
・ Dタイプは洋室1と洋室2からなる2LDKではなく、洋室と和室の2LDKであった。即ち、現在の洋室1が洋室、現在の洋室2が和室となっている。
・ 洋室1のはめ殺しの窓がガラスブロックとなっている。
「建具表-2」ではDタイプ洋室(現在の洋室1)、Eタイプ洋室1の西端の窓ガラスについて「網入型板ガラス(Dタイプ:2F洋室)×1、網入透明ガラス×6」と記述する。これによれば、網入型板ガラスは二階だけなので一枚、網入透明ガラスは六枚となる。二階以外の三階、四階、五階、六階、七階、八階の各居室で六枚である。ここでは三階居室も透明ガラスになっている。つまり、「建具表-2」が作成された2002年12月9日時点では三階は透明ガラスであった。
事情は洋室2の窓ガラスも同じである。「建具表-2」はAタイプ洋室2、Dタイプ和室、Eタイプ洋室2の窓ガラスについて、「網入型板ガラス(Dタイプ:2F洋室)×1、網入透明ガラス×13」と記述する。
網入型板ガラスは二階だけなので一枚である。一方、網入透明ガラスはAタイプの七戸、Dタイプの三階から七階までの五戸、Eタイプの一戸で計一三枚となる。ここでも301号室は透明ガラスであった。
【竣工図】竣工図でも型ガラスは二階のみで、三階以上が透明ガラスのままである。竣工図では住宅性能評価申請書以後の設計変更を反映している(和室を洋室2にする、ガラスブロックを廃止)。しかしガラスの種類については相変わらず、二階のみ透明ガラスとする(株式会社SHOW建築設計事務所「建具表-2」2003年1月31日)。
Dタイプ洋室、Eタイプ洋室1の西端の窓ガラスについて「網入型板ガラス(Dタイプ:2F洋室)×1、網入透明ガラス×6」と記述する。
Aタイプ洋室2、Dタイプ洋室2の窓ガラスについて、「網入型板ガラス(Dタイプ:2F洋室)×1、網入透明ガラス×12」と記述する。ここでも二階のみが型板ガラスである。透明ガラスはAタイプの七戸、Dタイプの三階から七階までの五戸で計一二枚となる。
つまり、2003年1月31日時点でも三階は透明ガラスであった。型ガラスに変更されたのは、もっと後になる。アルス建設時、隣地建物は二階建てであり、二階のみを型ガラスにするつもりだったのであろう。
しかし隣地所有者から三階建てへの建替えを聞かされて、後から三階も型ガラスにしたものと判断できる。東急不動産窓口・井田真介が隣地所有者に何度も「何階建てにするか」確認しており、それはこのためであったと思われる。
本来、竣工図は現状と同じでなければならないものである。301号室の窓は型ガラスであり、竣工図の記述は誤りである。これは東急不動産のいい加減さ、無責任さを示すものである。
一方で竣工図の修正が間に合わなかったほど、型ガラスへの変更が想定外のものであったことも窺わせる。当初、二階のみを予定していたが、隣地所有者から三階建てにすると聞き、慌てて三階も型ガラスにしたものと考えられる。
【乙第5号証2枚目の矛盾】東急不動産提出証拠(乙第5号証2枚目)は窓の仕様を説明したものとされる。これは内容的には株式会社SHOW建築設計事務所「建具表-2」(2003年1月31日、アルス東陽町新築工事竣工図)と共通する。
しかし被告はソースを明らかにしておらず、証拠も文書全体ではなく、特定部分を貼り合わせてコピーしたものであるため、これが何の文書であるのか確認できない。被告の秘密主義、隠蔽体質を実感することができる。
この乙第5号証2枚目でも、洋室1も洋室2も網入型板ガラスは二階の一枚だけで、他は透明ガラスとなっている。被告は「開口部(窓)のガラスは全て網入り型ガラス仕様」と主張する(被告準備書面2005年7月8日)。しかし乙第5号証2枚目では301号室は透明ガラスである。つまり乙第5号証2枚目は301号室が型板ガラスを使用することを証明する証拠にはならない。東急不動産にはまともな証拠を提出する意思も能力も欠けている。
乙第5号証2枚目の作成年月日は不明である。しかし内容的に株式会社SHOW建築設計事務所「建具表-2」(2003年1月31日)と同時期のものと判断できる。
被告準備書面(2005年4月21日)は「訴外康和地所は、訴外隣地所有者に対して、・・・・・・本件マンションの北側の2 階、3 階の開口部を片ガラスにすることで検討することを説明していた」と主張する(片ガラスは型ガラスの誤りか)。
これが虚偽であることは東急不動産自身が提出した乙第5号証2枚目で明白となる。東急不動産が事業主となって設計が行われた段階でも三階については透明ガラスとなっている。従って、前所有者である康和地所の段階で三階を型ガラスと説明する筈はない。
東急不動産の主張からはホラティウスの箴言が想起される。「愚か者は、欠点を避けて通ろうとすると、正反対の欠点に足をすくわれるDum vitant stulti vitia, in contraria currunt.」。
【窓】アルスDタイプの窓は一般の住居におけるものと同様、眺望、採光、景観を企図して設置されたものである。そもそも窓とはそのために設置するものである。眺望、採光、景観を企図していないならば窓とはいえない。辞書は窓について下記のように定義する。
・ 大辞泉(小学館)「部屋の採光・通風などのために壁や屋根の一部にあけてある穴」
・ 大辞林(三省堂)「採光や通風のために、壁・屋根などに設けた開口部」
ところが裁判時に、東急不動産は突如、窓は「眺望、採光、景観等企図していない」との主張した(被告準備書面2005年7月8日)。「白い黒猫」と同じような詭弁である。一般常識と乖離しており、漫画やコントのネタとしてなら使えそうな主張である。
この主張が成り立たないことは言うまでもない。常識に反する主張をしてまで争う姿勢を示す被告の思考は理解不能である。あくまで「眺望、採光、景観等企図していない」窓であると主張するならば、何のための窓であるのか明確に説明すべきである。加えて、この主張は東急不動産の従前の行動とも矛盾する。
【販売時の説明】東急不動産は販売時には北側の窓も、一般常識でいうところの窓として扱っていた。販売資料において、アルスの居室が二面採光であることを謳っている。
・ 図面集(プリント版、冊子版)、「独立性の高い立地を活かした全戸に開放感ある角住戸を実現。風通しや陽射しに配慮した2面採光で、心地よい空間を演出します」
・ チラシ「マンション選びのポイント」、「緑道に隣接するため、眺望・採光が良好!」「全戸角住戸!2面以上の開口・採光を確保!」
・ パンフレット「Buon Appetito!」、「多方向からの通風・採光に配慮した、2面バルコニーやワイドスパンタイプも多数採用しています」
Dタイプの居室も二面採光であるならば、隣地建物の側に面した窓も眺望、採光、景観を企図している筈である。さもなければ二面採光にならず、販売資料の記述は誇大広告になる。不利な事実を表示せずに、実物よりも著しく有利又は優良と誤認させる広告は誇大広告である。
販売時に東急リバブル・中田愛子は原告に対し、「遊歩道の緑ですよ」と窓からの景色の良好さをアピールした。一方、東急リバブルの販売担当者が「Dタイプの窓は一般の窓とは異なる目的で設置された」と説明したことはない。購入後に今更「眺望、採光、景観等企図していない」と主張することは許されない。
状況は二階購入者も同じである。販売担当者の東急リバブル・宮崎英隆は建築中の二階の窓から緑道公園を写した写真を二階購入者に提示した。この写真を見せながら隣地建物が二階の窓からの景観を妨げず、良好な日照・眺望を享受できると説明した(2003年5月頃)。
【住宅性能評価申請】アルスは住宅性能評価を受けたマンションであるが、住宅性能評価では北側の窓も採光対象として評価されている。これは「眺望、採光、景観等企図していない」(被告準備書面2005年7月8日)との主張と矛盾する。
アルスはイーホームズ株式会社(東京都新宿区、指定住宅性能評価機関(国土交通大臣指定80号))から住宅性能評価を受けた(2002年12月27日)。評価員は若宮元である(評価員登録番号02-471)。
住宅性能表示の中には光・視環境があり、これは住宅の床面に対する窓の割合や東西南北及び真上にある窓がどのくらいの大きさなのかを評価する。アルスを設計・監理した株式会社SHOW建築設計事務所(武内久一級建築士)は北側の窓も採光対象に含めて申請し、イーホームズ株式会社も窓として評価した。イーホームズ株式会社「設計住宅性能評価書」(2002年12月27日)においても「方位別開口比」で北側の窓を含めている。
第一に株式会社SHOW建築設計事務所「光視環境住戸別一覧表」では北側の窓を開口面積に含めた上で開口率を算出している。
第二に株式会社SHOW建築設計事務所「採光・換気チェック表」(2002年12月9日)では北側の窓を採光有効面積に含めた上で採光必要面積を満たしていると判定する。逆に北側の窓を含めなければ採光必要面積を満たすことはできなかった。
建築基準法は居室に一定割合(住宅は床面積の七分の一)以上の大きさの窓を設置することを義務付ける(第28条)。もしDタイプの窓が採光を企図していない、即ち一般常識でいうところの窓に該当しないものであるならば、建築基準法の採光基準を満たさないことになる。そのような部屋はたとえスペースが広くても納戸や物置であって居室ではない。
従ってDタイプの洋室を居室とすることは建築基準法違反になる。被告はDタイプを2LDKと販売した。窓が「眺望、採光、景観等企図していない」との被告主張に従う限り、被告は違法販売を自白したことになる。被告の矛盾は明らかである。
【窓の大きさ】洋室における窓の重要性は、その大きさ及び壁に占める割合から看取できる。301号室の隣地建物に面した側の窓の大きさは下記の通りである。原告が木枠の内側から内側までを測定した。
・ 洋室1
Ø 西側の窓 高さ110cm、幅51cm
Ø 真中の窓 高さ110cm、幅50cm、ガラス部分の幅42.5cm
Ø 東側の窓 高さ110cm、幅51.5cm、ガラス部分の幅43 cm
・ 洋室2 高さ110cm、幅150cm
Dタイプの洋室の高さは洋室1の天井高は240cmである(図面集)。窓の高さが110cmなので、壁の高さの約46%(半分弱)が窓で占められていることになる。
洋室1の幅は355cmである(図面集)。窓の幅が51+50+51.5= 152.5cmなので、壁の幅の約43%(半分弱)が窓で占められていることになる。
洋室2の幅は331cmである(図面集)。窓の幅が150cmなので、壁の幅の約45%(半分弱)が窓で占められていることになる。
上述の通り、壁に占める窓の割合は大きい。従って窓の大きさから、窓が眺望、採光、景観等を企図していないと主張することはできない。
【201号室】洋室1の窓の幅にズレがある点は、201号室も同じである。最大で1cmの差がある。下記は201号室住人が木枠の部分を採寸した結果である。301号室の想定結果と相違するのはどこからどこまで測定したかに相違があるためと思われる。
・ 西側の窓 高さ115cm、幅56cm
・ 真中の窓 高さ115cm、幅55.5cm
・ 東側の窓 高さ115cm、幅56.5cm
【被告提出証拠の虚偽】訴訟において、東急不動産は窓の図面を証拠(乙第5号証2枚目)として提出した(2005年7月15日。8月23日に乙第5号証の2に差し替えられる)。これは301号室の窓が「眺望、採光、景観等企図していない」(被告準備書面2005年7月8日)ことを立証するために提出したものである。
しかし図面上の数値よりも実際の窓の幅はもっと長い。被告は故意に窓を小さく見せようとしているようである。証拠文書の紙のサイズに比して窓の図面は極端に小さく印刷されている。殊更窓を小さく見せようとする東急不動産の姑息な小細工を看守できる。
しかも乙第5号証2枚目は窓のサイズしか書かれておらず、壁と窓との壁と窓の位置関係、相関関係は不明である。これが分かる資料として、株式会社SHOW建築設計事務所「変更Dタイプ展開図」(2003年1月31日、アルス東陽町新築工事竣工図)がある。被告も売主として知らない筈のないものである。
【アフターサービスの不誠実な対応】洋室1の窓の幅にはバラツキがある。しかし、被告提出証拠(乙第5号証の2)では洋室1の窓は三つとも110×47.5で同じサイズになっている。
この窓の幅が異なる点について、原告はアフターサービスを担当する株式会社東急アメニックスに確認した。アフターサービス相談窓口sodan@tokyu.amenix.co.jpにメールした(2005年7月18日)。
2005年7月20日、東急不動産カスタマーセンター・四宮から、「窓の仕様は不明になっているので、調査の上、回答する」との連絡がある。
