東急不動産に騙された被害者の手記(主張編)
目次
【契約取消】原告は2003年6月に新築分譲マンション「アルス」301号室を被告東急不動産株式会社(販売代理:東急リバブル株式会社)から購入したが、消費者契約法4条に基づき、売買契約を取り消す。
被告は原告に301号室を販売するに際し、日照・眺望・通風・景観等の住環境に関する重要事項について、利益となる事実は告げたが、不利益となる事実は全く告げなかった。不利益な事実とは本マンション完成後すぐに隣地に三階建ての作業所が建築され、301号室の住環境が悪化することである。
被告は、隣地所有者が本マンション完成後すぐ三階建ての建物を建築すること、従って301号室の日照・採光は喪失し、騒音が発生することを承知していた。それにもかかわらず、セールス当初から重要事項の説明、売買契約の締結までの間、北側隣地に近日中に三階建て建物が建設されるという買主にとっての不利益事実は全く説明しなかった。マンションを販売する際に、消費者に不利益となる事実を故意に告げなかった。
被告が不利益な事実を故意に告げなかったことにより、購入者は、そのような不利益事実が存在しないとの誤認をし、それによって不動産売買契約を締結したことが明らかであるから、売買契約を取り消すことができる。
都合の悪い事実を隠蔽することで、本来なら売れるはずもない物件を販売する手法は、被告のような悪徳不動産業者にとってはこの上なく都合のいいものだが、消費者にとっても不動産取引市場の健全な発展にとっても好ましくないものである。
購入者への背信となるだけでなく、透明性が原則の経済社会の信頼性をも揺るがしかねない反社会的行為である。公正で健全な取引を妨げる重大なルール違反である。「宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行なわなければならない」(宅地建物取引業法31条)にも反することは明らかである。
【周辺環境】衣食住は生活の基本であるが、とりわけ住まいは一家団欒の場、明日の仕事や勉強のために英気を養う場として、暮らしの大事な根拠地である。住居とは心を癒すためのものである。衣食足りただけで満足してしまうのはペットのポチかタマくらいである。
不動産の購入は環境の購入と言われるくらい、生活と周辺環境には密接な関係がある。マンションは単なる独立した、住むための箱ではない。自然環境、周辺環境、地域社会と密接に結びついて存在する。
「マンションを買うということは、環境を買うということに等しい」(諸星俊一、不動産業者の正しい選び方・つきあい方、総合法令出版、1998年、103頁)。住まいにおける周辺環境の重要性は孟母三遷の故事にある通り、古代より認識されていた。
【購入者の関心事】住居において日照・採光、景観・眺望、通風は資産価値を決める重要な要素である。購入者にとって日照・眺望・通風が重大な関心事であることは誠意ある不動産業者ならば熟知していることである。マンション購入についての書籍でも「部屋の大きさや配置以上によく見てほしいのが、この採光と通風です」と記述している(木原和代、女性が安心してマンションを買える本、コモンズ、2000年、77頁)。
事務所用の建物においては日照・眺望・通風は、それほど重視されないが、アルス東陽町は事務所としての利用が禁止されており、居住用であると定められている。管理規約12条に「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」と規定しており、これは重要事項説明の場でも説明された。購入者が居住を前提として購入したことは、売主にとって明白である。
日照・通風・景観等により形成される自然的環境は人間が健康で快適な生活を維持、確保するための前提条件である。自然環境は、人間が生物として、また社会的存在として生きていくための生活環境の中核となるものである。人が生存し幸福を追求するためには、一定の条件の備わった良い環境を享受し、又は利用することが必要不可欠である。住居・宅地の機能上、良好な日照・眺望を享受しうること、圧迫を受けないことは最低限の要素である。
【日照・採光】特に日当たりは不動産購入に際して消費者がまず考慮するものである。日中の日当たりが良い家は、家庭も明るくなるような気がするだろう。反対に日当たりが悪いと気分も滅入る。
日照のないマンションは牢獄に等しく、住むに適さず、資産価値も皆無である。日当たりのない家に住む悔しさは海よりも深く、山よりも高い。日本人は農耕民族であり、太陽神信仰を抱いていた伝統もある。日当たりの重要性は、外国とは比較にならない。
実際、新築マンション「東急ドエル・アルス南砂サルーテ」(東京都江東区)において、マンション購入後に隣地にマンションが建設され、日照時間が0時間となった住戸(計八戸)では住むに値しないため、いずれも所有者自身では住まず、部屋を賃貸マンションとして貸し出した(「街が変わる 江東マンションラッシュ」毎日新聞2002年5月16日)。本件においても販売主の被告東急不動産は、隣接地の再開発計画により日照がなくなることを説明せずに販売したとして購入者とトラブルになっている。
【日照と体内時計】日照の有無は健康にも影響を及ぼす。日照が喪失したことにより、病気になることもある。
人間には体内時計と呼ばれる機能がある。睡眠と覚醒を司るのは脳の松果体から分泌されるホルモンのメラトニンです。メラトニンは眠気を生じさせる睡眠ホルモンと呼ばれています。その分泌量は24時間周期で変動して人間の睡眠を管理する。普通、メラトニンは夕方になると分泌量が増え、深く睡眠する午前2時から3時に分泌量が最大になる。そして、朝には急激にメラトニン濃度が下がり、自然に覚醒していく。
メラトニンの分泌量は網膜がキャッチした光の量によって調整され、「夜寝て、朝目覚める」というリズムが刻まれる。起床後に清々しい朝の光を体いっぱい浴びれば、体内時計がリセットされ、脳もスッキリと目覚めることができる。しかし、日照がなければメラトニンの分泌リズムが崩れ、不眠症となる。
【通風】マンションにおいては通風も重要である。汚れた空気がたまると酸素不足になり、頭痛やめまい、吐き気をもよおすことにもなる。高温多湿の日本において、密封性の高いマンションでは換気が大切になる。通風が確保されなければ、湿気はいつまでも抜けず、洗濯物も乾きにくくなる。カビやダニが繁殖しやすくなり、アレルギーの原因となる。
全国の30〜40代の主婦を対象とした調査では、カビの原因を「湿気」と回答した人が94.8%、「結露」が54.5%で、湿った空気が原因と考えている人が多い(INAX「室内の夏型結露・カビ・ダニ等に関する調査」2005年5月23日)。この点にも換気の重要性が示されている。
【景観・眺望】景観・眺望は享受する個人にとって一定の財産的価値を有する。これは土地の価格の決定要因たる「環境条件」の中に「眺望、景観等の自然的環境の良否」が掲げられていることからも明らかである。特定の場所から良好な眺望を享受する権利(眺望権)は財産権的性質の他に、それによって安らぎを得られるなど、人格権的性質を有するとされる。
「良好な景観は、生活に快適さと潤いをもたらすものである」(東京都景観条例前文)。窓の外の風景は毎日見て暮らすものであり、住人の心理状態への影響は甚大である。空間的圧迫感は無意識下で交感神経に影響を与えうるものである。
【アルス】アルスは東京都江東区に建てられたマンションである。八階建てで総戸数は27戸である。一階はエントランス及び駐車場で住戸はない。二階から七階までが各階に四戸あり、八階のみ三戸となっている。
八階は最上階であるが、道路斜線制限により壁が斜めに後退している。そのため床面積は他の階よりも狭い。登記簿上の床面積では二階から七階までは277.59平米であるのに対し、八階は220.38平米である。狭くなっているため、三戸となっている。
【用途地域】アルス所在地の用途地域は第一種住居地域及び商業地域からなる。この用途地域についての東急不動産の表現には矛盾がある。
図面集では「第一種住居地域・商業地域」とする。株式会社ネクストが運営する新築分譲マンション情報サイト「イースマイドットコム」に出稿されたアルス東陽町の広告にも「第一種住居地域、商業地域」と記載する。広告は2003年2月14日及び2003年6月8日に掲載が確認されている。現在、このページは削除されている。
しかし被告準備書面(2005年7月8日)では「商業地域(一部第一種住居地域)」と表現を変えている。販売前と販売後では第一種住居地域と商業地域の順序を入れ替え、第一種住居地域は「一部」に留まるように印象付ける。
購入前は物件の価値を、時には嘘を並べてまでもアピールするが、購入後は物件の価値を貶める表現を平気で使う。販売前と販売後では態度が豹変する。居住者のことは少しも考えない。これが悪徳不動産業者のやり口である。いわくつきの土地を安く買って言葉巧みに売り切るのは、東急不動産の得意分野である。
被告販売代理の東急リバブルはアルス販売時には商業地域であることを示す説明は一切行わなかった。それどころか、静穏な住環境であることをアピールした。東急不動産は何でもありで、相手を安心させるためには、いくらでも嘘をつく企業である。正直よりも嘘を好む企業である。
・ 販売担当者の中田愛子は原告に対し、「奥まっていて静かですよ」と説明した。
・ パンフレット「Buon Appetito!」(甲第6号証)は「閑静な住環境」と記述する。実際は作業所に隣接しており、舌先三寸の美辞麗句であった。
・ 原告が隣地建物について質問したところ、中田愛子は「倉庫」「資材置き場」と虚偽の説明をした。実際は作業所で騒音が発生するものであった。
・ 被告が作成し、原告に配布した「現地案内図」(甲第12号証)には隣地建物を「ソーコ」と記していた。
一方で販売代理の東急リバブルは現在でもアルスを第一種住居地域として販売している(2005年7月現在)。東急リバブルはアルス204号室の媒介をしているが、FAXで送付された物件広告では用途地域を第一種住居地域とだけ記述している。商業地域も含まれるとの記述は何らなされていない。
204号室媒介広告では「北側前面は州崎川緑道です」と洲崎川緑道公園に隣接していることは強調するが、隣に騒音の発生する工務店があることは一言も書かない。東急リバブル及び東急不動産は詐欺的販売を繰り返す悪徳不動産業者である。
【D タイプ】301号室は本件マンションの北西に位置し、他の北西の角部屋(ex. 201号室、401号室、501号室)と同様の間取りを持つ。図面集ではDタイプと称されている。Dタイプは2LDKで洋室1(六畳)と洋室2(四畳半)は北側に面し、リビングは西向きとなっている。建替えにより特に大きな影響を受けるのは、住人の居室となっている洋室1及び洋室2の二部屋である。この二部屋は、これまで良好な日照・眺望・通風を享受していた。
【セールスポイント】アルス東陽町はパンフレット等で謳っている通り、日照・眺望・通風を強力なセールスポイントとしたマンションであり、これが本マンションの価値を形成している。アルス東陽町は小型のマンションで、全戸が角部屋となっているため、どの戸も二方向の日照・通風を享受することができる。それらが失われれば社会経済的にもさして価値のない建物になる。
実際、被告らの作成した販売資料では以下のように日照・通風・眺望のよさを強調している。
・ パンフレット「Buon Appetito!」、「豊富な緑にたたえられた「洲崎川緑道公園」に面する3方を道路や公園に囲まれた開放感のある立地です」「2方向からの通風・採光に配慮した、2面バルコニーやワイドスパンタイプも多数採用しています」
・ 図面集、「二面採光で心地よい空間を演出します」
・ チラシ「マンション選びのポイント」、「緑道に隣接するため、眺望・採光が良好!」「全戸角住戸!2面以上の開口・採光を確保!」
眺望については中層マンションであるため、高層マンションほど重視されていない。しかしDタイプの部屋(北西の角部屋)では北側に区立洲崎川緑道公園を望めるため、意味があった。実際、販売担当者である東急リバブル・中田愛子は、301号室の窓から区立洲崎川緑道公園を望めると眺望の良さを強調していた。「この窓を開ければ何ですか」との質問に対し、販売担当者は「遊歩道の緑がいっぱいですよ」と回答した。
東急不動産は裁判時には「通風・採光について格段良さを謳ってはいない」と自ら販売したマンションのセールスポイントを全否定する主張をしている(被告準備書面2005年4月21日)。しかし、この主張が成り立たないことは東急不動産自身の作成した販売資料が記述する通りである。
【利点のないマンション】アルスは日照・眺望・通風以外には目立った利点はない。従って、アルスの特徴及び東急不動産らの採光・眺望を強調した販売方法から見て、アルスから日照・眺望・通風が失われるならば、その資産価値の下落は一般の居住用マンション以上のものになる。
アルスは東西線木場駅と東陽町駅のちょうど中間に位置する。最寄駅について広告の説明は区々である。
・ 「東西線 東陽町駅 徒歩6分」(リーズナブルマンションクラブ2003年4月17日)
・ 「「木場駅」、「東陽町」へそれぞれ徒歩6分の好アクセス」(住宅新報ニュース 2003年4月18日)
パンフレットでは「2駅利用のポジショニング」とアピールするが、裏を返せば、両駅の中間点にあり、どちらの駅からも最も遠いところに位置することを意味する。しかも木場駅も東陽町駅も同じ東西線しか通っていない駅であり、両駅を選択できる位置にいるメリットはほとんどない。
もっと安い価格帯のマンションですら基本装備されているインターネット回線さえアルスには付けられていない。
【キッチン】アルスのキッチンも居住者にとって便利なものとは言い難い。アルスのキッチンはカウンターキッチンをと称されるが、キッチンとしての専用スペースがダイニングやリビングと完全に仕切られていない点でセミオープン型キッチンでもある。
居住者が住宅で気にする音や臭いはキッチンからのものが最も多い(日経ホームビルダー編集部が2005年4月に実施したアンケート調査結果)。そしてキッチンの水垢、ぬるつき、臭い、水音などを悩みとして抱える家庭はオープン型キッチンの方が多い(クリナップ株式会社、キッチン白書2005年8月3日)。これはLDとの間仕切りがないためと考えられる。
換気計画や間取りの工夫で、住宅会社が騒音や臭いの軽減に貢献できれば居住者に喜んでもらえるだろう(「キッチンで発生する騒音と悪臭は、いちばんの嫌われもの」日経ホームビルダー、2005年9月号)。しかし東急不動産にはそのような考慮は皆無である。
【駐車場】駐車場は5台分しかない。駐車場完備を謳い文句にするマンションも少なくない中で、アルスは27戸中5台で20%にも満たない。駐車場は機械式駐車場で上段2台、下段3台である。メーカーはダイキン工業株式会社、点検は株式会社東京ベイサービスである。
マンション管理において機械式駐車場は金食い虫となる。機械を動かすための電気代や定期的保守点検・部品交換などのコストがかかるためである。機械式駐車場は車の出し入れにも時間がかかる。
僅か5台のために機械式駐車場を設けるのは大きな無駄である。機械式駐車場は、限られた場所により多くの駐車スペースを確保する必要がある場合に有効であるが、車の出し入れのためのターンテーブルなど平置き式の駐車場には不要なスペースが必要になる。
アルスの駐車場ではターンテーブルがスペースの半分を占めている状態である。平置き式駐車場にしたとしてもターンテーブルのスペースを活用できるため、4台は駐車できるであろう。
【東急リバブルとの経緯】原告は契約締結に至るまでに少なくとも2003年6月21日、22日、23日、26日に東急リバブルの事務所である東急門前仲町マンションギャラリー(東京都江東区)を訪問し、中田愛子及び宮崎英隆よりアルスの説明を受けた。上記期間中、中田からは電話でも説明を受けている。
上記期間中に、原告が東急門前仲町マンションギャラリーにおいて又は電話で中田愛子及び宮崎英隆から受けた説明は下記の通りである。
【日照・眺望・通風】本件マンション301号室が快適な日照・眺望・通風を享受できること。
被告記載のパンフレット等で説明されている通りである。
・ パンフレット「Buon Appetito!」、「豊富な緑にたたえられた「洲崎川緑道公園」に面する3方を道路や公園に囲まれた開放感のある立地です」「2方向からの通風・採光に配慮した、2面バルコニーやワイドスパンタイプも多数採用しています」
・ 図面集、「独立性の高い立地を活かした全戸に開放感ある角住戸を実現。風通しや陽射しに配慮した2面採光で、心地よい空間を演出します」
・ チラシ「マンション選びのポイント」、「緑道に隣接するため、眺望・採光が良好!」「全戸角住戸!2面以上の開口・採光を確保!」
原告は上述の日時に上記資料を東急リバブル住宅営業本部営業第五部・中田愛子から受け取り、上記資料記載の内容について口頭でも説明を受けた。ここでは「現在はこの通りですが、これらはすぐに失われる」というような説明・警告は一切されなかった。
それどころか中田愛子は、2004年8月23日に隣地所有者から経緯を聞いた原告が電話で事実確認を求めたところ、「聞いていない」と回答している。2004年8月時点で知らないならば、販売時においても説明することはできないはずである。
【図面集】図面集は「上質な暮らしを深める邸宅」と題して「独立性の高い立地を活かした全戸に開放感ある角住戸を実現。風通しや陽射しに配慮した2面採光で、心地よい空間を演出します」と記述する。特に「2面採光」の箇所を他の文字よりも大きい文字を使用して強調している。
しかし裁判時になると東急不動産は「「2面採光で心地よい空間を演出します。」との記載も無い」と記載したことを否定した(被告準備書面2005年4月21日)。東急不動産は勝手に販売パンフレットを引用して記載がないと結論付けているが、そもそも引用する資料が異なっており、記載がないのは当然である。
この文言については被告宛原告文書(2004年11月2日)にて引用した上で「東急不動産はこの広告の部分が数ヶ月で失われることを知っていて故意に契約者に告げず、高い価格でマンションを売った。わずか数ヶ月で3階建ての隣の壁で一面が真っ暗になってしまった。詐欺にも等しい不法行為に当たる」と記述した。
被告が原告からの手紙を真面目に読んでいるならばよくわかっているべき文言である。そもそも図面集自体、被告が作成したものであり、原告の指摘を受けるまでもなく、熟知しているべきものである。東急不動産が自社物件の売り文句に対し、いかに無責任であるかをうかがわせる主張である。
