This site hosted by Free.ProHosting.com
Google

東急不動産に騙された被害者の手記(経緯編)

 

目次

 

... 2

アルス建設の紆余曲折... 3

建設地譲渡... 6

東急不動産窓口... 7

工事着工挨拶... 9

関係機関との経緯... 11

隣地建替え計画... 13

窓と塀の調整... 16

建設時の経緯... 18

アルス販売不振... 20

青田売り... 22

不幸の購入... 23

東急リバブルの他社非難... 26

物置との虚偽説明... 27

契約締結... 29

暗黒... 32

東急リバブルの責任逃れ... 33

建替え未定との回答... 36

再調査要求... 37

責任逃れ... 38

原告の指摘... 39

東急リバブル来訪... 40

来訪... 42

確認事項... 45

東急リバブルの訂正回答... 48

隣地所有者への確認... 49

不誠実な対応... 50

無礼な回答... 51

契約解除申し入れ... 53

無責任な担当者... 56

半月遅れの回答... 58

インターネット... 59

Webからの問い合わせ... 59

社印付回答... 64

隣地所有者への確認要求... 65

消費者契約法に基づく契約取消し... 66

内容証明郵便... 67

メールでの再問い合わせ... 69

無礼な協議... 73

一方的な切り上げ... 89

回答拒否... 91

原告の反論... 93

回答拒否... 96

一方的な最終回答... 97

情報交換... 98

宮崎の矛盾... 100

提訴... 103

弁論開始... 105

偽りの謝罪... 106

国土交通省への虚偽報告... 109

隣地所有者との会話... 116

報道... 119

 

本書は悪徳不動産業者に騙されて屑同然のマンションを購入した経緯とその後の悪徳不動産業者の不誠実な対応を記録し、東急不動産及び東急リバブルの詐欺的商法を告発するものである。

悪徳不動産業者の詐欺的商法にみすみす引き込まれていく愚かな自分の姿を描くことは恥ずかしいものであるが、他山の石として役立てていただければ幸いである。失敗も含めて包み隠さず、赤裸々に記述するつもりである。別に自虐趣味があるわけではないが、それを書かなければ思いを伝えることもできない。

本件トラブルに関しては、不動産売買契約の取消及び購入代金の返還を求める訴訟を東京地方裁判所に提訴した(2005218日、平成17年(ワ)3018)。本書も裁判所に証拠として提出した「原告陳述書」(2005510日)、「原告陳述書(二)」(2005822日)の記述を利用している。

原告は本訴訟において、早期の紛争解決と不動産市場の健全化を実現するために、最大限の努力を行うつもりである。法的な解決は裁判所においてなされることになるが、それとは別に悪徳不動産業者の詐欺的商法及び不誠実な対応を広く世に警告したい。

本書の執筆は公共の福祉に合致するものであり、その内容は全て事実に基づくものである。社会的に不都合な記述は何ら存在しない。但し、本書に登場する固有名詞には仮名にしているものがある。

 

アルス建設の紆余曲折

【建設地】マンション「アルス」建設地は元々、株式会社土井製作所(東京都江東区)の社員寮など数筆の土地から形成されていた。当初の所有者はデツク株式会社(東京都江東区)であったが、200228日に売買により、ハヤタ工業株式会社(大阪市北区)に所有権が移転している。

康和地所が江東区に提出した景観計画届出書(2002729日)に添付された現地写真(200242日)では5階建ての建物が建てられている。西側道路に面した部分は空き地になっていた。

敷地の北西端には工務店経営者(隣地所有者)の私有地がある。南東にも別人の私有地があり、住宅が建てられている。この両私有地とマンション建設地を合わせると正方形の敷地になる。

隣地所有者の土地には木造亜鉛メッキ鋼板葺き二階建て建物が建てられていた。この建物は住宅地図上「ソーコ」と記載されており、実際に工務店の倉庫(物置、資材置き場)として、木材等が保管されていた。

しかし人の出入りがない時の方が多いが、実際は保管だけでなく、隣地所有者及びその従業員により、材木を切るなどの作業も行われていた。その際は騒音が発生していた。また、土建関係者の溜まり場としても使われていた。近隣住民にとっては作業場として認識されていた。住民の一人は「近隣住民なら誰でも知っている作業場でした」と語る。

 

【康和地所の地上げ】最初にマンション建設に着手したのは康和地所株式会社(東京都千代田区、代表取締役夏目康広)である。康和地所は株式会社大京の取締役が退職後の1999年に設立した非上場企業である。

大京は1980年代後半にゴルフ場やホテルなどに投資して負債が増え、バブル崩壊後に不良債権化した(「大京、再生機構に支援要請 UFJの意向拒めず」朝日新聞2004929日)。産業再生機構の支援を受け、経営再建を図った(「株式会社大京等に対する支援決定について」2004928日)。

康和地所はリリーベル葛飾鎌倉サーモス、リリーベル津田沼サーモス、リリーベル墨田リバーコースト、リリーベル金城サーモス、リリーベル高円寺駅前サーモス、リリーベル宮城野サーモス、リリーベル小禄南サーモス、リリーベル王子神谷サーモス、リリーベル宮前ヒルズ等の物件を販売している。

康和地所は2002423日に売買により建設地を取得した。同日、康和地所を債務者とする根抵当権を設定した。根抵当権者は株式会社東京都民銀行で、極度額23500万円である。

康和地所は計画名を「(仮称)東陽一丁目計画」、マンション名を「リリーベル東陽町サーモス」とした。設計監理業者を株式会社SHOW建築設計事務所とする。施工業者は江東区長に景観計画届出書を提出した2002729日時点では未定となっていた。

5階建ての建物は遅くとも826日には取り壊されて更地になっている。これは康和地所が江東区長に提出した緑化計画書(2002826日)に添付された現地写真から判断できる。

当初、康和地所はマンション建設に当たり、隣地所有者の所有地及び南東の住居を含めた土地取得を目指した。しかし両私有地の所有者は土地に愛着を持っており、売却に応じなかった。南東の所有者は実際に住んでいたし、隣地所有者も現在の建物を建替えて住居兼作業場にする計画を持っていたためである。

北西と南東の土地を取得できなかったため、アルスの敷地は北西と南東の角を除いた部分という、いびつな形になっている。地上げに失敗した土地で見られるような虫食い状態とも評することができる。両私有地から見れば、アルスの敷地が三方から囲むようになっている。

ある住民は康和地所による土地買収を「地上げ」と形容する。但し、隣地所有者の土地については「はなっから土地が欲しい」という態度ではなかったと語る(20051217日)。

 

【隣地所有者への交渉】康和地所が最初に隣地所有者と接触したのは20028月前後である。井田伸介が近隣住民説明の担当者として説明に来た。康和地所の紹介パンフレットを持ってきた。隣地所有者は原告に「井田は三〇代後半くらい」と説明する(20051129日)。

井田から隣地所有者には土地の売却、等価交換の説明、工事の承諾、家屋調査の話などがあった。隣地所有者からは、土地は売却しない、等価交換もしない、マンション建設工事は承諾する、マンションが建ったらすぐ自分も建築するから家屋調査はいらない、という話をした。

井田「マンションを建てるために土地を購入させていただきました」

隣地所有者「図面はありますか」

井田「図面はまだできていません。マンションが八階になるか九階になるかも分からない」

隣地所有者がマンションの階数を知ったのは「お知らせ看板」の設置を見た後である。後に東急不動産は隣地所有者の建替計画が階数未定であったと主張するが、誤りである。階数が未定であったのはアルスの方である。

康和地所が隣地所有者に最初に求めたことは隣地所有者所有の土地の売却である。井田は「隣地所有者さんは土地を売らないでしょうね」と言ってきたので、「売らない」と答えた。

売却が断られると次に等価交換方式による土地譲渡を求めてきた。等価交換方式とは隣地を売却し、マンションの一室を隣地の地価分割り引いた価格で購入できるというものである。

等価交換方式で建てられた物件については、書籍では問題があると紹介されている。

       「買ってはいけない原則や教訓」として「等価交換ものは避ける」と記載する(根来冬二、買ってから泣かないマンション選び、築地書館、2000年、39頁)。

       「等価交換方式のマンションは要注意」(千代崎一夫、マンション管理氏が教えるだまされない鉄則100、講談社、2002年、197頁)。

等価交換方式のマンションでは一部の関係者が不当に有利な扱いになっていることが多く、民主的な管理組合運営が困難になるためである。「等価交換の場合、販売業者は地主の顔を立てながら仕事をするため、現場の監理、検査、見積もりのチェックなどが不可能なことが多い」とも指摘される(楜沢成明、マンションを長持ちさせる100章改訂版、鹿島出版社、1998年、217頁)。購入者には好印象を与えない方式にもかかわらず、隣地土地を何が何でも取得しようとした康和地所の焦りが感じられる。

井田「等価交換方式によれば二千万円でマンションの一室が買えます」

隣地所有者「土地を譲った上に、何で二千万円も出さなければならないのか」

井田「・・・・・・」

隣地所有者「こちらは三階建てに建替えるつもりだから、その上にマンションの部屋を作るのはいいですよ」

井田「そういうことはできません」

井田が断ったのは権利関係が複雑になるためである。このやり取りの後、すぐに被告とピーエス三菱に替わり、挨拶に来た。

 

【共同提案の誤り】東急不動産は康和地所が隣地所有者に共同開発の提案をしたと主張するが、これは誤りである。「井田氏は同隣地所有者と平成148月前後から同所有の敷地に関して、共同開発などを含めて接触を持っていた」(被告準備書面2005421日)。

康和地所が隣地所有者に求めたのは土地の売却と等価交換であり、共同開発の話はなされていない。上述の通り、等価交換には悪いイメージがあるので、「共同開発」というニュートラルな言葉でぼかそうとしたものと考えられる。

一方、東急リバブルは東急不動産が隣地所有者に等価交換を求めたとする。「東急不動産から隣地所有者様へ土地の有効活用の方法として等価交換方式で「一緒に建てましょう」と言いました。その際に隣地所有者様から等価交換ではなく、単独で「将来的に建替えたい」という希望はお伺いしました」(東急リバブル回答文書、宮崎英隆作成、2004924日)。

事実は「一緒に建てましょう」は「同時期に建てましょう」の誘いであって、宮崎の記述は誤りである。但し、ここでは東急不動産が等価交換を提案したとしている点に注意を要する。

 

建設地譲渡

【頓挫】康和地所の開発は頓挫し、建設地は東急不動産株式会社に売却された。建築確認付土地売買契約締結及び所有権移転が930日になされた(登記簿による)。

売却の経緯はマンション販売時には説明されておらず、パンフレットにも記述されていないが、最初からいわくありげな物件だったことがうかがえる。いわくつきの土地を安く買って言葉巧みに売り切るのは、東急不動産の得意分野である。

康和地所が建設地を売却した理由は不明である。これについては以下の噂が流れた。

康和地所は東陽町の開発に先行して江東区佐賀でもマンション「リリーベル門前仲町サーモス」を建設していた。200281日に着工のニュースリリースを発表している(「外断熱マンション第2弾『リリーベル門前仲町サーモス』の着工について」)。

このマンションは外断熱マンションで、高めの価格設定をしていた(3LDK5988万円)。この強気の価格設定が裏目に出て、売れ行きが悪く、東陽町のマンションまで売れ行き不振では体力が持たないため、譲渡したとの噂が生じた。

 

【外断熱】外断熱はコンクリートの外側に断熱材を取り付けた工法で、建物全体がすっぽりと断熱材で覆われることになる。コンクリートが外気にさらされないため、熱せられたり、冷やされたりされず、耐久性が向上する。躯体劣化が進まず、建物そのものが長持ちする。

室内側も温度変化を起こしにくく、空調費が抑えられる。結露も防ぎ、カビやダニの繁殖を抑制する。日本のコンクリート建築が全て「外断熱」になれば、ヒートアイランドも夏の電力危機も抑制できるとまで言われる。

外断熱はメリットが大きいため、欧米では主流になっている。しかし日本では採用例が少なく、内断熱が主流である。その理由として外断熱では手抜き工事が難しくなるからと言われている。内断熱は躯体に発泡ウレタン吹き付けて壁を貼ってしまえば、リフォームで剥がすまで中身が見えない。いくらでも手抜きができてしまう。

「外断熱工法が日本で普及しなかった根本的な原因は、旧建設省と大手ゼネコン各社や著名建築家等が大局的な視点を持たず、目先の収益を優先させたことにある」と批判されている(飯村直也「スーパーゼネコンが「外断熱」に転向する」財界展望200511月号50頁)。

康和地所はリリーベル東陽町サーモスを外断熱マンションとして計画していた。しかし、事業主が東急不動産に変わると建築コストを浮かせるためか、内断熱に変更されてしまった(東急不動産作成、住宅金融公庫東京支店宛「軽微な設計変更の届出書」20021121日)。譲渡前後を通じて総戸数27戸は変わらないが、エレベータも13人乗りから9人乗りに縮小された。東急不動産にとって建物の耐久性や日々の快適性は、一体設計上の優先順位で何番目に位置するのであろうか。

 

【東急不動産】東急不動産は東急グループの不動産会社である。アルスの開発プロジェクトは住宅事業本部第四事業部(当時)が担当した。中心的なメンバーは松岡リーダー、野間秀一課長、関口冬樹の三名である。

現在、第四事業部は存在しない。200541日付で用地買収専任の組織としての「情報開発第一部」「情報開発第二部」と商品計画専任の組織としての「計画部」に改組された(東急不動産株式会社「機構改革ならびに人事異動のお知らせ」2005325日)。

関口は東急不動産2004年度新卒採用サイトで紹介されている。それによると関口は1977年生まれで、1999年に入社した。趣味は「夏は顔に似合わずサーフィンを今年から始めました。冬はスノーボードとゴルフを特訓しようと思ってます」と記述する。全世界に公開されるWebサイトで恥ずかしげもなく「い抜き言葉」を使用する。知性のほどが窺えるというものである。

日本語の乱れは新聞社説でも嘆かれている。「学校教育と生涯教育のあらゆる場で、国民が美しく正しい日本語に触れ、学ぶ機会を増やす国語施策が求められる」(「日本語守る意識が高まった」読売新聞2005713日)。

 

【施工】施工会社は株式会社ピーエス三菱(旧三菱建設)である。東急建設らとともに八王子の公団建設マンションを施工した業者の一社である。同じ財閥グループにはクレーム隠しで社会から糾弾された自動車メーカーがある。

担当支店は東京建築支店(常務取締役支店長、中村純雄)である。現場代理人(工事所長)は山下洋史・株式会社ピーエス三菱東京建築支店工事第二部所長である。

 

【監理】設計・監理は株式会社SHOW建築設計事務所(昇建築設計事務所、東京都文京区、一級建築士・武内久)である。実際の担当者は金井昭彦、有限会社アトラス設計渡辺朋幸(構造担当)、名倉敬(意匠担当)である。

建築確認検査機関に提出した工事監理報告書では施工会社の山下所長が報告している(イーホームズ株式会社宛「建築基準法第12条第3項の規定に基づく工事管理報告書」200394日、報告者山下洋史・株式会社ピーエス三菱東京建築支店工事第二部所長)。監理のいい加減さを物語るものである。

 

東急不動産窓口

アルス建設時に東急不動産の代理人(窓口)として近隣住民と折衝したのは井田である。井田は元々康和地所の担当者であったが、アルスの敷地が被告に譲渡された後は、東急不動産の窓口として行動している。従って隣地所有者と井田とのやり取りは東急不動産とのやり取りである。

東急不動産は井田を康和地所担当者で、建設地売却後は引き継ぎとして活動していただけと主張する(東京地裁第2回弁論準備手続での被告代理人井口寛二弁護士発言、2005715日)。問題が発生した後になって、井田を東急不動産の人間ではないと責任逃れをするならば、近隣住民全員が騙されたことになる。

まずアルス建設地が東急不動産に売却された直後に、井田から隣地所有者に挨拶がなされた。そこでは建設地が東急不動産に譲渡されたこと、東急不動産の代理として今後も近隣の方の担当をすることが伝えられた。隣地所有者は井田が「東急不動産の代理」と明言したと語る(20051217日)。

隣地所有者は証人尋問(20051222日)において以下の会話がなされたと証言する。

井田「申し訳ありませんが、東急不動産に譲渡しました」

隣地所有者「譲渡したということは、新しい担当者が来るのですか」

井田「いいえ、引き続き私が東急不動産の代理として責任を持って担当します」

隣地所有者「東急の代表だね?」

井田「はい。自分がやります」

アルス建設工事開始に先行した2002117日、井田、被告担当者関口、施工会社ピーエス三菱担当者が隣地作業所に工事の挨拶に来た際、関口が「井田が東急不動産の窓口になるので、東急不動産に言いたいことは井田に言ってください」と説明している。

被告準備書面(2005414日)は「被告は、訴外隣地所有者と平成14117日頃面談し、訴外康和地所から事業引継ぎの挨拶をし」と書くが、その後も井田は被告の窓口として、隣地所有者と折衝を行っている。東急不動産が証拠として提出した乙第6号証にも井田が20021210日にも隣地所有者と面談したとの記載がある。

東急不動産からの近隣住民に対する要望(工事承諾書、地番変更の承諾書、越境についての覚書の署名押印等)は全て窓口である井田を通じてもたらされた。また、アルス居住者は東陽一丁目町会に加入することになっているが、アルス居住者が町会に入る手続きをしたのも井田であり、連絡先も井田になっている。

近隣住民から工事騒音がうるさいと苦情が来た際も、謝罪に赴いたのは東急不動産従業員ではなく井田であった。隣地所有者は「井田が泡くって謝りに来た」と形容する(20051217日)。

逆に東急不動産担当者の関口冬樹については、「大した仕事はしていなかった」と隣地所有者は語る(20051217日)。

被告は2005113日に本件トラブルに関連して隣地所有者宅を訪問して謝罪したが、この時の訪問者には被告従業員の関口、野間秀一、大島聡仁とともに井田も存在した。この事実は井田が被告にとって単に建設地の売主(康和地所)の担当者以上のものであることを示す。実際、訪問した際に井田は隣地所有者に対して「東急不動産の窓口です」と発言している。

 

【地域・住民軽視の姿勢】そもそも近隣住民との窓口という重要な仕事を他社の人間に任せっきりにしていた点にも、被告の地域・住民軽視の姿勢が看取できる。しかも、都合が悪くなると「康和地所の担当者井田」として逃げようとするのであるから、悪徳不動産業者にとって都合の良いことこの上ない。

東急不動産は他のマンションにおいても、近隣住民との窓口を他社の人間に丸投げしている。悪徳不動産業者の無責任な需要に対応するために、近隣折衝業務を受託する専門の会社まで存在する。悪徳開発業者は自らが正面に出ない限り、自分の手が汚れてないとでも思っているようである。

例えば東急不動産は「鷺沼ヴァンガートンヒルズ」(川崎市宮前区、土壌汚染発覚により建設中止)及び「湘南袖ヶ浜レジデンス」(神奈川県平塚市)において、株式会社メイズ・プラン(代表取締役平野直樹、宅建番号[神奈川知事]3-2037920021月現在)に近隣折衝業務を受託した。

 

【ブローカー】現在、「康和地所の担当者井田」は、康和地所に電話をした隣地所有者の話によると、既に康和地所にはいないとのことである(200411月頃)。書籍によると、下記のような人間が不動産業界にいるとのことである。

「営業マンの中には一匹狼的な営業マンもいます。完全歩合給で数社と契約し、たくさんの名刺を使い分けて営業するブローカー的存在です。彼らは不動産営業のプロで、名刺の会社に電話してもいつも留守です」(高橋達夫、悪徳不動産業者撃退マニュアル、泰光堂、2000年、99頁)。

マンション業者の株式会社フージャースコーポレーション(東京都千代田区)も創業当初は他社マンションの企画や住民説明を担当して稼いでいたという(「お客様の最高の笑顔を見るために…」ベンチャー通信13号、2005年、58頁)。

 

工事着工挨拶

【工事着工の挨拶】2002117日、井田が東急不動産・関口とピーエス三菱担当者を連れて突然挨拶に来た。ピーエス三菱担当者名は山下洋史・東京建築支店工事第二部所長とする説と柳澤とする説がある。隣地所有者は当初、原告に工事所長と説明していた。ピーエス三菱担当者は隣地所有者と直接話さなかったため、隣地所有者の印象は薄い。