7月21日、東急不動産カスタマーセンター中高層住宅チーム・大山浩から、「現在、施工会社のピーエス三菱が確認している。回答は日数がかかる。来週末に回答する」との連絡がある。
窓の仕様について東急不動産は把握しておらず、ピーエス三菱も回答するには日数がかかるということである。この回答が真実であるとすれば、乙第5号証2枚目は虚偽である。東急不動産は窓の寸法を把握していないにもかかわらず、虚偽の図面を証拠として法廷に提出した。
7月25日、東急不動産カスタマーセンター・大山浩から、「一番東側の窓については外壁タイルの大きさの関係で窓が1cmほど大きくなっている。他の二つは同じ筈である。念のために窓を測定させて欲しい」と連絡がある。
この回答により、少なくとも東側の窓の寸法に関しては、東急不動産の回答が虚偽であることが確認された。本来、窓の大きさは売主が把握している筈のものだが、東急不動産作成の資料が矛盾しているのであるから、話にならない。
大山浩回答に対し、原告は「一番東側の窓が大きいのが仕様であるならば、正しい図面のコピーを提示してほしい」と依頼した。しかし、回答がないので7月31日に改めて東急アメニクスにメールを出した。それでも対応がなされないため、8月4日にはカスタマーセンターに電話したが、大山は不在とのことであった。
翌8月5日になって東急不動産カスタマーセンター・大山から電話で「係争中なので弁護士の指示で提示できない。これ以上、何も回答できない。購入者へのアフターサービスは一切できない」と全面的に拒否された。
原告は対応できない理由を説明した回答を書面で送付することを依頼したが、これも拒否された。担当者の名前も尋ねたが、拒否された。無責任な担当者は余程正体を知られたくないらしい。そもそも対応するつもりがなければ、時間稼ぎをしないで最初から拒否すべきである。
原告の依頼に対し、アフターサービス担当者は弁護士の指示と回答した。不正を隠すためにアフターサービスの対応すら拒否する。虚偽の証拠を提出した事実を会社ぐるみで隠蔽するように弁護士が指示を出したとする。窓の寸法が異なるのが仕様と主張するならば正しい図面を提示すればよい。いよいよもって被告が悪徳企業であると不信感が強まるばかりである。
【菱形はつしもワイヤー】東急不動産は網入り板ガラスにはセントラル硝子株式会社製「菱形はつしもワイヤー」を採用したと主張する。配布物のどこにも製品名は掲載されておらず、説明も受けていないので、原告は承知していない。現在でもアルスの採用されている型ガラスが「菱形はつしもワイヤー」であることを証明することはできていない。
製品カタログでは「主な用途」として「展望台のエレベーターのかごの窓」や「ベランダ」をあげる(セントラル硝子株式会社硝子営業部・板ガラス総合カタログ「菱形ワイヤー・角形ワイヤー・パラライン」76頁)。これらの用途は正に採光・眺望を意図したものである。採光・眺望と飛散防止・耐久性を兼ね備えたものが本製品と言える。実際、型ガラスはアルス全居室のベランダにも採用されている。
従って本製品の採用を理由に「眺望、採光、景観等企図していない」(被告準備書面2005年7月8日)とする被告主張は完全な誤りである。
そもそも三階までが曇りガラスで四階以上が透しガラスである事実は、東急不動産が隣地に三階建てが建てられることを確実に知っていた証拠として原告が主張していたものである。東急不動産が曇りガラスであることを強調すればするほど、二面採光の宣伝文句との矛盾は拡大し、隣地建替えを確実なものと予期していたとの確信を強めるだけである。被告の主張は極めて恣意的であり、合理性は皆無である。
【乙第5号証1枚目の不完全】被告は「菱形はつしもワイヤー」のカタログを証拠(乙第5号証1枚目)として提出したが、これは不都合な事実を除去した不完全なものである。
被告提出証拠はセントラル硝子株式会社硝子営業部・板ガラス総合カタログ77頁である。被告は出典を明示しておらず、弁論準備手続(2005年7月15日)において原告代理人が証拠説明書差し替え版にて明示することを求めたが、未だ提出されていない。そのため、確言はできないが、内容から上述のように判断する。
被告が提出した77頁は「網入、線入ガラスの標準施工法」の記述が大半を占めており、網入り型板ガラスそのものの説明はなされていない。証拠として提出するのに適切な頁とは言えない。
本カタログは見開き二頁で一つのトピックスを説明している。網入り板ガラスは線入板ガラスとともに76-77頁で紹介されている(「菱形ワイヤー・角型ワイヤー・パラライン」)。被告は後半部分しか証拠として提出していないため、理解し難いものになっている。型ガラスの品種、仕様、用途、特徴については前半部分(76頁)で紹介されている。
被告が型ガラスについて真摯に立証する意思があるならば、むしろ前半部分こそ証拠として提出すべきであった。それをしないのは前半部分の用途に「展望台のエレベーターのかごの窓」や「ベランダ」が掲載されているためである。これは型ガラスの採用と眺望・採光・景観等の企図が両立することを意味している。
被告は容易に露見するような小細工を弄しているが、自社のイメージを悪化させているだけである。尤も人間というものは悪事を働いて追い詰められれば、よほどできた人物でない以上、このように悪あがきするものかもしれない。
【隣地建物との距離】原告が2005年7月12日に測定した結果は下記の通りである。
・ アルス階段から隣地建替え中建物の幕までの距離34cm
・ アルスと隣地のコンクリート塀の厚さ8cm
・ 洋室1窓から隣地建替え中建物の幕までの距離48cm
・ 洋室2窓から隣地建替え中建物の幕までの距離45cm
アルスの窓のひさしは建物から出っ張っており、ひさしからの距離とすればもっと短くなる。
隣地所有者は以下のように語る(2005年7月13日)。塀から隣地建物まで35cm、アルスと隣地建物の距離は80cm。但しこれは鉄骨までの距離であり、壁の厚みは除外してある。
企業事件を扱うジャーナリスト山岡俊介氏は2005年2月5日に原告宅を取材し、目視の結果を以下のように記述する。「H氏(注 原告)の部屋の面する窓と作業場の壁との距離はわずかに20〜30p」(「東急不動産側が、マンション購入者に「不利益事実」を伝えなかった呆れた言い分」情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ) 2005.02.21)。
実際に部屋の中から見た場合は想像以上に近くに感じられるものである。居住者が圧迫感を受けることも言うまでもない。何れの数値も被告の測定(乙第4号証)よりも短い。被告は原告の被る損害の矮小化を企図している。
【四階以上の可能性】隣地は八階建てまで建てられる土地である。しかし東急不動産は隣地所有者に建替え後の階数は三階建てであることを予め確認していた。階数の確認は何度もなされ、「絶対に三階建てです」と約束したと隣地所有者は話す。
東急不動産は隣地が三階建てに建替えられることを知っていた。だからアルスの三階までを型ガラスとし、四階以上を透明ガラスとした。
しかも販売時に被告販売代理の東急リバブルは四階購入者には隣地が三階建てに建替えられることを説明している。後に被告は隣地には八階建てが建築される可能性があったと主張するが、それならば四階購入者に三階建てが建てられるとは説明できないはずである。
これにもかかわらず、原告には嘘を通し続けた。自社に都合がよいだけの、その場限りの説明を繰り返す。この点でも「不動産売買契約書」28条の協議義務「互いに誠意をもって協議し決定します」に反することは明白である。
被告は当初、あたかも偶然であるかのように述べている。
・ 東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年8月26日)「将来的なことを考えて、Dタイプの北側開口部(2・3階)につては網入り型ガラスとさせていただきました」(原文のママ。「つては」は「ついては」の誤記と思われる)。
・ 東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月24日)「隣地所有者様から聞いたことを参考としたのではなく、一般的な将来の対策として、東急不動産の判断として網入りガラスとしました」(網入りガラスは網入り型ガラスの誤りか?網入りガラスでは曇りガラスにはならない)。
しかし、原告の追及に抗しきれなくなって、被告は弁解内容を改めた。隣地では四階以上は建てることはできず、建替えられても三階だからと回答した。つまり、三階しか建てられない敷地だから、曇りガラスは三階までで十分とする。この説明は下記時点でなされている。
・ 東急リバブル住宅営業本部第五部・今井由理子発言、原告宅、2004年9月19日
・ 東急不動産住宅事業本部第四事業部・野間秀一発言、渋谷東急プラザ、2004年12月12日
・ 被告代理人・井口寛ニ弁護士、東京地方裁判所(弁論準備手続)、2005年5月27日
ところが被告準備書面(2005年7月15日)では前言を翻し、隣地には八階建てが建てられる可能性もあったと主張する。「本件マンションの北側箇所もほぼ同じ規制にあり、本件建物と同じ高さの建物が建築され可能性がある(原文のまま 「建築される」の誤記か)」。
被告の弁解がコロコロ変わるのには呆れ果てる。被告が提出した準備書面の内容は誠に杜撰で一貫性がない。度重なる弁解の変遷に至っては企業モラルの低さが窺える。前言と異なる内容の発言をする場合は訂正してから主張するのが筋である。被告の主張が如何に嘘で塗り固められたいい加減なものであるかをよく物語っている。
【野間秀一の弁解】隣地所有者に対しては、野間秀一・東急不動産住宅事業本部第四事業部課長が原告及び二階購入者に説明しなかった理由を以下のように述べている(2005年1月13日)。
「どうして約束が守れなかったか。以前、東急不動産が建築したマンションが、規模は違うけど、ここと同じように隣が建てるという話を購入者に話して売ったところ、隣の建物の形状が変わってしまい、購入者から訴えられて負けた事があり、だから隣地所有者さんが三階といっても四階、五階を建てられたら困ると思って言えなかった」。
リアリティのある説明であり、悪徳不動産業者の体質がよく表現されているが、自社の利益しか考えない身勝手な理由である。二階及び三階に説明しない理由にはならず、不利益事実不告知を正当化するものではない。
この発言によれば被告は隣地に四階、五階を建てられる可能性を認識していたことになり、三階までを曇りガラスとしたことについての原告に対する説明とは矛盾する。被告は嘘をつくことが日常化している。嘘をつくのは消費者を馬鹿にしているからである。被告社内で違法行為が日常的に行われていることを物語る。被告には数々の肩書きがある。信用を売り物にしている会社だけに尚更怒りを覚える。
【洲崎川緑道公園】区立洲崎川緑道公園は、永代通りの南側に平行して木場駅から東陽町駅手前までの約500mの緑に囲まれた公園である。洲崎川を埋めたてて公園にされた。江東区が管理している公園である(江東区立都市公園条例施行規則別表第1、昭和52年6月14日、規則第24号)。
各種地図においても洲崎川緑道公園は緑色で塗られており、緑地であることが容易に看守できる(インクリメントP株式会社「MapFan Web」、ヤフー株式会社「Yahoo!地図情報」)。また、衛星写真・航空写真上も緑色の帯として判別できる(Google Earth, Google Map)。
洲崎川緑道公園は下記Webサイトにも紹介されている名所である。
・ 水彩都市江東商店街連合会:水彩都市江東の芸術・文化作品、史跡、特徴ある公共施設等を紹介するサイト。
・ 下町探偵団:東京下町Sエリアの名所、旧跡などの地域情報のWebサイト。
桜の名所でもあり、春には花見も行われる。絵心があれば、スケッチブックでも取り出して、移ろう季節の美妙な光と影を絵筆の先に表そうとしたいほどである。散歩道としても有名である。財団法人江東区健康スポーツ公社「こうとう ウォーキングマップ」において、ウォーキングコースに採用されている。
実際、ウォーキング・クラブGNPが2000年12月2日に実施したウォーキングコースに含まれている。ウォーキング・クラブGNPは江東区健康センター「ウォーキング12週間講座」の受講者を中心としたウォーキングの愛好会で、GNPは「元気で長生きしてぽっくりと」の略である。
【景観利益】洲崎川緑道公園は上述の通り、地域的な名所であり、その景観、眺望は価値を有し、消費者にとっては利益である。