【静穏な住環境】パンフレットに「閑静な住環境」と謳っている通り、静穏な住環境を享受できること。中田愛子は原告に「奥まっていて静かですよ」と説明した。
実際、雑誌でもアルス所在地の一ブロック先のマンション建設地(江東区東陽一丁目)について「閑静な住宅地の一画」と紹介している(山岡俊介「「基礎杭」全国トップ企業のマンション「建築基準法違反」疑惑」財界展望2005年11月号54頁)。
因みにアルスでは閑静な住環境を単なる無責任な宣伝文句にとどめないために、自らをも律している。即ち、管理規約12条に「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」と規定しており、事業所・事務所としての使用を禁止している。管理規約は売主側で作成・用意したものであり、東急不動産としても熟知している内容である。
【デュオ・スカーラ東陽町との比較】原告は本件マンション購入を検討していた時期に、一般のマンション購入者と同じく複数の物件を比較していた。アルス東陽町と同じく江東区東陽一丁目にある株式会社ダイナシティのマンション「デュオ・スカーラ東陽町」もその一つであり、このマンションについては中田にも検討していることを伝えていた。
中田は、アルス東陽町はデュオ・スカーラ東陽町よりも「奥まっていて静かです」と静穏な住環境を優位点としてアピールした。後者が比較的交通量が多い道路(大門通り)に面しているのに対し、前者は一方通行の狭い道路なので静かであると説明した。原告はこの説明を強く歓迎したが、隣地建物が作業所に建替えられるならば、むしろ騒音が大きくなる。このような不利な事柄は一切口にしなかった。
【隣地建物】隣地建物が倉庫であること。
販売時に原告は中田愛子に対し、本件隣地建物について「これは何ですか」と問い合わせをした。これに対し、中田は倉庫、資材置き場と説明した。隣地建物が作業音の発生する作業所であるとの説明は全くなされていない。物を保管する場所である倉庫・資材置き場と作業を行い、作業音の発生が予定されている作業所とは本質的に異なる。
周辺環境の説明は東急リバブルから配布された現地案内図(本マンション建設地を中心とした江東区木場・東陽の地図)を見ながらなされた。その地図上には北側隣地は「ソーコ」と記述されていた。中田からは「この地図には倉庫とあるが、実際は作業所として使われている」という訂正説明はなされていない。
【前言の反故】販売時には隣地建物を倉庫として説明したが、原告が事実に気付くと、東急不動産(東急リバブル)は前言を翻した。売るまでは都合のいい説明を並べ立てる悪徳不動産業者の常である。
東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月13日)は「当時、作業場所として、使用されておりましたので騒音があるとは聞いていました」と最初から織り込み済みであるかのように回答している。
しかし、本件マンションの販売時に中田が原告に説明したのは資材置き場及び物置であって作業所ではない。東急リバブルの今井・宮崎が原告宅を訪問した際(2004年9月19日)、この点を原告に追及されると今井は「倉庫と言えば倉庫ですし、作業所といえば作業所です。文言の問題です」「文言の問題はやめましょうよ」と、ひたすらごまかし逃げ回る姿勢に終始した。
それでも原告の追及に耐え切れずに、東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月24日)において「具体的な階数や将来、音がうるさいなどとはお聞きしておりません」と訂正した。
それにもかかわらず、裁判時になっても東急不動産は「中田は、物置ではなくて、作業所兼物置と説明していたはず」と主張する(被告準備書面2005年4月21日)。これは上述においても誤りである。そもそも中田の説明は口頭でしかなされていないが、口頭で「作業所兼物置」と漢字を並べ立てた言葉を使うことは一般的にも考えにくい。
【作業所の騒音】被告及び東急リバブルは隣地が騒音と塗料の臭いの発生する工務店の作業所を倉庫(資材置き場)と偽って販売した。不実告知は宅建業法47条違反である。被告及び東急リバブルは宅建業者であり、法律は遵守しなければならない。
隣地建物が作業所であることについては、アルス建設時に井田は隣地所有者に「作業所なので、騒音があることと塗料の臭いがあることを重要事項に入れておきます」と説明していた。これは井田の方から言ってきたものである。
隣地建物が作業所であることを東急リバブルが知っていて販売したことも明白である。購入後になって「当時、作業場所として、使用されておりましたので騒音があるとは聞いていました」と回答している(東急リバブル回答文書、宮崎英隆作成、2004年9月13日)。
しかし、重要事項説明には一言も説明がされていない。東急不動産(販売代理:東急リバブル)は原告のみならず、アルス購入者全てを欺いたことになる。うるさく、臭ければ、どれほどの豪邸でも住まい手に満足してもらうのは難しい(安藤剛「耳も鼻も喜ぶ快適な住空間を」日経ホームビルダー2005年9月号)。説明されずに購入し、騒音と塗料の臭いに悩まされる日々となる被害者のことは少しも考えない。被告は売らんがために消費者に不実告知の違法行為を行った。
【他の購入者にも虚偽説明】他のアルス居住者も原告同様、隣地建物が作業所であるとの説明は受けていない。
アルス二階購入者も物置、資材置き場とのみ説明を受け、作業所であるとの説明は受けていない。二階購入者は2003年6月に購入したが、購入時に隣地建物について受けた説明は物置及び資材置き場のみで、作業所との説明は受けなかった。
二階購入者の販売担当者は宮崎英隆である。宮崎は説明にあたり、建設中の二階居室の窓から撮影した写真を提示し、隣地建物(二階建て)がアルス二階の日照・眺望を妨げないことを示した。二階購入者はこの説明を受けて、購入を決意した。
2004年12月、二階購入者は東急不動産が不利益事実(隣地建替え)を説明せずに販売したことを知り、宮崎に対し、証拠保全のために上記写真の提示を求めた。しかし宮崎は「保管義務がないために破棄した」と逃げた。
二階購入者(201号室)は「購入時の宮崎とのやりとりを思い出すだけで腹立たしい気持ちになります。先月から作業所からの音が聞こえますが工事のように一時的なものではありません」と原告にメールする(2005年8月6日)。
四階購入者にも確認したところ、やはり契約時に作業所であるとの説明は受けていないとのことであった(2005年8月4日)。
【信用の強調】今から振り返ると東急不動産の販売手法には不信感がある。
原告がダイナシティのマンションも検討していると話すと、中田は「うちの方が信用のある会社ですよ」と会社の信用度をアピールした。会社の肩書きに物を言わせ、高慢な態度で、不動産のプロだからと強引に説き伏せて、契約に結びつけようとする態度であった。根拠は何ら述べず、不安だけを増幅させる。
また、中田は「今月(2003年6月)中に契約すれば値引きする」と発言して契約締結を急がせた。
【東急不動産の反論】被告準備書面(2005年4月21日)は「被告は、原告に対し、本件建物にかかる「日照・眺望・通風・景観等の住環境に対する重要事項」に関して、「利益」を告げた事実はない」と反論する。
パンフレット等で二面採光・通風を謳っている。販売担当者中田愛子(東急リバブル住宅営業本部営業第五部)の説明においても、この点がメリットとして強調された。
景観についても北側に江東区立洲崎緑道公園の並木道が望めることを強調していた。パンフレットも背景色を緑としており、緑道との関連を強調している。
また、被告の主張するとおり、「日照・眺望・通風・景観等の住環境に対する重要事項」に関して、「利益」を告げた事実はないならば、アルス東陽町は日照・眺望・通風・景観等をセールスポイントとするマンションであり、それ以外には個性のない物件であるのだから(後述)、何のメリットも残らない物件となってしまう。マンションは、何ら利益となる事実を告げずに販売して売れるものではない。加えて、自ら販売した物件にはメリットがないと被告の自己否定を聞くのは悲しいものがある。
被告は不利益事実(隣地建物が三階建ての作業所に建替えられること)を知っていながら故意に隠蔽し、購入後一年足らずで住むに適さない屑同然の物件を販売した。被告が不利益事実を告知せずに販売したことにより、原告は僅かな月日で住居環境が害された物件を購入したことになり、大きな不利益を受けた。納得した上で購入したか否かという満足度に大きな違いを与えることも明らかである。
夢のマイホームが一転、闇のマイホームとなってしまった。一生に何度も買えるものではない、35年間も続く長いローンを組み、やっと手に入れた高価な買い物で騙されたことになる。35年といえば孔子が而立してから5年もあるほどの長い期間である。部屋だけでなく、心まで深夜の如く真っ暗となった。
建物の資産価値も低下し、その点でも多大な損害を被る。資産価値が大きく下落することにより、購入者の一生の資産計画まで大きく狂わせることになる。文字通り人生の歯車が狂ってしまう。
具体的に喪失する不利益は日照・採光、景観・眺望、通風、静穏、プライバシーである。これらは一般のマンション購入者ならば購入に際して考慮すべき重大な事実である。端的に言うと、売主にとっては一番販売しにくい物件と言うことができる。
販売資料において二面採光・通風を謳っているが、隣地建替えにより、二階及び三階の居室に関してはこの前提が崩壊することになる。それまでの静かで緑豊かな住環境、日照・眺望・通風ともに遮るもののなかった状態から、壁に圧迫され、陽はささず、作業所の騒音に悩まされる状態に転落する。パンフレットに記載された「閑静な住環境」とは雲泥の差である。
【日照・採光】隣地作業所の建設により、301号室は日中であるのに深夜の如く、全く日照があたらなくなるという日照零時間の状態になる。日が当たらず、空も見えず、光の届かない、暗い生活になってしまう。
洋室1は窓が北側にしかないので、朝から電気をつけなければ生活できなくなる。電気代も余計にかかる。僅かな月日で取得した部屋が真っ暗になることを知っていたならば、購入しなかったことは言うまでもない。
本件マンション西側については狭い一方通行の道路を挟み、向かい側に五階建てと六階建ての建物が本件マンション建設以前より、建築されている。従って西側は引渡し当初より日照・眺望共に大して期待できるものではなかった。これは現地調査でも確認済みである。「西側があるから北側が潰れても我慢しろ」という類のふざけた論理が成立する余地はない。
加えて、隣地建物は敷地いっぱいに建てられるため、ベランダ北側も隣地の壁で覆われ、日照・眺望が妨げられ、西向きの部屋の日照・眺望も影響を受ける。
【景観・眺望】隣地建替え以前は、窓を開ければ桜並木の遊歩道が見えた。緑豊かな区立洲崎川緑道公園への眺望は大きな価値を有していた。
しかし隣地建替え後は約50センチ先が隣地の壁で覆われる状態になる。従って窓の外は独房のように隣地建物の壁により圧迫・威圧され、窓の存在が無意味になる。開放感はなくなり、狭苦しい印象を与えてしまう。
【通風】約50センチ先が隣地建物の壁で覆われるため、通風も当然のことながら悪くなる。窓の外は壁に覆われ、圧迫感に取って代わられる。窓の存在が無意味になるほど通風も悪くなる。北側隣地が工務店作業所に建替えられることにより、騒音も発生する。
【プライバシー】隣地作業所の窓の設置状態によっては、三〇一号室の部屋を覗かれることにより、居住者のプライバシーが侵害される危険性もある。その結果、居住者は常に見られているとの意識に苛まれ、心理的悪影響を被る。
プライバシー侵害に対しては、東急不動産のような居住者を無視する悪徳不動産業者ならば「窓は曇りガラスであるので開けなければよい、さらにはカーテン、ブラインド、障子等を付設すればよい」と反論するかもしれない。しかしそれは二十四時間、閉めておけという言い分である。悪徳不動産業者の好む論理かもしれないが、明らかに不当である。
隣地所有者は原告に対し、「窓をぶつけるようなことはしない」と語ってくれているが、それは隣地所有者の好意であって、居住者にとってリスクとなる不利益事実であることには些かも変わりがない。東急不動産の責任を減じるものでもない。
【損害の全否定】東急不動産は不誠実にも原告が被る甚大な損害自体を全否定する主張を繰り返している。
・ 被告回答文書(大島聡仁作成、2004年11月30日)は、原告からの契約解除を断る理由として、「LD側からの採光を妨げるものではありません」と回答する。
・ 被告準備書面(2005年4月21日)は、「採光は原告主張のとおり2方面から得る設計になっており」と全ての部屋が2方面の採光・通風を享受できるかのように主張している。
これらは購入者が被る甚大な損害自体を全否定しようとするものであるが、「一面だけは採光できるから我慢しろ。一面は潰れても他方の側だけで日光を浴びろ」などという暴論は悪徳不動産業者の本音をうかがうことはできても到底受け入れられるものではない。住む人の立場にたった配慮は皆無である。
東急不動産は二面採光・通風を売りにして販売している。二面採光で販売したのであるから、一面が潰れてももう一つがあるからいいという主張は通らない。商品価値はなくなる。詭弁、まやかし、すり替えの回答である。歪んだレンズには歪んだ像しか映らないようである。東急不動産は自社の主張を正当化するために無理な論理を展開している。
その後、被告は北側隣地の建設により西側の採光が妨げられないとの意味と説明したが、原告はそのような主張をしたことは一度もなく、相手を余りにもばかにした説明である。大島が原告の文書を真面目に読んでいない証左である。
そもそも東急不動産の主張は隣地建物に面した側しか採光部のない部屋の存在を無視している。アルス301号室は2LDKであり、一部屋だけのワンルームマンションではない。洋室は全て隣地建物の側に面している。これらの部屋では、その日照が遮られれば真っ暗になるのは自明である。被告の反論は為にする批判でピントがずれている。
【工事停止】東急不動産は原告の損害を否定する根拠として隣地建替え工事が未完成であることを挙げる。しかし現在未完成であるとの主張は、施工されれば日照・採光の妨げられることを否定するものではない。
被告準備書面(2005年4月21日)は「原告主張の建物が、同主張の頃建築工事に着工されたことは認めるが現状ストップしている」と主張する。
工事停止は、被告が原告に北側建物建替えについて何ら説明せずに販売したことを隣地所有者が知り、かつ、それについて被告は独自の論理で正当化するのみで謝罪をしないどころか何ら誠意ある対応をしなかったためである。
尚、被告の対応に問題があったことは、被告自身が書面で認めている。即ち、被告回答文書(2004年12月16日)にて下記のように自社の対応を問題と認め、表面的には謝罪した。
「原告様からのご指摘がありましたご返事が遅れた点、これまでの弊社並びに東急リバブル担当の対応が不十分であった点、また、弊社と東急リバブルとの連絡が不十分であった点については深くお詫び申し上げます。今後このような事がないよう善処させていただきます。」
工事がストップしている理由は上述の通りであるため、工事はいつでも再開できる状態にある。従って工事が停止しているから不利益事実が生じていないとの主張は成立しない。
工事が上述の理由で停止していることは、2005年1月13日に被告の野間秀一、関口、井田、大島聡仁が隣地所有者宅を訪問した際に隣地所有者から説明されており、被告も了知している筈のものである。その際に隣地所有者は被告に対し、「原告に訂正文を出して謝ってくれ、それまで工事はストップする」と発言している。
【未施工】被告準備書面(2005年4月21日)は「壁工事などは未だ未施工」とも主張する。「未だ未施工」と「未」を重ねたことによる文意は理解できない。二重打ち消しを素直に解釈すると打ち消しの否定で肯定となり、意味が通じない。単純に壁工事が未施工と解釈するしかない。
隣地建物は2003年8月以降、鉄筋の骨組みが出来上がっている状態である。この時点で工事用の幕が建設中の建物全体に覆われたことにより、日照・眺望が遮られ、真っ暗な状態となった。その後、隣地所有者の厚意と配慮により、幕が外された。被告に隣地所有者の万分の一でも厚意と配慮があれば、本件が訴訟にまで至ることはなかったと思われる。
一階部分は既に完成しており、壁もできている。現在、作業場所として使用されている。
【被告の矛盾】被告は隣地建物の建築計画を説明せずに販売したことにより居住者が被る甚大な損害・被害そのものを全否定したいようである。しかし被告は別の場所では矛盾した行動をとっている。
被告が北側建物の建替えの説明を行わずにマンションを販売し、その結果、購入者が日照・採光・眺望・通風・静穏な住環境を享受できない無価値な物件を購入させられたことについては、二階購入者も同種の被害を受けており、被告と示談交渉を行っている。
示談交渉の協議の場において被告従業員である林正裕課長は隣地建物建築による、物件減価分を賠償する案を打診した(2005年2月4日、江東区役所)。現在、示談交渉は被告の要求により、中断している。
本件についても、本件訴訟が提起された2005年2月18日に被告の担当者である林正裕及び野間秀一は隣地所有者宅を訪問し、林正裕が隣地所有者に「二階の人とは示談になる。原告さんにも示談にしたいと隣地所有者から言ってくれませんか」と依頼している。
被告は北側建物の建築を説明せずに販売したことにより居住者が被る甚大な損害・被害そのものを全否定したいようであるが、損害がないのならば示談交渉に応じる必要も物件減価分を賠償する案を打診する必要もない。被告の主張は自己矛盾に陥っている。
【重要事項説明】重要事項説明は2003年6月26日18時半以降に東急門前仲町マンションギャラリーにて実施された。この日は他に契約手続きの説明、住宅ローン申し込み、契約書の捺印・交付も行われた。
原告が重要事項説明「ご購入のしおり」を見たのはこの時が最初であり、それ以前は販売資料を下に説明を受けていた。契約書上の日付は6月30日となっているが、この日には何も行われていない。