三人と隣地所有者は隣地所有者所有作業所前の路上で立ち話をした。隣地所有者は原告に対し、「作業所には入れていない」と語る(200559日)。

隣地所有者と被告の話は工事を行う挨拶および「井田が東急不動産の窓口になるので、東急不動産に言いたいことは井田に言ってください」との連絡が主で、隣地所有者所有作業所前の路上で僅か数分間の立ち話であった。関口は「後で寄ります。じゃ」と出て行ったが、来なかった。

この立ち話について、東急不動産は「被告は、訴外隣地所有者と平成14117日頃面談」と表現する(被告準備書面2005421日)。隣地所有者と関口の「面談」が立ち話程度に過ぎないことは東急リバブル今井由理子も認めている。東急リバブル・今井由理子、宮崎英隆が原告宅に訪問した際(2004919日)に、今井は「東急不動産の担当者は関口だが、隣地所有者さんは、関口とは立ち話程度しかしていない」と発言している。

この立ち話において、東急不動産は「重要事項の説明のため本件北側建物建築(建替え)工事について、工事図面等を求めたところ、同氏から、まだ図面はないとのことのほか、融資をしてくれる金融機関がまだみつかっていないことなどの話を聞かされた」と主張する(被告準備書面2005421日)。

被告が隣地所有者に図面の有無を質問したとはあるが、「重要事項の説明のため」との説明は何らなされていない。この日は僅か数分の立ち話で、「重要事項の説明のため」の調査・確認というような重大なことは全く話されていない。

東急不動産が隣地所有者に図面の提示を求めたこともない。そもそも図面は工務店経営者である隣地所有者が描くもので、描こうと思えば何時でも描けるものである。

その後も隣地所有者は説明することを何度も依頼し、承諾を得ていたが、被告側から「図面がなければ説明できない」「金融機関が見つからなければ説明できない」というような条件をつけられたことは一度たりともなかった。

図面や金融機関は、売れるはずのない問題物件を売りつけるために、都合の悪い事実を故意に隠蔽して販売する詐欺的手法を正当化するために後からつけたものに過ぎない。

 

【会話内容】井田「ご挨拶に伺いました。紹介します」

井田は隣地所有者に関口、施工会社担当者を紹介した。

井田「アルスの工事ではご迷惑をおかけします」

関口「井田が東急不動産の窓口になるので、東急不動産に言いたいことは井田に言ってください」

井田(関口に)「渡辺さんも三階建てを建てるのですよ」

関口「いつですか?」

隣地所有者「アルスが建ったらすぐに建てます」

関口「図面はありますか?」

隣地所有者「ちゃんとしたものは、まだない」

関口「何故ですか」

隣地所有者「一年先の話なので、まだ書いていません。家族で一緒に考えた手書きのものならばあります」

この回答で関口は了解し、「図面がなければ購入者に説明できない」というような条件を持ち出すことはなかった。東急不動産は後にこのやり取りをもって図面の提出を求めたものと主張するが、実際は図面の有無を聞いただけである。現在に至るまで隣地所有者が図面の提出を求められたことはない。図面がないと二階、三階の購入者に説明できないという理由を聞いたのは2005年1月13日が初めてである。

関口「建てるなら一緒の時期に建てませんか。一緒の時期に出来たらいいえすね。色々お手伝いもできますし」

施工会社担当者「そうですね」

渡辺「だったら銀行でも紹介してよ(笑)」

これはジョークで言ったものであり、聞く側も理解した上で応じている。

井田「関口さん、どこか知っている?」

関口「(施工会社担当者に)君のとこは?」

施工会社担当者「……」

井田「また後で伺います」

三人は帰っていった。僅か数分の立ち話である。

 

関係機関との経緯

【江東区との経緯】2002619日、江東区長と康和地所の間で「中高層建築物の建設に関する覚書」が締結される。「近隣住民と誠心誠意かつ十分に精力的に協議を行い、紛争を未然に防止するよう努めること」(第4条)などが規定された。

717日、康和地所は江東区長に中規模建築物廃棄物保管場所設置届を提出する。

729日、康和地所は江東区長に景観計画届出書を提出する。

826日、康和地所は江東区長に緑化計画書を提出する。

1113日、東急不動産(担当者、関口冬樹)は江東区に「中高層建築物事業者変更届」を提出する。ここで江東区長及び康和地所「中高層建築物の建設に関する覚書」(2002619日)を引き継ぎ、遵守することを約束した。

1216日、東急不動産は江東区長に緑化計画変更届、中規模建築物廃棄物保管場所設置届を提出する。

 

【建築確認】アルスの建築確認申請は20028月にイーホームズ株式会社(代表取締役藤田東吾)に対してなされた。イーホームズは杜撰な審査で姉歯建築設計事務所による耐震データ偽装構造設計書を承認した民間検査機関である。手続は康和地所から委任を受けた株式会社SHOW建築設計事務所・武内久が実施した。委任状の日付は2002724日となっている。

建築確認は2002812日付で出された。確認検査員は佐藤忠である。その後、2002123日付、2003221日付で変更されている(イーホームズ株式会社作成、東急不動産宛「建築基準法第6条の21項の規定による確認済証」2003221日、確認検査員・佐々木和彦)。

1022日、康和地所からイーホームズ株式会社に事業主変更届が出される。変更理由は土地売却、変更期日は1022日、変更後の建築主は東急不動産である。

2003210日、イーホームズ株式会社により、中間検査(2002123日付建築確認)が実施される。中間検査は、建物の施工中に構造が建築基準に適合しているかどうかを確認する検査である。確認検査員は佐藤忠である。立会者は株式会社SHOW建築設計事務所・田中徹、株式会社ピーエス三菱東京建築支店・山下洋史である(イーホームズ株式会社「検査実施記録(中間検査I)」2003210日)。

314日、イーホームズ株式会社により、中間検査が実施される。確認検査員は佐藤忠、補助検査員は高村利昭である。立会者は株式会社SHOW建築設計事務所・名倉敬、山下洋史である(イーホームズ株式会社作成、東急不動産宛「建築基準法第7条の43項の規定による中間検査合格証」2003314日)。

94日、イーホームズ株式会社により、完了検査が実施される。確認検査員は本島司朗、補助検査員は小山勝宣である。立会者は名倉敬、山下洋史である(イーホームズ株式会社作成、東急不動産宛「建築基準法第7条の25項の規定による検査済証」200394日)。

98日、イーホームズ株式会社から東急不動産にエレベータについての「建築基準法第7条の25項の規定による検査済証」が交付された。確認検査員は向山賢である。

 

【着工】20021120日、アルスの建設工事が着工。但し東急不動産は12月に着工したと主張する(被告準備書面200578日)。販売時に配布された図面集では着工日は1120日である。

1128日、隣地所有者と東急不動産の間に覚書が交付される。これは隣地建物の庇がアルス側に越境していることを確認するものである。

1210日、本体杭着工。但し、これは東急不動産提出証拠(乙第6号証、井田真介作成、アルス東陽町の事業経緯)によるもので、未確認である。隣地所有者は「基礎工事が12月くらいに終わった。20032月時点では、まだ上には伸びていなかった。二、三週間で一階ずつ出来ていった」と語る(20051217日)。

 

【設計変更】アルスは数回設計変更がなされた。東急不動産作成、住宅金融公庫東京支店宛「軽微な設計変更の届出書」が三種類確認できる。

一回目は20021121日付けで出された。変更内容は配置の変更、面積の変更、高さの変更、住戸間取りの変更、外壁外断熱より内断熱に変更等、多岐に渡る。

二回目は200323日付けで出された。変更内容は三点である(1階床面積変更、1階間仕切壁変更、2-7階住戸C,Dタイプの和室を洋室に変更)。

三回目は822日付けで出された。ここで204号室及び304号室が1LDK+DEN302号室が2LDKとなった。

 

【消防署の指摘事項】200593日、東京消防庁深川消防署により、検査が実施される。立会人は株式会社ピーエス三菱東京建築支店・西原貴博である。検査結果として「防火管理者を選任して届出ること」「消防計画を作成して届出ること」の二点が指摘された(東京消防庁深川消防署長古家益夫作成、東急不動産株式会社取締役社長植木正威宛「検査結果通知書(防火対象物使用届けその1)」2003916日)。

防火管理者を選任しなければならない対象物は、その防火対象物に出入りし、勤務し、又は居住する者の数(収容人員)によって決まる(消防法第81項、同施行令第1条の2,3項)。一般にマンションでは収容人員が50人以上の場合が該当する。

東急不動産は消防庁への届出書で収容人員を一戸3人、合計81人としている(東急不動産株式会社取締役社長植木正威作成、東京消防庁消防総監宛「防火対象物使用(変更)届出書その12003828日)。このため、消防署から防火管理者の選任を指摘された。

 

隣地建替え計画

【建替えの説明】隣地所有者は東急不動産に対し、隣地を作業所兼住居に建替えることを説明し、マンション購入者に説明することの了解も取り付けた。関口とは挨拶程度しかなく、井田からも関口からも図面、銀行の話は一切なく、図面の提出を求められたことも一切ない。

隣地所有者「住居と作業所にする。マンション建設後すぐに建てる。住居と仕事場が一緒になるので、騒音が発生する」

井田「何階建てにする予定ですか」

隣地所有者「三階建てを建てる」

その後も井田は何度も「建物は三階建てですね」と確認してきた。その度に隣地所有者は「絶対に三階建てです。四階以上は建てない。だから二階、三階の人には必ず言ってくれ」と答えた。

「屋上はつくらない」とも言ったとされるが、この点は曖昧になっている。屋上の有無では大きな差があるので、まともな感覚のある業者ならば確認するのが自然である。

以下のやり取りもなされた。

「何で三階なのですか。五階くらいにして上を貸せばいいのに」

「階段をつけなければならないし、そのためのスペースも必要になる」

後に東急不動産は原告に対し、「あのくらいの敷地では三階までしか建てられない」と主張したが、そうであるならば何度も階数を確認する必要はない。隣地所有者は「建てようと思えば八階くらいまで建てることができる」と語っている。

 

【購入者への説明の約束】作業所に建替えられると、二階と三階の各部屋の日照・眺望は完全に遮られる。また、作業所になるので終日騒音が発生する。これらは購入者にとって重大な不利益となるため、隣地所有者は上記事項をマンションの購入希望者にきちんと説明することを依頼し、井田は了解した。

隣地所有者「後で何かあると嫌だから、二階と三階の購入者には必ず言ってください」

井田「責任を持って行います。必ず、絶対に言います。引継ぎはしっかり行います」

井田は「説明するためには図面が必要」というような条件をつけることなく、隣地所有者の依頼を了解した。その後も隣地所有者は二階と三階の購入者に建替え予定について説明することを井田に何度も強く念を押し、お互いに確認し合った。

東急不動産は「その後、隣地所有者様より具体的なお話をうかがっておりません」(大島聡仁作成、20041015日)と一度聞いただけのように主張するが、12月にも話しており、その後も繰り返し説明・依頼している。隣地所有者と井田は会う度に購入者に説明することを確認しあった。

今日に至るまで、井田は隣地所有者に「必ず、絶対に言います」と答えたことを否定したことはない(20051217日)。隣地所有者が何度も依頼したことは井田真介も認めている。「お会いする度に隣地所有者は心配されていまして、私の方にお話をいただきました」(井田真介証人調書19頁)。

後に隣地所有者は原告に対し、以下のように語る(200598日)。「後でもめないように伝えてくださいと依頼した。仲良くやれるように東急不動産から出された要望も快く承知した。隣ということで仲良くしていきたいから、アルスが建つまでに協力した」。

 

【重要事項説明の反故】東急不動産は隣地所有者には作業所と説明すると約束した。

井田「作業所であること、騒音があること、臭いがあることは重要事項で説明します」

隣地所有者「臭いって何だよ」

井田「塗料や木の臭いですね。住民から苦情が出ないように重要事項で説明します」

しかし、この約束は東急不動産により反故にされた。アルスの重要事項説明には一言も書かれていない。

 

【東急不動産の矛盾】隣地所有者は隣地建替えについて何度も説明している。隣地所有者が東急不動産の関口とは挨拶程度しかしていないが、東急不動産の窓口である井田とは何度も会っており、建替えの説明も二階と三階の購入者への説明の依頼も何度もしている。

この隣地所有者による東急不動産への説明回数について、東急不動産の説明は矛盾している。

原告宅訪問時(2004919日)に東急リバブル・今井由理子は、隣地所有者と東急不動産担当者は立ち話程度しかしていない、と原告に説明した。

被告回答文書(大島聡仁作成)では200211月に一度だけ聞いたように書かれている。実際は12月にも話しており、その後も繰り返し説明・依頼している。何度も説明している。大島は何も知らないので11月だけと思っているのか、嘘をついているのか、何れかである。

       東急不動産回答文書(大島聡仁作成、20041015日)「その後隣地所有者様より具体的なお話を伺っておりません」

       東急不動産回答文書(大島聡仁作成、20041119日)「平成1411月時点の隣地所有者様の発言より、建替えたい旨内容を聞いておりました」

しかし被告準備書面(2005421日)では二回程度と変更されている。「被告は、同隣地所有者から本件マンション建築前において二回程度本件北側建物の建築について事情を聞いており、その趣旨を本件契約における重要事項説明において、原告にも伝えていた」。

 

【工事承諾書】隣地所有者は東急不動産にアルスの工事承諾書を提出するにあたり、隣地建物の建替え予定を購入希望者に伝達することを条件として同意の印鑑を押した。「マンション購入者に説明することを条件として判を押した」とは隣地所有者の言葉である。工事承諾後も隣地所有者は建替えの話を何度もした。

工事承諾書提出の日時は不明である。東急不動産は1028日にマンション建設に関する同意書に調印したと主張する(被告準備書面200578日)。

 

【一緒に建てましょう】東急不動産は隣地所有者の建替え計画を聞くと、「一緒に建てましょう」と提案した。

これはアルスの建設と同時期に隣地も建てようという意味である。東急不動産は「一緒に建てましょう」を等価交換方式の意味であると主張する。「東急不動産から隣地所有者様へ土地の有効活用の方法として等価交換方式で「一緒に建てましょう」と言いました」(東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004924日)。

しかし等価交換方式では、建てるのは東急不動産のみで一緒に建てることにはならない。従って、この提案は等価交換方式の提案とは別のものである。隣地所有者も等価交換方式の提案は康和地所からはなされたが、東急不動産からはなされていないと主張している。

この提案に対し、隣地所有者は以下のように答えて、断った。

「土台が緩むといけないので、マンションが建ったらすぐ建てる。マンションが建ってからだから、どうせ一年後になる」

井田「一緒になんてできる筈ないでしょう。アルスだけでも工事用の大型車が入ったり、騒音が出たりで大変なのに」

関口「一緒に建てないならば、地盤が落ち着く三年後くらいに建てるのがいいですね」

隣地所有者「そこまで待てない。せいぜい一年後だ。重いものを建てるわけではないから、大丈夫だろう」

隣地所有者は某月某日に建てるとまでは言わなかったが、アルスの完成を待つわけであるから、日程を明確にできないとは当然で、月日は言えないが確実に近いうちに建てるということである。その後も「すぐ建てたい」という言葉は何回も言った。従ってアルスの完成後すぐに確実に建替を行うということである。

隣地所有者の回答に対し、関口は「地盤が落ち着く三年後くらいに建てるのがいいですね」と応じている。関口自身、隣地建て替えがアルス改正後すぐに建替えられることを理解した上で、地盤を考えると三年後がいいと述べている。いつ建替えられるか分からないような計画に対し、「三年後がいい」とは言わないものである。

関口「一緒に建てた方がいいのですがね」

隣地所有者「銀行を紹介してくれたら、すぐやる」

関口「それは難しいです」

隣地所有者「だったら一緒には建てられない」

後になって東急不動産はこの発言を曲解して、隣地所有者が費用捻出困難であるため、建築計画が不確定と判断したと主張する。しかし隣地所有者は「一緒に建てましょう」との提案を断る口実として、たまたま持ち出したものに過ぎない。隣地の建替えを説明した時とは別の時期である。

 

窓と塀の調整

【窓】マンション建設に当たり、隣地所有者と東急不動産は隣地の建替えを前提とした、様々な調整・交渉を行った。この点においても東急不動産が隣地の建築予定を認識していたことは勿論、具体的なものとして捉えたことを裏付ける。

隣地所有者は東急不動産側に「うちの窓とマンションの窓がぶつかるのは嫌だから、マンションの窓を見せて欲しい」と依頼した。その結果、隣地所有者は山下洋史・ピーエス三菱工事所長に案内されて、アルスの二階から八階からまで全階の窓を確認している。

 

【曇りガラス】東急不動産が隣地建替えを具体的な計画と捉えていた証拠として窓の仕様の相違がある。

アルスの北西の居室では、三階までが曇りガラスで、はめ殺し(開かない窓)になっている。これに対し、四階以上は透明ガラスになっている。これは東急不動産が予め隣地に三階建てが建てられること、四階以上は建てられないことを知っていたことを裏付ける。

しかも曇りガラスにしたことを井田は隣地所有者に報告している。「三階までを曇りガラスにしました。玄関右側六畳の部屋には窓が三つあります。一つだけ開きますが、後の二つは羽目殺しにしておきましたよ」。二階、三階の窓だけ透しガラスから曇りガラスに変更されたことは、大分後になって変わったことであるとの説明も隣地所有者は受けている。

 

【目隠し】東急不動産からは「窓に目隠しを付けませんか。費用はうちで持ちます」との提案もなされた。これに対し、隣地所有者は「マンションの側は押入れと台所と階段にする。階段には簡単な明かりとりをつける。窓と窓がぶつかる様なことはしない。必要ならば自分でやるから、いい」と断った。

隣地所有者は井田に外階段に目隠しを付けることを依頼した。外階段側に窓を設置することを計画しており、階段を上り下りする人と目が合ってしまうことを避けるためである。目隠しはプラスチックのパネルを想定していた。

井田は持ち帰って検討するとしてが、最終的には「消防法上の制約により付けられない」と断った。隣地所有者は、それ以上強く求めなかった。証人尋問では「無理なことは言いませんでした」と証言する(20051222日)。

外階段の全てを蔽ってしまうことは消防法上の制約があるが、二階と三階の隣地側のみに目隠しを付けることは問題ない。しかし、このようにすると隣地が三階建てに建替えられることを露骨に示すことになる。建て替えを隠し、二面採光をアピールして問題物件を売り抜けようとする東急不動産にとっては採り得ないものであったと考えられる。

 

【井田の切り捨て】後になって東急不動産は隣地所有者にアルスの窓の位置を見せたことを否定する。「被告が訴外隣地所有者に対して本件マンションの窓の仕様を説明したことはないし、本件マンションを案内したこともない(訴外康和地所の担当者井田がかかることをしたかどうかは不明)」(被告準備書面2005421日)。

ここでは単に否定するだけでなく、井田が勝手にやったことは知らないとしていることがポイントである。井田がしたことは東急不動産の関知するところではないと主張したいようである。トカゲの尻尾切りは悪徳不動産業者の常套手段である。

井田は康和地所の従業員とされるが、マンション建設地が康和地所から被告に譲渡された後は被告の代理人(窓口)として近隣住民と折衝している。従って井田の行為は被告の行為であって、都合の悪い場面では「康和地所の担当者井田」として有耶無耶にすることは卑怯卑劣極まりない。

また、隣地所有者は山下工事所長に案内されてアルスに入っている。井田の独断でなされたものでもない。

 

【塀】200211月末から12月初めの頃、隣地とマンションの塀についても調整がなされ、コンクリートに決まった。当初の予定では敷地境界はアルミフェンスであった。現在でもアルスと隣地建物以外の部分(緑道公園、駐車場)の境界はフェンスである。

井田「塀はフェンスでどうでしょう」

隣地所有者「コンクリートでいいよ」

井田「マンションで日当たりが悪くなるので、せめて風通しだけでも……」

隣地所有者「そのような気遣いはしなくていいよ。仕事場と一緒だから騒音がある。フェンスだと騒音が伝わってしまう。また、子供がいるのでフェンスだと壊すといけないからコンクリートにしてください」