洲崎川緑道公園への眺望が消費者にとって価値あるものであることは東急不動産も認識していたことである。東急不動産自身、アルスの数少ないセールスポイントとしている。具体的に以下の利益となる旨を原告に告げている。
・ パンフレット「Buon Appetito!」は洲崎川緑道公園の写真を掲載し、「豊富な緑に心やすらぐ「洲崎川緑道公園」」「豊富な緑にたたえられた「洲崎川緑道公園」に面する」と記述。
・ チラシ「マンション選びのポイント」は「緑道に隣接するため、眺望・採光が良好!」と記述。
・ 原告の「この窓を開ければ何ですか」の問いに対し、中田愛子は「遊歩道の緑ですよ」と強調した。
【被告準備書面の誤り】東急不動産はアルスの購入において、眺望・通風・景観が重要事項又は重要事項に関連する事項に該当するのか疑わしいと主張するが、失当である。
「本件建物がリゾート地域であって眺望、景観、通風をセールスポイントにしているのであれば、また建物の南側箇所における日照、通風の良好さをポイントにして、それらが阻害されるのであればともかく、本件マンションの場所、本件建物の階層などからして、原告主張の「眺望・通風・景観」(日照も含むのか)等の事項が、前法4条2項所定の「ある重要事項」または「当該重要事項に関連する事項」に該当するかどうか極めて疑問というほかない」(被告準備書面2005年7月8日)。
隣地建替え以前のアルスは洲崎川緑道公園への眺望・景観を享受できた。東急不動産はそれをアルスのセールスポイントとして強調して販売した。被告や東急リバブル作成の広告資料でも洲崎川緑道公園の写真を多数掲載している。
まさにアルスは洲崎川緑道公園への眺望、景観をセールスポイントにしている建物である。これがアルスの主な利益であるから、これが「重要事項」または「当該重要事項に関連する事項」に該当することは当然である。
【重要事項説明】重要事項は「周辺環境について」と題し、一般的な事柄を記述するのみである。隣地建替えについては全く触れられていない。「将来変わる場合がある」との記述は、どのマンションを購入したとしても書いてある当たり前の一般的な注意書きである。東急不動産が隣地所有者から聞いた話は全くかかれておらず、東急不動産は故意に隠蔽して販売した。
重要事項説明時に宅建主任者・宮崎英隆は原告に対し、「重要事項は北側隣地を指しているのではない。マンションの購入者全員に対してです」と説明している。購入後も東急リバブル(宮崎英隆、中田愛子)は隣地所有者の話を聞いていないと何度も述べている。知らなければ重要事項で説明できる筈がない。
また、被告回答文書(2004年12月16日)においても重要事項の説明が隣地建替えに特化したものでないことを自認している。「将来建つ可能性があるものとして(隣地所有者様に限らず)、重要事項説明書にある「周辺環境について」との項目に記載をさせて頂きました」。はっきりと「隣地所有者様に限らず」と念押ししており、周辺環境について当たり前の記述であることを示している。
【説明がなされなかったこと】契約締結に至るまで、隣地建替えについて原告への説明がなされなかったことは東急リバブル及び東急不動産も認めているところである。そもそも、これが問題の前提である。
仮に説明がなされていたならば、東急不動産も「不確定なので説明できなかった」という苦しい言い訳を持ち出さなくても済む筈である。この弁解についてはジャーナリストのブログで「呆れた言い分」と評されている(「東急不動産側が、マンション購入者に「不利益事実」を伝えなかった呆れた言い分」情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ) 2005.02.21)。
しかし、東急不動産回答文書には一部矛盾した記述がある。東急不動産回答文書(大島聡仁作成、2004年11月30日)では「ご自身も実際に現地を確認して東急リバブルより説明を受けた後、ご契約をさせて頂いたと報告を受けております」とする。
これは原告による契約解除申し入れに対し、それを拒否する理由としてあげられたものである。説明を受けて納得を受けたのだから文句を言う資格はないとする論理である。現実に東急リバブル販売担当者が隣地建替えについて説明したのが事実であるならばその通りであるが、そのような事実は全くない。ないからこそ問題になっているのである。
そのため、東急不動産回答文書(住宅事業本部、社印付、2004年12月16日)では「説明の中では前述の通り隣地所有者様宅建替えについては不確定事項であり原告様にご説明はさせて頂いておりません」に改められた。
回答文書の作成者である大島が事情を知らずに適当な回答を書いたのか、嘘でごまかそうとしたのか、実情は不明である。いずれにしても東急不動産の対応の無責任さ、いい加減さをよく示す事例である。担当者個人の資質は無視できないが、それを許容しているのは会社の戦略である。被告役員が被告従業員に対し、どのような指導をしているのか極めて疑わしい。被告の従業員教育レベルの低さに失望する。
被告は下記文章をよく理解すべきである。「会社と一口に言えば代表者は社長だが、顧客からすれば、直接販売しているバイト社員などその他大勢こそが会社なのであって、社長が企業の社会的責任などをご立派に語っておられても、末端社員の顧客対応がよろしくなければ、会社はどんどん顧客に見放される」(奥井禮喜、労働組合とは何か、ライフビジョン、2005年、108頁)。
【証拠説明書の虚偽】説明がなされてなかったことについての被告の主張は、訴訟の場においても変遷している。東急不動産の一貫性のなさがよく示されている。
被告準備書面(2005年4月21日)は説明しなかったことを認める。「同中田、訴外東急リバブル株式会社の社員宮崎が、原告に対し、本件北側建物の建築について説明していないことを含め、その余の主張を認める」。
しかし被告証拠説明書(2005年7月15日)では一転して説明したとする。「被告は本件マンション北側隣地建築工事、それに伴い、日照、通風、景観等の周辺環境が変わる可能性があることの説明をしたこと、これを原告は承知したこと」。
これは被告の従前の主張とも矛盾するだけでなく、完全な誤りである。被告(販売代理、東急リバブル)は隣地建替えについては原告に一切説明せずに販売した。説明されていないことは、当然のことながら原告は承知できる筈もない。
東急不動産は事実と向き合うことが全くできていない。数々の肩書き(社団法人都市開発協会会員、社団法人不動産協会会員、社団法人首都圏不動産公正取引協議会加盟、国土交通大臣(13)第45号、建設大臣許可(特・12)第4857号)と信用を売り物にしている東証一部上場の大企業がよくまあここまであからさまな嘘をつけるものかと呆れ果てる。
水面と水の底では全く異なる。水面が綺麗だから底も綺麗とは限らない。自社の値打ちが銅でしかないのに、金メッキを塗って見せびらかすような企業である。失敗は誰にでもあることだが、嘘で正当化する被告の欺瞞的対応には心底失望した。
不動産業界に関する書籍ではトラブルになる原因を下記のように記述する。「よく営業マンが失敗を犯して契約にこぎつけなかったり、契約した後も、スッタモンダでモメるのは、小さな嘘が起因している」(御木歳三、不動産屋の手口とやり口、日本実業出版社、1995年、19頁)。
本件では東急リバブル及び東急不動産は嘘をいくつも積み重ねて、進退窮まってしまったようである。本件において重要事項説明義務違反が露見されようとして被告は苦しい弁解を行っている。被告は専ら利益の追求のみをしてきたあまり倫理観を失っている。一生に一度あるかないかの高価な買い物で騙し売りをされた被害者の苦痛を全く理解しようとしない。誠意は皆無である。被告の企業モラルの低さが許せない。
原告は、被告が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、原告に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたから、これを取り消すことができる。
【勧誘】勧誘とは契約締結意思形成に影響を与える程度の勧め方を指す。東急リバブル・中田愛子がパンフレットを提示し、その内容を説明しながら原告に購入を勧めた行為も、勧誘に含まれる。事業者が消費者に配布するパンフレットは、まさに消費者に購入させようとして情報を提供するものである。
注釈書は下記のように記述する(内閣府、逐条解説消費者契約法、2002年3月、44頁)。
「勧誘」とは、消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える程度のすすめ方をいう。したがって、「○○を買いませんか」などと直接に契約の締結をすすめる場合のほか、その商品を購入した場合の便利さのみを強調するなど客観的にみて消費者の契約締結の意思の形成に影響を与えていると考えられる場合も含まれる。特定の者に向けた勧誘方法は「勧誘」に含まれるが、不特定多数向けのもの等客観的にみて特定の消費者に働きかけ、個別の契約締結の意思の形成に直接に影響を与えているとは考えられない場合(例えば、広告、チラシの配布、商品の陳列、店頭に備え付けあるいは顧客の求めに応じて手交するパンフレット・説明書、約款の店頭掲示・交付・説明等や、事業者が単に消費者からの商品の機能等に関する質問に回答するに止まる場合等)は「勧誘」に含まれない。
他の書籍も以下のように記述する。「「勧誘」とは、消費者が契約を結ぶ意思を持つまでに影響を与えるようなすすめ方を言います」(野々山宏他編、Q&A消費者契約法、ぎょうせい、2000年、36頁)。
これに対し、被告は「広告物、宣伝物、パンフレットの類の交付は、前同法4条2項所定の「勧誘をするに際し」に該当しない(これは立法者の解釈である。逐条解説消費者契約法p67商亊法務研究会)」と主張する。ここでは逐条解説消費者契約法を引用している(引用頁が異なるのは版の相違か)。
しかし被告の主張は注釈書を歪曲したものである。かつて被告は「文章を引用されるのであれば、正確に引用されたい」と原告を非難した(被告準備書面2005年4月21日)。これは被告が勝手に原告引用資料とは別の資料を引用元と判断して故なく原告を非難した際の言葉である。今回、原告は、この的外れな批判をそっくりそのままお返ししたい。
注釈書は勧誘に含まれない場合を「不特定多数向けのもの等客観的にみて特定の消費者に働きかけ、個別の契約締結の意思の形成に直接に影響を与えているとは考えられない場合」と定義する。
「例えば、広告、チラシの配布、商品の陳列、店頭に備え付けあるいは顧客の求めに応じて手交するパンフレット・説明書、約款の店頭掲示・交付・説明等や、事業者が単に消費者からの商品の機能等に関する質問に回答するに止まる場合等」は「個別の契約締結の意思の形成に直接に影響を与えているとは考えられない場合」の例として挙げているに過ぎない。
従ってパンフレット等は、あくまで「個別の契約締結の意思の形成に直接に影響を与えているとは考えられない場合」の例であり、パンフレットの交付は常に勧誘に含まれないとの解釈は成り立たない。もしパンフレット等が常に勧誘に含まれないならば通信販売やオンラインショッピングは全て消費者契約法の対象外となり、明らかに不当である。問題はパンフレット等が契約締結意思形成に影響を与えたか否かである。
不実告知についてだが、下記記述もある。「実際にも、チラシやパンフレットなどが消費者の契約締結意思の形成に影響を与えることもありますので、不実告知における「勧誘」を狭く考える必要はありません」(野々村宏他編著、Q&A消費者契約法、ぎょうせい、2000年、82頁)。
消費者契約法はあらゆる消費者契約を規制する法律であり、取引の対象は日常的に売買される日用品から不動産、無形のサービスまで多種多様である。勧誘の方法も当該商品取引の実情によって相違する。不動産は消費者にとって一生に一度あるかないかの高価な買い物である。住宅は欠陥商品だからといって、ポイと捨てるわけにはいかない。不動産業者の勧誘方法も日用品などとは異なる。
不動産取引においては提供されたパンフレット等を参照しながら、販売担当者の説明を聞いた上で購入を判断するものであり、原告の場合も同じである。従って、パンフレット等の記述及びそれらについての販売担当者の説明が契約締結意思形成に影響を及ぼすことになる。特にアルス東陽町のような青田売りの場合は現物を確認できないため、判断資料はパンフレットしかなく、契約締結意思形成に与える影響は甚大である。