契約書上の契約成立日を後日にしたのは、下記を意識して書類上正当性を持たせたいためであろう。「重要事項説明書交付の目的は、それによって、その物件や取引条件について確認し判断することにあるので、契約締結までの間にある程度の時間が必要である」(藤田亀、最新版わかりやすい重要事項説明書書き方の手引き、大成出版社、1994年、9頁)。
【一般的な記述】重要事項では「周辺環境について」と題して、一般的な事柄が記述されているのみで、隣地建替えについては全く触れられていない。住むための本当の情報は重要事項には書かれていなかった。
周辺環境につきましては、建築物の建築、建替え、増改築などにより、将来変わる場合があること。また、本件建物の隣接地は第三者の所有地となっており、将来の土地利用または建築計画に関して売主の権限の及ぶ範囲でなく、一般的には……法令等による制限の範囲に該当する建築物であれば、建造が許可されるため、将来本物件の日照・眺望・通風・景観等の住環境に変化が生じ、現在と異なる近隣および周辺環境による場合があること
ここには隣地所有者から受けた説明や依頼は何一つ反映されていない。隣接する敷地の全てにおいて起こりうることを一般的に述べたにとどまる。これは文字通り一般的な記述に過ぎず、これをもって買主に不利益な事実を告知したことにはならず、売主の不利益事実告知義務を免除することにはならない。
隣地建物については一部が越境しているとの説明を受けただけである。重要事項説明では説明されなかったが、越境部分は屋根の庇であった。
宮崎英隆は「現在建てられている物を壊せとは言えませんので、越境部分は現状維持となります。もし建替えがある場合は撤去します」と説明した。しかし「隣地所有者から建替えの説明を受けている」「隣地所有者がアルス東陽町の施工後に建替えを行う予定である」との説明は全くなされなかった。
大事な知るべき情報を説明せず、どうでもよいことばかりを長々と説明する。隣地の些細な越境という相対的には重要性の低い問題を意味ありげに強調することで、隣地建替えの可能性という、より重要な問題を考えさせないようにする。不利益事実をカムフラージュするための悪徳不動産業者のトリックである。
【東急不動産の反論】被告準備書面(2005年4月21日)は「被告作成の重要事項の説明が「一般的」な内容の記述であることを争い(と言うか原告の主張が不明)、不利益事実告知義務を免除との主張は争う」と反論する。
被告作成の重要事項の説明は隣地所有者所有建物の建替えに言及したものではない。隣接する敷地の全てにおいて起こりうることを文字通り一般的に述べたにとどまる。ここには被告が隣地所有者から受けた説明や依頼は何一つ反映されていない。詐欺にも等しい明らかな不利益事実告知義務違反である。
被告回答文書(2004年12月16日)においても重要事項の説明が隣地建替えに特化したものでないことを自認している。「将来建つ可能性があるものとして(隣地所有者様に限らず)、重要事項説明書にある「周辺環境について」との項目に記載をさせて頂きました」。はっきりと「隣地所有者様に限らず」と念押ししており、周辺環境について当たり前の記述であることを示している。
また、2004年9月19日に東急リバブル・今井由理子、宮崎英隆が原告宅に訪問した際も、原告側の「重要事項での周辺環境は隣地の建替えのことを記述しているのですか」との質問に対し、今井は「いいえ、一般的なものです」と回答した。契約時にも重要事項説明の周辺環境についての記述が隣地建物を指すとの説明はなされなかった。
被告準備書面を読む限り、被告は当初より隣地所有者の説明を把握していた上で購入者には説明しなかったことになるが、それは今井、宮崎の説明とは矛盾する。当初、被告は隣地所有者の話を誰も知らない、誰も知らないというスタンスで原告に接していた。知っていたにもかかわらず、最初の問い合わせでは「知らない」と白を切り、原告側に無意味な調査を要求するのは不誠実極まりない対応である。
加えて、重要事項説明の説明者は宅地建物取引主任者(東京第145705号)の宮崎英隆であるが、宮崎自身、原告から問い合わせを受けた際は、隣地建替えの件を全く知らないと回答していた。
協議の場(2004年9月19日)でも今井、宮崎ともに隣地所有者の「アルス東陽町が建ってからすぐ建てる」との発言を否定した。今井は「隣地所有者の話を誰も聞いていない。東急不動産にも問い合わせたが、誰一人として隣地所有者の話を聞いていない」と回答した。その上で今井は東急不動産担当者の名前(住宅事業本部第四事業部・松岡リーダー、野間課長、関口)を挙げ、「隣地所有者はこの中の誰に告げたのですか。誰に説明したのか不明なので、隣地所有者が一体誰に言ったのか調べてください」と原告に依頼までしている。
従って被告は隣地建替え計画を知らないで重要事項を作成したことになる。知らない以上、記載できるはずはない。重要事項説明は隣地所有者の建替えのことは少しも考慮に入れずに書かれたことになる。よって重要事項説明は隣地建替えについて説明したものではなく、一般的に書かれたものである。契約時においても契約後も重要事項は当たり前のことが書かれている一般的なものとして取り扱われた。
【悪意】アルス購入時に原告に対して重要事項の説明を実施したのは東急リバブル住宅営業本部営業第五部・宮崎英隆である。宮崎は宅地建物取引主任者(東京第145705号)であり、その職務上、購入時に事実を説明しなかったことは明らかに重要事項説明義務違反である。
その後、原告が隣地所有者より聞いた話を電話で問い合わせたところ(2004年8月23日)、知っているにもかかわらず、「知らない。聞いていない」と嘘をつき、白々しくも逆に原告に対し「何階が建てられるのですか」と質問した。2004年12月12日の協議では宮崎は原告に対して「販売時には知っていた。聞かれたら答えるつもりであった」と回答している。
事実は、被告は初めから全てを知っていた。隣地に三階建ての建物が建てられることを知っていたが、黙って売った。重要事項では建替えの可能性について言及しているが、それは後で不利益事実不告知が発覚した際の言い訳として書かれたものと考えられる。不利益事実不告知(説明義務違反)が既に重要事項説明作成前より計画的に企画されていたと言える。
重要事項説明は一般的な記述としてしか書かれておらず、説明時も原告が一般的な記述であると思うように説明した。北側隣地の建替えを含意していると原告の注意を喚起することは一切なかった。被告は大会社であるという信用を強調して原告が危険性を考えない方向に持っていくように誘導した。この結果、原告は、不利益事実は存在しないと誤認した。
【脱法】重要事項説明は消費者保護を目的とし、売買契約の締結前に説明と書面の交付を義務づけたものである。法律には精神がある。「重要な事項について取引の相手方に不利益となるようなことはよく調査し説明することによって、誠実な(信義則)業者として評価を受けることが大切である」(藤田亀、最新版わかりやすい重要事項説明書書き方の手引き、大成出版社、1994年、118頁)。
しかし残念なことに、法律の趣旨が業界の隅々まで浸透しているとはいえない。悪徳不動産業者は法の規制を形骸化させ、買主を保護するのではなく、問題物件を売りつけた自社の責任を回避するために悪用する。悪意があろうと偽りであろうと、そこに形式と手続きさえ揃っていれば、正当とする。
消費者としては重要事項説明書の内容をしっかりと理解しておくことが期待されている。しかし実際は本契約の場ではじめて出されるケースが多く、その場で理解して同意することが要求される。一般消費者にとっては普段接することのない難解な説明書を読むのに精一杯で、どこが重要なのか分からないことが多い。初めての契約の場で細かいことまで神経が回らない。
悪徳不動産業者は、それを最大限に悪用し、「契約当日に、丸つけて、読み上げて、有無を言わせずハンコ押させて、ハイおしまい」で済ましてしまう。ヤバイことや問題になることは重要事項説明書の備考欄などに小さく書き、契約当日まで一切情報を出さない。そして契約の場では早口で簡単に読み上げ、後で問題となったら「ちゃんと説明しましたよ」と言い逃れの材料にする。重要事項説明書という書面が残っているため、ほとんどの消費者は泣き寝入りしてしまう。
原告の場合も同じで、重要事項説明書「ご購入のしおり」が交付されたのは契約締結の日であった。しかも住宅ローンの手続きなど色々なことを延々と説明された後だったため、原告はかなり疲れて集中力が落ちていた状態であった。
この手法は書籍でも悪質な販売手法として紹介されている。「確信犯的なケースだと、差し出す前にぎっちり色々なことを説明して、買主を疲弊させてから説明に入る業者もいます」(三住友郎、家の価値を半減させるコワーい土地の話、宝島社、2004年、24頁)。
東急不動産及び東急リバブルが重要事項説明を消費者保護ではなく、業者の保身、逃げ道を保証するための方便としてしか考えていない。法律を守ろうとする認識は皆無であるが、自己の悪行を逆に法律でカバーしようとする悪知恵だけはたくましい。
これは原告宛て回答文書を読めば一目瞭然である。回答では必ず「ご契約時にお渡しした「ご購入のしおり」で周辺環境についてご説明をさせていただいております」(東急リバブル回答文書、宮崎英隆作成、2004年8月26日等)と重要事項説明を根拠に責任逃れをしている。
【オプション会】前述の通り、当事者間の意識では契約締結は6月26日であった。その証拠に原告は中田から6月29日のオプション会(11:00-15:00)への出席を勧誘され、実際に原告は参加し、照明やクーラーの説明を受けている。
オプション会は東急門前仲町マンションギャラリーにて11時から15時まで開催された。照明は1万円から10万円を超えるものまで、紐で明るさを調節するものから、リモコンや壁のボタンで調整できるものまである。取り付け費は1000円で、立会不要で取り付けてくれる。
エアコンは定価25万円が15万円、定価11万5千円が7万9千円、6万9千円。値段が高い製品は省エネ効果が強く、電気代は安くなるとのこと。除菌イオンが発生するシャープ製品に人気があるという(3割引で17万5千円)。取り付け費はテープが2万円、カバーが3万円。ネームプレート、カーテン、換気扇フィルター、食器乾燥機も販売していた。
販売している製品は割引と書いている割には全体的に値段が高めである。しかも販売員は比較的高額なものばかり勧めてきた。誰もが新築購入を機にインテリア関係に金を使いまくるとでも思っているかのようである。他人の金はどんどん使わせないと損だとでも言いたげである。説明員からは契約を勧められたが、全体的に価格が高めなので、この日は話を聞くだけで帰った。
【説明がなされなかったこと】契約締結に至るまで、隣地建替えについて原告への説明がなされなかったことは東急リバブル及び東急不動産も認めているところである。そもそも、これが問題の前提である。仮に説明がなされていたならば、東急不動産も「不確定なので説明できなかった」という苦しい言い訳を持ち出さなくても済む筈である。
しかし、東急不動産回答の中には一部矛盾した記述がある。東急不動産回答文書(大島聡仁作成、2004年11月30日)では「ご自身も実際に現地を確認して東急リバブルより説明を受けた後、ご契約をさせて頂いたと報告を受けております」とする。
これは原告からの契約解除申し入れに応じない理由としてあげられたもので、説明を受けて納得を受けたのだから文句を言う資格はないとする論理である。実際に東急リバブル販売担当者が隣地建替えについて説明したのが事実であるならばその通りであるが、そのような事実は全くない。ないからこそ問題になっているのである。
そのため、東急不動産回答文書(住宅事業本部、社印付、2004年12月16日)では「説明の中では前述の通り隣地所有者様宅建替えについては不確定事項であり原告様にご説明はさせて頂いておりません」となっている。
何故、「説明を受けた」回答文書の作成者である大島が事情を知らずに適当な回答を書いたためか、いずれにしても東急不動産の対応の無責任さ、いい加減さを示す事例である。
【不利益事実告知義務】消費者契約法4条2項は、不利益事実を告知されなかった消費者に取消権を保障している。この結果、事業者には反射的に不利益事実告知義務が発生する。
「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。」
都合の悪い事実を隠して販売することは、欠陥商品を売りつける業者が常にすることであるが、常識的な商道徳からも許容されないことは明らかである。消費者保護法の目的は「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差」(1条)の是正にある。本件では東急不動産が不利な情報を故意に告知しなかった事例であり、まさに本法が想定する事例である。
被告は建替えが不確定であったと主張するが、実態は異なる(後述)。そもそも消費者からすれば確定的であろうとなかろうと、隣地の建替えは購入判断に影響を与える重要極まりない情報であり、知っているならば説明すべき事柄と期待するのが自然である。確定的であるか否かという売主の勝手な判断とは別に、購入者側にはリスクになり得る情報は伝えて当然である。
東急不動産は自社が不確定と判断しさえすれば、不利益事実を説明しなくても許されるとしている。東急不動産回答文書(大島聡仁作成、2004年11月30日)では「建替え時期・建築概要(階数・構造など)が確定しているものではないと当社にて判断させていただきました」とする。
しかし隣地所有者の話を確定的ではないものと判断するのは東急不動産の勝手であるが、説明を不要とする理由にはならない。仮に売り手が一方的に確定的でない情報と判断して伏せることが許されるならば、都合の悪い事実を隠すことは全て正当化されてしまう。どのような問題が生じようと「あの時は不確定だった」と言い張ることで逃れることができることになる(「東急不動産側が、マンション購入者に「不利益事実」を伝えなかった呆れた言い分」情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ) 2005.02.21)。
消費者契約法上も「重要事項又は当該重要事項に関連する事項」としており、確定的な事実と限定しているわけではない。隣地所有者が「アルスの建設後すぐに三階建に建替える。作業所になるので騒音が発生する」と発言したことは事実であり、これはアルス東陽町201号室及び301号室の購入を検討する消費者にとっては重要な事実である。
【東急不動産の反論】被告準備書面(2005年4月21日)は以下のように不利益事実告知義務を否定する。「因みに、本件の争点と関係するが、被告は、消費者契約法所定の事業者であるが、同法が被告に一般的に「不利益事実告知義務」を負わせているわけではあるまい」。
被告の主張が誤りであることは上述の通りである。一方でこのような主張をしていること自体、東急不動産が不利益事実の不告知を認めているようなものである。
【故意】東急不動産は不利益事実を故意に告げなかった。これに対し、被告準備書面(2005年4月21日)は「被告が原告に対して、「不利益となる事実を故意に告げなかった」との主張は争う」と主張する。
被告は隣地に建替え計画があることを知りながら、原告には告げなかった。知っていたにも関わらず伝えなかったのであるから、故意である。不利益事実を告知すれば本件建物が売れなくなる、ないし、販売価格を下げざるを得ないために、意図的にその事実を告げず、よって購入者に損失を与えたことは明白である。
被告は隣地所有者と工事承諾などの交換条件で、本マンションの二階及び三階の購入者に隣地建物建替えについて告げる約束をしたが、不利益事実を告知すると本件建物が売れなくなることを恐れて、隣地所有者との約束を反故にして、二階及び三階の購入者には三階建ての建物が建つ旨を告げなかった。
東急不動産は「本件建物の採光・日照が喪失することなどを承知していない」とまで主張する(被告準備書面2005年4月21日)。
しかし被告は北側隣地に三階建ての建物が建てられることを知っていた。隣地に三階建ての建物が建てられれば、アルス東陽町の三階以下の日照・採光が喪失することは当然である。隣に壁ができれば、日がささなくなることは小学生でも分かる自明な理屈である。隣地所有者が三階建てに建替えられることを購入者に説明・警告することを被告に依頼したことも、そのためである(本依頼は被告により反故にされた)。
消費者契約法施行以前においても契約締結前に売主の説明義務を認め、その違反を根拠に損害賠償や契約の無効・解除を認めたものが少なくない。裁判例は、必ずしも売買目的物そのものの性質・形状だけでなく、これに影響を与える事情(不動産の周辺環境)について広く説明義務を認めている。
例えばマンションを購入したが、その際、売主たる不動産業者が隣接地に建物が建築される計画があるのを知りながら、本件マンションは南西側からの日照は将来にわたって確保される旨の虚偽の説明をした事案がある。判決は、錯誤による無効を認めたほか、使用者責任による損害賠償として、売買代金、諸費用、住宅ローン利息及び弁護士費用の支払いを命じた(東京地判平成10年9月16日判例タイムズ1038号226頁)。
同様にマンションの購入者らが本件マンションの隣接地に建物の建築計画があることを知りながら、これを説明しなかったとして、販売業者に対する損害賠償を求めた事案がある。
判決は以下のように述べる(東京地判平成11年2月25日判例時報1676号71頁)。
新築マンションの内部の区分所有建物を分譲販売する業者は、宅地建物取引業法35条、45条等の趣旨や信義則等に照らし、売買契約に付随する債務として、区分所建物を購入しようとする相手方に対し、購入の意思決定に重要な意義をもつ事項について、事実を知っていながら、故意にこれを秘匿して告げない行為をしてはならないとの義務を負っており、これに違反して相手方に損害を与えたときは、重要事項告知義務の不履行として、これを賠償する責任があると解するのが相当である。そして、新築マンションに南側に隣接する緑地上に将来建物が建築されるか否かは、その区分所有建物を購入する者にとって、大きな関心事であり、売買契約締結の意思決定に重要な意義を有する事項であるというべきである。被告は、本件区分所有建物の分譲販売当時、南側隣接地の所有者であったA建設から、格別に文書をもって、隣接地上に将来社宅を建築する計画があるので区分所有建物の購入者らにその旨を告知し徹底して貰いたいとの要請を受けており、これを告知することが可能であって、告知するについて何ら支障がなかったにもかかわらず、あえて、これを秘匿し、右建築計画があることを告げないまま、販売代理会社を通じて、原告らに対し、本件区分所有建物の売買契約に際し重要事項を告知すべき義務を怠ったものというべきであり、売買契約に付随する債務の不履行として、これによって原告らが被った損害を賠償する責任がある。