井田「助かります。コンクリートだと遮音になりますからね」

 

【康和地所へのなすりつけ】東急不動産は、アルスの窓と塀について隣地所有者に説明したのは康和地所であるとして、責任逃れを企図する。「訴外康和地所は、訴外隣地所有者に対して、敷地境界をフェンスではなくて、ブロックまたはコンクリートにすること、本件マンションの北側の2階、3階の開口部を片ガラスにすることで検討することを説明していた」(被告準備書面2005421日)。

被告の主張は誤りである。第一に、この説明は康和地所ではなく、被告に譲渡され、マンションの建設が進んだ時点でなされた。隣地所有者が康和地所から上記の説明を受けたことはない。

第二に一方的な説明であったように主張するが、実際は隣地所有者とのやり取りの中で決定された。コンクリートを希望したのは隣地所有者である。このやり取りは本件マンションの建築途中の、基礎工事が終わって建ち上がった頃で、建築に着工した200211月からはかなり後であり、年月が違う。

窓についても隣地所有者が建築中のマンションから窓の位置を確認した後、曇りガラスになったとの説明を受けた。

後に井田は隣地所有者に対し、「マンションが建設途中で変更になったのは二階と三階の窓が曇りガラスになったことと塀のフェンスがコンクリートになったことだけです」と説明している。

第三に被告と隣地所有者との間の敷地境界に関するやり取りではフェンスとコンクリートのみで、ブロックの話は出ていない。

 

建設時の経緯

【事業主との交流】隣地所有者と関口が会ったのは二回程度しかないが、隣地所有者と事業主との間には深い関係があり、数回会って軽くお願いしたという程度の軽い関係ではない。建設期間中、隣地所有者とアルス工事現場の関係は良好であったが、これはお互いの約束を尊重し合っていたからである(後に東急不動産が一方的に踏みにじることになる)。

隣地所有者は被告窓口井田、山下・ピーエス三菱工事所長、北・現場監督とはよく会っていた。また、隣地所有者は工務店経営者であるが、双方の作業員同士で酒を飲むこともあった。

マンション建設現場でバーベキュー(焼肉)パーティが行われた時には家族で招待された。また、工事完成後、北海道に帰る現場監督の送別会(焼肉屋)にも「お世話になりました」と招待され、ご馳走になっている。

 

【家屋調査】アルス建設工事に先行し、隣地所有者には隣地建物についての家屋調査の申し出もなされた。これはマンション建設工事によってシャッターが開かなくなるなどの被害が発生しないように予め近隣建物を調査するものである。

これに対し、隣地所有者は隣地建物の建替えを説明し、「すぐに壊すので、やらなくいい」と断った。このため、家屋調査は実施されず、事業主は調査費用を浮かせることができた。康和地所所有時も建設地が被告に譲渡された後も家屋調査はなされていない。

アルス完成後、隣地建物にはひび割れが酷かった。隣地所有者は「ひび割れは覚悟の上のこと。東急不動産側にも建て替えの認識は十分にあったはずだ」と語る(20051217日)。

 

【地番変更】隣地所有者はアルス建設に当たり、地番の整理にも協力している。アルスと隣地の地番が一緒になっていたため、東急不動産から「隣地所有者の地番を変えてください。手続きはうちでやります」と依頼され、隣地所有者は委任状と印鑑証明を被告窓口井田に渡した。委任状と印鑑証明を渡すということは大変なことである。何でもない人間に渡す筈がない。

隣地所有者は20021028日に家屋の番地変更済みの手紙を司法書士から受け取っている。これは事業主が東急不動産に変わってからのことである。

「あれだけ協力したのだから、こちらの依頼も当然行っているものと思って疑わなかった」とは被告に裏切られたことを知った後での隣地所有者の言葉である。「雪印乳業も三菱自動車も最後には嘘が全て明らかになった。東急不動産も早く正直に誤るべき」とも原告に語る(20051129日)。

 

【建設反対運動】隣地所有者はマンション建設中、近隣住民からの苦情を井田に伝え、「反対運動を起こさないように」と助言までした。

江東区内では、短期集中的に次々とマンション建設が計画されており、無秩序な開発に対しては、周辺住民から強力な反対運動が生じている。アルスの一ブロック先にある都営住宅跡地でも藤和不動産による九階建てマンション建設が周辺住民の猛烈な反対運動で頓挫している(「藤和不動産、基礎工事ミス(?)でマンション建設撤退」情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ) 2005.02.12)。

建設地周辺には現在も反対運動の看板が掲げられている。下記のようなメッセージが並べられている。

「誰もが知ってる。軟弱地の藤和マンション」

「しっかり見ていたよ!!ボルトの抜けた杭の数。基礎の工事は命だよ!!」

「環境悪化の9階マンション絶対反対」

同じことはアルスの建設に際して起きてもおかしくはなかった。実際、建設工事により近隣住民が被った迷惑には大きなものがある。家も揺れるような大きな振動、激しい騒音、道路のひび割れに悩まされた。

隣から「地震あった?」と聞かれた家もあった。パソコンやテレビが揺れて画面を見ていて船酔い気分になった住民もいる。窓ガラスはビリビリと音を立てて震え、天井の梁から雨のように埃がこぼれ落ちた。

しかし、隣地所有者は近隣住民からの苦情を井田に伝え、問題を深刻にさせないように努めた。隣地所有者は東急不動産が購入者に建替えを説明するとの約束を履行してくれることを期待したために、このような行動をとった。しかし、その期待は完全に裏切られることになる。

 

アルス販売不振

【アルス販売】アルスは20032月中旬に販売を開始した。東急不動産Webサイト内のアルス紹介ページは、販売に先立つ200312月頃には開設された。20031月頃にはクオリア門前仲町マンションギャラリー内にアルス東陽町販売準備室が発足していた。販売準備室は後にアルス東陽町セールスオフィスに発展する。

アルスはグループ企業の販売会社である東急リバブルが販売代理となり、住宅営業本部営業第五部が担当した。営業担当の顔ぶれは以下の通りである。この情報は不動産ポータルサイトHOME'Sに掲載されたアルスの「営業スタッフのご紹介」に基づく。このページは現在、削除されており、参照できない。

       今井由理子リーダー(宅地建物取引主任者):血液型:O型、星座:牡羊座、出身:東京都、趣味:ダイビング ネットサーフィン

       宮崎英隆(宅地建物取引主任者):血液型:O型、星座:天秤座、出身:和歌山県、趣味:休日に娘と遊ぶこと

       中田愛子:血液型:AB型、星座:山羊座、出身:静岡県、趣味:ぶらり旅

       宮本豊(宅地建物取引主任者):血液型:A型、星座:牡牛座、出身:神奈川県、趣味:ドライブ カラオケ 格闘技観戦

 

【クオリア門前仲町】クオリア門前仲町は東急不動産が販売する新築マンションである。クオリア門前仲町は東西線門前仲町駅徒歩5分の場所(江東区富岡)に立地する地上13階建てのマンションである(全65戸)。20039月に竣工した。

クオリア門前仲町はアルスと同様、東急リバブルが販売代理となり、住宅営業本部営業第五部が担当した。クオリア門前仲町の販売担当者はアルス東陽町の担当者とほぼ重なる。但し中田はおらず、代わりに林(血液型:B型、星座:牡牛座、出身:東京都、趣味:写真撮影、レース観戦)が含まれていた。また、人材派遣会社・株式会社サン・アクトレス(東京都中央区)の派遣従業員も受け入れていた。

 

【東急門前仲町マンションギャラリー】東急リバブルはクオリア門前仲町の販売事務所及びモデルルームとして、クオリア門前仲町マンションギャラリーを開設していた。

クオリア門前仲町マンションギャラリーは門前仲町駅近くの雑居ビル内にあった。現地は交通の便の悪いところに立地しているにもかかわらず、モデルルームだけは駅至近の場所に構えて購入者に錯覚させることは悪徳不動産業者の常套手段である。

アルス東陽町の販売事務所及びモデルルームはクオリア門前仲町マンションギャラリー内に開設された。後にクオリア門前仲町マンションギャラリーは東急門前仲町マンションギャラリーに改称される。改称理由はアルスの販売も開始するようになったためと推測される。改称時期は不明であるが、20032月まではクオリア門前仲町マンションギャラリーと称していた。遅くとも6月には改称された。

その後、アルスの引渡しと前後して東急門前仲町マンションギャラリーは閉鎖・撤去され、現在はなくなっている。悪徳企業は逃げ足が速いものである。

 

【販売代理】東急不動産はマンションの事業主であるが、実際の販売活動は行わない。子会社の東急リバブル株式会社を販売代理として販売活動を委託する。一般企業の営業は自社の営業部の従業員が中心になって行うものである。しかし東急不動産は購入検討者に対する営業活動を形で外部に任せてしまう。

アルスの場合も同じであり、原告の購入時も接客したのは東急リバブルの従業員のみで、東急不動産の従業員が登場することは全くなかった。このように他社を販売代理とする販売手法は他の不動産業者でも採用されているが、東急不動産はこれを最大限に悪用している。

普通に考えれば事業主が直販した方が利益は大きいはずである。しかし東急不動産も考えたものである。自社の人間では悪徳不動産業者の本性丸出しのため、消費者から信頼されず、マンション販売契約に結びつかない。そのため、東急リバブルを販売代理とすることで、看板だけは綺麗にしたのであろう。

実際、原告が本件トラブルで接した野間秀一や大島聡仁では購入する気は全く起きない。逆に彼らは消費者に営業活動することがないため、物件について十分な知識経験がなくても成り立ってしまう。それどころか営業の心得というようなものも欠けている。ビジネスマナーが身についておらず、敬語もろくに使えない。

さらにトラブルが生じた場合は東急リバブルと東急不動産の間で責任逃れ、たらい回しにすることで、クレームをうやむやにしてしまうこともできる。原告のトラブルでも散々たらい回しをされ、まともな対応は何一つなされなかった。

 

【売れ行き不振】アルスの売れ行きは芳しくなかった。間取りは1LDKから3LDKまであり、価格帯は2900万円から4000万円台まであった。

第二期(最終期)登録受付は2003419日から26日までであったが、この時の販売戸数は16戸である。全27戸なのに最終期で全体の6割近くの16戸も販売している。これは第一期の売れ行きが悪かったことをうかがわせる。20036月末でも、原告が購入する301号室も含めて9戸も売れ残っていた。86日時点では販売戸数を4戸としている。

一般の引渡しが行われた9月末以降も売れ残っていた住戸があった。そのため、引渡し後数ヶ月間は販売活動が行われ、アルスの周辺には販売会社の広告旗や看板が立てられていた。

分譲マンションの最初の管理規約は売主が作成するものだが、アルス東陽管理規約にはこれを予期した記述がある。「対象物件の外壁・建物・敷地等の一部を分譲住戸全戸の販売が完了するまでの期間、垂れ幕等の広告宣伝物及びモデルルーム、販売事務所等の設置のため、売主及び販売会社が無償で使用する場合があること」(721号)。

東急不動産Webサイト内のアルス紹介ページは20042月頃まで開設されており、ここから完売の時期を推測することができる。

 

青田売り

【青田売り】アルスの販売は建築完成前から行う、青田売り(籾売り、図面売り)であった。そのため、原告が契約時に現物を確認することはできなかった。この点は原告が別に検討した株式会社ダイナシティのマンション「デュオ・スカーラ東陽町」とは異なる。「デュオ・スカーラ東陽町」は完成後販売で、現地で実物を見せながら販売していた。

 

【モデルルームの問題点】青田売りにおいて、現物の代わりとなるものが、モデルルームである。建設前の青田売り、豪華なモデルルーム、女性ばかりの販売員、模型、芸能人を使ったTVCMは中国や台湾ではよく行われている販売手法である。日本の分譲マンション販売が台湾・中国化しているとの指摘もある。

悪徳不動産業者はモデルルームを実際以上に広々と見せかける。大きな鏡を使用して空間がたくさんあるように見せたり、小さな家具を使って部屋を広く見せたりする。そして実際には存在しない家具やカーテン・小物、オプションだらけの内装などで夢見心地にするような雰囲気を演出する。間違ってもスーパーの袋や読みかけの新聞紙、ゴミ箱のような生活感あふれるグッズは存在しない。

過剰な演出に、ついうっとりと酔いしれて購入し、失敗しまう例も少なくない。消費者を夢中にさせ、雰囲気に呑まれて判断できなくなったところにつけ込み、冷静な状態だったらするはずもない契約をさせてしまう。

モデルルームには建設費、維持管理費がかかるが、そのコストは物件価格に上乗せされる。そのため、青田売り物件の購入者は、本来もっと安い価格で購入できるはずのものを高く買わされることになる。

「仮に3000万円の住宅を依頼したとすると、そのうち150万円くらいはモデルルームやモデルハウスの建設費と維持費のために負担させられている」(高橋達夫、悪徳不動産業者撃退マニュアル、泰光堂、2000年、176頁)。

モデルルームは物件が売却されたら解体される。キッチンやユニットバス、これらは一度も使うことなく壊されて産廃場行きである。そこの間取りに合ったものは他では使えないためである。ゴミになってしまう。環境問題の観点から好ましくないことは言うまでもない。

モデルルームの解体は悪徳業者にとっては証拠の隠滅にもなる。「後からモデルルームで見た仕様と実際の物件の仕様が異なっているとクレームをつけたとしても、モデルルーム自体が既にないわけですから業者としてはいくらでも言い逃れできる」(諸星俊一、不動産業者の正しい選び方・つきあい方、総合法令出版、1998年、167頁)。

 

【相違点だらけのモデルルーム】アルス東陽町のモデルルームは購入者にとって参考になるものではなかった。所詮表面だけを化粧した作り物であって、何の判断基準にもならなかった。徹底的に飾り込まれた偽物の部屋を何時間見たとしても無意味である。「モデルルームは信用できない」とは一般論として語られるものだが、アルスのモデルルームは輪をかけて酷いものであった。理由は下記の通りである。

第一にモデルルームはクオリア門前仲町に合わせて作られており、アルスとは様式が異なっていた。元々、クオリア門前仲町用に作成されたモデルルームを、後からアルスのモデルルームとして使い回したためである。

東急不動産はアルスのモデルルームが2003222日に開設されたと主張する(被告準備書面200578日)。しかしアルスのモデルルームはクオリア門前仲町と兼用であり、それ以前からクオリア門前仲町のモデルルームとして開設されていた。

モデルルームはクオリア門前仲町の仕様に基づいていたため、アルスとは大きく相違していた。東急リバブルから「ご覧いただいているモデルルームと「アルス東陽町」との相違点」という資料が配布されたほどである。天井高の相違については後述する。

第二にアルスは複数の間取りが用意されているが、モデルルームは一つのみである。モデルルームは301号室とは間取りが異なり、洋室1、洋室2も存在しなかった。

第三にモデルルームはオプションが付されたものであり、オリジナル完成モデルはではなかった。オプションの内装を割り引くと、部屋の中には大した特徴はなかった。インテリアの趣味もお世辞にもいいとは言えなかった。悪趣味ですらないように感じられた。趣味はなく、ただ空間を埋めるために買い込んだもののように思えた。

 

不幸の購入

【不幸の始まり】20036月、原告は、建物入口に立てられたマンション「クオリア門前仲町」の看板を見て、東急門前仲町マンションギャラリーを訪れた。当時、原告は門前仲町にある賃貸マンションに住んでいたが、分譲マンションの購入を検討していた。門前仲町ならば場所が変わらないので、いいと思ったのである。

東急不動産及び東急リバブルに騙されて、一生に一度あるかないかの高価な買い物で大失敗を犯し、貴重な人生の何分の一かを台無しにしてしまうことになるが、当時は知る由もなかった。今から考えると、笑顔の仮面を被った不幸の女神に手招きされたのかもしれない。豪華客船タイタニック号の処女航海に乗り遅れて、波止場で地団駄踏んだ人がいたとされるが、原告はその逆の立場であった。

マンションギャラリーにいた中田が原告に応対した。きわめて人当たりの良さそうな笑顔を浮かべていたが、愛想が良い分、本心が見えにくかった。後で判明したことであるが、中田は販売担当者であるが宅地建物取引主任者の資格を保有していなかった。

この資格を持たない営業について書籍では以下のように記述する。「不動産の仕事をしていながらこの簡単な資格すら持っていないような奴は、なぜ、資格を取らないのか、取れないのかを考えれば、会社に入りたての新人でもない限り、いい加減な奴だということが分かる」(諸星俊一、不動産業者の正しい選び方・つきあい方、総合法令出版、1998年、59頁)。

中田は原告の希望も聞かずにアルスを勧めてきた。アルスは東急不動産のマンションブランドであるが、この言葉はドイツ語のアルシュArschを連想させた。これは「しり、けつ」の意味である。正直、住みたくなるようなネーミングではなかった。そもそも原告の目的はクオリア門前仲町であって、アルスではなかった。

原告「クオリア門前仲町を見に来たのですが」

中田「クオリア門前仲町は完売しました。代わりにこちらをどうぞ」

中田はこのように言ったが、その後の東急不動産の嘘で固められた不誠実な対応を考慮すると、完売したという話も怪しく思えてくる。売れ行きの悪いアルスを押し付けるための方便だったかもしれない。

悪徳不動産業者の手口として「おとり物件」「おとり広告」というものもある。入口の人目を引くような物件で客をおびき寄せておいて、「その物件はないから、この物件はお勧めですよ」という手法である。

一般に門前仲町と東陽町では前者を高いランクに評価する向きが多いものと思われる。前者は東西線と都営大江戸線が止まるのに対し、後者は東西線のみである。都心へも前者の方が近い。僅か二駅の差ではあるが、東西線の東陽町から大手町までは非常に混雑するため、都心方面への通勤・通学者にとっては距離以上に大きいものがある。後者は区役所所在地だが、買い物に便利な店舗は前者の方が多い。

原告自身、住んでいる門前仲町には馴染みがある。しかし、既に東陽町にある他社のマンションも検討していたため、説明を受けることにした。

 

【都合のよい説明】中田は原告にパンフレット等を渡し、説明を始めた。

パンフレットには「豊富な緑にたたえられた「洲崎川緑道公園」に面する3方を道路や公園に囲まれた開放感のある立地です」「2方向からの通風・採光に配慮した、2面バルコニーやワイドスパンタイプも多数採用しています」と記述している。

図面集でも「二面採光で心地よい空間を演出します」と日照のよさを強調している。これがアルスの価値を形成していることは間違いない。

実際、中田は301号室の窓から区立洲崎川緑道公園を望めると眺望の良さを強調していた。後の見学会においても原告と中田は以下の会話を交わしている。

原告「この窓を開ければ何が見えますか」

中田「遊歩道の緑ですよ」

しかし、引渡し後一年も経ずに隣地に三階建ての作業場が建ち、301号室の窓は独房のように壁で覆われてしまうことは説明しなかった。隣地所有者の話は東急不動産を通じて、東急リバブルも知っていたにもかかわらず、である。

数ヶ月で物件の価値を下げる上記情報について、重要事項説明はもとより、契約時を通して一度も説明がなかった。説明が全くなされなかった点については東急不動産側も認めている。契約時に隣地所有者の話についての説明が少しでもあれば、窓の外が今は緑でも、僅かな月日で部屋が真っ暗になることが想像できる。居住者にとって重大な結果が想像つくのでマンションは買わなかった。

中田「遊歩道の緑ですよ」発言について、裁判時に東急不動産は「眺望などは当時本件建物から見える景色(遊歩道の緑)を説明しただけ」と弁解する(被告準備書面2005421日)。マンション販売時に建物から遊歩道の緑が見えると説明することは、アルス東陽町の利益となる事実を説明したことである。

 

【問題物件をたっぷり召し上がれ】東急リバブルが配布したパンフレットのタイトルは「Buon Appetito!」である。この言葉はパンフレットのみならず、図面集でも使われている。この言葉はイタリア語で「たっぷり召し上がれ」の意味であると説明されている。

但しイタリア語ならばBuon appetitoAは小文字で表記するのが普通である。フランス語のBon AppetitならばAは大文字であるが、イタリア語は異なる。