注釈書には下記記述もある。「「告げる」については、必ずしも口頭によることを必要とせず、書面に記載して消費者に知悉させるなど消費者が実際にそれによって認識し得る態様の方法であればよい」(47頁)。パンフレットによる告知も、当然のことながら存在し得る。
実務上も下述のようにパンフレットで明示された方が立証は容易とされる。「口頭の説明だけですと、「そんな説明はしていない」と事業者が言い張った場合には、他に類似の事件が多発しているような場合は別として、一件だけのケースで事実があったことを明確にすることは難しくなる場合が考えられます。しかし、パンフレットなどの印刷物などの資料にも明示してある場合には、証明も容易であるといえます」(村千鶴子、Q&Aケースでわかる市民のための消費者契約法、中央経済社、2001年、73頁)。
【事例】注釈書は消費者契約法4条2項により取消しが認められる事例として下記をあげる。「「眺望・日当たり良好」という業者の説明を信じて中古マンションの2階の一室を買った。しかし半年後には隣接地に建物ができて眺望・日照がほとんど遮られるようになった。業者は隣接地に建設計画があると知っていたにもかかわらずそのことの説明はなかった」(内閣府、逐条解説消費者契約法、2002年3月、事例4-19)。
他の書籍でも「不利益事実の不告知」の事例として「マンション購入にあたり、まん前にビルの建設予定があることを知らされなかった」を挙げる(村千鶴子、Q&Aケースでわかる市民のための消費者契約法、中央経済社、2001年、102頁)。この書籍では上記事例を「不利益事実の不告知」の最初の事例として紹介している。
被告準備書面(2005年7月8日)は、「本件建物がリゾート地であって眺望、景観、通風をセールスポイントにしているのであれば、また建物の南側箇所における日照、通風の良好さをポイントにして、それらが阻害されるのであればともかく」と本条文の適用範囲を勝手に限定する。しかし書籍の事例にある通り、本条文は一般の住宅で「眺望・日当たり良好」と告げて販売した場合を対象とするものである。
【立法者】被告は内閣府国民生活局消費者企画課編・逐条解説消費者契約法(商亊法務研究会)を引用して、「これは立法者の解釈である」と主張する(被告準備書面2005年7月8日)。
日本国憲法においては立法者とは国会である。法律案の作成者は起草者となりえても、立法者ではない。行政官庁を立法者とする被告の主張は国民主権及び三権分立の大原則を無視する暴論である。
【重要事項】消費者契約法4条2項に規定する「重要事項」とは、契約締結をした時点の社会通念に照らして、その消費者契約を締結しようとする一般平均的な消費者がその契約を締結するか否かについて、その判断を左右すると客観的に考えられるような、その契約についての基本的な事項を指す。
住宅を購入するに当たって日照・採光、眺望・景観、通風、静穏な住環境が重要事項に含まれることはまともな不動産業者ならば熟知しているはずのものである。
【事業者の努力】消費者契約法の解釈にあたっては、消費者契約法3条の趣旨を活かすべきである。法で規定された努力を怠る業者が得をしてしまうような結果は正義衡平の観点から厳に慎まれなければならない。
「事業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに、消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。」
【二面採光】被告は二面採光をアピールしてアルスを販売した。図面集は2頁でアルス各階の間取り図を記載し、居室の説明を行っている。「上質な暮らしを深める邸宅」と題して「独立性の高い立地を活かした全戸に開放感ある角住戸を実現。風通しや陽射しに配慮した2面採光で、心地よい空間を演出します」と記述する。特に「2面採光」の箇所を他の文字よりも大きい文字を使用して強調している。
「全戸」とある通り、これは全住戸を対象とする記述である。従って原告の住戸が含まれることは当然である。「風通しや陽射しに配慮した2面採光で、心地よい空間を演出」とあるのだから、この論理に立てば、二面採光が失われれば心地よくない空間に転落することになる。「人は自分のまいたものを、刈り取ることになる。A person will reap only what he sows.」(ガラテア人への手紙)。二面採光を売り文句として販売した以上、自らの言葉の責任をとらなければならない。
被告が提出した図面集(乙第1号証)では本頁が除外されている。本頁が除外されていることは、表紙の次が四項となっていることから明らかである。都合の悪い事実は隠蔽する詐欺会社の本領が、ここでも発揮されている。
加えてチラシ「マンション選びのポイント」においても「緑道に隣接するため、眺望・採光が良好!」「全戸角住戸!2面以上の開口・採光を確保!」と記載されている(甲第11号証)。被告が二面採光による採光・眺望・通風の良好さをセールスポイントとしたことは明白である。
【被告の罠】被告は図面集二頁の記載(「2面採光で、心地よい空間を演出」)を無視した上で、以下のように主張する。先ず図面集の各間取りのページにはセールスポイントが記載されていると主張する。そしてDタイプの記述はB, E, Fタイプと比較して環境、眺望の良好さ謳っていないと主張する。
「例えば他の部屋、「B type」に関する「通風、採光重視のプラン」の記載、「E type」に関する「明るい居住性を実現」の記載、更に「F type」に関する「明るく開放感あふれる開放感」(原文のまま 「明るく開放感あふれる空間」の誤記と思われる)の記載と比較すれば明らかであろう」(被告準備書面2005年7月8日)。
しかし以下の理由により、一部の図面集に記載された各タイプ(間取り)の説明文をセールスポイントと捉えることは失当である。
第一に被告主張の「部屋毎のセールスポイント」は図面集によって記載されているものと記載されていないものがある。図面集は確認できるだけでもプリント版、冊子版(甲第7号証)、被告保有版(乙第1号証)、管理会社保有版の四種類が存在する。
このうち間取りの説明文は冊子版(甲第7号証)と被告保有版(乙第1号証)にしか記載されていない。同じ被告が作成した資料であるにもかかわらず、書いてあるものと書いてないものがあるということは、被告にとってはあってもなくても構わない、どうでもいい文章であると判断せざるを得ない。
第二に被告主張の「部屋毎のセールスポイント」は原告が販売時に受領した図面集には全く記載されていない(図面集プリント版)。勧誘時に東急リバブルが原告に配布した図面集はプリント版で、間取りの頁に説明文は一切記載されていない。この図面集プリント版を用いて中田愛子は原告に間取りの説明を行った。冊子版(甲第7号証)を受領したのは契約締結後(2003年6月26日)で、契約締結前には提示されていない。
従って、原告はDタイプのセールスポイントも他のタイプのセールスポイントも契約締結前に提示されていない。見ていないものに対して、当然のことながら原告は理解も承知もしていない。
販売時には被告主張の「部屋毎のセールスポイント」のない図面集で説明し、原告に危険性を考えさせずに契約をさせる。契約後、販売時とは異なる図面集(被告主張の「部屋毎のセールスポイント」が記載されている)を各種書類と一緒に黙って渡した。売らんがために原告を騙す悪意は明白である。被告(販売代理:東急リバブル)の行為は詐欺にも該当する。
第三に被告はEタイプとF タイプの記述を比較対照として強調しているが、両タイプは最上階だけにある一戸だけの間取りである。マンションにおいて最上階が最も環境がよいのは当然である。Dタイプがその記述と比べて劣っていることは被告が不利益事実を故意に隠して問題物件を売りつけたことを正当化しない。Dタイプとは比較にならない最上階の間取り(E, Fタイプ)を持ち出すこと自体が失当である。
【利益の告知】中田愛子も宮崎英隆もパンフレット上の利益のみを告げ、奥まった場所に位置する静けさ、遊歩道の緑、二面採光による日照や通風の良好さを告げた。原告は快適な生活を送るためにマンションを購入した。この利益が僅かな月日で失われるマンションであるならば絶対に購入するわけがない。
被告は窓から遊歩道の緑が見えること、風通しや日差しに配慮した二面採光であることを告げることは事実を述べただけであって、利益となる旨を告げたことにはならないと主張する。取引の実情を無視した恐るべき三百代言である。
「遊歩道の件は、窓を開けて見えるのが、「遊歩道」であって、原告の質問に単純に答えただけである。敢えて「利益となる旨」(良好さ)を告げたわけでもない。「風通しや陽射しに配慮した2面採光」に関する日照や通風に関する表現も同様であって良好さを告げた訳でもあるまい」(被告準備書面2005年7月8日)
日照・採光、眺望・景観、通風は消費者が住宅を購入する上で検討する重要な事実である。これが利益にならなければ、利益となる旨に該当する場合は存在し得ない。
「窓を開ければ遊歩道の緑です」が、窓を開けたら50cm位で隣の壁になってしまうことを知っていれば購入することはなかった。
【不告知】被告は購入者に告げれば売れなくなることを恐れて故意に不利益事実を告げなかった。被告は文書及び口頭で「初めから全て知っていましたが、当社の判断で言わないことに決めました」と原告に説明した。つまり告げれば売れなくなるので、説明しなかった。
被告は井田から全て聞いていて二階、三階の購入者に告げることを約束した。しかし被告は、隣に三階建てが建てられたら売れなくなると判断し、二階三階の購入者には不利益事実を故意に隠蔽して販売した。隣地所有者には約束を破ったことを黙っていた。一方で四階購入者には三階建てが建てられると説明して販売した。
被告の騙し売りは今回が初めてではない。被告が騙し売りの常習犯であることは、インターネット上で悪名高い。騙し売りに慣れているため、年中嘘をついている。嘘を重ねて平気でいるモラルの低い会社である。感性の一部が著しく乾燥して摩滅している。企業体質として嘘が日常化しており、被告の回答は全く信用できない。下記文章が被告の体質をピタリと言い当てている。
「だいたいの社内不祥事は、もし社外に露見しなければ儲けに直結している。会社は「悪いことをしても稼げ」とは言わないが、ひたすら「稼げ」と言うから、数字絶対主義の渦中で担当者が脱線するリスクは常に存在する。露見すれば自分の立場がないと思えば悪事はしない。ところが露見しないことが前提になっている。組織風土が閉鎖的だからである。そこで立場としては「儲け一筋」、やって当然だと考えてしまう」(奥井禮喜、労働組合とは何か、ライフビジョン、2005年、183頁)。
窓は50cm位で隣の壁に覆われてしまい、独房のように真っ暗になる。気が狂いそうになる。原告が受けた苦しみや憤りは筆舌に尽くせない。原告も含め、ほとんどのマンション購入者は家族の将来の収入計画を見据え、長期にわたるローンを組み、重大な決定を行っている。真実を知っていたら、誰一人として買う人はいないだろう。被告の行為は重要事項説明義務違反である。被告は重要事項説明義務違反を真摯に反省すべきである。
【康和地所】被告は康和地所株式会社からアルス建設地を譲り受けた。被告準備書面(2005年7月8日)の下記記述は誤りである。「被告は、訴外株式会社康和地所(以下訴外康和という)から平成14年9月末頃本件マンションに関する土地を購入した」。
株式会社康和地所ではなく、康和地所株式会社である。ビジネスパーソンにとっては常識であるが、前株と後株が違うと全く別物になる。東急不動産は取引相手の社名も正確に記述できないことを示している。ビジネスでも、スポーツでも、まずは基礎ができていないと、一流になることはできない。逆に一流の人ほど基礎がしっかりできているものである。
【アルス着工時期】アルスの着工は11月20日である。図面集10頁に明確に記載されている。東急不動産自身が証拠として提出した図面集(乙1号証)にも記載されている。
従って被告準備書面(2005年7月8日)の下記のように主張する12月は誤りである。「平成14年12月本件マンションの建設工事開始、同15年9月頃竣工した」。
被告は証拠と矛盾する主張を準備書面でしていることになる。東急不動産のいい加減さがよく示されている。
【隣地建替え時期】隣地所有者は「アルス建設後にすぐ建てる」と明言していた。事業主からの家屋調査依頼に対しても、「マンションが建ったらすぐ自分も建築するから家屋調査はいらない」とも伝えている(隣地所有者陳述書2005年5月6日)。
これは東急不動産自身、繰り返し認めていることである。
・ 東急不動産回答文書(大島聡仁作成、2004年10月15日)「アルスが建ってからすぐ建てる」