原告は日照、通風、観望等を享受することができる利益を失い、相当の精神的苦痛を被ったとして、これに対する慰謝料として区分所有建物購入価格の2パーセントの金額(金79万円から金10万円まで)の賠償を認めた。
【クリオ横浜壱番館事件】分譲販売業者からマンションを購入した者が、マンション隣地にマンションが建築されることの説明義務に違反したとして、債務不履行(契約締結上の過失)に基づき、手付金相当額の損害金の支払いを求めた事案である。
判決は以下のように説く(東京高判平成11年9月8日判例時報1710号110頁)。
被控訴人は、不動産売買に関する専門的知識を有する株式会社であり、控訴人は、不動産売買に関する専門的知識を有しない一般消費者であるから、被控訴人としては、控訴人に対し、売却物件であるクリオ横浜壱番館ないし本件建物の日照・通風等に関し、正確な情報を提供する義務があり、誤った情報を提供して本件建物の購入・不購入の判断を誤らせないようにする信義則上の義務があるというべきである。
南側隣地は、大蔵省が相続税の物納により所有権を取得した土地であり、大蔵省が何らかの用途に供する目的で取得した土地ではないから、不動産売買に関する専門的知識を有し、右経過を知っていた被控訴人としては、南側隣地が横浜駅から至近距離にあるという立地条件と相まって、大蔵省において、早晩これを換金処分し、その購入者がその土地上に中高層マンション等の建物を建築する可能性があることやマンション等の建築によって本件建物の日照・通風等が阻害されることがあることを当然予想できたというべきであるから、クリオ横浜壱番館の販売に当たり、その旨営業社員に周知徹底し、営業社員をして、右のような可能性等があることを控訴人らの顧客に告知すべき義務があったというべきである。
しかるに、被控訴人は、営業社員に対し、右のような可能性があることを周知徹底させず、そのため、営業担当者は、かえって、控訴人に対し、個人的見解と断りながらも、南側隣地の所有者が大蔵省なので、しばらくは何も建たないし、建物が建てられるにしても変なものは建たないはずである旨説明し、控訴人をして、南側隣地に建物が建築されることはなく、本件建物の日照が確保される旨の期待を持たせて本件建物の購入を勧誘し、控訴人をして本件建物を購入させたものであるから、被控訴人には、右告知義務違反の債務不履行があったと認められる。
これを怠った被控訴人には告知義務違反の債務不履行があることを理由に、没収された手付金相当額に50パーセントの過失割合を認めた金215万円の賠償責任を肯定した。
【二条城事件】青田売りのマンションで、眺望についての説明義務違反による契約解除が認められた事例である。新聞でも報道された(「青田売りマンション説明義務「実物見たのと同程度に」」朝日新聞2000年10月30日)。原告は京都でマンション(京都市中京区、七階建て)を購入した大学教員である。
原告は1994年10月にモデルルームを訪れ、マンションからの眺望に惹かれ、六階部分の一室(3LDK、約64平米)を契約した。価格は4560万円で、手付金460万円を支払った。
配布されたパンフレットには「二条城の見える住戸が六戸ある」と記載されており、当該居室はそれに含まれていた。また、原告は「隣に五階建ての建物があるが、六階の居室を購入すれば、視界を遮るものはなく二条城を見ることができるか」と確認していた。これに対し、販売担当者は「窓から二条城が見える」と回答した。
しかし、完成後の95年7月に開かれた内覧会で、窓の正面に、隣接する五階建てビルの冷却塔(クーリングタワー)があるため、二条城はほとんど見えず、騒音も大きいことに気付いた。その日のうちに契約解除を求めたが、不動産会社側は契約違反を主張し、手付金の返還を拒否した。
原告は二条城への眺望を得られるものとして契約したのだから、契約の目的が達せられないとして、契約違反に基づく売買契約の解除、それに伴う手付金の返還並びに、損害賠償を求めて京都地裁に提訴した。一審判決は眺望に関する説明の不正確さを認定したが、原告の請求は棄却した。原告はこれを不服として控訴した。
高裁判決(大阪高判平成11年9月17日判例タイムズ1051号286頁、判例タイムズ1068号96頁、井関正裕裁判長)は、完成前のマンションの売買においては「購入希望者は現物を見ることができないから、売主はその実物を見聞できたのと同程度にまで説明する義務がある」と説明義務の判断基準を示した。売主の説明がその後に完成したマンションの状況と一致せず、その条件であるならば買主は契約を締結しなかったと認められる場合には「買い主は売買契約を解除することができる」とする。
眺望権に対する主張についても、「マンションの売買において、眺望は重視される要素。契約においては目的の物が主観的な好みや必要に応じているかどうかは極めて重要」と認めた。売主には「窓等からの視界を遮るものがあるか、ないかについて調査、確認して正確な情報を提供する義務があった」とした。そして説明義務違反として、手付金等の変換及び精神的苦痛に対する慰謝料30万円の支払を命じた。被告は最高裁に上告受理申立てをしたが、却下された(2000年9月26日)。これにより原告勝訴が確定した。
【防火扉説明義務違反事件】売主から委託を受けてマンションの専有部分の販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者に専有部分内に設置された防火戸の操作方法等につき買主に対して説明すべき信義則上の義務があるとされた事例である。
原告の亡夫Aは1999年4月30日、三井不動産からマンション802号室を5億3000万円で購入した。三井不動産販売が販売代理をした。
802号室の中央付近にある室内廊下の北側主寝室寄りには、防火戸が設置されていた。この防火戸は、その電源スイッチが入っていれば802号室内で火災が発生した場合には自動的に閉じ、床、壁等と共に主寝室を含む北側の区画と南側の区画に区切り、出火した側の区画から他の区画への延焼等を防止するようになっていた。
しかし防火扉は電源が入っていない状態で引き渡された。扉のスイッチは納戸の野かにあり、蓋は固定されていて、ネジで開ける仕組みだった。原告は引渡し時に説明を受けていなかった。
A夫妻は2000年9月28日から入居を開始した。しかし、数日後の10月4日、802号室から出火した。火災はAが主寝室で吸ったタバコの火種がベッドの布団に落下して着火したことにより発生したものと判定された。防火戸は火災発生当時、電源スイッチが切られて作動しない状態にあり、自動的に閉じなかった。そのため、出火場所である主寝室を含む北側区画から南側区画への延焼等を防止できなかった。Aは、この火事により死亡した。
原告は、操作方法などを説明しなかった売り主の責任として、三井不動産と三井不動産販売に原状回復費用やマンションの値下がり分など約2億7000万円の損害賠償を求めて提訴した。控訴審・東京高裁判決は、防火扉の電源が切れた状態で引き渡した三井不動産の責任を認めたものの、三井不動産販売の責任は認めなかった。
最高裁第2小法廷(津野修裁判長)は東京高裁判決を破棄し、差し戻した。まず「売主には、購入者に対し、マンション売買契約上の付随義務として、電源スイッチの位置、操作方法等について説明すべき義務がある」とした。その上で以下のように販売代理会社の損害賠償義務を認めた。
「宅地建物取引業者である販売代理会社は、その業務において密接な関係にある売主から委託を受け、売主と一体となって、買契約の締結手続の他、802号室の販売に関し、原告に対する引渡しを含めた一切の事務を行い、購入者においても、販売代理会社を上記販売に係る事務を行う者として信頼した上で、本件売買契約を締結して802号室の引渡しを受けたこととなるのであるから、このような事情の下においては、販売代理会社には、信義則上、売主の上記義務と同様の義務があったと解すべきであり、その義務違反により購入者が損害を被った場合には、販売会社は、売主に対し、不法行為による損害賠償義務を負う」。
【交換条件】隣地所有者は被告窓口担当井田を通じて被告からもたらされた幾多の要望を承知する交換条件として「三階建て作業所を建てることを二階及び三階の購入者に告げてください」とお願いした。被告は了解して購入者に告げることを約束した。
具体的には被告の野間秀一課長(係長)が被告窓口担当井田から隣地所有者の交換条件を聞き、了解して二階及び三階の購入者に告げることを約束した。隣地所有者は被告を信頼し、井田に協力して工事完成までの近隣トラブルの面倒を見た。
しかし、後日、野間課長は隣地所有者の話を購入者に説明しないことに決めた。ところがこのことを隣地所有者には黙っていた。つまり、隣地所有者と取り交わした約束を一方的に反故にした。
一方、隣地所有者は被告との約束を守り、三階より上の建物は建てなかった。被告窓口担当井田は「隣地所有者さんは約束を守ってくれました」と感謝している。
被告は隣地建替え計画が確定的でなかったため、説明できなかったと主張する。被告は隣地所有者から建替えの話を聞いたことは認めているが、確定的でないと判断して説明しなかったと主張し、一切の非を認めない。
それどころか、手紙を出しても半月以上返事放置され、催促してやっと回答する状態である。しかも隣地が建替えられても他の部屋からの採光は妨げられないから構わないなどと被害者感情を逆なでするような回答をよこしてくる。
しかし、真相は下記の通り不確定ではなく、隣地所有者は後でトラブルになるのを嫌い、必ずマンション購入者には告知しておいてくれと被告に強く依頼し、その承諾を得ていた。
【開始日が未定】被告は隣地の建替え計画の開始日が未定であったと主張する。被告準備書面(2005年4月21日)では「本件北側建物も建築着工時期について知らなかった」と主張する。
しかし隣地所有者は「アルス東陽町の建設後、すぐに建てる」と説明している。アルス東陽町の建設後に建てることにしたのは地盤が緩むのを避けるためで、この理由も説明している。
そして当時はアルス東陽町もいつ竣工するか不明であり、何月何日に建替えると発言することは不可能であった。日時を示すことはできないが、すぐに建てるということである。
マンション購入者が本件建物の引渡しを受け、引越しをし、住み始めてから遠い年月ではなく、僅かな月日であることは容易に想像がつくことである。
2004年12月12日、東急リバブル渋谷センター(渋谷東急プラザ6階)にて原告と被告は協議した。被告は東京都都市整備局に呼び出されたため、原告と話し合いの場を持った。これは原告が同局住宅政策推進部不動産業課に面談に行き、被告の詐欺的商法及び不誠実な対応を訴えたためである(2004年12月2日他)。行政の指導が入らなければ、原告からの回答すらまともに返さないのが被告の対応であった。
協議の場において、被告の野間課長は原告に対して「井田から聞いて全部知っていますよ。会社の判断で告げないことに決めました。言いたくても言えなかったのですよ。隣地所有者さんとの約束を破ったことは悪いと思っています。近日中に謝りに行きます」と話している。
【地盤】隣地所有者は建替えをアルスの建設後にした理由として「地盤が緩むといけない」からとする。これは建築の事情を熟知した説得力ある発言である。
しかし東急不動産は隣地所有者の発言を歪曲して「本件マンション竣工後地盤の様子を見てから建築すること」と説明する(被告準備書面2005年4月21日)。
実際のやり取りは下記の通りである。隣地所有者の建替え計画を知った被告より、隣地所有者に対して「一緒に建てましょう」との提案がなされた。これは同時期に建てましょう、との意味である。これに対して隣地所有者は「地盤が緩むといけないので、アルスが建ったらすぐ建てる。アルスが建ってからだから、どうせ一年後になる」と断った。
上述の通り、地盤はあくまでマンションと同時期には建てないことの理由として持ち出されたものであり、被告が主張する「様子を見てから建築する」というような計画の不確定さを印象付けるものではない。被告としては「建築時期、建築内容等具体的な事実が決まっていない」とする主張に正当性を持たせたいがために、隣地所有者の発言を歪曲したものと考えられる。
【口頭のみの話】被告は隣地の建替えは口頭のみの話であり、図面がないと主張する。確かに隣地所有者が被告担当者井田に説明し、購入希望者に説明・警告することを依頼した件は口頭でなされたものだが、その時点で被告は了解している。
口頭だけでは不十分と考えるならば、書類を要求するなりすべきである。それにもかかわらず、被告は了解しただけであった。その後の担当者が隣地所有者に確認を求めたこともない。
2002年11月に一度だけ被告担当者関口より「図面がありますか」と聞かれたことはある。これは関口、井田、ピーエス三菱担当者が建設工事の挨拶のために訪問した際になされたもので、僅か数分の立ち話であった。これは図面の有無を聞かれたものであって、提出を求められたものではない。ましてや重要事項説明の条件として確認されたものではない。
関口の問いに対し、「図面はまだ先なので書いていません。家族で考えたものならばあるが、ちゃんとしたものはない」と答えた。これに対し、関口は「図面がなければ購入者に説明することはできない」「購入者に説明するために図面を提示してください」とは言わなかったし、その後も提出を求めたことはない。その後も隣地所有者は井田に「二階と三階に住む人に伝えてくれ」とは何度も言っている。
そもそもアルス自身、当初は図面が存在しなかった。隣地所有者もマンション建設の挨拶に来た井田に対し、図面の有無を質問し、井田は「まだ出来ていない」と答えている。しかし、マンション建設の計画性がないということにはならない。図面がないから計画性がないというのは根拠に欠ける。
【東急不動産の調査】東急不動産は事前に隣地建替え計画の具体性について調査したかのように記述する。「被告は、原告に対し、本件契約締結時において、本件建物の北側隣地の建築計画(本件北側建物)について調査し」(被告準備書面2005年4月21日)。
しかし実際は、東急不動産は隣地所有者から説明を受けたこと以外には具体的な調査内容を何ら述べていない。原告との協議(2004年12月12日)の席上、アルス担当者を自称する大島は隣地所有者とは会ったこともないと発言している。
【被告の謝罪】被告は原告に対しては不利益事実不告知を正当化するが、隣地所有者に対しては謝罪している。この点において被告の原告に対する主張は矛盾である。
2005年1月13日、2月15日、同18日に被告は謝罪のため隣地所有者を訪問した。被告が隣地所有者と交換条件で取り交わした約束を隣地所有者に無断で破ったこと、隣地所有者の建築費用捻出困難を不利益事実不告知の理由としたことについて謝罪した。
1月13日に野間秀一課長、関口、大島聡仁、井田が隣地所有者宅を訪問し、隣地所有者に謝罪した。
2月15日には大島が隣地所有者宅を訪問し、隣地所有者に謝罪した。
2月18日には林正裕リーダー、野間が隣地所有者宅を訪問し、隣地所有者に謝罪した。
被告が原告に不利益事実(隣地所有者の話)を告げなかった理由として再三使用していた「隣地所有者は建築費用捻出困難、資金調達が出来ない」について「調べたわけではなく、全くの憶測であった」と謝罪した。隣地所有者が建築費用捻出困難であるとの被告の主張は単なる憶測であり、しかも間違った憶測であることを隣地所有者の前では自認した。
被告は本件トラブルについて国土交通省関東地方整備局に提出した報告書でも不告知の理由として隣地所有者の「資金調達困難」を挙げていたため、報告書を訂正して再提出することを約束した。
【資金調達困難】被告は隣地建替え計画が確定的でなかったとする理由として、隣地所有者が建築費用捻出困難であったと主張する。これは金科玉条の如く主張している。建替えの希望は持っていたが、資金面の裏付けはなく、願望に過ぎなかったと言いたいようである。
隣地所有者が建築費用を有していなかったと判断した理由として、隣地所有者が自らそのような発言をしたと被告は主張する。理由としてあげるのはそれのみで、被告は隣地所有者の資金状態の調査すらしていない。
被告は隣地所有者が「建築費用捻出困難」と発言したと主張する。しかし隣地所有者はこれを否定し、「そんなことをいつ誰に言ったのか聞いてくれ」「まるで資力のない人のように貶めるのは名誉毀損だ」と怒っている。
東急不動産から「一緒に建てましょう」と誘われたことに対し、隣地所有者は「銀行を紹介してくれればすぐ建てる」と発言した。隣地所有者には被告と同時期に建てるつもりはなかったが、被告の誘いがしつこいので断るために「今すぐ建てるならば銀行を紹介してくれ」と言ったに過ぎない。
本提案に対しては、隣地所有者は「地盤が緩むといけないので、マンションが建ったらすぐ建てる」と回答して一度断っているが、被告は執拗に提案してきた。それを断るための口実として隣地所有者は「金融機関を紹介してほしい」と言ったにとどまり、それはあくまで「同時期に建てるならば」との前提がついた話の中でのものに過ぎない。
隣地所有者としてはアルスの建設後に建替える予定であるから、金融機関を探す必要性はそもそもない。被告窓口担当・井田には何度もアルス東陽町の建設後に建替えをすることを伝えてあり、上記発言から、建築費用がないために当分隣地を建替えることはないと解釈する余地はない。東急不動産は隣地所有者の発言を歪曲し、自社に都合のよい説明に悪用した。
東急不動産には事物の本質を捉えようとする意思が皆無である。都合の悪い事実は、自分達の都合のよい解釈で片付ける体質がある。「消費者の声を聞く良い企業」を装っても、イメージの良いポスターを貼り表面だけ取り繕っても、根本は全く変わらない。変えようともしていない。
【被告準備書面の虚偽】東急不動産は隣地所有者が以下のように述べたとする。「融資をしてくれる金融機関がまだみつかっていない」「建築(建替え)は間違いなくするがその資金調達はまだこれからであること、特に融資を受けていた永代信用金庫がダメ(倒産)になったことから、新たな融資先を捜していること、紹介して欲しい」(被告準備書面2005年4月21日)。