被告はパンフレット等でブォンアッペティートという言葉を用いることで、顧客に「たっぷり召し上がれ」と言いたいようである。しかしセールスポイントが僅かの月日で皆無になってしまう物件では召し上がりようがない。綺麗な言葉で飾るだけの、実態を何ら伴わないパンフレットには消費者としては腹立たしい限りである。

 

【インターネット回線】原告「インターネット回線はないのですか。他ではマンションLANがあることころもあります」

近時の新築マンションではインターネット用LAN回線の存在が一つのアピールポイントとなっていた。入居したら、そのままインターネットに接続できて、便利である。

中田「ありません。インターネット接続形態については色々ありますので、入居者それぞれがご自分で選べるようにしています」

しかし、購入から一年経つか経たないかの時点でマンション管理会社(東急不動産のグループ企業)はNTTの光ファイバーの敷設を管理組合に提案した。これが採用されたために、現在はNTT以外の光ファイバーやADSL提供業者と契約することが困難な状況である。

中田の説明は、あれが付いているとか、付いていないとか、いくらぐらいだとか、周辺の物件と比べると高級というものばかりで、「住む人にとって」「生涯ここで暮らす人のために」という話が完全に欠落していた。

 

東急リバブルの他社非難

【複数マンションの検討】マンション購入に際して原告は、他の多くのマンション購入検討者と同様、複数の新築マンションを検討していた。そもそもアルスが比較対照という位置付けであった。

検討対象のマンションの一つに株式会社ダイナシティのマンション「デュオ・スカーラ東陽町」がある。ここは原告が東急門前仲町マンションギャラリーに行く以前から販売担当者と接触していた。

デュオ・スカーラ東陽町はアルス東陽町と同じく江東区東陽一丁目にある。このマンションは20036月竣工、木場駅徒歩6分の立地にある。戸数は26戸でアルスと同規模のものである。ダイナシティは完成後に販売する方式を採っている業者で、完成した物件をきちんと見せ、その現物を販売していた。原告が購入を検討した部屋も2LDKでアルス301号室と同じであった。

 

【中田の非難】原告が「デュオ・スカーラ東陽町」を検討していることは中田にも正直に伝えている。

原告「実は同じ東陽一丁目にあるダイナシティの新築マンションも検討しています」

中田「うちの方が信用のある会社ですよ」

同業他社の悪口と受け取られかねないような発言でもある。この点は他社の営業の方には全く見られないものである。実際、ダイナシティ担当者は「いろいろなところを見て、勉強してから決めてください」とまで言った。

しかも信用を強調しておきながら、後で分かることだが、被告の対応は不誠実この上ないものであり、消費者の信頼には全く値しない。原告にとって被告への信頼は地に落ちるどころか、海溝の底まで潜っている。そもそも「信頼してください」は「悪徳業者がよく使う口グセ」として雑誌で紹介されているものであった(「欠陥住宅はこうして見抜け」サンキュ!20056月号69頁)。

数をこなしているから良い会社とは言えない。企業が大きくなればなるほど、企業内の官僚化が進むと言われる。大会社ほど大きな暗部を抱えていると言ってもいい。大企業の腐敗、堕落には目を覆うばかりである。看板だけは輝かしいが、内部は真っ黒である。

実際、ダイナシティ担当者は「この土地には元々遊郭があったために土地の値段が少し安い」というような不利な事実も説明してくれた。総じてダイナシティ販売担当者の説明は判りやすく、面白かった。それに対して、被告の営業は同じ土地にもかかわらず、そのような話は一切しなかった。

加えて中田は、ダイナシティ社のマンションが大門通りという比較的交通量のある道路に面しているのに対し、アルスは一方通行の狭い道路なので静かであるとアピールした。しかし隣地建物が作業所に建替えられるならば、むしろ騒音が大きくなる。このような不利な事柄は一切口にしなかった。

頭の中には「顧客にとって…が良いか」ではなく、「契約をするにはどうすればいいか」という考えしかない。顧客に満足を売るのではなく、問題を売る企業である。

 

物置との虚偽説明

【現地確認】622日、モデルルームを見学する。中田は一通りの説明を行った後、即座に手付金一〇万円を請求してきた。中田は適当な説明で即日契約を迫るタイプの営業であった。書籍では「契約を急がせたり、手付金を早急に、さいそくする業者は、できるだけさけた方がいい」と記述されている(楜沢成明、マンションを長持ちさせる100章改訂版、鹿島出版社、1998年、210頁)。

物件は気に入ったが、担当は気に食わないという話もよく聞く。あまりにも急な要求に、原告は心の地平線に黒雲が沸き起こるのを自覚した。不安感が鋭く尖った角を原告の心に押し付けてきた。

「少し考えてみます」

原告の返事に中田は舌打ちしそうになったかもしれない。原告にとって中田は悪魔がそそのかすために送ってきた使者であった。とりあえず建設中の現地を見学に行くことにした。

中田「現地まで車でお送りしましょうか」

原告「ご親切はありがたいのですが、いいです。自分の足で駅からの距離や周辺の環境を確認したいので」

マンションはまだ建設中であった。建設地には私有地が入り組んでいて変な感じであった。

「何だか妙な建物だな。着飾った監獄みたいだ」

図面と建設中の建物を見比べて、301号室が北西の角部屋に位置することを確認した。本来住居というものは南向きでなければならないものであり、北西は一般に回避されるべき物件である。

しかも西側には狭い道路を挟んで五階建てと六階建てのマンションが建てられており、西側からの日照・眺望は期待できそうになかった。仮に日照が得られたとしても、それはそれで夏場は西日が差し込むため、いつまでも暑く、余計に冷房代がかかることになる。

一方、建設地の北側には茶色い小屋のような建物が建てられていた。建物は建設中のマンションと密接していた。この建物は二階建てであるので、三階の日照・眺望は妨げられないことは確認できた。北側隣地の隣は区立洲崎川緑道公園があり、三階からは見渡すことができると推測できた。

北側隣地建物は工務店の作業所として使用されているものであったが、その時は無人で普段作業場として使われていることを推測させるものはなかった。

 

【物置】門前仲町マンションギャラリーに戻ると、中田が話しかけてきた。

中田「どうでしたか」

原告「あまりよくありませんね」

中田「ダイナシティのマンションのことですか」

原告「いいえ。アルスです。日当たりが悪そうです。西側にはビルが建っていますね」

中田「その代わり、北側からは緑道公園が望めますよ」

原告「北隣の小屋のような建物は何ですか」

中田「物置です」

この説明を聞き、本当に物置であると思い、疑わなかった。十尋の水の底は測れても一尋の人間の心の底は測れない。現地案内図(アルス建設地を中心とした江東区木場・東陽の地図)が配布され、それを見ながら説明を受けたが、その地図上も北側隣地は「ソーコ」と記述されていた。

後で「ゼンリン住宅地図江東区」(2003年)を見たが、そこにも北側隣地は「ソーコ」と記述されており、購入者が地図で調べても作業所であることは看取できなかった。

実は工務店の作業場として使われるものであるで、少なからず騒音が発生するものであった。販売時にはそのような都合の悪い説明は皆無であった。しかし販売後には「当時、作業場所として、使用されておりましたので騒音があるとは聞いていました」と作業所であることを知っていたと回答している(東急リバブル回答文書2005913日)。

知っていても都合の悪い事実は説明しないのが悪徳不動産営業である。居住者の住む権利を保障するよりも儲けることに熱心なのが、悪徳不動産業者の現実である。大企業の法令順守が、いかに口先ばかりかを物語っている。

 

【見学の偽り】アルスは建物未完成の時点で販売する青田売りであった。未完成のため、マンションの外観は勿論、区分所有部分(住居)も実物を見ることは不可能である。販売時は、建物はまだ工事中で、中に入れる状態ではなかった。そのため、原告は契約前に建物を見学することはなかった。建物内の構造、仕様を確認することもできなかった。

それにも関わらず、被告は原告が「本件契約締結前に本件建物を見学して、本件建物内の構造、仕様なども承知していた」と虚偽の主張をしている(被告準備書面200578日)。これは完全な虚偽である。このような完全なでたらめを堂々と主張することは原告を愚弄することである。被告の倫理観の欠如、企業モラルの低さには失望させられた。

ローマ随一の弁論家マルクス・トウリウス・キケロは軍人ルキウス・セルウィウス・カティリナを告発する際、「いつまで、カティリナよ、あなたは我らの忍耐力を濫用なさるおつもりか」と演説した(カティリナ弾劾演説)。嘘とでたらめを重ねる東急不動産も、いつまで原告の忍耐力を濫用するつもりだろうか。

原告はアルス建設工事現場を外から眺めたことはあるが、見学したことはない。建物の中に入って販売担当者から説明を受けたこともない。現地へは原告は家族と行っており、東急リバブルの案内を受けてはいない。従って東急リバブル及び東急不動産の関知しないことである。

原告がアルス建設工事現場を眺めた時は、建物は工事用の幕で全て覆われていた。そのため、構造・仕様の判別は不可能であった。301号室の仕様も確認できず、原告はアルスの構造・仕様を承知していない。

アルスが完成したのは契約してから三ヵ月後である。被告準備書面(200578日)自体、アルス東陽町の竣工を2003916日としている。

現地を見た際に隣地建物(建替え前のもの)があったので、東急門前マンションギャラリーにて中田愛子に尋ねたところ、「資材置き場」と回答された。東急リバブルが配布した現地案内図にも「ソーコ」と記述してあったため疑わなかった(実際は騒音が発生する作業所である)。中田の説明は宅地建物取引法47条違反(不実告知)である。

 

契約締結

【契約締結】626日、原告はアルス301号室の購入契約を締結した。契約締結は門前仲町マンションギャラリーで行った。6月中に契約を締結したいという中田の意向に基づき、締結をせかされた結果である。「今なら安くできる」と言って契約を急がせるのは悪徳業者の手法としてよく紹介されている。

中田は六月中に締結することが営業成績に結びつくという手前勝手な理由を説明したが、実際のところは売れるはずのない問題物件を早く片付けたかったのかもしれない。手の込んだ手法には呆れるばかりである。

中田は、よく研いだ鎌のような光を瞳に浮かべて、契約手続きを説明した。

売主は東急不動産、その代理人は東急リバブル、更にその代理人として東急リバブル住宅営業本部第五部部長であった。但し予め用意された「不動産売買契約書」上に印字してある東急リバブルの取締役社長名は誤りと言い、この四字を抹消し、正しい社長名に改めた。東急不動産のいい加減さがここにも現れている。

販売価格は税込みで3060万円だったが、6月中に契約するということで2870万円に値引きされた。値引き額は190万円で、値引き幅は5パーセント程度である。これは「不動産売買契約書」と同時に交わした「覚書(売買代金の減額および支払方法の変更)」で定められている。引渡しは20039月とされた。

契約締結後、中田は高笑いしたに違いない。問題物件の騙し売りという詐欺師としては上出来の仕事を成し遂げたのである。真相を知れば、原告が東急リバブルについて、どれだけ間違っていた認識を有していたか、わかるだろう。そして中田がいかに巧みに錯覚を作り上げていたかも、思い知らされることになるだろう。

 

【契約締結日】本件売買契約の契約行為(契約書への記名捺印)は重要事項説明と同じ、2003626日になされた。契約書上の日付は630日となっているが、契約書への記名捺印が行われたのは626日である。630日には何もなされていない。

626日には重要事項説明、住宅ローンの申込、契約締結を通して行った。これは原告が東急リバブル・中田愛子から受け取った「お申込からお引渡までのスケジュール」に記載されている。これはA4サイズのプリントで、タイトルの通り、引渡しまでのスケジュールが記載されている。626日に「重要事項の説明及び契約書等へのご調印」と記述してある。契約書への調印は626日に行われた。

また、受領証(乙第2号証)にも記されている。「受領証」は宅建業法35条(重要事項の説明等)及び同法37条(売買契約締結時の書面交付)規定の書面の受領証を兼ねている。これは「受領証」に「同法37条に基づく売買契約時交付図書の受領も兼ねます」と記載されている通りである。即ち、626日に重要事項説明と契約締結が一緒になされたことを示すものである。

当事者双方とも626日時点で契約が成立したとの認識を有していた。その証拠に626日の契約締結後に、東急リバブル・中田愛子は原告にオプション会(629日、11:00-15:00)に勧誘した。オプション会は新規に購入できる設備・仕様を展示し、内装工事の際に一緒に取り付けられるようにするための購入者向け商品展示会である。そして契約書上は未だ成立していない筈の29日に原告はオプション会に参加し、照明やクーラーの説明を受けている。

 

【重要事項説明】重要事項説明は契約を締結した626日に門前仲町マンションギャラリーにて行われた。

重要事項説明は宅建主任者の宮崎英隆が実施した。宮崎英隆は自分の真実しか見ようとしない、陰気で堅苦しい人物であった。自動人形の無表情さであった。表情は冷淡であり、内心はもっと冷淡そうであった。青銅の彫刻さながらに、硬く、静かだった。そして鍾乳石から滴る水滴のように冷たかった。視線を投げると、暗い穴のように表情のない目を、原告から背け、横を向いた。もし宮崎が販売担当者だったら、原告はマンションを購入する気にはならなかっただろう。それくらい宮崎の態度は機械的であった。

重要事項は売買契約の締結前に説明と書面の交付が義務づけられているが、実際は契約することを決めてから説明を受けるのが普通である。原告の場合も文字通り「契約当日に、丸つけて、読み上げて、有無を言わせずハンコ押させて、ハイおしまい」というものであった。不動産業者から見れば数あるうちの一戸に過ぎなくても、購入者にとっては唯一の一戸である。しかし、宮崎には購入者に対する配慮は皆無であった。

重要事項説明は単調で長かった。しかし、隣地建替えの説明は何らなされなかった。本当に知られては困る事実を隠すために千言万語を費やすというものであった。どこか遠くから淡々と読み上げる声を聞くようなものであった。

宮崎は殻についてだけ説明し、白身や黄身については沈黙した。卵の殻は確かに硬い。しかし内部には半液体の白身があり、その内核には黄身がある。宮崎の説明は事実の表面についてだけ語ったものであって、核心からは遠く離れていた。

真実を知った現在では、東急リバブルの重要事項説明からはMark Twainの箴言が想起される。「正しい言葉とほとんど正しい言葉の違いは、稲妻と蛍の違いである」(The difference between the right word and the almost right word is the difference between lightning and a lightning bug.)」。

 

【建設反対運動】宮崎とは建設地の近所で行われたマンション建設反対運動についても会話を交わした。

原告「建設地の近所でマンション建設反対運動が行われていて、看板がたくさん立てられていますが、ご存知ですが」

宮崎「いいえ、知りません」

玄武岩のように力強いほどの酷薄さで、宮崎は言い放った。

 

【契約締結直前の重要事項説明】東急リバブルお客様相談室が著した書籍では重要事項説明について以下のように記述する。「不動産会社によっては、この重説を売買契約の直前に行うところもありますが、行政は契約の一週間前の実行を求めています」(東急リバブルお客様相談室、プロしか知らない不動産の落とし穴、住宅新報社、2000年)。

東急リバブルが本に書いたことと実際の販売手法は大違いである。東急リバブルが予め用意した書面の受領証が宅建業法35条(重要事項の説明等)と同法37条(売買契約締結時の書面交付)を兼ねていることから、重要事項説明と契約締結を同時に行うことが東急リバブルでは慣行化していることがわかる。しかも契約書上は契約締結日を後にして証拠隠滅を図る。計画的かつ悪質な悪徳不動産業者の手口である。

契約締結直前に重要事項説明を行うのは東急リバブルの常套手段となっている。東急リバブルが迷惑隣人について説明せずに中古住宅を仲介したとして説明義務違反が認定された事件においても、契約締結直前に重要事項説明を行っている(大阪高判平成16122日金融・商事判例122321頁)。

 

【引渡し】20057月、中田愛子から売買契約書類が送付される。無礼なことに名前を間違っていた。書面は「拝啓 初夏の候、新井様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます」で開始されているが、原告の苗字は「新井」ではない。名前を間違えるとは無礼極まりない。「契約を取ったら終わり。後は知らない」という東急リバブルの体質がよく現れている。

911日、内覧会が開催される。同時に重要事項説明の訂正、追加がなされる。

916日、アルスの建物の登記がなされる。登記原因は200394日新築で、所有者は東急不動産である。東急不動産はこの日を竣工日と主張する(被告準備書面200578日)。

929日、建物の引渡しを受ける。

1023日、原告所有住戸の所有権保存登記がなされる。原因は200394日の売買で、所有者は原告である。

 

暗黒

【隣地工事開始】200311月、隣地所有者が隣地の建築確認を申請する。確認年月日は2004226日である。申請から確認まで時間がかかったのは江東区には申請量に比して担当者が少なく、手続きが遅滞したためである。隣地所有者が電話で催促したこともあった。

20044月頃、建て替え工事を開始する。隣地所有者は秋ぐらいに完成させる予定でいたと話す(20051217日)。工事は建物の解体から始められた。6月頃には解体は終わり、基礎工事に着工する。引渡しから一年も経たない八月の時点で、新しい建物の鉄骨が建てられた。鉄骨にホロがかけられたため、アルス居室は日中でも深夜のように一面が真っ暗になってしまった。

 

【暗黒】日が翳った。風も止んだ。家全体が廃墟さながらの不毛な沈黙に覆われた。とてつもない闇が住人を包む。吸い込まれそうなくらい真っ暗である。天照大神が天の岩戸に隠れてしまったようである。周囲が黒マジックで塗りつぶされたような闇である。互いに数十センチメートルしか離れていなくても、腕を伸ばして触れてみなければ存在が確かめられないほどである。どれほど目を凝らしても輪郭すら浮かんでこない。

朝、起きてカーテンを開けても、真っ暗である。キラキラと輝く朝の光が部屋いっぱいに差し込み、清々しい朝を演出することは最早ない。眺望や通風が失われたことも言うまでもない。これから何年も住んでいかなければならないのに……。

「目が覚めた時に、少し期待してしまった。これは夢で日の光と共に永遠に消え去っているのではないか」と。

しかし、日の光は入ってこなかった。何だか自分だけ世の中から取り残されたような気持ちになってきた。神像を破壊された古代宗教の神官になったようであった。氷の粒が見たこともない虫の形に変わり、列をなして背筋を這い下りてく。そのような感覚に襲われた。

 

【隣地所有者の説明】8月頃、原告は隣地所有者から東急不動産との経緯を聞く。目が眩むほどの暑い日だった。頭上から夏の光が降り注いでいる。太陽がこれほど眩しいとは思わなかった。外気はモワッとして蒸し暑く、冷房で冷やされた皮膚に湿気が帯びるのを感じた。雲といえば一つ二つ浮かんでいるだけである。

「東急不動産から説明を受けていないのですか」

「いいえ、聞いていません」

原告は襟元の汗を拭った。マークシート形式の模試で最後の問いで回答欄が一つ足りないことに気付いてしまった時の心境になった。ズレを直そうにも、残り時間があと一分しかない。そのような最悪な状況が展開されている気がした。

隣地所有者は、東急不動産が購入者に説明したものと信じて疑っていなかったようだ。原告が説明を受けていないことを聞いて、とても驚き、経緯を説明した。隣地所有者の話を聞きながら、原告は血が逆流するのを感じた。

欠陥住宅など、悪徳不動産業者による被害はよく報道されていたが、ニュースが他人事であったのは事実である。それが我が身にも同じ事態が生じたことを考えると、血液が沸き立ってたまらなかった。問題物件の購入を夢という美しい言葉で目覚めと共に消すことができたら、どんなに良かったであろう。

不動産業界はお化け屋敷である。思いがけない出来事に一般消費者はビックリ仰天するが、舞台裏では誰かがそ知らぬ顔でお化けを操っている。今まさに空を飛んでいこうとした瞬間に割れてしまった風船と自分を重ねあわせ、やり切れない思いがした。