・ 東急不動産回答文書(住宅事業本部、社印付、2004年12月16日)「アルス東陽町が建ってからすぐに建てたい」
・ 東急不動産回答文書(住宅事業本部、社印付、2005年1月8日)「アルス東陽町が建ってからすぐに建てたい」
途中から「すぐに建てる」が「すぐに建てたい」に変わってしまっているが、東急不動産が繰り返し回答していることは事実である。しかも、このうちの東急不動産回答文書(大島聡仁作成、2004年10月15日)をわざわざ証拠して提出している(乙第7号証一枚目)。
しかし、裁判では被告は矛盾した主張を行った。
・ 被告準備書面(2005年7月8日)「時期について建築資金の調達(金融機関からの借入れ次第)次第などであった」(「時期については」の誤りか)
・ 弁論準備手続(2005年7月15日)において、被告代理人井口寛二弁護士は隣地所有者がすぐに建てると発言したことについて、「曖昧になっている」と発言した。
これらの主張は先の主張と矛盾しており、偽りである。曖昧になっているならば、東急不動産自身、繰り返し回答するはずはない。隣地所有者が「アルス建設後、すぐに建てる」と発言したことは確固たる事実である。
【工事の挨拶】2002年11月7日頃、被告窓口井田、被告担当者関口冬樹、株式会社ピーエス三菱(施工会社)担当者が隣地所有者に工事の挨拶をした。これは隣地作業所前の道路での立ち話であった。ピーエス三菱担当者については不詳。ピーエス三菱で隣地所有者と面識のあった人物には山下洋史・東京建築支店工事第二部所長がいる。
これについて被告準備書面(2005年7月8日)は以下のように記述する。「11月7日頃 被告、訴外康和、訴外株式会社ピーエス三菱(建設会社)の4者が訴外隣地所有者と面談」。
文中の「訴外康和」が井田を指していると考えられるが、この時点では建設地は被告に譲渡されており、井田は被告窓口として行動していた。
また、被告準備書面では四者が隣地所有者と面談したとする。しかし挙げられているのは東急不動産、康和地所、ピーエス三菱の三者しかない。四者というならば四番目のアクターを明確にされたい。康和地所が開発に頓挫して被告に建設地を売却したという経緯だけでも、いわくありげな物件であることを十分うかがわせるが、まだ他に原告の知らない謎の関係者(ブローカー、地上げ屋?)が存在するのか。
【図面】隣地所有者はアルス建設後に建替えすると明言し、アルス購入者に建替えすることの説明を依頼し、被告から了解を得ていた。被告が隣地所有者に正式に図面の提示を求めたことも、説明するためには図面が必要と告げたこともない。
当時、隣地所有者が図面を作成していないのは建替えがアルス建設後で、まだ先のことだからである。建替えは一年後であり、正式な図面がないのは当然である。被告には「家族で考え中の図面ならばあるが、正式に決定した図面はない」と話している。隣地所有者が「建替えは資金調達次第なので図面はない」と発言したことはない。
【一緒に建てましょう】隣地所有者は自らが計画していた隣地建替えのために銀行紹介を被告に依頼したことはない。被告の主張は、被告からの「一緒に建てましょう」との誘いを断る際の隣地所有者の言葉を歪曲したものである。
隣地所有者から建替えについて聞くと、被告(関口冬樹)は「一緒に建てましょう」と提案した。隣地所有者はアルス竣工後に建てるつもりであったため、断った。しかし被告の誘いがしつこいため、断る口実として隣地所有者は「銀行を紹介してくれればすぐ建てる」と発言した。
関口は「紹介できない」と答えたため、隣地所有者は「それならば一緒には建てない」と応じた。即ち、ここでの「銀行を紹介してくれれば」はアルスと同時期に建てる場合という前提の中でのものに過ぎない。資金調達困難とする被告の主張は成り立たない。
一方では隣地所有者には「二階の部屋を買いませんか。窓やベランダをつたって移動できますよ」との話もなされている。冗談めいた話ではあるが、隣地に三階建ての作業所兼住居が建てられることを前提とした話である。そして隣地所有者に隣地の建て替えをした後でも、マンションを購入するだけの資力及び信用があることを認めていることになる。
【建築確認申請】隣地所有者はアルス建設時、東急不動産に対し、「アルス建築後だから一年後になる」と伝えていた。隣地所有者は建築確認申請を2003年12月(アルス竣工の三ヵ月後)に出している。隣地所有者は予め東急不動産に説明した通りに行動した。
被告準備書面(2005年7月8日)は「建築確認の申請がされていない」ことを建替え不確定の理由としてあげるが、これは全く根拠がない。建築確認申請は一年以上前から行うものではない。アルス自身、着工は2002年11月だが、建築確認申請が出されたのは僅か三ヶ月前の八月である。建築確認日付は平成14年8月12日付である。
アルスの建築時期に隣地所有者が建築確認申請を出していないことは常識的に考えれば容易に理解できる。まだ早すぎて建築確認申請を出せる時期にないからこそ、隣地所有者は東急不動産に直接伝えていた。従って建築確認申請が出されていないことは不利益事実不告知を正当化しない。
【融資】隣地所有者はアルス建設後に建替えを行うと明言し、実際にアルス建設後に建替えを行った。被告は隣地所有者が2004年3月3日に建築資金を融資されて建替え工事を行ったと仄めかす(被告準備書面2005年7月8日)。
2004年3月に融資を受けたことは、隣地所有者が希望した時期に融資を受けたことを意味する。これは隣地所有者が資金調達困難であったなどとする被告の主張が虚偽であることを示すものである。実際は金融機関の担当者が頻繁に営業に来て融資を受けることを依頼していた状態であった。
隣地所有者が資金調達困難であったとする被告の主張は、後から考え出した虚偽の弁解である。原告とのトラブル後に不利益事実不告知及び重要事項説明義務違反を正当化するためのものでしかない。隣地所有者の知らないところで、虚偽の話を勝手に作り上げて原告と国土交通省に弁解した。
しかし隣地所有者の知るところとなり、嘘であることが発覚した。隣地所有者は名誉を傷つけられたとして被告に抗議した。被告は数回、隣地作業所を訪問し、隣地所有者に謝罪し訂正を約束している。
【建替え】隣地工事は2004年6月頃に開始された。建物の撤去工事から始まり、8月の時点では鉄骨が組み立てられた。従って、被告準備書面(2005年7月8日)は「同16年8月頃 訴外隣地所有者、前同土地上に建築工事開始」とするが、誤りである。
2004年7月頃、原告が隣地所有者から下記の話を聞く。「アルスが建ったらすぐに3階建てを建てる。住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある。後で何かあると嫌だから、二階と三階に住む人に必ず言っておいてください、と東急不動産にお願いしてある」。
隣地所有者は原告がこの話を聞いているものと思っていた。原告が「何も聞いていない」と言うと驚いていた。隣地所有者は「必ず伝えてくださいと何度も言ってある。東急不動産に確認した方がいいですよ」と強く勧めた。
上述の通り、被告提出証拠には多くの虚偽が存在する。被告提出証拠は被告代理人弁護士(井口寛二、野村幸代、上嶋法雄)も確認した上で提出した筈である。日本弁護士連合会・弁護士倫理54条は「弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽の証拠を提出してはならない」と定める。虚偽の証拠提出が弁護士倫理に背くことは言うまでもない。
以下では上で述べきれなかった各証拠の問題点を述べる。以下の大半は、既に弁論準備手続(2005年7月25日)の場で原告代理人が指摘した誤りである。これに対して被告は証拠説明書の差し替え版をすぐに提出することを約束したが、未だなされていない。被告の不誠実な応訴態度を示すものであり、ここに改めて被告提出証拠及び証拠説明書(2005年7月15日)の誤りを指摘する。
被告証拠説明書(2005年7月15日)は、乙第2号証を「重要事項説明書 写し 原告作成」とする。しかし、これは誤りである。原告は重要事項説明書を作成していない。
実際の証拠として提出されているのは「受領証」である。重要事項説明においては床暖房、ガス、風呂の説明は受けたが、隣地建替えについて一言も説明されていない。
この受領書は宅建業法第35条規定の書面のみならず、同法第37条規定書面の受領証も兼ねている。契約締結日は6月30日だが、それ以前の6月26日に受領している。即ち、実質的な契約締結日は6月26日であることを示している。
乙第3号証は写真二葉からなる。被告証拠説明書(2005年7月15日)は「上部の写真は、本件マンションの7階、8階の北側の開口部(窓)の位置、形状、大きさ等。本件建物も全く同じである」と述べる。しかし、上部の写真には6階までしか写っていない。7階、8階は写っていない。301号室の窓と7階、8階の窓は異なる。
被告証拠説明書(2005年7月15日)は「下部の写真は、本件建物の西側部分である」とする。しかし、これは北側の誤りである。
乙第6号証は二頁からなり、一頁目は「アルス東陽町の事業経緯」で、二頁目は「近隣説明経緯」である。二頁目末尾に「作成日 平成17年3月22日 作成者 井田真介」と印字されており、井田の捺印がされている。
被告証拠説明書(2005年7月15日)は、乙第6号証は井田作成と説明する。しかし、「アルス東陽町の事業経緯」について井田が作成したとするのは疑問がある。「近隣説明経緯」には「私が今現在記憶する内容を忠実に明記いたしました」と記述するが、下記理由より、疑わしい。
【井田が関知する筈のない事実】「アルス東陽町の事業経緯」には井田が関知する筈のない事実が記載されている。
「平成15年2月22日 モデルオープン」(原文のまま。モデルルームオープンの誤り)
「6月30日 原告様301号室契約」
「9月29日 原告様竣工引渡し」
井田が、東急不動産に土地を売却した康和地所の担当者に留まるならば、東急不動産(販売代理:東急リバブル)が、いつモデルルームを開設したか、いつ物件を売却して引渡しをしたか、ということは知るはずはないものである。実際は、井田は東急不動産の代理人として近隣住民と折衝していたが、それでもアルスの販売スケジュール、販売状況を押さえていることは近隣住民への窓口の職分を越えている。
弁論準備手続(2005年7月15日)において、井田が知る筈もないことを書いていることについて、井口弁護士は「他から聞いたのでしょう」と回答している。原告との契約締結日を一体誰から聞いたのか、明確にされたい。契約締結日を知っているのは当事者のみである。原告は井田氏とは面識がなく、契約日を話したことはない。原告が告げなければ東急不動産又は東急リバブルが漏洩したことになる。
東急不動産は消費者との契約情報を他社の人間にベラベラ話すような体質の企業であるのか。個人情報保護法施行前(2005年4月1日)ならば漏洩しても問題ないと考えているのか。悪意を持って顧客データを取り扱えば、犯罪者になる時代である。
個人情報保護に関するOECD八原則の一つに利用制限の原則がある(OECD Guidelines on the Protection of Privacy and Transborder Flows of Personal Data)。そこでは、個人情報は、収集目的の範囲外で利用、提供を行う場合は、情報主体に通知し、事前に同意を得なければならないとする。
日本工業規格「個人情報保護に関するコンプライアンス・プログラムの要求事項JISQ15001」(1999年)は4.4.3.1「利用及び提供の原則」で以下のように規定する。「個人情報の利用及び提供は、情報主体が同意を与えた収集目的の範囲内で行わなければならない」。
宅建業法第45条は宅建業者に守秘義務を課している。「宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない」。いくら業者にとって都合の悪い顧客のものであっても、宅建業者が業務上得た情報を漏洩することは宅建業法違反である。
特に原告との売買契約においては値引きされている関係上、中田愛子は原告に対して「できれば話さないように」と依頼した。消費者には口外無用を要求しながら、自社はベラベラ話すのか。東急不動産に対する不信感は高まるばかりである。
「平成16年8月 隣地所有者宅新築」