被告準備書面によると、隣地所有者の上記発言は建替えの説明の中でなされたように理解できるが、実態は全く異なる。実際はこのような発言はなされていない。
「紹介して欲しい」との発言は隣地建物建替えの説明時ではなく、被告側からの「一緒に建てましょう」との提案の際になされた。
【金融機関】被告は隣地所有者が融資元を探していたと歪曲することで、隣地所有者には融資してもらえる金融機関がなく、建築資金調達が困難であるため、建替え計画は不確定であったと主張したいようである。原告宛文書にも何度も記述されているし、被告が国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課に提出した本件に関する報告書にも記載されている。
しかし、これは虚偽であり、隣地所有者を資力のない人間と貶め、侮辱するものであるため、当然のことながら隣地所有者の反発を受けることになった。2005年1月13日に野間、関口、井田、大島が隣地所有者宅を訪問した際に謝罪している。加えて2月18日に林、野間が訪問した際は、資金調達困難との記載は誤りとして被告が国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課に提出した報告書を訂正すると隣地所有者に約束した。
【永代信用金庫の破綻】東急不動産は隣地所有者が建替え計画の説明の際にメーンバンクの破綻にも言及したとする。「特に融資を受けていた永代信用金庫がダメ(倒産)になったことから、新たな融資先を捜している」(被告準備書面2005年4月21日)。
隣地所有者は永代信用金庫の破綻については述べたが、「新たな融資先を探している」とは述べていない。永代信用金庫の破綻も井田との雑談で述べたものであり、建替えとは何ら関係のない話である。
元々、作業所はアルス建設後に建設する予定であり、すぐに融資を受けなければならない必要は皆無である。そして金融機関は破綻してもしばらくすれば受け皿金融機関に継承されるものである。
また、ここは融資先ではなくて、融資元と考えなければ、意味が通らない。隣地所有者が与信先を探した事実はない。ここにも東急不動産の説明の不自然さが現れている。
東急不動産・東急リバブル共に主張に一貫性がなく、都合が悪くなると主張を改める。毎回見解が異なるのは背信的であり、信用に値しない。本質を見極めるには、真実を知らなければならない。正確な情報が明らかにされないと、事実の解明にはつながらない。
原告による再三再四の調査・確認で事実が明らかになるにつれて東急不動産の表現がコロコロ変わることには驚いた。その主張の変遷・矛盾は単なる勘違いや記憶違いでは理解できず、東急不動産自身も合理的な説明をしていない。自社に都合の良いように事実の前後関係を意図的に操作したり、事実そのものを捏造したりした結果によるものとしか考えられない。
どうして最初から本当のことを言わないのだろうか。会社で怒られるからか。言いくるめることができるとでも思っていたのか。消費者は知識がないから、嘘で騙して片付けようという悪意に満ちた行為は到底許せるものではない。一生に一度の高価な買い物で嘘をつかれて騙されたという不安・不信と会社ぐるみで知識のない消費者を嘘でごまかす不誠実な対応に悔しさで腸がちぎれる思いをした。
東急不動産は大企業だから信用があるなどとはとんでもない。東急不動産及び東急リバブルの従業員は嘘つきで信用できない。悪徳不動産業者は、とことん嘘つきでないと勤まらないようである。悪徳不動産業者には真の自己批判や「真実とは?」と考えることはないと判断せざるを得ない。考える頭が無いのか、疑問を持つだけの知能がないのか、何れかである。
事実を認識することは現代人として当然のことである。自分が意見を述べる時は、その理由を説明するのが当然である。質問があれば、差し支えない範囲で相手が納得できる返事をするのが当然である。
PMBOK; Project Management Body of Knowledgeではコミュニケーションマネジメントについて、「情報の発信者は受信者が情報を正確に受け取ることができるように、情報を正確で、あいまいさの無い、完全なものとする責任、及び、情報が正しく理解されたことを確かめる責任がある。受信者は情報を完全な形で受け取り確実に正しく理解する責任がある」とする。
これらが全く出来ない人間は現代人失格である。残念ながら東急不動産の担当者にはこの当然のことを行おうとする姿勢は全く見られない。東急不動産にプライドや使命感を期待するのは無理なようである。
【隣地建替え計画】東急リバブルが隣地建替えの計画を知っていたかということについての、東急リバブルの説明は矛盾している。当初は全く聞いていないと否定しておきながら、後になって知っていたと回答する。何も知らないと逃げ回っていた頃に比べて、弁解の内容がコロコロ変わっていくのには呆れるばかりである。
当初、東急リバブルの中田愛子及び宮崎英隆は隣地建替えの話を全く聞いていないと否定していた。宮崎は白々しくも逆に原告に対し「何階が建てられるのですか」と質問したほどである。
東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成)でも、東急リバブルとしては知らないため、東急不動産に確認するというスタンスであった。事業主から確認した内容を回答している。もし宮崎本人が隣地建替えのことを知っていたならば自分の知っていることを回答すれば済む。被告に確認するならば、宮崎本人は隣地建替えを知らないことが前提になる。
東急リバブル回答文書では下記の通り、被告に確認した内容を回答する形式を採る。
・ 東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年8月26日)「アルス東陽町の販売時に所有者より建替え計画を聞いていたかどうか、ということですが、事業主に確認したところ、アルス東陽町の計画説明時において所有者より建替えたい旨の希望は賜りました」と回答している。これは宮崎が被告に問い合わせをして初めて「アルス東陽町の計画説明時において所有者より建替えたい旨の希望は賜りました」ことを知ったということを意味する。
・ 東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月13日)「再度、事業主である東急不動産株式会社に隣地所有者様のおっしゃっている1〜5の内容について確認をさせていただきました」
また、東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月13日)では「具体的な階数などについてはお聞きしておりません」と三階建てが建てられることは知らなかったと回答している。
しかし、東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月13日)では「建替えるのであれば、「3階建てにしたい」というご希望はお聞きしておりました」とする。一方、同じ文書の中で「具体的な階数や将来音がうるさいなどとはお聞きしておりません」と階数を聞いていたことを否定する。矛盾しており、あまりにも読む側をばかにした回答である。
ところが渋谷での協議(2004年12月12日)において、宮崎英隆は建替えについては購入時から知っていたと回答した。説明しなかった理由として、「質問されなかったから」と述べた。
また、宮崎は本件マンション201号室購入者への電話(2004年12月27日、2005年1月21日)において下記のように説明している。原告に対してはこの説明は一切なされていない。
2002年12月から2003年3月までの間に被告と東急リバブルとの間で担当者が数名ずつ出席して引継ぎ会が行われた。東急リバブルからは宮崎、被告からは関口が出席した。この席上、東急リバブル側から「この建物は何ですか」との質問がなされ、被告側から「これは倉庫で将来建替えの可能性がある」との回答がなされた。
【被告回答文書の矛盾】隣地建替え計画の認識については被告回答文書においても矛盾する。
まず、被告回答文書(大島聡仁作成、2004年10月15日)では東急リバブルの回答と異なる。「隣地所有者様が井田氏へお話した内容について改めて確認させて頂きました所、アルス東陽町が建ってからすぐに建てる旨、3階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨の内容は伺っておりました」と認めている。ここでは井田から確認した内容を記述する形式を採っており、大島自身は事情を知らないことが分かる。
ここでは「3階以上は建てない」と書かれてあるが、これは四階以上の誤りである。正確な語義上は三階以上では二階までとなってしまい、話が通らなくなる。大島は上記の内容を東急不動産窓口であった井田に確認して書いたとするが、本当に井田に確認して書いたのかも疑わしい。大島が勝手に創作して書いたのではないかとも思われる。
東急不動産が国土交通省に提出した報告書についても、林正裕・東急不動産住宅事業本部第四事業部グループリーダーは隣地所有者に対して「大島が勝手に書いた」と説明している。
しかし被告回答文書(大島聡仁作成、2004年11月19日)では「平成14年11月時点の隣地所有者様の発言より、建替えたい旨内容を聞いておりました」との記述のみで、具体的な内容はなく、前回よりも大幅に後退している。
被告回答文書(大島聡仁作成、2004年11月30日)においても「建替えたい旨内容を聞いておりました」との記述しかない。
しかし被告回答文書(社印付、2004年1月8日)では下記のように記述し、内容が戻っている。
平成14年11月時点で隣地所有者様が康和地所井田氏を経由して、下記のご意向をお持ちであることは伺っておりました。
・アルス東陽町が建ってからすぐに建てたい。
・3階建てを建てたい。
・住まいと仕事場が一緒であるから騒音がある。
【準備書面での矮小化】被告準備書面(2005年4月21日)では隣地所有者の説明を矮小化している。「建築内容は三階建てで作業所兼住居であること」「建築(建替え)工事をすることは入居者に伝えておいて欲しい」としか記述しない。
実際は、隣地所有者の依頼は三階建てが立つこと、住居兼作業所にするので騒音が発生することを伝えるように依頼した。「作業所なので騒音が発生する」と述べ、二階と三階の購入者に予めこのことを説明するように依頼し、承諾を得た。依頼に対して被告は了解している。
井田は「責任を持って行います。引継ぎはしっかり行います」と回答している。
依頼に対する被告の同意を受けて、隣地所有者は被告に対して工事承諾書を提出した。提出に当たり、建替え予定を購入希望者に伝達することを条件として同意の印鑑を押したと主張する。隣地所有者は原告に「マンション購入者に説明することを条件として判を押した」と語った。工事承諾後も隣地所有者は建替えの話を何度もした。
東急不動産(販売代理・東急リバブル)は自ら知っている情報をわざわざ原告に調査させている。
東急リバブル住宅営業本部営業第五部・今井由理子及び宮崎英隆は2004年9月19日に原告宅を訪問した際に、今井は原告に隣地所有者への確認を求めた。今井は「誰一人として隣地所有者の話を聞いていない。誰も知りません。誰に説明したのか不明なので、隣地所有者が誰に言ったのか調べてください」と言った。
東急不動産社内の仕事上のことであるにも関わらず、調査手段を持たない外部の買主に調べる様に命令した。原告は依頼を受けて隣地所有者が説明した相手を確認した。東急不動産が事業主であるマンション建設の事情であるから、業務日誌なり、報告書類を調べれば書いてあるはずである。
それでも原告は東急不動産も直接隣地所有者に確認することを条件として承諾した。このため、原告は隣地所有者より再三再四に渡り経緯を確認した。
しかし実は、被告は被告窓口担当である井田より全てを聞いて初めから知っていた(2004年12月12日の発言)。協議の席上、宮崎英隆は最初から聞いていたと開き直っている。東急不動産及び東急リバブルは、最初から知っていたならば調べさせる必要はないはずである。原告に調べさせる必要はないのに、知らないと嘘をついて原告に調べさせたのである。無駄な作業をさせたことになる。
【東急不動産の矛盾】上述のように東急不動産は原告に無駄な調査をわざわざ行わせたのであるが、原告の確認に対して感謝とは正反対の態度で接している。
渋谷での協議(2004年12月12日)の席上、野間秀一・東急不動産住宅事業本部第四事業部課長は「原告からの問い合わせがうるさいとクレームが来ている」と原告を一方的に非難した。これはとんでもない言いがかりである。原告に隣地所有者に確認することを要求したのは東急リバブルの今井由理子であり、原告は要求に従っただけである。そこまで非難されねばならない筋合いはない。東急不動産が原告の問い合わせに最初から正直に回答していれば、原告が隣地所有者に確認する必要も生じなかった。
被告準備書面(2005年4月21日)では「原告が訴外隣地所有者からその主張の頃事情を聞いたこと、同隣地所有者の話に関しては何れも不知」と知らない振りをしている。原告が隣地所有者から事情を確認したのは上述の通り、東急リバブルの依頼を受けてのことであり、東急不動産も十分承知していることである。
東急不動産の回答は隣地所有者の話と大きく食い違うのみならず、相互に矛盾している。東急不動産の回答は直接のコミュニケーション、直接の情報収集ではなく、伝言ゲームによってまとめられたものである。今一度、原点に戻って隣地所有者及び東急不動産窓口担当井田に事実を確認されることを要求する。
最初から原告は隣地所有者への事実確認を要求していた。原告は隣地所有者と被告の説明が大きく食い違っているため、被告からも隣地所有者に直接確認するように再三依頼し、隣地所有者の連絡先までも提示した。
しかし東急不動産は一度も隣地所有者に確認することなかった。原告の問い合わせ要求に対し、被告の主張を繰り返すのみで、隣地所有者への調査・確認は何らなされていない。その代わり、東急不動産は不実をでっち上げた内容の回答文書を原告に送ってきた(隣地所有者の建替え費用捻出困難、階数が不確定等)。国土交通省にもでっちあげの虚偽報告を行っており、隣地所有者から強硬な抗議を受けている。
どうして被告が隣地所有者に確認しないのか、不思議であったが、その理由は後日解明する。被告は初めから全てを知っており、確認すると嘘が発覚してしまうためである。2004年12月12日の協議の席上、被告は「被告窓口担当である井田より全てを聞いて初めから知っていた」と回答した。
【四階購入者への説明】その四として、二階及び三階購入者への説明と四階購入者への説明の矛盾がある。東急リバブル販売担当者は原告及び二階購入者に対しては、隣地建物は物置及び資材置き場としか説明せず、不利益事実(建替え計画)を説明していない。
これについて東急不動産は建替えが不確定だったから説明できなかったと主張する。渋谷での協議において野間秀一は「説明したかったが、できなかった。不確定な計画を説明して逆に建替えられなかったら問題になるから」とまで回答している(2005年12月12日)。
しかし、これは明白な嘘である。四階購入者には販売時に隣地建物が三階建てに建替えられる予定であることを説明している(販売担当者、東急リバブル住宅営業本部営業第五部・宮本豊)。「三階建てになるので、四階は大丈夫です」と四階の安全性を強調して販売した。
隣地は八階建てまで建てられる土地であるから、確実に三階建てが建てられると分かっていなければ、とても危なくて保証できない筈である。三階建てが建てられても四階居室の日照は妨げられないため、伝えても物件を販売する上で不利益にはならない。四階購入者にしてみれば、はっきり三階建てと決まっていればかえって安心である。
四階購入者には三階建てが建てられると説明して販売しているにもかかわらず、三階購入者には不確定なので説明できなかったと図々しく虚偽を述べ、東急不動産の社印まで押した回答文書を送っている。
四階購入者には伝えて二階及び三階購入者には伝えていない事実から、被告が不利益事実を告知することにより販売できなくなることを恐れて意図的にその事実を告げなかったことは明白である。二階及び三階の購入者には隣地建替えを説明せずに高い価格で販売し、四階以上の購入者には三階建てが建てられると安心させて販売した。
販売担当者が各々異なるため、二階及び三階の購入者は出来の悪い悪質な販売担当者(中田愛子、宮崎英隆)に当たってしまったという可能性も考えられるが、それは被告の責任を何ら否定するものではない。
【四階以上の可能性】隣地に四階以上の建物が建てられる可能性について被告の主張は矛盾している。アルス東陽町は三階までを曇りガラスとし、四階以上を透明のガラスにしている。これは被告が予め隣地に三階建てが建てられることを知っていたことを裏付ける。
原告は、その旨、被告に対し主張した。これに対し被告は当初、あたかも偶然であるかのように述べている。
・ 東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年8月26日)「将来的なことを考えて、Dタイプの北側開口部(2・3階)につては網入り型ガラスとさせていただきました」(原文のママ。「つては」は「ついては」の誤記と思われる)。
・ 東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004年9月24日)「隣地所有者様から聞いたことを参考としたのではなく、一般的な将来の対策として、東急不動産の判断として網入りガラスとしました」。
また、隣地では四階以上は建てることはできず、建替えられても三階だからとも回答している(東急リバブル住宅営業本部第五部・今井由理子発言2004年9月19日、被告住宅事業本部第四事業部・野間秀一発言2004年12月12日)。つまり、三階しか建てられない敷地だから、曇りガラスは三階までで十分とする。
同旨の主張は弁論準備手続(2005年5月13日)においても被告代理人・井口寛ニ弁護士よりなされている。しかし、被告準備書面(2005年7月15日)では前言を翻し、隣地には八階建てが建てられる可能性もあったと主張する。「本件マンションの北側箇所もほぼ同じ規制にあり、本件建物と同じ高さの建物が建築され可能性がある(原文のまま 「建築される」の誤記か)」。被告の主張が如何に嘘で塗り固められたいい加減なものであるかを物語るものである。