隣地所有者は原告に確認することを勧めてくれた。

「東急リバブルに確認した方がいいですよ」

「そうします。どうもありがとうございました」

頭上では空は虚しい青さを広げていた。帰宅後、原告は、ぼんやりと天井を眺め始めた。それは原告が深く考える時の姿勢であった。傍から観ると怠慢で滑稽に見えるが、頭では深く緻密な思考が行われていた。専門家の話を聞いて知識を得なければなるまい。やることが山積みしているように思われた。夜になっても眠れなかった。目を閉じても仮眠どころか、脳神経のあちこちがざわついて仕方がなかった。

 

東急リバブルの責任逃れ

【たらい回し】823日、原告は東急リバブルに事実関係の確認と釈明を求めるために電話をした。

行動を起こさないとわからないことがある。「物言わねば腹ふくれる」というように、言いたいことを我慢していれば不満が蓄積するだけである。くよくよ悩んだり、足踏みしたりの状態で人生を無駄にするのはもったいない。知りたいのは真実であった。本当のことさえはっきりすれば、それにふさわしく振舞う覚悟はできていた。

最初に物件引渡し時に東急リバブルから配布された「緊急連絡訂正版」(2003930日)に記載された番号に電話した。しかし「この電話はただいま使われておりません」と無機質な機械音声が返るだけであった。

仕方がないのでインターネットから東急リバブルのWebサイトを検索し、そこに記載されていた東急リバブルお客様相談室に電話をかけた。しかし長々と説明させられた挙句、担当者に折り返し電話させるからと切られてしまった。

数時間後、中田から電話がかかる。原告は当然のことながら、中田はお客様相談室から説明を受けて原告の要件を知っているものと思っていた。

原告「用件については、お客様相談室から話を聞いていると思いますが」

中田「十分話を聞いていなかったもので……」

原告「また一から説明した方がいいですか」

中田「すいません」

このため、また一から延々と説明をさせられることになった。お客様相談室に話した時間と労力が全くの無駄になった。

中田「隣地所有者からは建替えの話は全く聞いていません」

原告は胸に冷たいものを差し込まれたような気がした。

原告「しかし、隣地所有者は説明したといっています。きちんと調査してください」

中田「上司に相談し、上司から連絡するようにします」

中田は連絡がいつになるとも言わずに、切ってしまった。

 

【文書での回答要求】中田の電話が切られてから、更に数時間後、宮崎から電話がかかる。原告は再度説明させられることになる。

原告「隣地所有者は建替えについて予め東急不動産に説明したと言っています」

宮崎「何階建てが建てられるのですか」

原告は「知っているくせに白々しい」と内心で感じた。知らぬふりをしていると思うと怒りが込み上げたが、ぐっと耐えた。

「三階建てです。隣地所有者は、そのことも説明したと言っております」

実際、宮崎は一二月に原告に対し、三階建てが建てられることを聞いていたと答えている。つまり、これは聞く必要のない問いであった。

原告「隣地所有者の主張が本当ならば、予め話しておいたわけですから、日照がさえぎられようと窓から覗かれようと我慢しなければならないことになります。一年足らずで日照のないマンションになってしまうことになります」

宮崎「重要事項で、周辺環境は将来変わりうると説明させていただきました」

原告「数年後に建替えられるという話ではありません。東急リバブルが建替えを知っていたのに説明しなかったことを問題にしています」

宮崎「建替えの話は全く聞いていません。隣地所有者と会ったこともありません」

宮崎は建替えの話は全く聞いていないと回答したが、後の協議(1212日)では、販売時から知っていたと発言している。つまり嘘をついたことになる。宮崎のような悪徳不動産営業にとって嘘をついても良心が咎めることはない。人生そのものが嘘だからである。生まれてこのかた己の利己的な欲望のみに熱中してきただけで、一度でも正しい倫理観を持とうと努力したことがあったであろうか。

原告「隣地所有者は二階と三階の購入者に説明することを約束したと言っています」

宮崎「・・・・・・」

原告「こちらでももっと調べなければならないのかもしれませんが」

宮崎「はい」

宮崎の声はドライアイスのように冷たかった。血管に氷水でも流れていそうな冷血動物めいた不気味さが感じられた。

不誠実な悪徳不動産業者から屑物件を購入してしまったことに対する後悔が原告の全身に潮のように満ちた。都合の悪い事実は知らなかったことにしてしまう悪徳不動産営業と熾烈な戦いをしていかなければならない自分を思い、暗澹たる気持ちになった。しかし、そうしなければ未来はない。突き進まないわけにはいかなかった。

原告「わかりました」

宮崎「わかってくださいましたか」

原告「はい。誠意がないということがよくわかりました」

宮崎は少し狼狽したようであった。

「こちらも何もしないわけではなく、建設時の事情を知っている東急不動産に確認した上で回答させていただきたいと思います。確認には時間がかかりますので、しばらくお待ちください」

原告「どれくらいの時間がかかりますか」

宮崎「四日くらいです。回答がありましたら、お電話を差し上げます」

原告「時間がかかるのでしたら、文書を郵送して下さい」

悪徳不動産業者は平気で嘘をつき、後で発言をひっくり返す。都合の悪い約束は「言った、言わない」の話にしてごまかしてしまう。実際、原告と宮崎との口頭での取り決めは全て反故にされてしまった。相手の悪辣さを考慮に入れると、書面を要求するのは正当かつ当然のことである。

宮崎「先ずお電話を差し上げて、必要でしたらお手紙を出すということでどうでしょうか」

予想通り、宮崎は難色を示した。原告は本音が透けて見えそうな宮崎の眼差しを思い浮かべた。常に金儲けの方を向いている眼差し、他のものは何も見えていない目であった。そこには国家資格(宅地建物取引主任者)を持つ者としてのプライドや責任をかなぐり捨てての儲け主義しかない。

原告「電話は必要ないので、手紙だけでいいです」

宮崎「……」

原告「手紙は埼玉の実家の方が受け取りやすいので、そちらに郵送お願いします」

宮崎「……」

原告「そもそも日照のないマンションなんて住めたものではないですから」

原告は宮崎に送り先の住所を教えて、電話を切った。

宮崎の不誠実な回答を聞き、何の気苦労もない平凡な生活が幕を閉じたてしまったことを改めて実感した。一旦、この種の悩みを抱いてしまったならば、それきりで止むことはない。

日のあたる部屋でのごろ寝、他人の目を気にしないでの生活は過去のものとなった。自分の体の一部が次々と欠け落ちていくような気がする。体中に枝を張り広げていた精神の樹はざわめきを止めた。

泳ぐように自由にそよいでいた葉は忽ち萎れ、枝々も静かに腕をたたみ、こぼれそうなほど満ちていた樹液はひっそりと引いていく。目の前の全てが色を失い、暗く陰って見えた。これまで感じたことのないような、心もとなく、うら寂しい気持ちになった。

原告は強く両手を握り締め、つぶやく。

「絶対に負けるものか。見ているがいい」

原告はやられっぱなしで終わらせるつもりはなかった。不幸を独り占めする趣味もなかった。必ず悪徳不動産業者にも分けてあげるつもりであった。原告は武者震いし、両手を広げて背を思いっきり伸ばした。

 

建替え未定との回答

【最初の回答】826日、宮崎から文書で回答が発送される。「所有者より建替えたい旨の希望は賜りましたが、当時、建築費用の捻出が困難であるとの理由から、建替え時期、建築概要については未定であると伺っております」と記述してあった。

原告が隣地所有者から聞いた話とは全く異なる。「重要事項で説明した」と自社の正当性を主張するのみで、原告の不信感をぬぐい去るほどの内容ではなかった。中身のない回答で、不誠実さを表すものであった。

一方、「建替えたい旨の希望は賜りました」とは認めており、電話での回答とも異なる。口頭では嘘八百を並べることができるが、文書は残るために、それなりのものを用意しているものと思われる。悪徳不動産営業は常にテクニック、打算、自己中心的に生きているようである。

手紙には宮崎の氏名の下に「プライヴブルー東京マンションギャラリー」と記述してあった。プライヴブルー東京は豊洲四丁目に建設されるマンションで、宮崎はこのマンションの販売を担当していたことがわかる。プライヴブルー東京は東急不動産が事業主であるが、江東区によるマンション計画の中止又は延期の依頼にもかかわらず、事業を強行したマンションである。

悪徳不動産営業である宮崎は常に問題物件の販売を担当しているようである。不動産トラブルの影に宮崎あり、と言ってもよい。宮崎の背中には腐臭を放つ黒い糸がついており、それをたぐると問題物件に行き当たるというわけだ。自分の得になりさえすれば、どんなことにも手を染める男である。

 

【東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004826日)】

拝啓 残暑の候、原告様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

さて、先日お電話でご連絡いただきました、隣接建物の建替計画についてご報告させていただきます。

アルス東陽町の販売時に所有者より建替え計画を聞いていたかどうか、ということですが、事業主(東急不動産株式会社 住宅事業本部 第4事業部 大島氏)に確認したところ、アルス東陽町の計画説明時において所有者より建替えたい旨の希望は賜りましたが、当時、建替費用の捻出が困難であるとの理由から、建替え時期、建築概要(構造・階数など)については未定であると伺っております。

したがって、建替計画が決定していない建物についての具体的な対応ができないため、ご契約時にお渡しした「ご購入のしおり、23ページの(6)周辺環境についての項目」で周辺環境についてご説明をさせていただいております。また、将来的なことを考えて、Dタイプの北側開口部(23階)につては網入り型ガラスとさせていただきました(原文のママ。「つては」は「ついては」の誤記と思われる。編者注)。

尚、内容をご確認いただきまして、ご不明な点がございましたらご連絡いただきたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。

敬具

 

東急リバブル株式会社

住宅営業本部

営業第5Aチーム

宮崎英隆

プライヴブルー東京マンションギャラリー

 

再調査要求

【再調査要求】831日、原告が隣地所有者から聞いた話とあまりにもかけ離れているので、再調査を要求する文書を発送した。

 

【原告文書(2004831日)】

早速ご報告を頂き、厚く御礼申し上げます。このたびお隣のW様よりの強いおすすめにより、ご連絡させていただきました。

隣地所有者の言によると、

1.建物3階建てで仕事場と住まいが一緒になるため音がうるさい。

2.アルス東陽町が建ってからすぐに建てる。(一緒に建てましょうと言われたが土台が緩むといけないのでアルス東陽町が建て終わったらすぐに建てると言ってある。)

3.だから2、3階は網入りガラス、4階以上は透しガラスです。

4.塀もフェンスだったが仕事場と住まいが一緒で音がうるさいのでコンクリートにした。

5.後で何かあるといやだから必ず言っといて下さいと何度も言ってある。

とのことです。

W氏は私宅に建築の挨拶に見えました。その時W氏は上記の旨をリバブルから聞いてその上で購入したのだと思っていました。「聞いていません」と言うと驚いていました。

聞いているのかと思ったが聞いていないのならリバブルに言った方がいいですよとW氏よりご助言いただきました。

以上の経緯があり、ご連絡いたしました。ご報告の内容とは明らかに違います。再度のご調査をいただきたくよろしくお願い申し上げます。

 

【国土交通省への相談】九月七日、東急リバブルからの回答が全くないので、国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課に相談の電話をする。国土交通省担当者が東急リバブルに事実確認をしてくれることになった。国土交通省担当者からは、「お客様相談室があるので、そこに電話するとよい」とのアドバイスを受けた。

九月一三日、返事が全くないので、東急リバブルお客様相談室に電話する。女性が出たが「わかりませんから、事業主と直接話して下さい」とたらい回しにされる。まるで「忙しいのだから、くだらないことで電話するな」と言わんばかりの対応であった。

 

責任逃れ

九月一三日、宮崎から文書で回答が発送され、数日後に届く。内容は前回とほとんど変わらない。全く当たり障りのない内容ばかりであった。はっきり言えば責任逃れしか考えていない。

隣地建物について「当時、作業場所として使用されておりましたので騒音があるとは聞いておりました」と回答した。契約時には資材置き場としか説明していないにもかかわらず、状況が変わると自社に都合がいいように事実を歪曲する姿勢には憤りを感じる。

 

【東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004913日)】

拝啓 初秋の候、原告様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

さて、先日お手紙いただいた内容についてご連絡をさせていただきます。

再度、事業主である東急不動産株式会社にW様のおっしゃっている1〜5の内容について確認をさせていただきました。回答は以下のとおりでございます。

建物3階建てで仕事場と住まいが一緒になるため音がうるさい。

→具体的な階数などについてはお聞きしておりません

当時、作業場所として、使用されておりましたので騒音があるとは聞いていました

アルス東陽町が建ってからすぐに建てる。

→将来的に建替えたいとは聞いておりましたが具体的な時期についてはお聞きしておりません

だから2、3階は網入りガラス、4階以上は透しガラスです。

→将来的に隣地が建替えられた場合の事前対策として網入りガラスの仕様とさせていただきました(原文のまま。網入り型ガラスとしなければ意味が通らない)

塀もフェンスだったが仕事場と住まいが一緒で音がうるさいのでコンクリートにした。

→当時、作業場所として使用されておりましたので、当社の判断でコンクリートの仕様とさせていただきました。

後で何かあるといやだから必ず言っといて下さいと何度も言ってある。

→前回のお手紙でご説明したとおり、アルス東陽町の計画説明時においてW様より建替えたい旨の希望は賜りましたが、建替え時期、建築概要(構造・階数など)についての詳細が未定であったため、具体的な建築計画が決定していない建物の建築計画を予想してご説明ができません。したがって、ご契約時にお渡しした「ご購入のしおり、23ページの(6)周辺環境についての項目」で周辺環境についてのご説明をさせていただいております。

また、「ご購入のしおり、36・37ページの別添資料I」も同封させていただきますが、具体的な建替え時期・構造などが未定であったため「覚書内容の2」のような記述をさせていただいております。合わせてご確認ください。

以上、ご質問の回答をさせていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

敬具

 

東急リバブル株式会社

住宅営業本部

営業第5Aチーム

宮崎英隆

プライヴブルー東京マンションギャラリー

 

原告の指摘

九月一四日、原告は隣地所有者の説明とは全く異なると指摘した文書を発送する。

 

【原告文書(2004914日)】

前略

お返事いただきました。どうも有難うございます。でも納得出来ません。アルスの方は知っていて、それを当方に告知せずに売却したのではないかと思います。

重要事項の説明の時にお聞きしたのは

@となりの建物の一部が越境していることと

Aとなりは物置小屋、資材置き場です ということだけで

将来的に建替えたい。作業場所で騒音がある。この点は聞いていない。

再度、W氏に確認したところ、

1.アルスの方から何階建てですか?と聞いてきた。4階以上は絶対に建てませんと言った。

2.アルス東陽町が建ってからすぐに建てる

すぐにやりたい。「一緒に建てましょう」と言われたが土台がゆるむといけないのでアルスが建ってからすぐ建てる。

アルスの完成を待つ訳ですから、はっきり何月といえないのは当然でこういう場合は月日は言えないが確実に近いうちに立てるということです。

「すぐにやりたい」という言葉は何度も言ったとの事。従って建替え時期は将来的というよりも完成後すぐに確実に建つというべきです。

3.アルスの方から何階建てですかと聞いてきたので4階以上は絶対に建てませんとアルスに言った。だからアルスは4階以上は建たないと知っている。従って2、3階は網入りガラス、4階以上は透しガラスにした。

ここは8階建てだって建てられるのですから、確実に3階と分かっていたから4階以上を透しガラスにした。

4.塀について

アルスの判断でWさんに気を使って風通しを考えてフェンスにしましょうと言って来た。W氏は音がうるさいと悪いからコンクリートにしてくれと言った。アルスの判断ではフェンスだったがW氏の希望でコンクリートに変えてもらった。

現在、コンクリート塀はアルスの方だけ色を塗ってある。W氏側は「Wさんの方は自分で好きな色を塗って下さい」と言われた。まだ塗っていません。

5.後で何かあるといやだから必ず言っといて下さいと何度も言ってある。

すぐに建てるという建替え時期、4階以上は建てないという事をアルスは絶対に知っています。「引き継ぎは責任をもっていたします。」とアルスは言っていました。以上の事を再度話されました。

宮崎様の回答はもっともらしいのですが、前記のW氏の発言をなおも否定されるのかどうか、御返事お待ちしております。

 

東急リバブル来訪

【行政指導による態度急変】九月一六日、国土交通省担当者から電話を受ける。国土交通省担当者は、東急リバブルに事実確認をした経緯を説明した。

担当者は、お客様相談室藤田室長代理と電話で話した(フルネームは不詳。お客様相談室には藤田伸紀という人物がいる)。藤田は「隣地所有者から将来的に建てたいと聞いているが、資金がないと言っていた」と主張した。それに対し、国土交通省担当者は「話し合いをするようにと言いました」と話す。

同日、宮崎から電話がある。

宮崎「お手紙が届きました。それで一度ご自宅を訪問して説明したいのですが」

原告が国土交通省に本件を説明し、国土交通省の担当者が東急リバブルに電話したため、慌てて訪問することになったようである。消費者の訴えには耳を貸さそうとせず、役所が口を出すと手のひらを返すように態度を改める。

実際、この後も東急リバブル及び東急不動産から会って説明したい旨の提案がなされたのは役所に相談した後である。一消費者からの問い合わせである限り、ごまかし通したいとの意図が透けて見える。

原告「私としては、こちらの問いにきちんと答えてくれるのでしたら、手紙のやり取りでも問題はないと思っています」

宮崎「一度お話した方がいいと思いまして」

典型的な悪徳不動産営業である宮崎は相手の要望には全く耳を貸さない。代わりに自己の要求だけを押し付ける。

原告「自宅というと場所は埼玉で宜しいですか」

宮崎「埼玉をご希望されるのでしたら、うかがいます」

原告「では、お願いします」

宮崎「私と上司で訪問させていただきます。ただ、二人の予定が空く日が三連休の九月一八日から二〇日までの午前中だけになっています。その中で都合のいい時間をご指定ください」

宮崎の方から訪問を申し出たにもかかわらず、訪問日時を一方的に限定した。典型的な悪徳不動産営業である宮崎は他人の都合を全く考えない。譲るのは相手と決め込んでおり、自分の都合だけを押し付けてくる。他人の都合は頭からない。人のためよりも自分のためが第一で、欲望は限りなく追求し、わがままを押し通す。

原告「一方的な指定ですね。都合のいい時間を指定ください、と言ってもそれでは選択の幅はないも同然です。私にも予定があるので、都合をつけなければなりません」

宮崎「では、明日、改めてお電話させていただきます」

九月一七日、宮崎から電話がかかるが、原告は都合により出られなかった。宮崎は留守電に「明日、また電話します」と残した。

 

【訪問日の決定】九月一八日、原告は宮崎からの電話を待ったが、かかってこないので、こちらから電話をかける。

宮崎「昨日、お電話したのですが、不在だったもので、後で電話しようと思っていました」

宮崎は原告が電話に出なかったのが悪いと暗に非難した。そのようなことを協議の日程を決める電話でわざわざ言う必要性はどこにもない。しかし典型的な悪徳不動産営業である宮崎は常に相手を非難しなければ気が済まないのである。

原告「協議の日にちですが、第一希望は九月二三日。この日でしたら、時間は、いつでも構いません。それが駄目でしたら、私としてはあまり好ましくありませんが、九月二〇日です」

宮崎「上司の予定を確認した上で回答します。それからアルスにはもうお住まいにならないのですか」

原告「はあ?」

原告は宮崎の文脈を無視した質問を理解できなかった。

宮崎「アルスの方がお話しやすいと思いまして」

原告「埼玉に伺うと聞きましたが。違いますか」

宮崎「……」

原告「それに購入後、一年後足らずで、日照がなくなる問題物件を販売しておきながら、何言っているのですか。少しは相手の状況を考えてください」

宮崎「わかりました」

熱のこもらない言葉であった。その後、宮崎から電話があり、「九月一九日一一時に伺う」と一方的に指定された。原告の希望は無視されたわけである。

 

来訪

【訪問】九月一九日、東急リバブル住宅営業本部営業第五部の今井と宮崎が原告宅に訪問する。今井は「申込証拠金預り証」の取扱者で、契約締結時には門前仲町マンションギャラリーで飲み物を出した人物である。原告との関係はそれくらいで、特に会話したこともなかった。