どうして井田は工事開始について知っているのか。8月は既に前の建物が解体され、鉄骨ができあがっていたので、工事開始はもっと前である。何故、被告準備書面(2005年7月8日)と同じ誤り(8月)を犯しているのか。「アルス東陽町の事業経緯」を被告が作成したにもかかわらず作成者を井田と偽っているか、井田が東急不動産から言われた通りに書いているだけかの何れかである。
それまでは「隣地所有者様」と様付けで記述しているのに、この箇所だけ「様」がなく表現に不統一が見られる。また、隣地所有者宅建替えは文書表題の「アルス東陽町の事業経緯」とは関係のない内容である。
【レイアウトの齟齬】「アルス東陽町の事業経緯」と「近隣説明経緯」ではレイアウトが異なり、同時に作成されたものとは言えない。
・ 「アルス東陽町の事業経緯」のヘッダーは15mmであるのに対し、「近隣説明経緯」は25mmである。
・ 「アルス東陽町の事業経緯」のフッターは15mmであるのに対し、「近隣説明経緯」は25mmである。但し「以上、私が今現在記憶する内容を忠実に明記いたしました」の行だけ、余白が18mmとなっており、不自然である。
・ 「アルス東陽町の事業経緯」の右余白は15mmであるのに対し、「近隣説明経緯」は20mmである。
「アルス東陽町の事業経緯」には「1/1」、「近隣説明経緯」には「1/2」と頁が振られており、連続した資料であるかのように見せているが、二枚を重ねて透かしてみれば頁の印字位置がずれていることが分かる。
加えて、「アルス東陽町の事業経緯」は太字になっている行とそうでない行が混在しており、統一性がない。別の文章を貼り付けてコピーしたような印象を受ける。
【東急不動産窓口】「アルス東陽町の事業経緯」によると、井田は12月10日まで隣地所有者と面談していたことになる。これは井田が東急不動産の窓口として行動していたことを裏付ける。土地売却企業の担当者が譲渡から三ヶ月後も活動しているのは不自然である。
東急不動産は他のマンションにおいても、近隣住民との窓口を他社の人間に丸投げしている。悪徳不動産業者の無責任な需要に対応するために、近隣折衝業務を受託する専門の会社まで存在する。
例えば東急不動産は「鷺沼ヴァンガートンヒルズ」(川崎市宮前区、土壌汚染発覚により建設中止)及び「湘南袖ヶ浜レジデンス」(神奈川県平塚市)において、株式会社メイズ・プラン(代表取締役平野直樹、宅建番号[神奈川知事]3-20379、2002年1月現在)に近隣折衝業務を受託した。
悪徳不動産業者は自らが正面に立たない限り、自分の手が汚れてないとでも思っているようである。何しろ不動産業界は土地を入手するために暴力団を雇って地上げをさせることまで行われていた業界である。
【肩書き】「近隣説明経緯」には井田の記名捺印がされているが、肩書きはない。井田がいかなる立場で記述したのか、明確にされたい。どこまでが康和地所の担当者で、どれが東急不動産窓口としての行動であるのか。
被告準備書面(2005年4月21日)は井田を「康和地所の担当者」としか説明していない。被告の井田に対する扱いには最初から疑問がある。
【隣地所有者の話】「近隣説明経緯」について隣地所有者は以下のように語る。「嘘ばかりだ。塀をコンクリートにすると言ったのは、俺だよ。『朝夕はトラックを前に横付けするからね』なんてことは一言も言っていない。俺の方から型ガラスと言ったこともない。」(2005年7月11日)。
「『それでも距離は近いよねえ。大丈夫かな?』と言ったことはない」(2005年7月13日)。
【井田の立場】アルス建設当時、井田は康和地所の従業員であった。しかし2004年11月頃には康和地所を退職し、現在は独立して不動産関係の仕事をしている。東急不動産からも仕事を請けている関係にある。そのため、被告側の無理な要求も聞かざるを得ない関係にある。井田作成の陳述書を判断する際にはこの点にも注意願いたい。
【井田の矛盾】被告は乙第6号証の作成者を井田とするが、井田は隣地所有者の前では異なる態度をとっている。以下は、原告が隣地所有者から聞いた井田とのやり取りをまとめたものである。乙第6号証の真実性には疑問を抱かざるを得ない。
2005年3月頃、井田は隣地所有者に「どうなりましたか」と電話した。これは東急不動産が本件経緯に関して虚偽の報告書を国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課に提出したことに対し、抗議した問題である。隣地所有者が「まだ、もめたまま」と答えると、井田は「早く謝っちゃえばいいのに。隣地所有者が三階建てと言うから、三階までを曇りガラスにしたのにねえ」と答えた。
2005年7月、隣地所有者が井田に乙第6号証を見せる。井田は乙第6号証を見て、「嘘ばかりなので驚いた」と答えた。乙第6号証を書いた記憶を問われると「はっきりわからないのですがね」と曖昧な返事をした。日付も覚えていないと言う。後日、隣地所有者が再確認すると、井田は「判を押しただけで、文章は書いていない」と答えた。
隣地所有者は井田と二人で連名の陳述書を書くことを提案し、井田は承諾した。ところが翌日、井田は被告に電話して連名の陳述書を書くことを話す。これに対し、被告は「契約解除になるとまずいから、やめてくれ。余計なことをしゃべるな」と要求した。
その後も隣地所有者は「東急にまずいだけで、こちらには全然まずくない。東急からの仕事もあるだろうけど、俺や井田の知らないところで、ああ言った、こう言ったと言われるのは嫌だろう。連名で出せば誰も文句は言えない。早く終わらせることができる」と説得した。しかし、井田は被告から仕事を請け負っている関係上、被告の要求を優先し、連名陳述書の話はなくなってしまった。
その後も井田は隣地所有者に対し、「全部終わったら、お話します」と含むところがあることを仄めかしている。これは2005年11月29日に隣地所有者が原告に話したことである。
【乙第7号証】乙第7号証は原告宛回答文書(大島聡仁作成)及び「報告書(追加資料)」からなる。このような場合は枝番を振るのが一般だが、被告は振っていない。そのため、弁論準備手続(2005年5月27日)において被告は各々に枝番を振った証拠説明書差し替え版をすぐに提出することを約束した。しかし、その約束は未だ果たされていない。
ここでは便宜的に各々を乙第7号証一枚目、乙第7号証二枚目と呼ぶことにする。慣行と異なり、理解しにくいものとなってしまったが、一切の責任は差し替え版を提出しない被告側にある。
【乙第7号証二枚目】弁論準備手続(2005年5月27日)において被告代理人井口寛二弁護士は次回提出証拠について「国土交通省への提出書類がある」と述べていた。「報告書(追加資料)」(乙第7号証二枚目)が国土交通省に提出した書類と見てよいのか。
「報告書(追加資料)」(乙第7号証二枚目)は隣地所有者宛て東急不動産住宅事業本部「ご報告書」(2005年4月5日)の一部分を抜粋し、改竄したものである。
「ご報告書」は国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課に提出する報告書として作成された。東急不動産は隣地所有者にも同じ文書を郵送している。これは東急不動産が隣地所有者に謝罪し、文書の訂正を約束した際に、隣地所有者から文書の内容提示を求められたためである。
隣地所有者は「ご報告書」の内容が完全な虚偽であるとして東急不動産に抗議した。特に乙第7号証二枚目が対象とする12月4日の関口・隣地所有者面談については、存在自体を否定する。関口冬樹とは挨拶・立ち話程度の関係しかなく、乙第7号証記述のようにじっくり話すこと自体、アルス建設期間を通じて皆無であった。
隣地所有者と関口冬樹の「面談」が立ち話程度に過ぎないことは東急リバブル・今井由理子も認めている。東急リバブル・今井由理子、宮崎英隆が原告宅に訪問した際(2004年9月19日)に、今井は「三階建てに建替えるとの隣地所有者の話は誰も聞いていない、知らないと言っています。関口だけが隣地所有者と会ったことがあるが、ほんの挨拶程度の立ち話しかしていない。一体、隣地所有者は誰に建替えの話しをしたのか調べて下さい」と発言した。ここでは関口は建替えの話を聞いていないとする。
今まで被告が原告に対して主張してきた内容からして「関口が重要事項の折衝をしていた」等と今頃になって唐突に主張を改めても無理である。まずます信用できない会社であると確信を強めるばかりである。
【関口の活動】関口冬樹は隣地所有者とほとんど話しをしていない。被告従業員らが隣地所有者に謝罪した際(2005年1月13日)、隣地所有者は関口に「確か挨拶程度で何の話もしていない筈だ」と言った。関口もそれを認めている。
隣地所有者は2002年12月4日に関口冬樹と乙第7号証二枚目記載の会話をしていないと原告に話す(2005年8月11日)。隣地所有者は関口とは重要事項の話をしていない。井田からは「作業所なので、騒音があることと塗料の臭いがあることを重要事項に入れておきます」との説明がなされた(実際の重要事項説明には含まれていない)。
近隣住民との折衝は井田の仕事であった。アルス建設時、近隣住民(隣地所有者を含む)と被告はお互いに大事な話は全て井田を通して行った。井田は近隣住民との折衝事項を被告従業員の松岡、野間秀一、関口に伝えていた。関口が直接隣地所有者と折衝することはなかった。
関口が自ら隣地所有者と重要事項説明ための折衝をしたとする乙第7号証二枚目の記述はデタラメである。乙第7号証二枚目には井田に話したことがあるが、関口には話していない内容(永代信金の破綻)が含まれている。被告は井田を通じて知りえた情報を盛り込み、会話を捏造している。
【報告書の虚偽】被告証拠説明書(2005年7月15日)では「報告書(追加資料)」(乙第7号証)の作成者を関口冬樹とする。しかし、乙第7号証二枚目が「ご報告書」とほとんど同一内容であること、及び以下の林正裕発言から、関口冬樹を作成者とするのは極めて疑わしい。
「ご報告書」に対する隣地所有者の抗議に対し、林正裕グループリーダーと野間秀一課長は隣地所有者に「申し訳ありません。井口寛二弁護士と大島聡仁が勝手に書いたものです。すぐに訂正させます」と約束した(2005年2月18日)。林は原告との協議の席上(2004年12月12日)、アルスの責任者と説明された人物である。責任者の発言であるため、信憑性は低くない。
林正裕は「ご報告書」の作成者を関口冬樹ではなく、井口寛二弁護士と大島聡仁とする。それならば「ご報告書」とほぼ同一内容である乙第7号証二枚目も井口寛二弁護士と大島聡仁が作成者と考えるのが自然である。それとも関口は井口弁護士と大島にそそのかされて、自らを作成者としたのか。
「ご報告書」は井口寛二弁護士と大島聡仁が勝手に書いて国土交通省に提出したもので、責任者とされる林リーダーも野間課長も内容を確認していない。つまり、井口寛二弁護士は虚偽記載の文書を国家機関である国土交通省に提出した。宅建業法第47条違反を逃れるために虚偽の報告書を作成したのである。
隣地所有者は真実を知っていたため、被告の報告が嘘であることが発覚した。もし隣地所有者が被告の虚偽報告を確認しなければ、虚偽が発覚することはなかったかもしれない。被告は犯罪の疑いから逃れられ、無罪放免何事もなく済んでしまい、消費者は問題物件と重いローンを抱えたまま泣き寝入りすることになる。一般消費者はもとより、国家機関にまで嘘を突き通す恐れを知らぬ被告の無法悪徳ぶりである。
【改竄】「ご報告書」の内容自体が井口寛二弁護士の作り話であり、虚偽である。しかし乙第7号証二枚目はその「ご報告書」をさらに改竄する。
乙第7号証二枚目では隣地所有者の発言が「建てる時期は金ができればマンションが建ったらすぐやる」となっているが、東急不動産住宅事業本部「ご報告書」では「時期は金ができればマンションが建ったらすぐやる」と異なる。
また、乙第7号証二枚目では関口が「そろそろ重要事項やモデルルームの準備をする時期なので」と発言したとするが、東急不動産住宅事業本部「ご報告書」にはこの発言が全くない。
弁論準備手続(2005年7月19日)において被告代理人井口寛二弁護士は「12月4日の訪問は重要事項のために行った」と主張した。その虚偽の主張を根拠付けるために原文には存在しない「そろそろ重要事項やモデルルームの準備をする時期なので」発言を挿入したとしか考えられない。
【乙第6号証との矛盾】乙第7号証二枚目記述のように、12月4日に関口と隣地所有者が打ち合わせを行ったとするのは、乙第6号証と比較すると不可解な点がある。
乙第6号証「アルス東陽町の事業経緯」では11月28日に覚書を締結し、12月10日に「覚書届」のために井田と隣地所有者の間で面談を実施している。関口の訪問は、その間の12月4日になされたとする。そうであるならば、12月10日に井田が覚書届のために隣地所有者と面談をする必要はない。12月4日の打ち合わせ自体が存在しなかったことを示すのである。