実際は、東急不動産は隣地所有者から三階建てにすると聞いていた。だから三階までを曇りガラスとし、四階以上を透しガラスとしたのである。加えて、一方で被告販売代理の東急リバブルは四階購入者には隣地が三階建てに建替えられる予定であることを説明している。
隣地所有者に対しては、野間秀一・東急不動産住宅事業本部第四事業部課長が原告及び二階購入者に説明しなかった理由を以下のように述べている(2005年1月13日)。
「どうして約束が守れなかったか。以前、東急不動産が建築したマンションが、規模は違うけど、ここと同じように隣が建てるという話を購入者に話して売ったところ、隣の建物の形状が変わってしまい、購入者から訴えられて負けた事があり、だから隣地所有者さんが三階といっても四階、五階を建てられたら困ると思って言えなかった」。
リアリティのある説明であり、悪徳不動産業者の体質がよく表現されているが、自社の利益しか考えない身勝手な理由である。二階及び三階に説明しない理由にはならず、不利益事実不告知を正当化するものではない。
この発言によれば被告は隣地に四階、五階を建てられる可能性を認識していたことになり、三階までを曇りガラスとしたことについての原告に対する説明とは矛盾する。
【協議義務違反】原告と被告が締結した「不動産売買契約書」28条は「互いに誠意をもって協議し決定します」と定めている。しかし被告及びその代理人である東急リバブルの本件に対する対応には誠意のかけらさえもなく、本条に違反していることは明らかであり、この点においても信頼に値せず、契約取消・解除の十分な理由になる。
その場しのぎの口約束、責任のなすりつけ、たらい回し、頻繁な担当窓口の変更、次の担当への引継ぎが全くなされない、日時を守らない、無視、高圧的で侮蔑的な表現、不十分な説明、辻褄が合わない説明、偽りの説明、揚げ足とり、論理のすりかえ、あげくのはては開き直り等、被告の不誠実な対応は枚挙に暇がない。レスポンスは遅く、東急ならぬ東鈍である。
信頼関係が小さな行動の積み重ねで形成されることを全く理解していない。通常では考えられないくらいのレベルで、不親切極まりない。チェック機能が働いておらず、責任の所在が不明確である。謝罪もろくにできず、まともに話せる人間は一人もいない。
東急不動産は社団法人都市開発協会会員、社団法人不動産協会会員、社団法人首都圏不動産公正取引協議会加盟、国土交通大臣(13)第45号、建設大臣許可(特・12)第4857号と肩書きだけは立派であるが、その対応・弁解は信じ難いほど幼稚である。肩書きや大臣免許の信用を悪用した販売方法はとても許せるものではない。
【嘘で塗り固められた回答】被告及び東急リバブルの実態は嘘、嘘、嘘で塗り固められたものであった。正直ではなく、誠実でもない。虚飾と偽善と歪曲とおごりに満ち満ちている。その説明から真実を見つけ出す方が難儀である。やり得ということが身についてしまっているようである。
問い合わせても回答を出さず、のらりくらりとはぐらかす。常に消費者が事実を知った事柄だけを認める。消費者が言わなければ黙っている。こちらから催促するまで放置し続け、催促されてはじめて対応する。
最終的にこちらの主張を認める場合でも、あえて時間をかけ、それが自己の威厳を示すことになると勘違いしているようである。指摘されても、まず否定する。そして、こちらで調査して連絡すると「そうです」と答える。一方、消費者が諦めればそれで終わりになる。
回答は突っ込まれることを恐れているのか、全て紋切り型である。質問したことに対し、全く何も答えていないものも少なくない。真摯に議論を深めようとする姿勢は見られない。矛盾点を指摘しても理不尽な説明に終始する。木で鼻をくくったような回答、回答ならぬ「怪答」である。表面的な回答でしかなければ質問者のストレスは蓄積する一方である。
特に東急不動産の回答は自動機械によって生成させたような回答であり、原告の文書は読まなくても作成できる程度のものである。
文頭は全て「拝啓、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます」で機械的に開始されている(東急不動産回答文書2004年10月15日、11月19日、11月30日、12月16日、2005年1月8日)。
文中は同じ主張を繰り返し、薄い内容を無理に伸ばしただけである。少ししか残ってない原液で作られたカルピスのようである。原告の問い合わせ内容に正面から答えることなく、「ご理解いただく様宜しくお願い致します」で結ぶ。一方的に理解を要求するだけで原告の疑問に何一つ答えていない。
【不信】不利益事実告知のみならず、トラブル対応が原告の不信を一層高める結果となった。不誠実な対応には記憶を呼び覚ませば覚ますほど、腹立たしくてなってきて仕方がない。被告従業員らの不誠実な対応からは自分達の会社が起こした事態に痛みを感じていない印象さえ受ける。被害者の苦痛や悲しみ、不安な気持ちを愚弄する対応である。被害を受けた消費者への思いやり、同情は皆無である。
理解できないのは彼ら悪徳不動産営業が決して自分達自身の醜悪さを自覚しようとしないことである。騙されたことにより購入者が、どれだけ嫌な思いをするかわからないのだろうか。もし自分が同じような目にあわされたらどれほど辛いか、そう考えてみるだけの想像力がないのだろうか。
「自分は歯車に過ぎないのだから、自分の行為がたとえ相手を不幸のどん底に落とすことになったとしても、自分には一切責任がない」とでも思っているのであろうか。「人であるならば、せめて悪いことをする時には、「ああ、俺って今、悪いことをしているんだなあ!」という自覚くらい持てる人間でありたいものである」(荷宮和子「「人として」認識したい」読売新聞夕刊2005年9月7日)。
被告や東急リバブルの担当者にも親や家族、子どもだっている筈である。その人達に自分の仕事を誇れるのであろうか。今抱えている仕事の内容を家に帰って胸を張って説明できるのだろうか。家族や兄弟にも同じ問題マンションを勧められるであろうか。勧められる訳がない。そのようなものを売ることに良心は咎めないのだろうか。
特に東急リバブル住宅営業本部営業第五部・宮崎英隆は、不動産ポータルサイトHOME'Sで趣味を「娘と遊ぶこと」と公表していた。しかしその虚偽の説明に対しては、「自分の子供に対しては、自分の利益になるのなら、嘘をついても構わないと教えているのか」と問い詰めたいと思うほどである。同じ被害に遭った二階住人も原告に「宮崎英隆は許せない」と発言している。
東急リバブル及び被告による、責任のなすりつけ、たらい回し、頻繁な担当窓口の変更は目に余る。原告が東急リバブル及び被告から、たらい回し、担当者の一方的な変更を受けた経緯は下記の通りである。
2004年8月23日、原告は東急リバブルお客様相談室に電話して事実確認を行う。「担当者からコールバックさせる」との回答。
同日、東急リバブル・中田愛子から連絡を受ける。中田は「知らない。上司から連絡させる」と回答し、電話を切る。
同日、東急リバブル・宮崎英隆から電話。宮崎も「知らない」と回答し、被告に確認すると連絡。回答を文書で原告宅(埼玉県)に送付することで合意した。
8月26日、宮崎から文書で回答が発送される。
8月31日、原告が隣地所有者から聞いた話とあまりにもかけ離れているので、再調査を要求する文書を発送した。
9月7日、国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課に相談の電話をする。
9月13日、宮崎からの回答が遅いため、東急リバブルお客様相談室に電話する。女性が応対し、「わかりませんから、事業主と直接話して下さい」とたらい回しにされる。
9月19日、原告宅にて原告と東急リバブルの今井由理子・宮崎が協議。今井はアルス販売チームのリーダーであった。その席上で今井は被告の担当者は松岡リーダー、野間課長、関口であると説明する。
9月30日、原告は宮崎から電話を受ける。宮崎は転勤により、担当者を降りると一方的に通告する。後任の担当者は未定と説明される。
10月6日、被告住宅事業本部第四事業部大島聡仁より、新たに担当者になった旨のメッセージが原告の留守電に入れられる。
11月15日、被告からの回答が遅いので、原告は大島に電話する。電話番号は大島作成の文書にあったダイヤルインの番号にかける。
10時半頃に一回目の電話をする。女性が応対し、「会議中で席を外している」と回答。「いつ戻るか」と尋ねると「いつ戻るか分からない」。他の担当者を要求すると暫く待たされた後、「大島営業以外担当者はいない」と回答。「電話があったことを伝えてください」と言い、切る。
12時頃に二回目の電話をする。女性が応対し「外出中」と回答。「いつ戻るか」と尋ねると「13時過ぎには戻る」と回答。
13時過ぎに三回目の電話をする。男性が対応し、「まだ外出中。帰社時間はわからない」と回答する。
大島とは連絡をとれないため、東急リバブルお客様相談室に電話をする。藤田室長代理が応対する。「東急リバブルと東急不動産は別会社だから無関係。事実を知らないから回答できない」との回答。
11月16日、大島に電話をするが、やはり不在と回答される。
東急リバブルお客様相談室に電話をする。藤田室長代理が応対する。昨日と同じく無関係と回答される。それならば東急不動産に問い合わせをするために、被告のコールセンター窓口を尋ねるが、「知らない」との回答。事実は東急不動産にはカスタマーセンターという部署が存在する。
11月21日、被告から回答が届く(大島聡仁作成成者、2004年11月19日)。文末で「今後のお電話での連絡窓口につきましては東急リバブルお客様相談室迄お願い申し上げます」と一方的に限定される。
12月3日、消費者契約法四条に基づき契約を取消す旨、東急リバブルWebサイト問い合わせフォームに送る。同様の内容を東急不動産のメールアドレスにも送信する。
12月12日、原告と被告及び東急リバブルが協議する。席上で被告の責任者が林正裕であり、その下に担当者として野間課長がいることの説明を受ける。
【お客様相談室の対応】東急リバブルお客様相談室への電話では、東急リバブルは契約上の代理人であるにもかかわらず、被告に直接言うようにとたらい回しにされた。コールセンターでどのような対応をするかが、その後の顧客満足度を大きく左右することに繋がることは言うまでもない。
東急リバブルお客様相談室からは、何一つ具体的な対応はなされず、原告は非常に不安かつ不愉快な思いをした。そもそも業者間の内輪の問題などは原告には何の関係もないはずである。消費者を無視した組織優先という発想しか見られない。
しかも2004年11月15日に藤田室長代理は原告には「事実関係を知らない」と回答したにもかかわらず、9月16日頃に国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課からの本件に関する照会には東急リバブルを代表して「将来的には建てるが、資金はないと聞いている」旨、回答している。この点から事実関係を知らないことはなく、原告への説明は虚偽だったことになる。
藤田室長代理は2005年1月28日にも東急リバブルを代表して国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課に出向いて、本件の事情を釈明している。
12月12日の協議においては栗原眞樹・東急リバブル住宅営業本部事業推進部契約管理課課長から「お客様相談室の対応は不適切だった」との発言が原告になされた。しかし謝罪はなされていない。
【頻繁な担当窓口の変更】東急リバブル及び被告による一方的な指定により、担当者は東急リバブル中田愛子、宮崎英隆、今井由理子、東急不動産住宅事業本部第四事業部大島聡仁、東急リバブルお客様相談室、東急不動産住宅事業本部第四事業部林正裕・野間秀一と頻繁に変更された。
東急リバブルに話をすれば事業主は東急不動産だからそちらに話をしろ、東急不動産に話をするとリバブルと一緒に販売しており、そちらを窓口にしろとどちらも責任を認めず、たらい回しにされ、一向に話が進まない。別会社ということで表向きは責任を回避し、影ではグループ会社として甘い顔をしているのではないか、と疑わざるを得ない。顧客の利益より組織の論理を優先する内向きの姿勢が浮かび上がる。欲得で結びついた関係は、それがお互いの利益を生んでいる以上、崩しようがないほど堅固なものである。
特に被告回答文書(2004年11月19日、大島聡仁作成)では「今後のお電話での連絡窓口につきましては東急リバブルお客様相談室迄お願い申し上げます」と一方的に限定している。しかしお客様相談藤田室長代理は原告に対して「東急リバブルは無関係だから対応できない」と回答した。
そのような何ら権限・責任のある対応ができない部署を担当窓口に指定することは、伝達に迂遠なフローを追加し、時間稼ぎになるばかりではなく、大島が誠意を持って対応する意思がないものと判断せざるを得ない。
そもそも大島は、面識もないのに関わらず一方的に担当とされたが、真面目に対応する意思が感じられないどころか悪意さえ感じる。大島は書面での回答は催促されるまで放置し、直接の電話には出ず、無関係の部署を窓口とすることで、時間稼ぎにより時効期間がひたすら過ぎ去るのを待っているのではないかという疑念も浮かぶ。
窓口をお客様相談室に限定した件については、原告の抗議を受けた後、被告回答文書(2004年12月16日)にて「第四に弊社担当窓口の件ですが、平日については打ち合わせ等業務が多く席を外す場合もございます。ご伝言頂ければ折り返しお電話させて頂きたいと思います」と変更された。
アルス東陽町の担当者を自称する大島は2003年8月に担当者の関口と入れ替わりにチームに入ったとされる。原告に対しては2003年4月に交代したと説明したが(渋谷での協議2004年12月12日)、隣地所有者に対しては8月と答えている(2005年3月16日)。
大島は隣地所有者とは一度も会ったことはない。つまり大島はアルス東陽町に関して何も知らない人間なのである。大島は何も知らないため、のらりくらりと逃げ回った。原告は何も知らない人間を相手に無駄な時間と多大な労力を費やし、血のにじむ思いをしながら、東急不動産の見え透いた嘘を暴いていった。
【引継ぎ】東急リバブル・被告共に担当者を一方的に指定・変更する上、新旧担当者間の引継ぎが何らなされていない。そのため前任者との約束が全て反故にされている。新たに担当になるならば、引継ぎくらいはきちんと行うべきである。
第一に、東急リバブル宮崎英隆との間には回答は原告の実家宛に郵送するよう約束していたにもかかわらず、新たな担当者と自称する被告住宅事業本部第四事業部大島は全く無関係な別の場所に回答を送付し、その結果、原告が回答を受領するのを遅らせる結果となった。卑劣な時間稼ぎである。
第二に、大島には手紙で連絡先の電話番号を記載したにもかかわらず、全く別の電話番号にかけてきた(2004年11月19日)。指摘しても自己の誤りを認めず、「次からは気をつける」と言うのみで謝罪の言葉すらなかった。
第三に、大島は原告の依頼事項に対し理由を説明することなく無視した。原告は宮崎英隆と今井に対し、隣地所有者に事実関係を直接確認することを依頼し、了承を受けた(2004年9月19日)。その後も宮崎英隆には電話で依頼し、宮崎英隆は了承している(9月30日)。しかし大島は何ら履行しないどころか履行していないことの理由も説明しなかった。
第四に、原告は大島に連絡を取るために電話をしたが、大島からの被告回答文書に記載された番号にかけたにもかかわらず、一度もつながったことはない。電話をかけても決まって留守である。いつも打ち合わせか外出と回答され、戻る時間を確認しても「いつ戻るか分からない」と応えるのみで、取り次ぐ意思さえ示さない。
大島以外の担当者を尋ねても「大島以外はいない」と回答したが、そもそも原告は東急リバブル・今井より被告の体制は松岡リーダー、野間係長、関口と説明を受けている。また、12月12日の協議では林リーダーが責任者でその下に野間課長がいるとの回答を受けた。野間係長と野間課長は役職が違うが、同一人物である。そもそも大島自身、マンション建設時の担当者ではなく、隣地所有者と会ったこともないと認めており、担当者として失格である。
抗議をしても「外出や打ち合わせ等業務が多く席を外す場合もございます」と開き直り、東急リバブルお客様相談室に電話をかけろと一方的に指定する(被告回答文書)。つまり自分では対応する意思はないということである。
【行政指導による豹変】被告は原告に対しては不誠実な対応を貫くが、行政指導が入ると手のひらを返したように態度を豹変する。原告と被告の協議は二回なされたが、何れも行政指導が入った後である。行政指導が入らなければ協議にすら応じないのが被告の体質である。
原告は2004年9月7日に国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課に電話で相談し、本件経緯を報告し、善処を要望した。この監督官庁への働きかけは直ちに効果を発揮し、五日後の13日に東急リバブル住宅営業本部営業第五部・宮崎英隆が原告宅を訪問することを約束した。訪問は9月19日になされ、東急リバブル・今井由理子、宮崎の訪問を受けた。この協議の冒頭で今井は「国土交通省からの指導により、説明するように言われて来た」と発言している。
その後は書面を中心にやり取りがなされたが、被告の一方的な指定により、担当者が被告住宅営業本部大島聡仁に変更されてからは書面の回答は遅れがちで、ようやく届いた回答も質問にほとんど答えていないものであった。そのため、原告は東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課を訪問し、被告の不誠実な対応を訴えた。東京都都市整備局の指導を受けて被告は東急リバブルお客様相談室・藤田室長代理を責任者として協議を求めてきた。
これが12月12日の協議である。被告側出席者は被告住宅事業本部第四事業部グループリーダー・林正裕、第四事業部課長・野間秀一、大島聡仁、東急リバブル住宅営業本部事業推進部契約管理課・栗原眞樹課長、宮崎英隆である。責任者であるはずの藤田室長代理は欠席した。
協議の席上、林は都庁の指導を受けたために協議となったことを認めた。むしろ行政にうるさく言われているために、やむなく会ったという感じで特別な進展はなかった。最後には林が「後は弁護士でも都庁にでも、どこでも好きなところに行ってください」と言いつのり、一方的に協議を切り上げた。
顧客の理解と納得を得るためには緻密で慎重な協議が欠かせないはずである。しかし被告の不誠実な態度からは、話し合いは形式的に開催すればよいのであって中身はなくてもよい、と考えていることが明白である。