今井は微笑を浮かべていた。侮蔑というほどではないが、どことなく見下げるような雰囲気をもった笑みである。唇にはコップにべっとりと跡が付きそうな真っ赤な口紅を塗っていた。笑みがこびりついて歯をむき出して笑っている着ぐるみ人形を彷彿とさせる。

微笑を浮かべながらも、目だけは笑っていない。少し出目気味の目玉にはコンタクトレンズがはり付いている。目の底には人のものとは思われないような光がちらついている。生気はないが不潔な欲望は人一倍満ち溢れている腫れぼったい目。何とも形容しがたい粘っこい爬虫類の目である。

今井の視線はナメクジのように原告の全身を舐めまわしていた。冷静に観察すると、その視線には何かしら敵意のようなものが感じられた。水商売風の派手な感じで、こちらを値踏みしているような小狡そうな印象である。作り笑いには誠実さが感じられない。

生理的な不快感が原告の背筋をエレベータのように上下したが、原告は平静を装った。見せかけの友好的雰囲気に騙されるほど、今井の内面の敵意は大人しくなかった。原告は、友好の二文字が無縁な相手であることを承知せざるを得なかった。感性が、けたたましく警告していた。

協議は、ほとんど今井が一方的に話し、あまり意味のないものだった。今井は、おぞましいほど香水の臭いをむんむん発散させながら、厚化粧の顔を前に突き出して、早口でまくし立てた。

今井「国土交通省の担当者から電話を受けまして、説明させていただきました。問題ないと了解をいただきましたが、お客様にはよく説明するように言われまして、本日おうかがいいたしました」

原告の心を寒風が吹きぬけた。自分の胸の底に冷え冷えとした渇きが生まれるのを感じた。相手が非を認め、示談交渉を提示してくるとの期待を全く抱いていなかったわけではなかった。戦意は固めていたものの、どこかに妥協点がないか探る努力を怠るつもりはなかった。しかし甘い期待は無残にも打ち砕かれた。

今井は「東急リバブルは役人とはもめたことがない。なにしろ、たっぷり金を払っているから」とでも言うかのように自信満々と自社の非を否定した。原告は僅かに潤いを残している喉から、かろうじて声を絞り出した。

原告「認識違いがあるようですが、私はそちらの主張を理解していないわけではありません。そちらの主張を理解した上で、その内容が事実ではない、納得できないと言っています」

静かな声であったが、聞く者の胸を突くような鋭い強さが込められていた。今井は反論しようとしたが、声帯がストライキに突入したらしく、開閉する口は空気を吐き出すだけであった。

原告「こちらが誤解していると、まるでこちらの理解力に問題があるように非難していますが、それはポイントが外れます」

 

【作業所】原告「購入時は隣地建物を資材置き場と説明を受けました。配布された地図にも『ソーコ』と記述されています。しかし九月十三日付のお手紙には『作業場所』と記述してあり、購入時の説明とは全く違います。これはどういうことですか」

今井「普段は木材などを保管し、時々、作業をされているというのが実態です。倉庫と言えば倉庫ですし、作業所といえば作業所です。文言の問題です」

言葉を重ねる今井は、相手を封じ込めようとする呪術師のようであった。その主張は定義の歪曲であり、むしろ定義破壊と言うべき詭弁であった。

原告「作業所ならば作業をする際に音が発生するものです。しかし倉庫は通常は物を保管する場所で、作業の騒音は発生しません。居住者にとっては全く異なります。実態は作業所なのに倉庫と説明して売るのは詐欺です」

今井の表情が奇妙に歪む。狡猾な詐欺師の打算がうごめいている。

今井「誤解を招いたのかもしれませんが、言い方の問題です」

原告「倉庫ならば人の出入りも少なく、静かですから、このマンションの利点としてカウントしたほどです」

今井「・・・・・・」

原告「購入前は倉庫と説明しておきながら、売った後は作業所であり、騒音は我慢しろ、と言うのは卑怯です」

宮崎「もし騒音が社会的に見て許容できないものでしたら、管理組合を通して隣地に申し入れをすることはできます」

原告「それは筋が通りません。最初から作業所があり、その所有者があらかじめ騒音が出ると警告していたのですから、隣地所有者の立場に建てば、どんなに大きな騒音を出そうと住民は文句を言えないでしょう」

宮崎「商業地域なので、ある程度の騒音が発生する施設ができるのは許容範囲内です」

真冬の石さながらに冷たい宮崎の表情がそこにあった。鉛を呑んだように不機嫌で顔色が悪かった。生気というものが感じられなかった。

原告「電話でも何度も言いましたが、将来そういうものができたという問題ではありません。隣地所有者が予め騒音が発生するから覚悟するようにということを伝えておくように依頼したのに説明されていないことを問題にしています」

宮崎「作業所になるので騒音が発生するという話は聞いていません」

原告「手紙に書いてありましたのは何ですか」

宮崎「書いていません」

宮崎は正直という徳目に忠実でないどころか、明白な嘘を平然と言ってのけた。嘘発見器を赤面させるような平静さであった。それが嘘であることは、晴れ渡った空を横切る一本の飛行機雲や新雪の上に残された一直線の足跡のように明白であった。原告の目の前に宮崎からの回答が置いてあることを考えれば、呆れるほど大胆な嘘である。

宮崎の表情も声も目に見えない厚い甲冑をまとっており、本心を容易に見せない。むしろ嘘で塗り固めた人生で、本心などというものは、とうの昔に摩滅しているのかもしれない。

原告は一瞬、絶句してしまったが、気を取り直して宮崎からの回答を示した。九月一三日付の手紙には確かに「当時、作業場所として使用されておりましたので騒音があるとは聞いておりました」と記述してあった。

宮崎「これは、その当時、作業場所として使用されていたということで、建替えられる作業所の騒音の話ではありません」

宮崎の声は低くなり、それに反比例して、邪悪な精気が圧力を高めて、室内に流れ出した。

原告「それはおかしいでしょう。手紙では『建物三階建てで仕事場と住まいが一緒になるため音がうるさい』という隣地所有者の話に対する回答として書いてあります。それに対して『騒音があると聞いていた』と織り込み済みであったと反論しているわけですから、騒音が発生することを聞いていたことになります」

今井「文言の話はやめましょうよ」

その口調はきわめて軽く、まるで肩にかかった蝿でも払うかのようであった。

原告「いや、文言の問題です。この文章からはそのように解釈する以外ないでしょう。誤解していると、まるでこちらの理解に問題があるように非難しますが、この文章からはそうとしか読み取れません。誤解を招くような回答を出しておきながら、誤解したと非難するのは筋違いです」

原告は、頬が熱くなるのを感じた。顎のすぐ下で血液が脈打ち、それがたちまち全身に広がっていくのがわかる。

「非難はしていません」

安物のマネキンを思わせる無表情さで、今井が答えた。心中の憤懣を押し隠しているようで、気味の悪いことこの上ない。

原告「もし東急リバブルが作業所に建替えられて騒音が発生することを聞いていないならば、この回答はおかしいでしょう」

宮崎は頬を引きつらせた。それまでは、どんな感情も表れていない、淡白な感じの目つきであったが、この瞬間に恐ろしいほどの激情がぱっと瞳の中にふりまかれた。

宮崎「この文章は不適切でした」

相手の過ちはとことん非難するが、自分の過ちは不適切と形容し、非は認めないのが悪徳不動産営業のポリシーである。それが悪魔に魂を売った人間というものなのかもしれない。自分を譲り渡しているのだから、自分の責任も存在しない。

自分の罪は目立たなくする。「自分が悪いのではない」「自分には罪がない」と言葉を練り固め、事件の本質からそらしていく。ミスをした側より、ミスを指摘した者が悪いかのごとくふるまい、それにあわせて事実を捏造していく。

悪徳不動産営業にとって自分自身は無謬であった。物事がうまくいかないとすれば全て他人が悪いのである。クレームを付ける消費者が悪い。不正を糾弾するマスメディアが悪い。無能な会社上層部が悪い。何もかも他人が悪い。

原告「訂正は口頭だけですか。口頭だけでは、後で「言った、言わない」のトラブルになります」

宮崎「私達がここで話したことは確かです。何でしたら録音されても構いません」

原告「文書の訂正は文書でするのが筋です」

甘く見られないこと、付け込まれないこと。これらは悪徳不動産営業と渡りあう上では絶対に必要なことであった。

宮崎は飲めない物を飲むかのように喉を大きく動かしながら目をつぶり、再び口を開く。

宮崎「わかりました。後で訂正の手紙をお送りします」

 

確認事項

【東急不動産】原告はお客様相談室からたらい回しにされたことを話した。

原告「この前、東急リバブルのお客様相談室に電話したのですが、そこでは『こちらは関知しないので事業主の東急不動産に直接聞いてください』とたらい回しにされ、非常に不愉快な思いをしました」

原告は自分の声が低くなっていくのを感じていた。たらい回しにされた怒りが改めてこみ上げてきた。

原告「東急リバブルは売ったら売りっぱなし、責任はとらないということなのですか?」

今井「そんなことはありません」

今井は自分の焦りを気づかれまいとするかのように、意思の力で幾重にも心を蔽いながら首を振る。

原告「しかし、実際に相談室の担当者が言ったことです。東急不動産に聞けと言われても、担当者が誰だかわかりません。大代表に電話をかけるか、それとも代表取締役宛に手紙を出せばいいのですか」

宮崎「東急不動産の窓口については一度持ち帰って調整した上で改めて回答させて下さい」

原告「私としては、御社が信用できない、とか、御社を無視して話を進めたいという気持ちは持っていませんが、お客様相談室であのように言われたら黙っているわけにはまいりません」

宮崎はごまかそうとしたが、原告の不満を感じた今井が遮る。

今井「東急不動産では住宅事業本部でアルスを担当していて、松岡リーダーの下に野間係長がおります。実際の担当者は関口という者です」

今井は三人の名前を紙に書き、手帳から連絡先の電話番号を写した。

原告「今、あげられた東急不動産の担当者は誰一人、隣地所有者から話を聞いていないのですね」

今井「全く聞いていません。誰も知りません。ですから隣地所有者が誰に説明したのか確認してください」

 

【確認事項】今井「将来、周辺環境が変化しうることは重要事項で説明させていただいております」

原告「だから、後はどんな環境になろうと知ったことではない、ということですか」

今井「そうは言っていません」

原告「結局、そういうことになるでしょう」

今井「……」

原告「重要事項での周辺環境は隣地の建替えのことを記述しているのですか」

今井「いいえ、一般的なものです」

原告「重要事項には隣地所有者が説明したことが何一つ記述されておりません。それを問題としています」

今井「隣地所有者は立ち話的に言ったのではないですか」

原告「それは私が隣地所有者から直接聞いた話とは全く異なります」

今井「隣地所有者の説明したことがあったか、調査したのですが、隣地所有者から聞いた人はいませんでした。それなので隣地所有者が誰に説明したのか、その名前を確認してくれませんか。そうすればこちらも調べられます」

原告「そのようなことは、御社の方でこれまでの担当者を調べれば、分かることでしょう」

今井「東急リバブル・東急不動産の担当者誰一人として、隣地所有者に話を誰も知らないと言っています。隣地所有者がいったい誰に言ったのか、調べてください」

原告「わかりました。誰が隣地所有者に説明したのかについては確認します。その代わり、東急リバブルの方でも直接、隣地所有者に事実関係を確認してください」

それまで余裕たっぷりだった今井の表情と態度が一変した。音を立てないのが不思議なほどの変わりようである。猫ならば全身の毛を逆立てたところである。両目には熱湯が沸き立っていた。嘘で塗り固め、騙し通そうとしていた悪徳不動産営業にとって最も恐れていたことであったかもしれない。

原告「隣地所有者が言った話と東急不動産が聞いた話は全く異なります。どちらかが嘘をついていることになります。私には隣地所有者が嘘をついているとは思えません。直接隣地所有者に確認すれば、事実認識の隔たりも解消されるでしょう」

今井は明らかに嫌そうな顔をした。不愉快に思っていることは、強く眉根を寄せた表情から容易に看取できた。

原告「東急リバブルが隣地所有者に確認すれば、どちらが嘘をついているか、一発でわかります。反対にそれができないのでしたら、隣地所有者と直接話をできない後ろめたい何かがあるのではないかと疑われます」

傲慢なようでいて、どこかに怯えを宿らせた苦しげな眼差し。いらだちとも憎悪ともつかない荒い波が今井の心を揺さぶっているようであった。

原告「現実に見解の相違があります。だからこそ、違いに固執するのではなく、少しでも縮小する方向で対処してほしいと思います」

今井は世界で一番不味い物を飲み込むように顔を歪めた。満面に不平不満をみなぎらせたものの、原告の論理に屈服せざるを得なかった。突き破って溢れ出さんばかりの激しい怒りを押し殺し、不承不承という感じで了解した。

今井「わかりましたが、隣地所有者と直接交渉していたのは、東急不動産なので、その件は東急不動産に依頼します」

原告「しっかり確認してくださるならば、誰がやるかは問題ないです」

原告はこのように答えたが、これが大失敗だった。東急不動産の担当者が「約束は破るためにある」を座右の銘としているような無責任極まりない人間であり、この取り決めは一言の断りも連絡もなく反故にされることになる。

 

東急リバブルの訂正回答

【東急リバブル回答文書(宮崎英隆作成、2004924日)】東急リバブルから回答が届く。

拝啓 秋晴の候、原告様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

さて、先日は、お休みのところ貴重なお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。先日のお手紙でご質問いただいた内容についてご連絡させていただきます。

1.アルスから何階建てですか?と聞いてきた。3階以上は絶対建てませんと言った。

→東急不動産、東急リバブルからW様へ確認したことはありません。

また、「3階以上は絶対建てません」ではなく、建替えるのであれば、「3階建てにしたい」というご希望はお聞きしておりました。

2.アルス東陽町が建ってからすぐに建てる。すぐにやりたい。「一緒に建てましょう」と言われたが土台がゆるむといけないのでアルスが建ってからすぐ建てる。

→東急不動産からW様へ土地の有効活用の方法として等価交換方式で「一緒に建てましょう」と言いました。その際にW様から等価交換ではなく、単独で「将来的に建替えたい」というご希望はお伺いしました。しかし、先般もご説明したように、建替え時期、建築概要(構造・階数など)についての詳細が未定であったため、具体的な建替え計画が決定していない建物の建築計画を予想してご説明ができません。

3.アルスの方から何階建てですかと聞いてきたので4階以上は絶対に建てませんとアルスに言った。だからアルスは4階以上は建たないと知っている。従って2、3階は網入りガラス、4階以上は透しガラスにした。

W様から聞いたことを参考としたのではなく、一般的な将来の対策として、東急不動産の判断として網入りガラスとしました(原文のまま。ここは網入り型ガラスとしなければ意味が通らない)。

4.塀について

→東急不動産、東急リバブルからW様へ確認したことはありません。

5.後で何かあるといやだから必ず言っといて下さいと何度も言ってある。

→前回のお手紙でご説明したとおり、アルス東陽町の計画説明時においてW様より建替えたい旨の希望は賜りましたが、建替え時期、建築概要(構造、階数など)についての詳細が未定であったため、具体的な建替計画が決定していない建物の建築計画を予想してご説明ができません。したがって、ご契約時にお渡しした「ご購入のしおり、23ページの(6)周辺環境についての項目」で周辺環境についてのご説明をさせていただいております。

また、平成16913日付けのお手紙の回答を一部訂正させていただきます。

1.建物3階建てで仕事場と住まいが一緒になるため音がうるさい。

→具体的な階数や将来、音がうるさいなどとはお聞きしておりません。

以上、ご質問の回答をさせていただきます。今後ともよろしくお願いします。

 

隣地所有者への確認

【隣地所有者への確認】九月二二日、原告は隣地所有者に、隣地の建替えを説明した相手について尋ねる。隣地所有者は康和地所の井田担当、建設会社工事所長、現場監督の三名と答えた。工事所長の名前は忘れたとのことであった。

 

【原告文書(2004928日)】九月二八日、原告は隣地所有者から確認した内容を文書でリバブルに送付する。隣地所有者が「話がしたいから電話下さい」と言っていたことも伝える。

宮崎英隆様

御返事受け取りました。あくまでも隣地所有者の言っていることは東急不動産、東急リバブルとしては聞いていないとの趣旨は確認致しました。

先日(9/19)、おいでいただいた折、東急の誰に対して告げたのかを確認して欲しいとのことでしたので、もう一度隣地所有者に詳しいお話を伺いました。

告げた相手方

1.東急不動産窓口担当井田氏(前の康和地所からの人で初めから最後まで外回りの事をやっていました)

2.ピーエス三菱工事所長(山下洋史・東京建築支店工事第二部所長のこと。編者注)

3.現場監督 北氏

以上の3氏です。

先ず、井田氏、所長、東急の人(たぶん関口氏)が工事の挨拶に見えた。「ご迷惑をおかけします」ということだった。東急の人が来たのはこの時だけです。

後は井田氏が東急の窓口で東急に言いたい事は井田さんに言えば良いと言われた。「引き継ぎは私が責任を持って致します」と井田氏は言った。

1.アルス東陽町が建ってからすぐ建てる。

2.四階以上は絶対建てない。

3.住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある。

以上のことを後で何かあると嫌だから住む人に言っておいて下さい。と井田氏にお願いした。ピーエス三菱の所長、井田氏も知っている。

一緒に建てましょうと言われたが、土台がゆるむといけないから、そっちが建ってから建てる、3階以上は建てないからその上にアルスの部屋を作ってもいいですよ。とも言った。

平成16913日の貴社からのお手紙を渡辺氏に見ていただきました。以下、渡辺氏の言葉です。

うちは8階も建てられるのだから将来的と言うのなら、もっと上まで曇りガラスでいい。むこうから何階建てにするのですかと聞いてきた。「3階以上は建てない」と言ってあるから3階まで曇りガラスにした。

後日、3階まで曇りガラスにしました。玄関右側6畳窓3ツある。1つだけ開く。あとの2つははめ殺し(開かない窓)にしておきましたよ、と報告がありました。窓と窓がぶつかるといけないからアルスの2階と3階に上がって見せてもらった。

Cの塀もフェンスだったが、これはうそです。

井田さんがフェンスでどうでしょうと言いに来た。うちは子供がいるからフェンスだと壊すといけないからコンクリートにしてくれと言った。こっちがコンクリートと言ったのだ。

以上が平成16922日(水)隣地所有者より聞いた話です。隣地所有者も話がしたいからいつでも電話下さい、と言っています。

2回の手紙と上記の事を考え合わせると東急不動産は今日ある事実を知っていたのに告知しなかったというのが事実ではないでしょうか?