【隣地所有者の抗議】国土交通省提出書類に関連した被告と隣地所有者のやり取りを時系列にまとめると以下の通りである(詳細は隣地所有者陳述書(2005年5月6日)参照)。被告の裁判上の主張が虚偽であることが示されている。
2005年1月13日、野間秀一、関口冬樹、大島聡仁、井田が隣地所有者を訪問する。原告に対し、不利益事実不告知を正当化する理由とした「図面がない、建築費用の捻出困難」等は自分達の勝手な憶測であったと隣地所有者に謝罪した。
2005年1月28日、被告及び東急リバブルは国土交通省に宅建業法違反の疑いで呼ばれた。被告は隣地所有者に謝罪したにもかかわらず、宅建業法第47条違反を逃れるために再び虚偽の弁解をした。即ち、「口頭であった。図面がない。資金調達ができない」と理由を捏造して不実告知を正当化した。被告は「宅地建物取引業法第47条に違反するものではありません」との虚偽の報告書を国土交通省に提出した。
2005年2月14日、隣地所有者は上記虚偽報告を知って激怒し、被告に強く抗議をした。
2005年2月15日、大島聡仁・被告住宅事業本部第四事業部が国土交通省への提出書類を持って隣地所有者宅に謝罪に来る。内容について大島は「井口弁護士が書いた」と説明する。
2005年2月18日、林正裕・被告住宅事業本部第四事業部グループリーダー、野間秀一・被告住宅事業本部第四事業部課長が隣地所有者を訪問する。隣地所有者は訂正文を国土交通省に提出することを要求した。林と野間は平謝りして、国土交通省提出書類の「資金調達ができない」との文面をすぐに訂正すると約束した。
この訂正文と称して送られたものが東急不動産住宅事業本部「ご報告書」(2005年4月5日)であり、乙第7号証二枚目の元資料である。隣地所有者の再三の催促により、被告が訂正を約束してから約二箇月後に送付されたものである。
「ご報告書」は以前の虚偽の国土交通省提出書類を訂正するものではなく、それよりも一層ひどい内容になっていた。そのため、隣地所有者は激怒し、被告に二時間以上電話で抗議した。
原告は2004年8月に隣地所有者から真相を聞かされて以来、被告に対して誠意ある対応を求め続けた。原告は「不動産売買契約書」28条「互いに誠意をもって協議し決定します」に則った解決を期待した。提訴が2005年2月と遅れてしまったのも、そのためである。しかし、被告は嘘で塗り固めた回答で逃げるのみで、何一つまともな対応はなされなかった。以下では被告回答文書の変遷を記述することで、被告の不誠実さを明らかにする。
【東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年8月26日)】原告は隣地所有者の話を確認するために東急リバブルに電話出問い合わせた。たらい回しにされた挙句、「誰も知らない。聞いていない」との答えしか得られなかった。
原告は販売担当者の中田愛子、宅建主任者の宮崎英隆らに何度も電話したが、「何も聞いていない」「知らない」の一辺倒であった。原告は文書で回答するように東急リバブル・宮崎英隆に要求した。宮崎は何度も渋ったが、原告の強い要求により、2004年8月26日にようやく文書が発送される。
文書は以下のように記述する。「アルス東陽町の計画説明時において所有者より建替えたい旨の希望は賜りましたが、当時、建替費用の捻出が困難であるとの理由から、建替え時期、建築概要(構造・階数など)については未定である」。
本回答文書以前に原告が中田愛子及び宮崎英隆に電話で問い合わせた際は「知らない」「聞いていない」と言っておきながら、文書では「所有者より建替えたい旨の希望は賜りました」に変わっている。
【原告文書(2004年8月31日)】隣地所有者の説明を指摘した。
1. 三階建てで仕事場と住まいが一緒になるため音がうるさい。
2. アルス東陽町が建ってからすぐに建てる。(一緒に建てましょうと言われたが土台が緩むといけないのでアルス東陽町が建て終わったらすぐに建てると言ってある。)
3. だから二、三階は曇りガラス、四階以上は透明ガラスである。
4. 塀もフェンスだったが仕事場と住まいが一緒で音がうるさいのでコンクリートにした。
5. 後で何かあるといやだから必ず言っといて下さいと何度も言ってある。
【たらい回し】回答が遅いので、お客様相談室に状況確認の電話をする(2004年9月13日)。女性が応対し、「わかりませんから、事業主と直接話して下さい」とたらい回しにされる。
【東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月13日)】原告指摘の5点について回答がある。
1. 具体的な階数については聞いていない。当時、作業場所として、使用されておりましたので騒音があるとは聞いていた。
2. 将来的に建替えたいとは聞いていたが、具体的な時期については聞いていない。
3. 将来的に隣地が建替えられた場合の事前対策として網入りガラスの仕様とした(原文は網入りガラスとするが、網入り型ガラスとしなければ曇りガラスにならない)。
4. 隣地が作業場所として使用されていたので、塀は当社の判断でコンクリートにした。
5. 具体的な建築計画が決定していない建物の建築計画を予想して説明することはできない。隣地所有者から「後で何かあるといやだから必ず言っといて下さい」との依頼を受けたか否かについて正面から答えていない。
【原告文書(2004年9月14日)】隣地所有者の説明を伝える。
1. アルスの方から「何階建てですか?」と聞いてきた。4階以上は絶対に建てませんと言った。
2. アルス東陽町が建ってからすぐに建てる。「すぐにやりたい」という言葉は何度も言った。
3. アルスに四階以上は建てないと言ったので三階までが曇りガラスである。八階建てでも建てられる土地であり、確実に三階と分かっていたから四階以上を透しガラスにした。
4. 塀はアルスの判断ではフェンスだったが、隣地所有者の希望でコンクリートに変えてもらった。
5. アルス購入者への建替え説明依頼に対し、アルス担当者は「引き継ぎは責任をもって致します」と確約した。
【東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月24日)】
1. 東急不動産、東急リバブルから階数を隣地所有者に確認したことはない。建替えるのであれば、「三階建てにしたい」という希望は聞いていた。
2. 東急不動産から隣地所有者へ土地の有効活用の方法として等価交換方式で「一緒に建てましょう」と提案した。その際に隣地所有者から等価交換ではなく、単独で「将来的に建替えたい」という希望を聞いた。
3. 網入りガラスは隣地所有者から聞いたことを参考としたのではなく、一般的な将来の対策として、東急不動産の判断として採用した(原文は網入りガラスとしているが、網入り型ガラスとしなければ曇りガラスにならない)。
4. 東急不動産、東急リバブルから塀について隣地所有者に確認したことはない。
5. 具体的な建築計画が決定していない建物の建築計画を予想して説明することはできない。ここでも隣地所有者から「後で何かあるといやだから必ず言っといて下さい」との依頼を受けたか否かについて正面から答えていない。
最後に東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月13日)の記述を訂正する。隣地所有者から作業所の騒音があると説明を受けたことについて、「当時、作業場所として、使用されておりましたので騒音があるとは聞いていました」を「将来、音がうるさいなどとはお聞きしておりません」に訂正する。これは今井由理子及び宮崎英隆が原告宅に来訪した際に、「販売時には隣地建物が作業所であるとの説明は受けていない」と原告が追及したためである。
【原告文書(2004年9月28日)】
1. 隣地所有者が説明した相手は井田・東急不動産窓口担当、山下洋史・ピーエス三菱東京建築支店工事第二部所長、北・現場監督の三人である。これは「隣地所有者が誰に話したか分からないから調べてくれ」との今井由理子の要求に応えたものである。
2. 隣地所有者は上記の三人に隣地建替えについてアルス居住者に説明することを依頼した。
3. 隣地所有者は建設中のアルスに案内されて窓の位置を確認した。後日、二階と三階は曇りガラスで、二つの窓をはめ殺しにしたと伝えられる。
4. 塀をコンクリートしたのは隣地所有者の要望である。「うちは子供がいるからフェンスだと壊すといけないからコンクリートにしてくれ」と言った。
5. 隣地所有者が被告に対し、「話がしたいからいつでも電話下さい」と言っていたことを伝える。
【担当者変更】宮崎英隆から転勤のため担当者を降りるとの連絡を受ける(2005年9月30日)。宮崎英隆に対し、原告は引き継ぎをしっかり行うことを要求したが、完全に無視さることになる。後任の担当者は未定とのことで、暫く放置される。
その後しばらくして、原告とは全く面識のない大島聡仁・東急不動産住宅事業本部第四事業部から「新たに担当者になった」との連絡が留守電メッセージに入るが、それっきり連絡がない。大島は今井由理子が原告に説明した東急不動産担当者(松岡リーダー、野間秀一、関口冬樹)の中にも含まれていない名前であった。この担当者を自称する大島聡仁はのらりくらりと逃げ回るだけの、無責任でいい加減なとんでもない人間であった。
【東急不動産回答文書(大島聡仁作成、2004年10月15日)】新たに担当者になったとされる大島聡仁から挨拶もなく、突然文書が送られてきた。送り先が指定した住所とはまったく別の場所であったため、届いたことに気づかず、実際に受け取ったのはずっと後である。原告と宮崎との間では埼玉の実家に郵送すると決めていた。新たに担当者となったと自称する大島は、その取り決めを一言の断りもなく一方的に踏みにじった。
1. 井田は康和地所の担当者であり、近隣住民の方へ近隣説明を行っていた担当者でもある。原告が指摘して初めて答えるところに被告の不誠実さがある。原告の指摘を受けるまでもなく、知っている筈のことである。
2. アルスが建ってからすぐ建てる旨、三階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨を聞いていた(三階以上は四階以上の誤りである。大島は以上がその値を含むことを知らないのであろうか)。
(ア) 東急リバブル回答文書では建設時期(すぐ建てる)や階数は聞いていないとしていた。被告回答はこれと矛盾する。
(イ) 東急リバブル回答文書では「騒音があると聞いていた」(9月13日)としていたが、「音がうるさいなどとはお聞きしておりません」に訂正された(9月24日)。被告回答はこれと矛盾する。
(ウ) 隣地所有者が説明を依頼した点については相変わらず、回答を避けている。
3. 隣地所有者に窓ガラスの仕様を説明した点については回答なし。
4. 塀の仕様についても回答なし。
5. 隣地所有者に直接事実確認をする点については、現在に至るまでなされていない。これは隣地所有者と被告の説明に食い違いが大きいので、東急リバブル来訪時に原告が依頼して承諾されたものである。しかし被告は一度了承した原告の依頼を反故にした。反故にした理由は説明していない。
被告回答文書の問題は内容以上に形式にあった。大島の手紙は無礼なことに末尾に追伸を用いている。追伸は正式な文面や目上の人に対して使用してはならないものである。これはマナーの初歩であり、誰もが知っている常識である。常識であるにもかかわらず、あえて使用するのは相手に敬意を払う意識が皆無な無礼な人間であることがよくわかる。極めて非礼な対応には憤りを禁じ得ない。
大島のような無礼な人間を担当者とする東急不動産の体質に問題があることも明白である。「ロクでもない社員や従業員がいる不動産業者は、その業者自体がロクでもない業者であることは間違いない」(諸星俊一、不動産業者の正しい選び方・つきあい方、総合法令出版、1998年、19頁)。
被告は本回答文書を裁判所に証拠として提出した(乙第7号証1枚目。弁論準備手続(2005年7月15日)において本証拠には枝版を振ることが合意されたが、被告から未だ差し替えはなされていない)。無礼な文章を堂々と証拠として提出するとは恥知らずにも程がある。
以後、東急不動産から回答が送られることになるが、全て自動機械によって生成させたような回答であった。少しも心がこもっていない文章である。