【国土交通省への報告書】被告の不誠実さは国土交通省への対応にも現れている。本件に関する国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課の調査・行政指導に対して、被告と東急リバブルは連名で報告書を提出した。
この報告書には、隣地所有者の「資金調達困難」を理由として建替えを購入者に説明しなかったと書かれてあり、虚偽であるだけでなく、隣地所有者を資力のない人間のように貶め、侮辱するものであった。そのため、当然のことながら隣地所有者の強い抗議を受け、被告は隣地所有者に謝罪し、訂正を約束した。
この報告書について、大島は隣地所有者に対して「井口法律事務所の井口寛二弁護士が書いた」と回答した(2005年2月15日)。一方、林は隣地所有者に対して「何が書いてあるか分からない。弁護士と大島が勝手に書いた」と回答した(2月18日)。
林は原告に対してはアルス東陽町の責任者であると説明している(2004年12月12日)。これが事実であるとすると責任者が全く目を通さないで報告書が国土交通省に提出されたことになる。被告の無責任さを物語る事実である。
被告は客を客とは思わない無礼な態度で対応している。相手の誇りを泥靴で踏みにじるやり口である。無礼な態度に対しては、厳しく対処する必要があると感じざるを得ない。
第一義的には担当者を自称する大島聡仁個人の資質によるものであるが、被告の監督責任も当然に問われる。当人に最大の問題があるのは言うまでもないが、悪徳不動産業者の体質が問題を招いたことも間違いない。担当者として適格性に問題はなかったのか、被告は従業員の適性判断や指導を軽く見ていると疑われても仕方ないだろう。不良従業員を漫然と放置する企業の責任は重い。
組織が引き起こした事件では、実行責任を明らかにするのは当然である。しかし、そこには必ず管理責任があることを忘れてはならない。管理責任はむしろ実行責任より重いものでなければならない。何故なら資質が問題視される従業員を採用し、当該従業員を教育訓練し、就業させたことは全て組織の権限でなされたものであるからである。
会社の善し悪しは営業の善し悪しで分かるものである。営業の教育ができているかどうかで、会社の質は分かる。営業態度も含めて社員教育に問題がある会社なら、物件の品質も期待することができない。
しかし被告の場合は狡猾なことに販売代理を東急リバブルに丸投げしており、契約時には消費者の前に現れてこない。原告としても大島のような無礼かつ無反省な人間が販売時に出てくれば購入をためらったであろうことは、地球が自転することと同じくらい確実である。
【追伸の使用】被告回答文書(2004年10月15日、大島聡仁作成)は内容もさることながら、形式上も無礼極まりないことに文中に追伸を用いている。
追伸は正式な文面や目上の人に対して使用してはならないものである。これはマナーの初歩であり、誰もが知っているビジネスパーソンの常識である。常識であるにもかかわらず、あえて無礼な表現を使用するということは、相手に敬意を払う意識が皆無であると結論できる。
このような表現は読む者をして怒らせるために書いたとしか思えない。相手を怒らせるために、しかも極めて陰惨な怒気を誘発させるために、わざわざ書いたようなものである。人間の精神的な価値が破壊されたことによる痛みは容易には治癒されないことを認識すべきである。
仮に大島が無知から無礼な表現を使用したと、善意に偏った解釈をしたとしても、それは大島が社会人失格であることを示すものに過ぎない。そして、そのような本来ならば窓際に追いやるべき、又はリストラされるべき、礼儀知らずの人間を担当者として回答文を書かせること自体が被告の不誠実な対応を示すものである。
【回答の遅延】被告は原告からの質問に対し、全くといっていいほど回答しておらず、毎回同内容の回答しか出さない。こちらの手紙を読まなくてもかける程度の回答に半月以上かけて一言のお詫びもない。
大島は一一月五日に原告からの手紙を受け取っておきながら半月程度放置し、手紙の到着や回答予定の連絡すら伝達しなかった。半月も間があるのに、何故出来ないのか理解に苦しむ。その他諸々もやる気あるのだろうか。
原告は電話で確認及び催促をしたが、「不在」を理由に取り次ぎを拒否され、連絡できなかった。十分な時間があるのに、回答を遅らせるのは、単なる嫌がらせか、職務怠慢のどちらかと受け取られても仕方のない行為である。
被告の回答は11月21日になって漸く原告の下に届く(作成者大島、作成日付11月19日)。しかし内容は三行半的な簡素なもので、こちらの契約解除申し入れ及び質問には何ら回答していないものであった。内容には新味がなく、誠実さを欠いた回答との印象を与える。しかもこちらが催促するまで半月以上放置したにもかかわらず、その回答の手紙には回答遅延に対する一言のお詫びもなかった。
回答遅延に対して大島は、原告に対し電話で、法律上の問題など難しい問題があるため、回答に時間がかかるのは当然と言い張ったが、実際の回答を見る限り、半月の期間かけて慎重に検討したものとは思えない。以前の主張の鸚鵡返しに過ぎず、こちらの文書を読まなかったとしても書けるものであった。
東急リバブル及び被告の不誠実な対応は自ら認めるほどだが、何ら反省していない。
被告は、被告回答文書(2004年12月16日)にて下記のように自社の対応を問題と認め、表面的には謝罪した。既に原告は何度も被告の不誠実な対応を非難しており、今さらの感が強いものである。後手に回った対応では不信感を払拭することはできない。
原告様からのご指摘がありましたご返事が遅れた点、これまでの弊社並びに東急リバブル担当の対応が不十分であった点、また、弊社と東急リバブルとの連絡が不十分であった点については深くお詫び申し上げます。今後このような事がないよう善処させていただきます。
「原告様からのご指摘がありました」と前置きしている点からは、不誠実な対応をとっても、消費者側から指摘がなければ何ら反省しない傲慢な態度を読み取ることができる。「不十分」という言葉を繰り返すが、どのように不十分だったかという説明は一切ない。何が十分でなかったのかは不明である。
失敗を失敗として認めなければ、改善も進歩もない。何が問題であったのかをきちんと分析しなければ改善策を打ち出すことはできない。逃げ回っている限り、問題が改善されることはない。ハムスターの「まわし車」のごとく、永遠に回し続けなくてはならない。
「お詫び申し上げます」と書いてあるが、後を読み進めても「お詫び」は一言も出てこない。「お詫び申し上げます」の後に「ごめんなさい」などの「お詫び」の文言が入らなくては意味がない。「お詫び申し上げます」は「お詫び」ではない。
本来、お詫びとは虚心坦懐、心から相手に詫びる気持ちで書かなければ意味がない。しかし、被告の手紙は「お前がうるさく指摘するから仕方なく、形だけは詫びてやる」との本音が透けて見える。このようなものはお詫びではなく、ある意味、喧嘩状である。「許しを乞う」とは眺める山の端までの距離がある。
「反省だけなら猿でもできる」とはよく言ったもので、反省の先に何があるかが大事である。既に信用は落ちているが、今後どのような配慮をするかで会社としてのあり方が問われる。トラブルがここまで大きくなった理由は、東急リバブル・東急不動産に対する不信感である。そのため、行動で示されない限り、何も言わなかったのと変わらない。自己満足のために相手を戸惑わせることは失礼の上塗りでしかない。
しかし東急不動産には問題の再発防止策は皆無で、言葉だけの無意味な謝罪で終わらせようとしている。表面的な謝罪により、事態が肯定的な方向に進むと楽観するならば、あまりにも安易な認識である。しかも善処するとだけは書いてあるが、対応を改めた様子は何ら見られない。
実際、2004年12月21日に回答の不備について再質問事項をメールしたが、一週間以上放置された。12月27日に東急リバブルお客様相談室に同内容の問い合わせをして初めて、翌日28日に1月10日までに回答する旨の返信があった。しつこく催促しなければ回答しない体質は何ら変わっていない。小手先の手段でトラブルを沈静化できる状況ではないことは判りきっている筈なのに、同じことを繰り返す。しかも一二月二八日のメールで「回答は差し控えさせていただきます」と今後の問い合わせに対する回答拒否を一方的に宣言された。
失態の教訓を何ら生かそうとはしておらず、本当に反省したのか、疑わざるを得ない。悪徳不動産業者は改心したり、行動パターンやものの考え方を変えたりすることはないようである。先ず反省の仕方から反省する必要がある。
東急不動産が謝罪を余儀なくされた原因の過半は大島聡仁・住宅事業本部第四事業部の不誠実な対応にある。しかし、この表面的な謝罪が書かれた被告回答文書(2004年12月16日)では作成者が記載されていない。これまでの回答文書では大島聡仁と記載されていたにもかかわらず、である。自分の名前では謝罪しない。会社の陰に隠れて逃げ回る。とことん性根の腐った卑怯な人格である。
【謝罪約束の反故】東急不動産は、二階及び三階購入者に建替え計画を説明するという隣地所有者からの依頼を一方的に反故にした。この点について、野間課長は「隣地所有者さんに対しては謝罪しなければならないと思っている」と発言した(渋谷での協議、2004年12月12日)。
しかし、この話も東急不動産により反故にされる。東急不動産回答文書(2005年1月7日)は「隣地所有者様へはこちらからご挨拶に伺う旨申し入れを行いました。謝罪するか否かについては原告様のご心配の及ぶところではございません」とする。
東急不動産は隣地所有者と取り交わした約束を勝手に破った。そのために原告は問題物件を購入し、取り返しのつかない金銭的精神的損害を被ってしまった。原告は三千万円近い高い買い物を騙し売りされた被害者であるのだから、加害者である被告が隣地所有者に対し、どのように謝るのか関心があって当然である。
実際に東急不動産が井田を通じて隣地所有者に謝罪の申し入れをした際は、隣地所有者は怒って「俺に謝るよりも、原告に先に謝ってくれ」と回答した。
被告は一方的に回答を拒否した。当初、原告は東急リバブル・宮崎英隆と書面で問い合わせをしていたが、一方的に担当者を被告・大島聡仁に変更されてしまう。しかし大島宛に書面を出しても返信がなく、電話をしてもいつも不在で連絡することができない状態であった。
そのため、原告は被告Webサイト問い合わせフォームより、問い合わせを行った(2004年11月22日)。大島に直接手紙を出した場合とは異なり、インターネット経由では対応がなされたため、以後は電子メールで問い合わせする形にした。被告が原告に回答する際の差出人メールアドレスはである。
しかし2004年12月21日の問い合わせに対しては、一週間経ても回答がなく、12月27日に状況確認の問い合わせを改めてしたところ、翌28日に被告メールアドレスJyutaku_Post@tokyu-land.co.jpから下記の返信がある。
12/21付 原告様よりEメールにてお問合せいただいた件につきましては、現在弊社顧問弁護士と打ち合わせ中ですので、平成17年1月10日迄にご返答させていただきます。
尚、今後この件については弊社顧問弁護士またはアルス担当者(林、野間、大島)に窓口を一本化して対応させていただき、Jyutaku Postからの回答は差し控えさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
ここでは窓口を一本化するとの名目により、今後の回答を拒否することを一方的に通告してきた。しかも一本化するといいつつ、「弊社顧問弁護士またはアルス担当者(林、野間、大島)」として一本化していない。連絡先も書いていない。これでは原告はどこに問い合わせすればよいかわからない。この後も被告から窓口及び連絡先の説明は一切なされていない。
しかも、そもそもメールで問い合わせすることになった経緯は、大島に直接手紙を出しても半月以上放置された挙句、まともな回答が返ってこないためである。過去の経緯を鑑みれば、大島に直接問い合わせしても、また放置されることは確実である。要するに被告は一方的に一切の回答を拒否したものと判断せざるを得ない。
被告の矛盾した対応の最たるものとして、示談の提示がある。被告は原告本人への対応と別の人に対する対応が全く異なり、原告を無視乃至軽視している。
被告は原告に対しては、一貫して協議による解決を拒否している。
渋谷における協議(2004年12月12日)において被告責任者の林リーダーは原告に対し、自社には全く非がないとして、「後は弁護士でも都庁にでも、どこでも好きなところに行ってください」と主張している。
その後、原告から交渉権限を委任された弁護士が電話した際も、対応した大島は「裁判所でお話します」と回答し、話し合いを拒否した(2005年1月24日)。
しかし、その一方で、隣地所有者に対しては繰り返し、原告との紛争の解決策として物件減価分の賠償による示談を考えている旨、発言している。少なくとも2005年2月に二回は話している。一回目は2月上旬に被告従業員大島から電話でなされた。二回目は林リーダーと野間課長が隣地所有者宅を訪問した際に口頭でなされ、「原告さんにも示談にしたいと隣地所有者さんから言ってくれませんか」と依頼までしている。
同旨の発言は、アルス二階購入者と被告との示談交渉の席上でもなされている。この交渉は2005年2月4日、江東区役所において二階購入者の委任を受けた代理人の元江東区議会議員と被告・林、大島との間でなされた。原告と元区議は委任関係になく、二階購入者とのトラブルについて協議されたものであるが、何故か被告は原告のことにも言及している。
損害賠償及び示談については、本人や弁護士への対応では全く出てこなかったものである。早期にこのような話があれば、原告としては現在とは異なる対応をとることができたかもしれない。しかし、そのような話は一切なかった。他の人に対して、本人へ言ったこととは全く別の説明をすることは全く理解できない。
本人への対応と隣地所有者への説明が矛盾する点については、被告が方針変更をしたと考える余地も皆無ではない。それならば林の発言(「後は弁護士でも都庁にでも、どこでも好きなところに行ってください」)を訂正するのが先決である。東急不動産には「あの時、こうしていれば、これほどの事態の悪化は回避できたはずだ」と反省する能力がないのだろうか。もっとも短期間の間に方針変更することは考えにくいし、逆に短期間のうちにコロコロ方針が変更するような会社は信用できない。
加えて、このような内容を先に他人に話すこと自体が無礼千万である。原告の問題については原告の委任者である弁護士に最初に伝えるのが筋である。当事者同士の話であるのに、原告側には何も連絡がなく、先に第三者に連絡するのは順番が逆ではないか。
原告との委任関係のない人に話をしたところで、何の解決にもならないどころか、無視された相手の反発を買うだけである。被告は原告本人や弁護士は話すに値しない相手として扱ったことになる。
被告には相手に配する気配りや配慮が皆無である。相手を無視した一方的な進め方にも被告の不誠実さが現れている。東急不動産は電話一本で済むことを実行できない。話す順序を間違えれば、それだけでまとまる話もまとまらなくなる。
自分の発言や行動がどのような結果をもたらすか、他人がどのように考えるかをまるで考慮していない。「それをやらなかったら、どうなるのか。それをやるためには、どういう段取りが必要なのか」という検討が完全に欠落している。
土壌汚染を隠してマンション「OAPレジデンスタワー」を販売した三菱地所、三菱マテリアルは購入者に対し、迅速に和解交渉を行った(「三菱地所など75億補償=住民側と和解で合意−土壌汚染隠し事件・大阪」時事通信2005年5月8日、「汚染隠し75億超で和解 三菱地所など支払い」共同通信2005年5月8日)。
補償金額75億円について木村惠司・三菱地所社長は「そこまでやらないと、お客様の信頼とか、社会的な信頼というのは回復できないと判断しています」と述べる(木村惠司「社会に遅れた土壌汚染対応」日経ビジネス2005年8月1日号132頁)。同じ悪徳不動産業者であっても、発覚後の対応には二流と三流の違いがあるようである。
【個人情報保護】消費者とのトラブルを都合よく歪曲して本人以外に伝える東急不動産には個人情報を保護する姿勢は全くないと言える。個人情報の漏洩が企業を揺るがす重大な問題となっているにもかかわらず、意識の低さには呆れるばかりである。
個人情報を扱う緊張感が欠けているとしか言いようがない。実際、個人情報取扱事業者を対象とした調査では、不動産業は個人情報保護対策が最も遅れている業種となっている(アビームコンサルティング「個人情報保護法に関する企業の対策状況分析レポート」2005年、7頁)。
個人情報保護は情報が漏らされたと感じる側の身になって考える問題である。個人情報が知らないうちに外に漏れたのでは、消費者は裏切られた気分になるし、企業への信頼も当然のように揺らぐ。個人情報をどれだけ機密度を高めて管理するかは企業イメージにも大きな影響を与えることになる。個人情報の管理が顧客の企業選択の基準にもなる。
「プライバシー保護のためにも、個人情報の管理厳格化は政府、自治体、企業の喫緊の課題と言っていい」(「個人情報漏出を厳格に防げ」東奥日報2004年5月17日)。個人のプライバシーを侵さず、人権を守る法の精神を企業は十分に認識すべきである。
本訴訟においても被告は相変わらず不誠実な対応に終始している。
本訴訟は2005年2月18日に提起されたが、被告の答弁書は、それからほぼ一ヶ月後の3月11日付けで出された。「請求の原因に対する答弁」では、「原告の請求を棄却する、訴訟費用は、原告の負担とするとの判決を求める」と真っ向から対立する主張をしながら、「請求の原因に対する認否」では「追って主張する」とするのみで具体的な主張を何ら明らかにしていない。ここでは不動産売買契約の成立さえ認めていない。
「請求の原因に対する認否」(請求の趣旨に対する答弁)は原告の訴状の中の「請求の原因」の内容をよく読み、事項毎に認めるか認めないかを答え、認めない場合はその論拠を挙げるものである。弁護士を三人も付していながら、不誠実極まりない応訴態度である。
また、本訴訟の第一回口頭弁論は3月23日13時半から東京地方裁判所5階518号法廷で行われたが、被告は欠席した。不誠実かつ卑劣な時間稼ぎであり、徹底した相手方当事者無視で、悪質かつ姑息な対応である。原告のみならず、裁判所も侮った行為で、極めて悪質である。