返事お待ちします。

 

不誠実な対応

【宮崎逃走】九月三〇日、宮崎から電話がある。

宮崎「お手紙届きました」

原告「そうですか」

宮崎「私は今度神奈川に転勤することになりました」

原告には神奈川としか説明しなかったが、実際は青葉台であった。

宮崎「そのため、この問題の担当を降りることになりました」

一方的な通告である。不審な思いが、原告の心をよぎる。

原告「突然の話ですね。後任の担当者はどなたになるのですか」

宮崎「東急リバブル本社の法人営業部か東急不動産の人間で担当することになります」

原告「ということは誰が担当者か決まっていないということですか」

原告の心の底で獰猛な風が生まれ、次第に勢いを強めながら体内を吹きすさぶ。

宮崎「後任については私共と法人営業部、それに東急不動産の三者で検討中です」

原告「誰が担当者になるか決まっていないのに、現在の担当者が降りることだけは確定しているのですか」

宮崎「はい」

原告「随分無責任な話ですね」

何と言うか、組織のどす黒い、ダークな部分がうごめいているような感覚が襲ってきた。

宮崎「近日中に決めた上で連絡を差し上げます」

原告「引継ぎはきちんとされるのでしょうね」

宮崎「はい」

実際は全くされなかった。原告への連絡先すら引き継がれなかった。

原告「知らない人間が出てきて一から説明し直しというのは困ります。アルスの販売に携わっていない人が担当者になっても、その時の事情を知らないので話が進むとは思えません」

宮崎「東急不動産の場合は、隣地所有者と直接交渉したので、その点はむしろスムーズになると思います」

宮崎は無責任な保証をしたが、実際は正反対であった。新たな担当者を自称する人間は隣地所有者とは一度も会ったことのない人物であった。

原告「この前の話し合いで約束した隣地所有者への確認はされましたか」

宮崎「していません」

原告「するのですか」

宮崎「します」

一般に交渉において担当者の交代は引き伸ばし・時間稼ぎの有効な戦術だが、今件でもその威力をまざまざと見せつけられることになる。後の祭りだが、この当時はまさかあそこまでいい加減な人間に代わるとは思いもよらなかった。

 

【留守電】一〇月六日、東急不動産の大島と名乗る人物から、新たに担当者になった旨の連絡が携帯の留守電に入る。原告は、大島とは購入契約から現在まで一度も会ったこともなく、書面でやり取りしたこともなかった。

留守電に一方的に担当者と通告してきた大島の非礼と強引さには不快感を覚えた。まともな会社ならば担当者が変われば前任担当者が後任担当者を紹介するための挨拶をするのが普通である。その夜はこの先を思う不安のために、なかなか寝付くことができなかった。その後、大島から電話を受けたことはなく、それっきり何の音沙汰もない対応にも大きな違和感を抱く。

 

無礼な回答

【無礼な回答】一〇月一七日、東急不動産からの回答が届く。文書の作成人として住宅事業本部第四事業部大島とあり、作成日付は一〇月一五日となっていた。

しかし送り先が指定した住所とはまったく別の場所であったため、届いたことに気づかず、実際に受け取ったのはずっと後である。原告と宮崎との間では埼玉の実家に郵送すると決めていた。新たに担当者となったと自称する大島は、その取り決めを一言の断りもなく一方的に踏みにじった。無責任極まりない対応である。この行為だけを見ても、大島には本件を真面目に担当する意識が皆無であると感じられる。

回答は相変わらず自社には全く非がないとするものであるが、建替時期(アルスが建ったらすぐ建てる)、建築概要(三階建てを建てる)ことを隣地所有者から聞いていたことをはじめて認め、売主として了知済みの事実であったと明言した。

これまでの中田、宮崎、今井の説明とは全く異なるもので、東急リバブル及び東急不動産の調査のいい加減さ、誠意のなさをよく物語る。しかも一二月一二日の協議では東急リバブル自体も最初から知っていたと回答している。こちらが前の手紙で担当者井田の氏名を明らかにしたために、対応を変えたのであろう。情報を小出しにするのは、猿を手なずける猿回しのような姑息なやり方である。

大島は「三階以上は建てない」と書いているが、これは四階以上の誤りである。三階以上では二階までとなってしまい、話が通らなくなる。実際、一二月一六日付の東急不動産住宅事業本部出状の手紙では「三階建てを建てたい」と書いている。ここにも大島のいい加減さがよく現れている。

 

【追伸】被告回答文書の問題は内容以上に形式にあった。大島の手紙は無礼なことに末尾に追伸を用いている。追伸は正式な文面や目上の人に対して使用してはならないものである。これはマナーの初歩であり、誰もが知っている常識である。常識であるにもかかわらず、あえて使用するのは相手に敬意を払う意識が皆無な無礼な人間であることがよくわかる。

そして大島のような無礼な人間を担当者とする東急不動産の体質に問題があることも明白である。「ロクでもない社員や従業員がいる不動産業者は、その業者自体がロクでもない業者であることは間違いない」(諸星俊一、不動産業者の正しい選び方・つきあい方、総合法令出版、1998年、19頁)。

 

東急不動産回答文書(大島聡仁作成、20041015日)

拝啓、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

平成16928日付けにて原告様より頂きました文書についてご回答させて頂きたく存じます。

まず、井田氏については弊社がアルス東陽町建設地を譲受けた売主、康和地所の担当者です。当時、近隣住民の方へ近隣説明を行っていた担当者でもあります。隣地所有者様が井田氏へお話した内容について改めて確認させて頂きました所、アルスが建ってからすぐ建てる旨、三階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨の内容は伺っておりました。

しかしながら、建築時期が未定、建物計画概要について説明を受けていない点より契約者へのご説明はさせて頂いておりません。また、その後隣地所有者様より具体的なお話を伺っておりません。

当初からのご説明のとおり隣地所有者様宅建替えについては建替え時期・建築概要(構造・階数など)について詳細が未定であった為、具体的な建替え計画が決定していない建物の建築計画を予想してご説明できません。したがって、ご契約時にお渡しした「ご購入のしおり、23ページ、(6)周辺環境についての項目」で周辺環境についてのご説明をさせて頂きました。ご理解いただく様宜しくお願い致します。

追伸 ご返答が遅くなり大変申し訳ございません。

東急不動産株式会社

住宅事業本部第四事業部

大島聡仁

 

契約解除申し入れ

【契約解除申し入れ】112日、原告は文書を東急不動産宛に送付した。契約解除及び損害賠償を申し入れた。宮崎とのやり取りは事実確認のみであったが、大島の無礼極まる態度への怒りもあり、正式に意思表示を行う。

図面集記載の宣伝文句「独立性の高い立地を活かした全戸に開放感ある角住戸を実現。風通しや陽射しに配慮した2面採光で、心地よい空間を演出します」を引用した上で、「東急不動産はこの広告の部分が数ヶ月で失われることを知っていて故意に契約者に告げず、高い価格でマンションを売った。わずか数ヶ月で3階建ての隣の壁で一面が真っ暗になってしまった。詐欺にも等しい不法行為に当たる」と記述した。

 

原告文書(2004112日)

前略

平成161015日付の返答について、お答え致します。「ご理解いただく様宜しくお願い致します」とありますが、到底、理解できないし、納得も出来ません。

今迄の書面をまとめました。

平成1411月頃アルス東陽町建設に入る前に隣地所有者は東急不動産窓口担当井田氏に次の事を告げた。

1.アルス東陽町が建ってからすぐに建てる。

2.3階建、4階以上は絶対に建てない。

3.住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある。

後で何かあるといやだから住む人に必ず言っておいて下さい、と念押しした。

井田氏の言葉「引き継ぎは私が責任をもっていたします。」

その後の経過

東急不動産より隣地所有者に「一緒に建てましょう」との誘いがあった。隣地所有者は「単独で建てる。3階建てだからその上にアルス東陽町の部屋を造ってもいいですよ。土台が緩むといけないからアルスが建ってからすぐ建てる。」と答えた。

窓について

「何階建てですか」と向こうから聞きに来たので隣地所有者は「3階建てです。3階以上は絶対に建てません。」と言った。

後日、3階迄曇りガラス、4階以上は透しガラスです。6畳の部屋に窓が3つある。1つだけ開く。他の二つははめ殺し(開かない窓)にしておきましたと渡辺氏に報告があった。

隣地所有者はアルス東陽町が完成したら建築する隣地所有者宅の窓とアルス東陽町の窓がぶつかるといやだからアルス東陽町の二階と現在原告の住居である三階に入って見せて貰った。

塀について

井田氏が「フェンスでどうでしょう」と言って来た。隣地所有者は「仕事場と一緒だから騒音がある。子供がいるから、フェンスだと壊すといけないからコンクリートにしてくれ」といった。

2004922日(水)隣地所有者は上記の事を確認した上で、東急不動産で、不審な点、質問があればいつでも電話下さい、との事でした。

隣地所有者は東急不動産窓口担当井田氏に話をして住む人に伝える旨を頼んだ。井田氏も引き継ぎは私が責任を持って致しますといった。

平成16919日(日)東急リバブル(株)今井由理子氏が我家に来た時、東急不動産は隣地所有者の話をまったく聞いていない。誰も知らない。又、隣地所有者の話も否定した。ものすごい勢いでしゃべりまくり、まくしたてた。いったい誰に言ったのか調べて下さいと言われたので、こちらで調べて後日、書面で報告致しました。

平成161015日(金)付東急不動産よりの書面について、東急不動産は、隣地所有者が井田氏に告げた旨の話は聞いていた。しかしながら故意に契約時に説明をしなかった。その理由として東急不動産は下記の事柄を述べている。

「当初からのご説明のとおり隣地所有者様宅建替えについては建替え時期・建築概要(構造・階数など)について詳細が未定であった為、具体的な建替え計画が決定していない建物の建築計画を予想してご説明できません。したがって、ご契約時にお渡しした「ご購入のしおり、23ページ、(6)周辺環境についての項目」で周辺環境についてのご説明をさせて頂きました。ご理解いただく様宜しくお願い致します。」

上の文面が、東急不動産が隣地所有者の話を説明しなかった理由の本意と確信致します。

ご購入のしおり(6)に書かれていることは一般的なあたりまえの事です。個々の取引事情によって重大さは異なります。ご購入のしおりには隣地所有者が井田氏に頼んだ話は書かれていませんし、又、口頭で説明を受けてもいません。これは東急不動産の考えで故意に説明をしなかったとなっております。

ご購入のしおり(6)だけで重要事項を説明したことにはなりません。東急不動産の故意による重要事項説明義務違反によって買主は高い価格でマンションを買ってしまい、重大な不利益を被ってしまいました。私は隣地所有者の話を聞いて納得して買った訳ではないです。

東急不動産は買主の不利益となる事実を故意に告げず、又、騒音のある作業所を物置と不実の事を告げた。

「この窓を開ければ何ですか?」こちらの質問に東急リバブル(株)中田愛子氏は「遊歩道の緑がいっぱいですよ」と言った。引っ越しから数ヶ月で隣に3階が建って部屋は真っ暗になってしまった。

契約時に隣地所有者の話を少しでもしてくれていれば、窓の外は、今は緑でも、あと、わずかな月日で部屋が真っ暗になる。住む者にとって重大な結果が想像つくのでマンションは買わなかった。

アルス東陽町図面集2枚目各階平面図の左上にある分のコピーです。

「上質な暮らしを深める邸宅「アルス東陽町」。

豊富な緑にたたえられた洲崎川緑道公園が落ち着きある環境を与えてくれます。

3方を道路や公園に囲まれた独立性の高い立地です。

プライバシーに配慮し快適な環境を常に保つために内廊下を採用しました。

独立性の高い立地を活かした全戸に開放感ある角住戸を実現。風通しや陽射しに配慮した2面採光で、心地よい空間を演出します。」

この文面の4番目、東急不動産はこの広告の部分が数ヶ月で失われることを知っていて故意に契約者に告げず、高い価格でマンションを売った。わずか数ヶ月で3階建ての隣の壁で一面が真っ暗になってしまった。詐欺にも等しい不法行為に当たる。

東急不動産は禁止事項である重要事項説明義務違反、瑕疵担保責任を犯した事になります。東急不動産の不法行為に対して契約解除を含めて損害賠償を請求致します。

 

現在の心境です。

本体である東急不動産は知っていても従業員は知らない、聞いていないという。客側に対しての応対の悪さには驚きです。

隣地所有者の話を誰も聞いていません。誰に言ったのか調べて下さい、と言われました。東急不動産の会社内の仕事上のことであるのに調べる手段を持たない外部の買主に調べる様に命令した。そして、こちらで調べて報告すれば「そうです。」となる。東急不動産が事業主であるマンション建設の事なのだから、業務日誌なり、報告書類を調べれば書いてあるはずです。

常に客が事実を知った事柄だけを認める。客が言わなければ黙っている。言われても、まず否定する。客が諦めればそれで終わりになる。

東急不動産は独自の持論を持って、知識のない消費者に対してあたかも正当であるかの如く主張する。知識のない消費者は泣き寝入りする。その手口は計画的であり、悪質である。

・消費者の不利益に対する思いやりのなさ。

・法律上の禁止事項を守る思想の欠如。

・会社内の統制システムの悪さを悪用している。又は分かっていても隠す。

取締役はどのように指導しているのか疑問です。

マンション購入は消費者にとって、一生に一度位の高い買い物をした訳です。大切なお金を使いました。契約の時に隣地所有者の話をしてくれていれば良かったと心より思います。

 

無責任な担当者

【大島の放置】115日、原告文書(2004112日)が東急不動産に到着した。しかし、到着したとの連絡はなく、回答もなされなかった。この日に到着したという連絡を受けたのは半月以上後になってのことである。大島は手紙を受け取っておきながら、原告から催促されるまで故意に放置していた。

 

【居留守】契約解除申し入れに対する回答は一向になされなかった。このままでは有耶無耶のまま時が過ぎていく。1115日、大島からの手紙に記載してあった電話番号に催促の電話をするが、一度も通じなかった。手紙にはダイヤルインと書いてあるが、大島が出たことはない。

一回目は女性が対応した。

原告「原告と申します。アルス301号室契約解除の件で電話したのですが、大島さんはいらっしゃいますか?」

女性「しばらくお待ちください。……会議中で席をはずしています」

原告「何時頃戻られますか」

女性「何時戻るか分かりません」

原告「それならばアルス301号室契約解除の担当者に話をさせてください」

女性「しばらくお待ちください。……大島営業以外、担当はいません」

しかしこれは真っ赤な嘘であった。後日、東急不動産自身が、責任者は林リーダーで、野間課長がその下で担当していると説明している。

数時間後、再度電話をする。また女性が出る。

女性「外出中です」

原告「何時戻られますか」

女性「一時過ぎに戻る予定です」

そこで一時過ぎに三回目の電話をしたが、外出中のままであり、結局連絡を取ることができなかった。連絡がつかない者を担当者とすべきではない。

 

【東急リバブルお客様相談室の責任逃れ】大島には何度電話しても連絡がとれなかったため、リバブルお客様相談室に電話する。藤田室長代理が対応する。原告はアルス契約解除の経緯から説明を始めたが、藤田は「話は知っている」と遮った。

原告「では、301号室の契約解除申し入れについても、ご存知ですね」

藤田「それはわからない」

原告「先月下旬に東急不動産宛に手紙を出したのですが、半月以上経っても返事がありません。先ほど東急不動産に確認の電話をしましたが、全くつながりません。契約解除の申し入れ先として東急不動産にしたのが間違いでしたか。東急リバブルにした方がよかったですか」

藤田「契約相手は東急不動産です。リバブルは東急不動産とは別会社なので無関係だから対応できません」

藤田は無関係だから一切の責任はないと逃げるが、グループ企業である以上つながりがあると考えるのが普通である。まして東急リバブルは東急不動産の販売代理までしている。

原告「しかし、大島とかいう人物が担当者と言ってきていますが、私とは面識もなく、一度もやり取りしたこともありません。しかも東急リバブルの人間は、隣地所有者からの建替えの話を聞いていないと答えていますが、この方は手紙で『アルスが建ったら三階建てをすぐ建てる』ことを聞いていたといいます。言っていることが矛盾しています」

藤田「私は事実関係を知らないので、その点は答えられません」

原告の説明を「話は知っている」と遮っておきながら、都合が悪くなると「知らない」で逃げる。しかも藤田は、以前に国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課からの本件に関する照会には東急リバブルを代表して「隣地所有者から具体的な話を聞いていないため購入者には説明できなかった」旨、回答している。この点から事実関係を知らないことはなく、原告への説明は虚偽だったことになる。

藤田「東急不動産からの回答を待てばいかがでしょうか」

原告「既に手紙出してから半月以上経っていますが、何の音沙汰もありません。無視するつもりでしたら、内容証明郵便を出した方がいいですか」

藤田「まず東急不動産からの回答を待ってからにされたら如何ですか」

自らは何の解決策も提示せず、ひたすら待たせて時間稼ぎを行うだけの無責任極まりない対応である。

原告「既に申し上げている通り、半月以上、日々、心ここにあらずの状態で待たされております。待っても何の解決策にもなりません」

 

【お客様相談室の無責任な対応】一一月一六日、原告は改めて大島に電話するがやはり不在だった。東急リバブルお客様相談室藤田室長代理に電話する。

藤田「東急不動産は、東急リバブルとは別会社ですので、無関係です」

藤田は通り一遍の回答を返すののみである。

原告「東急不動産の担当とされる人物には何度も電話をかけているが、全く連絡が取れない」

藤田「こちらから大島に連絡をして、折り返し電話をさせることはできます」

原告が電話をしてもつながらないのに、東急リバブルからならば連絡をつけられると言う。大島が手紙に記載したダイヤルインの電話番号は偽りだったようである。

原告「しかし先ほどのお話だと、東急リバブルと東急不動産は別会社なので、会社対会社の関係があるから、手順を踏む必要があり、迅速な対応ができないのでしょう?」

藤田「はい」

原告「結局、何もしない、ということですね」

藤田「……」

原告「アルスのようなボロマンションを売りつけて、売ったら売りっぱなしとはぼろい商売ですね」

正鵠を射た指摘のためか藤田は無言を返した。

原告「では東急不動産に電話をするので、東急不動産のコールセンター窓口を教えてください」

藤田「別会社なので知りません」

 

半月遅れの回答

【連絡先と異なる電話】一一月一九日、大島から電話がある。しかし手紙で指定した番号とは別の電話にかけてきた。

大島「本日、回答を発送しました」

原告「電話連絡の際には別の番号にかけてください、と手紙に書きましたよね。手紙を読まれていないのですか」

しかし大島は原告の問いには答えなかった。

大島「これから気をつけます」

大島は、それだけ言うと謝罪もせずに電話を切った。

 

【半月遅れの回答】1121日、大島からの回答が届く。しかし内容は三行半的な簡素なもので、こちらの解除申し入れ及び質問にほとんど回答していないものであった。内容には新味がなく、誠実さを欠いた回答との印象を受けた。しかもこちらが催促するまで半月以上放置したにもかかわらず、その回答の手紙には回答遅延に対する一言のお詫びもなかった。

しかも今回の手紙では前回の手紙で認めた点、隣地所有者が三階建ての建物をアルス建設後に直ぐ立てる旨を聞いた点を全否定している。そもそもこの点は本件の解決の鍵になる重要な問題だが、東急不動産側の見解は毎回異なっている。

当初、中田や宮崎は隣地所有者からは何の話も聞いていないと全否定した。その後、宮崎と今井の来訪時には「建てたい」という希望は聞いたが、具体的な計画は聞いていないと説明した。ところが大島は建替え時期・階数を聞いていたと言い、次の手紙ではそれを否定する。毎回見解が異なるのは背信的であり、信用できない。自社に都合の悪い事実を誤魔化しているように感じられる。

 

東急不動産回答文書(大島聡仁作成、20041119日)

拝啓、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

平成16112日付けにて原告様より頂きました文書についてご回答させて頂きたく存じます。

隣地所有者様宅建替えについては再三ご説明申し上げている通り、平成1411月時点の隣地所有者様の発言より、建替えたい旨内容を聞いておりましたが、当時の隣地所有者様の建替え費用捻出が困難であるとの発言、建替え時期・建築概要(構造・階数など)が確定しているものではない点より、ご購入のしおり、P23「周辺環境について」記載の通りご説明させていただきました。ご理解いただきたくお願い申し上げます。

※なお、今後のお電話での連絡窓口につきましては東急リバブルお客様相談室迄お願い申し上げます。

以上

東急不動産株式会社

住宅事業本部第四事業部

大島聡仁

 

インターネット

Webからの問い合わせ

Webからの問い合わせ】1122日、東急不動産Webサイト問い合わせフォームより、問い合わせを行う。大島宛の手紙では大島が放置して、まともに対応しないことは先の経緯から明白であった。しかも大島は返事が遅れたことについて一言のお詫びも述べていない。大島は問題から逃げるだけで、何ら反省していないようである。そのため、インターネットから問い合わせを行うことにした。

問い合わせ内容は、先の手紙で契約解除の申し入れをしたが、それに対する回答がないので、回答を依頼した。それから隣地所有者から聞いた点について一〇月と一一月の手紙では矛盾している点を指摘し、説明を要求した。

更に東急リバブル又は東急不動産が直接隣地所有者に確認する件が、担当が大島に代わった途端、反故にされている点を指摘し、速やかな実施を依頼した。最後にこれまでの大島の不誠実な対応を指摘し、大島に期待することは無理だとしても会社として誠意ある対応を要求した。

 

原告メール(20041122日)

東急不動産御中

 