文頭は全て「拝啓、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます」で機械的に開始されている(東急不動産回答文書2004年10月15日、11月19日、11月30日、12月16日、2005年1月8日)。
文中は同じ主張を繰り返し、原告の問い合わせ内容に正面から答えることなく、「ご理解いただく様宜しくお願い致します」で結ぶ。一方的に理解を要求するだけで原告の疑問に何一つ答えていない。
【原告文書(2004年11月2日)】被告回答文書の無礼な形式及び東急リバブル回答文書と矛盾した内容に呆れ果てて、売買契約を解除する旨、伝える。
文書送付後、被告からの回答が全くないため、被告に確認の電話を入れる。東急不動産回答文書(大島聡仁作成、2004年10月15日)記載の番号に電話をしたが、大島に連絡が取れたことは一度もなかった。いつも大島聡仁は外出中か会議中で「いつ戻るかわからない」と答えるため、原告は他の担当者と話すことを希望したが、「大島以外の担当者はいない」と回答された。実際は松岡リーダー、林正裕、野間秀一、関口冬樹が担当者であった。大島はアルス建設時には関与しておらず、何も知らない人間であった。
被告からは何の対応も受けられなかったため、原告は東急リバブルお客様相談室に電話するが、「東急不動産とは別会社ですからわかりません」とたらい回しにされた。居留守、たらい回しにより原告から逃げる被告の卑劣な作戦は成功し、原告は契約解除申し入れに対する回答を得ることはできなかった。
【東急不動産回答文書(大島聡仁作成、2004年11月19日)】
契約解除については何ら回答なし。
隣地建替えについては「建替えたい旨内容を聞いておりました」のみになっている。前回答(10月15日)の「アルスが建ってからすぐ建てる旨、三階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨、聞いていた」から大きく後退している。
今後の連絡窓口を東急リバブルお客様相談室に一方的に限定する。頼まれもしないのに担当者とでしゃばっておきながら、自分が直接対応するのを拒否する無責任ぶりである。
【原告メール(2004年11月22日)】これまでの経緯から、大島聡仁が相手ではまともな対応は期待できないため、被告Webサイトから問い合わせメールを送る。
・ 契約解除を申し入れに対する回答要求。
・ 隣地建替えについての回答の矛盾を説明することを要求。回答(10月15日)では「アルスが建ってからすぐ建てる旨、三階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨の内容は伺っておりました」とする。一方、回答(11月19日)は「建替えたい旨内容を聞いておりました」のみである。
・ 窓口を東急リバブルお客様相談室に限定することは容認できない。お客様相談室に電話しても「東急不動産は別会社だから関係ない」とたらい回しにするだけで、担当者に取り次ぐこともしないためである。
・ 隣地所有者に事実関係を確認する約束が未だ果たされていないため、履行を要求。
【原告文書(2004年11月24日)】被告からの応答がないため、改めて文書を送る。
隣地所有者に事実関係を確認する約束が未だ果たされていないため、履行を要求する。
【原告再問い合わせメール(2004年11月26日)】被告から何らの応答もないため、催促。
【東急不動産回答文書(社印付、大島聡仁作成、2004年11月30日)】これまでの文書は大島聡仁の個人作成であったが、この文書からは社印が入る。インターネット経由で問い合わせをしたために大島が勝手に回答できなくなったためと思われる。
契約解除申し入れに対しては、以下の理由により拒否。
・ 「建替え時期・建築概要(構造・階数など)が確定しているものではないと当社にて判断させていただきました」。
Ø 自社が不確定と判断すれば何でも隠蔽することを正当化できるとする身勝手な論理である。
・ 隣地建替えはLDからの採光を妨げるものではない。
Ø 「一方が潰れても、他方があるから我慢しろ」という被害者感情を逆なでする暴言である。
・ 原告自身が実際に現地を確認して東急リバブルより説明を受けた後、契約したと報告を受けている。
Ø 建替えについては説明も受けていないし、確認もしていない。全くの虚偽である。
窓口については相変わらず東急リバブルお客様相談室を指定するが、伝言すればコールバックすると変更した。
隣地建替えについて、10月15日と11月19日の回答が矛盾している点については回答なし。
隣地所有者への事実確認については回答なし。
【東急リバブル宛原告メール(2004年12月3日)】消費者契約法4条に基づき、契約取消しを伝える。同文を東急不動産にも送付する。
【東急不動産取締役社長宛内容証明郵便(2004年12月6日)】消費者契約法4条に基づき、契約取消しの意思表示を行う。
【原告メール(2004年12月7日)】以下内容で送付する。
・ 隣地建替えについて、10月15日と11月19日の回答が矛盾している点について改めて説明要求。
・ 都合の悪い事実を自社の判断で伝えなかったとする被告主張は容認できない。
・ 「一面だけは採光できるから我慢しろ」という暴論は悪徳業者の本音をうかがうことはできても到底受け入れられるものではない。平然と暴論を吐く担当者の交代を要求。
・ 原告は隣地に三階建てが建てられるとの説明を受けていない。被告回答文書は「東急リバブルより説明を受けた」とするが、一体誰からそのような報告を受けたのか明確化を要求。
・ 購入代金の返還を要求。
・ 回答を遅れさせておきながら、お詫びがないことを指摘。
・ 指定した住所と異なる場所に回答文書を送付したことに対して説明を要求。
・ 大島聡仁は原告とは面識もなく、回答は遅く、回答漏れも多いため、担当者の交代を要求。
・ 担当者を自称する大島聡仁とは連絡が取れないことを指摘。
・ 隣地所有者に事実関係を確認する約束が未だ果たされていないため、履行を要求。
・ 大島聡仁は本件トラブルが「瑕疵ではない」と答えたが、明確な説明を要求。
【東急不動産回答文書(住宅事業本部、社印付、2004年12月16日)】
・ 「アルス東陽町が建ってからすぐに建てたい。3階建てを建てたい。住まいと仕事場が一緒であるから騒音がある」と聞いていた。これが11月19日回答に記載されていない点については回答なし。
・ 建築時期・建築概要(構造・階数など)が不確定である。
Ø 時期(すぐ建てる)、階数(三階建て)を聞いていたとしながら、不確定とするのは矛盾である。
・ 301号室居室全体として全く採光を妨げるものではない。
Ø 隣地建替えにより採光は妨げられているにもかかわらず、ふざけた説明である。
・ 隣地所有者宅建替えについては不確定事項であり原告に説明していない。
・ 売買契約取消し及び購入代金返還は拒否。
・ 回答が遅れた点については表面的なお詫び。
・ 指定した住所と異なる場所に回答文書を送付したことに対して回答なし。
・ 担当者交代要求については回答なし。
・ 隣地所有者に直接事実関係を確認する件については回答なし。
・ 大島聡仁は本件トラブルを「瑕疵ではない」と答えたことについて、回答なし。
【原告メール(2004年12月21日)】
・ 隣地建替えについて、10月15日と11月19日の回答が矛盾している点について改めて説明要求。
・ 時期(すぐ建てる)、階数(三階建て)を聞いていたとしながら、不確定とすることの説明を要求。
・ 不利益事実不意告知が故意ではないとする主張について説明を要求。知っていて説明しなかったならば故意である。
・ 被告の不利益事実不告知により、原告は誤解を受けて問題物件を購入した。
・ 東急リバブル・宮崎英隆は原告に対し、「聞かれれば建て替えを説明した」と回答した。宮崎は最初「建て替えを聞いていない」と答え、文書では「不確定なので説明できない」と答えた。矛盾の塊である。これは不確定なので説明できないとする被告主張とも矛盾する。説明を要求した。
・ 隣地所有者が建築費用捻出困難と発言したことはない。
・ 「LDの採光妨げない」ことは契約取消しを拒否する理由にならない。「一面が潰れても一面が残るから我慢しろ」という暴論は受け入れられない。
・ 「東急リバブルから説明を受けた」(11月30日)と「隣地所有者宅建替えについては不確定事項であり原告に説明していない」(12月16日)は矛盾する。
・ これまでの質問について納得のいく説明を要求。
・ 担当者交代要求について回答がない。
・ 隣地所有者に対し、謝罪も回答もなされていない。
【東急リバブル宛原告メール(2005年12月27日)】被告から何の応答もないので、東急リバブルに確認のメールを入れる。「このように対応が悪く不誠実であると、他にも欠陥や問題があるのではないかとの疑いが生じるのも自然な流れであり、取消しの意思表示の正当性に益々確信を強める結果になります」
【東急不動産メール(2005年12月28日)】今後は回答を拒否するとの一方的通告。
【東急不動産回答文書(住宅事業本部、社印付、2005年1月8日)】
・ 「アルス東陽町が建ってからすぐに建てたい。3階建てを建てたい。住まいと仕事場が一緒であるから騒音がある」と聞いていた。これが11月19日回答に記載されていない点については回答なし。
・ 具体的な建築図面などの提示があった訳ではなく、建築時期・建築概要(構造・階数など)が不確定であると判断した。
・ 不確定な事項を説明しないことは被告が隣地所有者から建替の話を全く聞いていないとの誤解を招くことではない。
・ 「建替費用捻出が困難である」については担当者が2002年11月に隣地所有者から聞いた話を記載した。
・ 301号室居室全体として全く採光を妨げるものではない。
Ø 「一方が潰れても、他方があるから我慢しろ」という被害者感情を逆なでする暴言である。
・ 将来建つ可能性があるものとして重要事項説明書の「周辺環境について」の項目に記載した。
・ 隣地所有者に謝罪するか否かについては原告の関知するところではない。
野間秀一・被告住宅事業本部第四事業部課長は原告に「近々、隣地所有者に謝罪に行きます」と明言していた(2004年12月)。都合が悪くなるとあっさり反故にする。
東急不動産は隣地所有者と取り交わした約束を勝手に破った。そのために原告は問題物件を購入し、取り返しのつかない金銭的精神的損害を被ってしまった。原告は三千万円近い高い買い物を騙し売りされた被害者であるのだから、加害者である被告が隣地所有者に対し、どのように謝るのか関心があって当然である。
実際に東急不動産が井田を通じて隣地所有者に謝罪の申し入れをした際に、隣地所有者は怒って「俺に謝るよりも、原告に先に謝ってくれ」と答えている。その後、野間課長、関口、井田、大島の四人が隣地所有者を訪問して謝罪した(2005年1月13日)。
原告は本件訴訟において消費者契約法第4条(不利益事実不告知)による売買契約の取消しを求めている。この訴えは現在も不変である。否、嘘で塗り固められた被告準備書面及び被告提出証拠を読み、思いを一層強める結果となった。
被告提出証拠により、東急不動産が相互に矛盾した、でたらめな図面を作成する業者であることが判明した。レオナルド・ダ・ヴィンチは「鋳物は型次第」という言葉を残している。いい加減な型では、できる鋳物の質も知れている。
同様に東急不動産のような図面管理もできない業者が建てたマンションの品質は信用できない。この点からも原告は売買契約の取消しを請求する。もはや原告は東急不動産のマンションに対して忌まわしさと厭わしさしか感じていない。
被告の行為が消費者契約法4条(不利益事実不告知)に該当することは明白である。宅地建物取引業法第47条の禁止事項「重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」にも違反する。
被告の数々の無法が許されるならば法律は守らなくてもよいということが世の中に蔓延してしまう。消費者を騙して利益を上げる騙し売りの問題は企業全体の問題である。国家機関までを嘘でごまかす被告の体質を放置すれば新たな被害者を生むことは必定である。
ローマの喜劇作家プブリウス・シルスは「一人に害を加えるものは多くの人々を脅かすMultis minatur, qui uni facit injuriam.」との言葉を残した。被告のような悪徳不動産業者を放置することは原告を害するのみならず、新たな被害者を量産することになる。
速やかに原告の請求を認容する判決を下されたい。それが消費者契約法の目的とする「消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与する」ことになると考える。
以上