【被告準備書面のいい加減さ】被告(東急不動産株式会社)準備書面には誤字があり、内容も不実なことだらけで驚いている。被告には再調査を要求したい。もう少し正確に調べてほしいものである。
被告は2004年12月12日の協議の席上、アルス東陽町(本件マンション)担当者が途中で交代したと説明しており、前任担当者との間で十分な引継ぎ・情報共有がなされていないように見受けられる。担当者を自称する大島は全く何も知らない。被告住宅事業本部第四事業部の野間秀一課長・関口、被告窓口井田が全てを知っている。
【体質】被告は自社の利益のみを追求する不誠実極まりない体質の会社である。自社の利益のみを考えて都合の良いように行動する、騙し売りの常習犯である。顧客が損をしても会社が儲かればいいとする「自分さえ良ければ」の企業である。
消費者の損害は何ら考えていない。金儲けのために消費者を犠牲にすることを躊躇せず、消費者に損害を与えることに対する抵抗感が鈍磨している。隠蔽体質、古臭い体質、対話をもたない体質である。
東急不動産の「売ったら売りっぱなし、後は野となれ山となれ」という誠意のない対応については別件のトラブルにおいても強く批判されている。インターネットでは悪名高い悪徳業者である。
それぞれ別々の場所で発生したトラブルであるが、不誠実な対応の共通性から全て根っこではつながっていることがよくわかる。特に東京都江東区ではアルス東陽町、東急ドエル・アルス南砂サルーテ、プライヴブルー東京と集中的にトラブルを抱えている。
トラブルに業者がどのように対応したか、それによって業者の善し悪しが見えてくる。企業の体質そのものが問われる問題である。被告は不誠実極まりない体質の会社であると結論付けることができる。「身から出た錆」という言葉があるが、錆がでる前に企業の体質を改善することが本来のあり方である。
消費者の怒りは不正に対して向けられるだけではない。不正を生む体質にメスを入れようとしない経営姿勢に対しては、より一層厳しい批判が向けられることを覚悟しておかねばならない。雪印食品や日本ハムの牛肉偽装問題に対しては、偽装そのもの以上にその後の対応の不手際が槍玉にあがったことを忘れてはならない。
JR西日本の福知山線脱線事故及びその後の不誠実な対応に関連して、下記の新聞記事がある。「国交省の監督姿勢は、企業の「性善説」に拠って立ってきた。まさか重大ミスを隠し立てすることはないだろう、まさかウソはつかないだろうと。だがこの一年間、運輸業界ではその「まさか」が続けざまに明るみに出た」(「崩れた「企業性善説」」読売新聞2005年5月11日)。同じことは本件における東急不動産についても当てはまる。
【東急ドエル・アルス南砂サルーテ紛争】東急不動産が販売したマンション(東京都江東区)が引渡し後、僅か4ヶ月で隣地の再開発により日照が零時間となったため、購入者と東急不動産の間で説明責任をめぐってトラブルになったものである。
被害者団体である南砂環境対策協議会は、協議にすら応じない不誠実な対応を非難している(Webサイト「東急不動産&トピー工業に騙された!!『我ら!!日照ゼロ時間マンション購入者』」)。
「TVの取材が入った時には『住民からの要望があればいつでも話し合いをもちたい』と答えるが、その後も無視を続ける姿勢は一切変わらず。」
「東急不動産は、毎日新聞からの取材に対して、またも事実とは異なる受け答えを!!この期に及んでも、なんで、すぐにばれる嘘ばっかりつくんだろうか。」
また、住民の一人は毎日新聞の取材に対し、「誠意ある対応をしてもらえなかったのが残念」と回答する(「街が変わる 江東マンションラッシュ」毎日新聞2002年5月16日)。
このトラブルは各誌で報道された(「日照権をめぐるトラブル 事前説明のないマンション建設」日本消費経済新聞2000年7月3日、「入居後に環境激変で住民訴訟 どこまで許される営業トーク」週間ダイヤモンド2000年10月14日号)。
【東急リバブル迷惑隣人説明義務違反事件】被告の子会社であり、本件においても販売代理を務めた東急リバブルについても説明義務違反を問われたトラブルがある。
隣人が大の子ども嫌いでトラブルを引き起こすことを知らされずに住宅を購入させられたとして、中古住宅の購入者が、売主と売買を仲介した東急リバブルに、購入費など約2800万円の損害賠償を求めた事案である。
男性は2002年に東急リバブルの仲介で2階建て住宅を購入した。この際、東急リバブルなどは隣の住人が「子どもがうるさい」と怒鳴ったり、洗濯物に水を掛けたりするなどの迷惑行為を繰り返し、売り主が警察や自治会に相談していたことなどを知らせなかった。男性は契約後に気づき、隣人から子供が五月蝿いとの理由で、男性の住宅内に水を撒くなど嫌がらせを受け、警察官を呼ぶ騒ぎとなっており入居を断念した。
売買交渉の際、報告書には「隣人から騒音などによる苦情あり」とあったが、売り主は「子供がうるさいと言われたことがあるが、今は特に問題ない」と説明。「子供に対して苦情を言ったり洗濯物に水を掛けたりするなどの隣人の特異な行動を説明せず、男性に隣人との問題はないと誤信させた」。同社担当者も訂正や追加説明をしなかった。
大阪高裁は原告敗訴の一審判決(大阪地裁)を退け、東急リバブル側に456万円の支払いを命じる判決を下した。一審判決は「隣人のことは重要事項説明書に一部記載があり、説明を怠ったとまではいえない」と認定していた。
判決は「重大な不利益をもたらすおそれがある事項を十分に説明しなかった」「東急リバブルの担当者は契約の際、隣人の苦情のせいで別の購入希望者との売買が流れたことを説明しなかった」「子供に対して苦情を言ったり洗濯物に水を掛けたりするなどの隣人の特異な行動を説明せず、男性に隣人との問題はないと誤信させた」と認定した。
「重要な事項について、故意に事実を告げ」なかったとして、買い手に対する説明義務違反にあたると結論づけた(宅建業法47条)。そして不動産価値の減価分(2割)である456万円を損害として認めた(大阪高裁判平成16年12月2日)。
東急リバブルは「大変意外な判決で驚いている。上告を前提に対応したい」と談話を出した(「「子ども嫌いの隣人」知らせず住宅販売 業者に賠償命令」朝日新聞2004年12月03日)。購入者に不利益となる事実を告げずに販売したことに対して何ら非を認めていない。
【多摩川園ラケットクラブ閉鎖強行】東急不動産は、テニスクラブ「多摩川園ラケットクラブ」(東京都大田区田園調布)を経営していたが、1999年12月27日に2000年3月31日でのクラブ閉鎖と会員契約解除を一方的に通知した。理由は赤字運営とする。
最初の通知は1999年12月26日にメンバー会役員会に対してなされた。メンバー会役員たちは驚愕し、閉鎖決定の撤回を求めて激しく抗議した。しかし東急不動産との話し合いは平行線のまま、約一時間で決裂した。その翌日、東急不動産は閉鎖通知を会員1300人に発送した。会員らは「一方的通告」と猛反発し、「閉鎖反対委員会」を結成、会員の半数近くが加入した(約1300人中約600人)。
会員の半数近くが反対委員会に加入する騒ぎになるとは、明らかに東急不動産の段取りが悪いと言える。実際、毎月会員に送られてくる「多摩川園ラケットクラブだより・12月号」には家族会員登録の勧めが記載されており、クラブ側は直前まで会員募集の活動を行っていた(「さまよえるテニス難民」T.Tennis 2000年11月号)。
2000年2月1日、会員は東京地裁にテニスクラブ運営継続と会員地位確認の仮処分申請を行った(「閉鎖通告に怒りの仮処分申請 田園調布のテニスクラブ 「合意違反」と748人、中には石原知事も」朝日新聞2000年2月2日東京本社第14版26面第2社会面)。その後、2000年3月15日、東急不動産は、「多摩川園ラケットクラブ」を山梨県河口湖町の不動産会社に92億円で3月中に売却すると発表した(朝日新聞2000年3月16日東京第14版37面第3社会面)。
訴訟中は「会社側からは、いろいろな妨害がありましたし、あの手この手で、早く皆さん退会しなさい、しないと入会金が返らなくなりますよと言わんばかりのこともありました」と原告の一人は語る(テニスシンポジウム「「テニス難民」を考える。」2000年7月2日)。
被告はマンション建設にあたり、地域社会からの建設反対運動にも直面している。この反対運動への対応においても、被告の不誠実さは強く批判されている。これは東急不動産という会社が周囲の住環境に対し、いかなる姿勢で事業を行う企業か、端的に示している。近隣への配慮があまりにもなさ過ぎる。地域住民の意思を置き去りにして進められる開発には疑問を抱かざるを得ない。
【鷺沼ヴァンガートンヒルズ住民紛争】東急不動産らによる巨大マンション建設計画(川崎市宮前区鷺沼4丁目)に対する、地域住民らによる反対運動が生じたトラブルである。
反対運動主体である「鷺沼地域の住環境を守る会」は東急不動産の矛盾した説明を非難する(Webサイト「鷺沼ヴァンガートンヒルズ住民紛争ホームページ」)。
「公開空地は、企業採算を目的としたもの、新築マンションの商品価値を高めるためのものである」と東急不動産・鎌野部長は明言しました。
「公開空地は地域環境のために設けます。これは地域環境の向上につながります。」と条例準備書と見解書に大いばりで明記してあったのは、一体、何だったんでしょうか。これは住民および行政を欺く、明らかな虚偽記述です。こんな姿勢の企業が大手を振って“企業活動”を続けていることに大いなる疑問をいだきます。
このトラブルでは地域住民が被告らに対して、景観権ないし景観利益を侵害する建築物であること等を理由とし、高さ15mを超える建物の建築禁止を求めて東京地裁に提訴した(2003年4月22日、平成15年(ワ)第8805号)。訴訟は被告側の事業中止により、取下げとなっている。
【プライヴブルー東京】東急不動産の事業強行に対し、江東区が事業者名を公表して、購入検討者に警告した事例である。
江東区は東急不動産が計画している豊洲四丁目のマンション計画「プライヴブルー東京」について、当該マンションに入居される児童等の学校への受け入れが困難であることを公表した(「江東区の協力要請に応じないマンション事業計画に係る公表について」2003年12月3日)。東急不動産の事業強行に対し、江東区は入居する住民に多大な迷惑をかける可能性が高いため、行政としての説明責任を果たす観点から、公表に踏み切った。
江東区では、区内の工場跡地等に短期集中的に次々とマンション建設が計画され、学校等への受け入れなど、行政としての対応も限度を超えている。「ここ数年来のマンション建設急増に伴う人口増加は、学校や保育園の収容対策等に支障をきたす状況を生み出し、区政の新たな課題となっています」(室橋昭「さらに夢のある江東区を目指して」こうとう区報1442、2005年4月11日)。
そのため、区住宅建設条例では学校受け入れが困難な地域では条件が整うまでの間の建設の中止・延期や、大企業が工場を撤退させた跡地につくる大規模開発地域では学校用地を提供することなどを求めている。
区は被告に対しても事業の中止又は延期の協力を依頼したが、被告は区の要請に何ら応じず、自社が定めた当初の予定通り2005年3月入居を前提に事業を強行した。江東区は「建設するな」ではなく、学校が足りないのを放置していたわけでもなく、急いで小学校を建てるから、それまで待って欲しいと譲歩したが、それをも無視する。
他のマンションデベロッパーが、江東区の要請を受けて、区の住環境保全のための協議に応じている。実際、プライヴブルー東京の隣に建てられた東京フロントコートは譲歩してほぼ一年入居を遅らせた。しかし東急不動産はそのような姿勢を示すことなく拒絶を続ける。
役所がここまですることはめったにない。地域住民による強力な建設反対運動が起きているところでも、行政の対応は及び腰であることが悲しい現実であるのに、行政にここまで書かせるのは被告の対応が余程悪かったことをうかがわせる。
尚、アルス東陽町の販売担当者で原告に重要事項を説明した東急リバブル住宅営業本部営業第五部・宮崎英隆はこのプライヴブルー東京の販売担当者でもある。宮崎はその後、グランディスタ青葉台の販売担当者となった。
【湘南袖ヶ浜レジデンス】被告らが神奈川県平塚市にある旧杏雲堂平塚病院(現ふれあい平塚ホスピタル)の敷地内に予定されているマンション「湘南袖ヶ浜レジデンス」建設計画に対し、地元住民による反対運動が展開されている。
湘南袖ヶ浜レジデンスは、ふれあい平塚ホスピタルの敷地内に3棟(333戸)が建設され、このうち東側道路に面するA棟の一部は、地上16階建て高さ49.13メートルとなる予定である。
建設計画地周辺は平塚を代表する街並みが形成されている。計画地の東側道路は、平塚駅から海岸へと伸びる海へのシンボル軸(湘南なぎさプロムナード)で、「湘南ひらつか都市景観基本計画」に基づき景観モデル地区に位置づけられている。南口の顔となるメインストリートである。戦災復興で道路幅が広く、閑静な住宅街が広がる地域である。統一感があり、目に優しくてホッとする町並みである。ゆとりを感じさせる街である。
超高層の建築物は駅南口エリアにはほとんどない。そのため「広々とした空や松林といった市民の貴重な財産である住環境が失われる」と周辺住民は反発する。巨大マンション建設により、日影の問題も深刻になる。道路を挟んで東側の湘南高浜台ハイツの1号と5号棟、さらに計画地の北側と西側も日影になる。また、病院跡地ということで医療廃棄物による土壌汚染も地域住民は懸念する。
現在、袖ヶ浜自治会及び湘南なぎさプロムナードの環境を守る会を中心に反対運動が展開されているが、被告は第一回住民向け説明会(平塚商工会議所大ホール2005年1月28日)に一人も出席者を出さないほどの不誠実な対応ぶりである。
平塚市は「周辺と調和するような建物にしてほしい」とマンション業者に要請している。市都市政策課でも「周辺の街並みに合ったふさわしいところまで下げてほしい、とお願いしている」「この地域は周りに高い建物がないので、突出するだろう。市の重要な景観地区なので、粘り強くお願いしていく」とする(「杏雲堂病院跡 高層マンション建設」湘南新聞2005年2月5日号)。
平塚市議会では3月定例会において、平成17年請願第4号「「(仮称)平塚袖ヶ浜計画」についての請願」及び平成17年請願第5号「「(仮称)平塚袖ヶ浜計画」に伴い損なわれる地域の景観の保存、生活環境の保持を求める請願」が趣旨採択された。請願は景観や松の緑を保ち、当地域の街並みに合った高さへの変更を求めるものである。
被告の商法は犯罪にも該当する悪質なものである。被告の行為は法律を無視した犯罪である。隣地建替えを知っていたにもかかわらず、二階及び三階の購入者には説明せずに騙し売りをした。明らかに故意であり、詐欺罪(刑法246条)及び説明義務違反(宅地建物取引業法80条)に該当する。極めて巧妙、狡猾で、一般消費者である被害者の心理を手玉に取る悪質な犯行である。
大切な顧客である消費者をカモにする被告の商法は、商道徳上、許されるものではない。その悪質な手口には、深い憤りを覚える。東急不動産は原告に莫大に損害を与えたにもかかわらず、罪悪感は皆無である。東急不動産には一切非はないと言い張っている。それどころか「一方が壁で塞がれても、西側があるから我慢しろ」と被害者感情を逆なでするような回答をよこしてくる。
東急不動産は利益を得たいがために法律を無視して一般消費者に問題物件を騙し売りした。購入者が正当な苦情を寄せると嘘でごまかし、居留守・たらい回しで逃げまくる。知識のない消費者に諦めて泣き寝入りさせるように仕向ける。
人の道に外れることをしてしまった人間を目の前にして、同じ人間として非常に残念に思う。これまでも東急不動産の悪行に泣き寝入りした被害者は数知れないほど存在する。今までの悪行の数々を反省して罪の償いをさせるために刑法を適用してほしい。
【詐欺罪】嘘をついて不動産を売ってはならないのみならず、不利なことを知っていた場合はその事実を隠してもいけない。どちらも買主にとっては詐欺である。詐欺は積極的に事実と異なることは信じ込ませる場合だけでなく、何も言わないことにより当該事実が存在しないと誤信させる不作為の場合にも成立する。知っていたのに告げなかったということは故意である。過失ではなく悪質な詐欺行為だから、どのような弁解も謝罪も通らない。
「詐欺罪のごとく他人の財産権の侵害を本質とする犯罪が処罰されるのは、単に被害者の財産権の保護にあるのではなく、かかる違法な手段による行為は社会の秩序を乱す危険があるからである」(最高裁判決S25.7.4)
「商品の効能などにつき、真実に反する誇大な事実を告知して相手を誤信させ、金員の交付を受けたときは、たとえ価格相当の商品を提供したとしても、真実を告知したならば相手方は金員を交付しなかったであろうような場合には、詐欺罪が成立する」(最高裁判決S35.9.28)
都合の悪い事実を隠して問題物件を販売し、発覚しなければ「後は野となれ、山となれ」で、発覚したならば、その時点で損害だけ払えば済まされることになれば詐欺をした方が得ということになる。その結果、世の中に被告が行ったような詐欺的商法が蔓延することになる。万引きして見つかったならば金を払えばいいという訳にはいかない。
以上述べた通り、被告が本件マンションに関する不利益事実を十分に知っていたにもかかわらず、告知すれば売れなくなるために故意に告げなかったことは明白である。被告が「事実を告げると売れなくなる」「本当のことを言ったら価値が下がる」との論理から告知しなかったことは明らかである。不利益事実を故意に隠蔽して問題物件を販売したという事実だけでなく、不正を隠し続け、責任を逃れようとする、救い難い企業体質も明らかになった。
速やかに原告の請求を認容する判決をされたい。原告としても本訴訟において、早期の紛争解決と不動産市場の健全化を実現するために、最大限の努力を行うつもりである。
原告は、国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課に対し、被告及び東急リバブルの本件違法販売について情報提供を行った。その際に本件訴訟の判決によっては被告及び東急リバブルの処分を検討することになるので、判決が出たら連絡するように国土交通省担当者から依頼されている(2005年2月9日)。本件訴訟の帰趨が不動産取引市場の健全化にも影響を与えうるものであることを踏まえた上での審理をお願いしたい。