はじめまして。

私は原告と申します。昨年、東急不動産/東急リバブルより東京都江東区にあるアルス301号室を購入したものです。引渡しは9月です。

しかしながら、東急不動産/東急リバブルは購入時点で、アルス建築後、アルスの隣地に3階建ての建物が建造され、301号室には日中であるのに深夜の如く、全く日照があたらなくなるという、一般のマンション購入者ならば購入に際して考慮すべき日照という重大な事実を隠蔽し、販売したことが分かりました。実際、日照のないマンションは住むに適さず、資産価値も皆無です。それ故、購入者としては当然のことながら、契約解除を申し入れます。

 

本件契約解除につきましては、既に何度か貴社に抗議及び申し入れをしましたが、その度に担当者が東急リバブル中田殿、宮崎殿、今井殿、東急不動産住宅事業本部第四事業部大島殿、お客様相談室長藤田殿とコロコロと代わり、東急リバブルに話をすれば事業主は東急不動産だからそちらに話をしろ、東急不動産に話をするとリバブルと一緒に販売しており、そちらを窓口にしろとどちらも責任を認めず、たらい回しにされ、一向に話が進みません。別会社ということで表向きは責任を回避し、影ではグループ会社として甘い顔をしているのではないか、と疑わざるを得ません。

特に東急不動産の大島殿は、面識もないのに関わらず一方的に担当とされましたが、下記のような事実があり、真面目に対応する意思が感じられないどころか悪意さえ感じます。

・こちらが指定した連絡先とは別の住所に手紙を送付し、また、別の電話番号に連絡してきました。

・大島殿出状の手紙に記述してあった電話番号にこちらが電話しても、会議中や外出中とされ、一度も出たことはありません。加えて戻られる時刻を確認すると「何時戻るか分からない」と回答されました。

・こちらの質問を催促するまで半月以上放置したにもかかわらず、その回答の手紙には回答遅延に対する一言のお詫びもありませんでした。

本件契約解除につき、責任ある対応をお願いいたしたく、メール致しました。

 

こちらで調べた事情は下記の通りです。

200211月、アルス建設に入る前に、隣地所有者様は東急不動産(康和地所)の井田殿に次の事実を告げた。

1.アルス建設後、すぐに隣地の建設を始める。

2.建物は3階建てで、3階以上は絶対に建てない。屋上も作らない。

3.住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある。

隣地所有者様は井田殿に対し、上記点については、アルス購入者にとっては大きな不利益となるものであり、後で何かあると嫌だから、購入者に必ず言ってください、と強く念を押したと言っています。購入者に上記不利益となる事実について責任を持って伝達することを条件として同意の印鑑を押したとのことです。これに対し、井田氏は「責任を持って行います」と回答しました。

この後に隣地所有者様はアルスの窓と隣地所有者様が建築する建物の窓がぶつかるのは嫌なので、アルス担当者同意の上、建築中のアルス201号室及び301号室に入って、確認させてもらったことがあるとのことです。この点においても東急不動産側が隣地所有者様の隣地建築予定を認識していたことは勿論、具体的なものとして捉えたことを裏付けます。

しかしながら、上記重大な経緯については、契約時には何ら説明がありませんでした(それ故、問題物件である301号室を購入してしまいました)

実際にアルスの北西の居室では、3階までが曇りガラスで、はめ殺し(開かない窓)になっています。これに対し、4階以上が透しガラスになっています。これは東急不動産が予め、隣地に3階建てが建てられること(しかも3階以上が建てられないこと)を知っていたことを裏付けます。

本件につき、1120日に大島殿より、書面にて御回答をいただきましたが、あまりに簡単な内容で、こちらの質問への回答になっておらず、到底承服できる内容ではありません。このまま大島殿に再問い合わせをしても、先述のような経緯により、数週間放置された挙句、三行半的な回答で済まされてしまう危険がありますので、このメールにて再問い合わせ致します。

もしこちらが大島殿宛てに送付致しました手紙を大島殿が握り潰した等の理由でご確認できませんのでしたら、再送いたしますので、送付先をご教示下さい。

・アルス301号室購入契約の解除を申し入れましたが、それに対する何らの回答もいただいておりません。ご回答いただくようお願いします。

・今回の回答に先立つ10月の手紙では建替時期(アルスが建ったらすぐ建てる)、建築概要(3階建てを建てる)ことを井田殿が隣地所有者様から聞いており、売主として了知済みの事実であったと明言していました。しかし今回の手紙では上記事実を否定しておられます。

そもそもこの点は本件の解決の鍵になる重要な問題ですが、見解が毎回異なっています。最初のリバブル中田殿、宮崎殿は隣地所有者様からは何の話も聞いていないと全否定しました。その後、宮崎殿、今井殿からは建てたいという希望は聞いたが、具体的な計画は聞いていないと説明しました。ところが大島殿は建替え時期・階数を聞いていたと言い、次の手紙ではそれを否定します。しかも、これまでひたすら知らないといったのに、こちらが井田氏の存在を指摘した途端に、これまでの主張と正反対の事実を認めるのは、業者の姿勢として誠意のかけらも感じられません。

毎回見解が異なるのは背信的であり、信用できません。自社に都合の悪い事実を誤魔化しているように感じられます。納得のいく説明をお願いします。

・今後の連絡窓口は東急リバブルお客様相談室と一方的に限定しております。しかしリバブルお客様相談室長代理藤田氏によると、問題物件を販売したのは東急不動産であり、リバブルは不動産とは別会社であり、事実を知らないから回答できない。せいぜいできることは東急不動産にこちらの話した内容を伝えることであり、それ自体も会社対会社の話になるので、柔軟に対応できない、と語っています。このような何ら権限・責任のある対応ができない部署を担当窓口に指定することは、伝達に迂遠なフローを追加し、時間稼ぎになるばかりではなく、大島殿が誠意を持って対応する意思がないものと判断せざるを得ません。

本件は購入判断に影響を与える重大な事実を伝えることを怠った、若しくは隠蔽した点で瑕疵になると判断しますが、契約上は引渡しから2年間と制限されています。大島氏は書面での回答は催促されるまで放置し、直接の電話には出ず、無関係の部署を窓口とすることで、時間稼ぎにより2年間がひたすら過ぎ去るのを待っているのではないかという疑念も浮かびます。

最後に書面では依頼しておりませんが、2004919日にリバブルの今井殿、宮崎殿が拙宅に来訪された際、事実関係を明確化させるために、本件経緯をご存知の隣地所有者隣地所有者様に事実関係を確認するように依頼し、口頭で承諾を得ました。その後も宮崎殿とは電話で確認するとお約束くださりました。

ところがその後、担当者が大島殿に代わったために、きちんと引継ぎがなされていないようで、2ヶ月経過した現在でも有耶無耶になっています。1121日に隣地所有者様とお話しましたところ、東急不動産からは一度も確認があったことはないと仰っていました。

隣地所有者様に確認されることにより、事実認識と隔たりも大きく解消されるものと思われますので、現在の担当者が宮崎様から引継ぎされていないのでしたら、きちんと引継ぎをされた上で、隣地所有者様にご確認いただくようお願いします。

都合の悪い事実を隠蔽することで、本来なら売れるはずもないマンションを販売する手法は、業者にとってはこの上なく都合のいいものではありますが、消費者にとっても不動産取引市場の健全な発展にとっても好ましくないものです。ご多忙のところ、恐縮ですが、本件担当者の不誠実な対応に強く抗議すると共に、本件の善処をお願いします。

 

被告自動応答メール(20041122日)

このたびは、東急不動産へお問い合わせいただきありがとうございます。

お客様のお問い合わせを承りました。

ご希望の連絡方法にて返信させていただきます。

*3日以上たっても連絡がない場合には、お手数ではございますが、下記へご連絡をお願いいたします。(営業を目的としたメールを送信された場合は除きます)

Email: webmaster@tokyu-land.co.jp

*このメールにお心当たりがない場合は、どなたかがメールアドレスを誤って入力されたものと思われます。大変お手数ですが、このメールを削除いただきますようお願い申し上げます。

 

原告文書(20041124日)東急不動産宛に手紙で隣地所有者への確認を要求。

前略 平成161119日付の返書受け取りました。あくまでも当方の主張は認めずに前回書面と同じ回答で、全然納得出来ません。

返書を隣地所有者に見ていただき再度確認致しました。

1.建築費用捻出が困難であるとの発言。

銀行を紹介してくれ、とも冗談半分で言った。

2.建築概要

3階建て、屋上無し、4階以上は絶対に建てない、と言った。「隣地所有者さんの方に目かくしをつけて下さい。」と言われたが、「窓と窓がぶつからないようにする」と言った。

3.建替え時期

アルス東陽町が建ってからすぐに建てる、と言った。だいたい環境が落ち着くのには1年位かかるから、アルス東陽町完成後1年位でやります。

4.工務店の仕事場と住まいが一緒になるから騒音がある。

後で何かあると嫌だから、2階と3階に住む人に必ず言っておいて下さいと念押しをした。(東急不動産が、この話を必ず伝える事が隣地所有者の条件だった。)伝えてくれなかった事はとても心外で怒っている。

「不審な点はいつでも電話をくれるように、東急不動産大島氏に言って下さい。」と隣地所有者は言っていました。隣地所有者の電話番号はXX-XXXX-XXXXです。

隣地所有者への確認は前任者の東急リバブル(株)宮崎氏が約束された事です。もし引き継ぎがなされていないのでしたら、宮崎氏にご確認下さい。

以上の事につき、再度御返事下さい。

 

【再問い合わせ】一一月二六日、返信がないため、東急不動産メールアドレス及び東急リバブルWebサイト問い合わせフォームより、問い合わせを行う。問い合わせ内容は一一月二二日に東急不動産にしたものと同一である。

 

原告再問い合わせメール(20041126日)

アルス301号室を購入いたしました原告と申します。

アルス301号室契約解除の件について、1122日付で下記問い合わせを致しましたが、回答の目処として提示された3日間を経過しても回答がありません。ご指示通り、こちらに再送致しますので、ご対応のほど宜しくお願いします。

 

被告メール(20041129日)】下記被告メールアドレスから返信が送付される。

Jyutaku_Post@tokyu-land.co.jp

弊社ホームページよりお問い合わせいただいた件

 

  平成161122日付にて原告様より弊社ホームページへお問い合わせのありました件について、弊社にて検討させて 頂き平成161130日迄に文書にて改めてご回答させて頂きます。宜しくお願い致します。

 

  東急不動産株式会社

 

社印付回答

【社印付回答】一一月三〇日、大島から電話で回答を発送したとの連絡を受ける。

一二月一日、東急不動産からの回答が届く。作成者は相変わらず大島だが、社印付の手紙であった。インターネット経由で問い合わせしたことにより、大島個人がいい加減に回答して済ませることは許されなくなったようである。

隣地の建設により、日照が皆無になるとの主張に対し、「LD側からの採光を妨げるものではありません」と回答している。別の部屋から採光されるから当該室内の採光が妨げられても関係ないとの回答である。

購入者が被る甚大な損害自体を全否定しようとするものであるが、一面だけは採光できるから我慢しろ、などという暴論は悪徳業者の本音をうかがうことはできても到底受け入れられるものではない。信じ難い、子供騙しの論理である。卵で岩を割るような反論である。悪徳不動産業者が消費者に強要する論理は力に基づいた詭弁に過ぎない。

「住人が、その建物、その部屋で、どのように過ごして行くのか」という視点は皆無である。担当者として甚だ不見識な発言である。文脈から滲み出てくる人間性には辟易する。己で己の価値を貶めることになる。

 

東急不動産回答文書(社印付、大島聡仁作成、20041130日)

拝啓、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

平成161122日付けにて原告様より弊社ホームページへお問い合わせのありました件及び平成161124日付にてお手紙頂いた件について併せてご回答させて頂きたく存じます。

まず、第一に隣地所有社宅建替については当初より再三ご説明申し上げている通り、平成1411月時点にて隣地所有者様より建替えたい旨内容を聞いておりましたが、当時の隣地所有者様の建替え費用捻出が困難であるとの発言も含め建替え時期・建築概要(構造・階数など)が確定しているものではないと当社にて判断させていただきました。その後も隣地所有者様より具体的なお話は伺っておりません。なお、3階迄の網入りガラス採用については隣地所有者宅建物階数が確定していない点より当社の判断として網入りガラスとして将来対応をさせて頂きました。この様に隣地所有者様には建替のご意向だけあっても具体性があるとは認められませんでした。その為、ご購入のしおり、P23「周辺環境について」記載の通りご説明させていただきましたものです。ご理解いただきたくお願い申し上げます。

第二にアルス東陽町301号室についてですが、原告様のご記述では「日中であるのに深夜の如く、全く日照があたらなくなるという、一般のマンション購入者ならば購入に際して考慮すべき日照という重大な事実を隠蔽し、販売したことが分かりました。実際、日照のないマンションは住むに適さず、資産価値も皆無です。」との事ですが、実際の隣地所有者様宅建物はアルス東陽町のほぼ北側に位置しており、301号室についてはLD側からの採光を妨げるものではありません。また原告様ご自身も実際に現地を確認して東急リバブルより説明を受けた後、ご契約をさせて頂いたと報告を受けております。原告様からのアルス東陽町301号室契約解除の申し入れの件ですが、上記1.2の理由により、お受けしかねる事をご了承ください。

第三に原告様へのご連絡方法ですが当初より東急リバブル担当者からも原告様所有携帯電話にてご連絡させていただく旨伺っております。平成16112日付けのお手紙からもその旨の記載は頂いております。その際もご返事の遅れた点については弊社担当者よりお電話にてお詫び申し上げております。ご容赦頂くよう宜しくお願い申し上げます。

第四に弊社担当窓口の件ですが、平日については打ち合わせ等業務が多く席を外す場合もございまず。ご伝言頂ければ折り返しお電話させて頂きたいと思います。窓口の決定については弊社担当と原告様で決めて頂いた通り、緊急の際には東急リバブルお客様相談室迄ご連絡いただきたく存じます。

以上

アルス東陽町担当 大島聡仁

 

隣地所有者への確認要求

原告メール(2004121日)】東急不動産回答文書(社印付、大島聡仁作成、20041130日)には隣地所有者への確認依頼について何らの回答もなかった。そのため、この点を指摘し改めて確認を依頼するメールを東急不動産メールアドレスに送付する。

東急不動産御中

 

アルス東陽町契約解除の件について回答の手紙を先程拝受いたしました。

先ずは手紙が届きましたことをご連絡すると共に、一点再問い合わせいたします。

ご回答の内容につきましてはこれから慎重に検討して改めて連絡させていただきますが、こちらの問い合わせ事項に対して明らかに全く回答されていない事項がありましたので、その点についてご回答お願いします。

(回答内容についても、別の部屋から採光されるから当該室内の採光が妨げられても関係ないというような主張は居住者を馬鹿にしたものであって到底受け入れられませんが、それらは改めてまとめさせていただきます。)

貴社担当者に隣地所有者である渡辺様に事実関係を確認するように依頼し、了解を得ておりますが、未だなされておりません。新たに担当者とされる大島氏は過去にも連絡先として指定した場所と別の場所に文書を送りつけてくるなど、それまでの担当者との間で決まられたことを無視しています。私としては、これまでの対応から大島氏が担当であることに大きな不満を抱いておりますが、こちらの不満を無視して担当と主張するのならば、せめて引継ぎくらいはきちんと行っていただきたいと考えております。

念のため、先の問い合わせ内容を下記に再掲します。

以上、宜しくお願いします。

以下、原告再問い合わせメール(20041126日)及び原告メール(20041122日)を転載した。

 

消費者契約法に基づく契約取消し

東急リバブル宛原告メール(2004123日)

東急リバブル御中

 

私は新築マンション(東京都江東区)の301号室を購入した原告と申します。

購入契約については既に解除を申し入れていますが、この点について未だに正面からご回答をいただいておりません。今回、新たに消費者契約法第4条に基づき、購入契約を取消し致します。

取消しの理由は下記の通りです。

購入契約締結に際し、仲介業者東急リバブルがアルス301号室の重要事項について購入者に重大な不利益となる事実を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって購入契約を締結したため。

不利益となる事実は下記の通りです。

アルス建設中の200311月に東急不動産がアルスの建設地の隣地所有者から説明を受けた下記事項です。

・マンション建設後すぐに隣地に三階建てを立てる予定である。そのためアルス301号室の眺望は完全に遮られ、日照は皆無になる。

・建物は作業場にするので、終日騒音が発生する。

 

東急不動産住宅事業本部第四事業部大島氏は121日に受領した手紙によると、隣地に3階建てが建てられて北側の日照が皆無になっても他の部屋からの採光は妨げられないと購入者が被る甚大な損害自体を全否定しようとしていますが、一面だけは採光できるから我慢しろ、などという暴論は悪徳業者の本音をうかがうことはできても到底受け入れられるものではありません。

また大島氏は隣地所有者から話を聞いたとしつつも確定的ではないため、東急不動産及びリバブルには何らの責任がないとしていますが、窓が曇りガラスになっているなど、301号室の構造自体が隣地に3階建てが建てられることを予期したことになっており、隣地の建設を具体性のあるものとして捉えていたことを推認させるに十分です。東急不動産独自の考慮により、3階建てまでを曇りガラスとしたと説明していますが、仮にそれならば購入時に「隣地に3階建てが建てられる可能性が高い」旨、説明すべきであり、説明義務を怠ることを正当化させません。

また隣地所有者の話を確定的ではないものと判断するのは自由ですが、説明を不要とする理由にもなりません。

最後に東急リバブルお客様相談藤田室長代理は、売主は東急不動産であるとすることで、東急リバブルの責任を否定していますが、東急リバブルは仲介業者であり、契約書上も東急不動産の代理人となっています。東急不動産にたらい回しにすることはできません。加えて担当者として一方的に指定された大島氏とは何ら面識がなく、これまでの対応から判断しても誠意ある対応がなされておらず、担当者として不適格であると考えます。

 

因みに本日下記のニュースを見ました。

・「お隣トラブル、説明は義務=一戸建て売り主らに賠償命令−大阪高裁」時事通信2004122

・「「隣人トラブル説明せず」 住宅売り主側に賠償命令」共同通信2004122

問題のある物件を故意に説明せずに販売し儲ける手法の被害者が他にもいることをよく認識しました。

以上、よろしくお願いします。

 

東急不動産宛原告メール(2004123日)

東急不動産御中

 

お世話になります。原告です。

アルス301号室購入契約解除の件につき、東急リバブル宛てに下記内容を送付いたしました。念のため、御社にも送付致します。よろしくお願いします。

 

内容証明郵便

【内容証明郵便】一二月六日、消費者契約法四条に基づき契約を取消す旨、内容証明郵便で東急不動産取締役社長宛てに送付する。内容証明郵便は翌日の七日に届いた。後日、原告宅に渋谷郵便局から郵便物配達証明書が届く。配達証明書番号は471である。

内容証明郵便が届いたことは東急不動産も認めている。被告準備書面(2005421日)は「被告は、原告から同主張の内容証明郵便を受領した事実を認めるが、その法的効力を争う」とする。東急不動産の販売は消費者契約法4条(不利益事実不告知)に該当し、原告による取消しの意思表示がなされたのであるから、その法的効力が発生する。

 

東急不動産取締役社長宛内容証明郵便(2004126日)

マンション購入契約取消し通知書

私は二〇〇三年六月三〇日に下記物件について、貴社と売買契約を締結しましたが、消費者契約法四条の規定に基づき、売買契約を取消します。取消し事由は貴社が下記物件購入時に下記物件の隣地所有者様より隣地の2階建て倉庫を3階建ての作業場に建替える旨を聞いていたにもかかわらず、貴社独自の判断で私への説明を怠ったことです。

なお、支払済みの売買代金2870万円については、本状到達後一週間以内に返還してください。

 

【突然の電話】一二月六日、大島から電話がある。「今、お話しても宜しいですか」というような気遣いは微塵もない無礼者である。

大島「東急リバブル及び東急不動産の担当者で会って話がしたい。詳細は明日、改めて文書で発送します」

最初に問い合わせをした八月から四ヵ月後、一年の三分の一を経て漸く事業主は直接交渉に応じた。東急不動産が回答放置から態度を急変して話し合いを申し出た背景には、東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課の指導がある。

以前に原告は東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課に東急不動産の不誠実な対応を訴え、都市整備局より、東急不動産に対して話し合いするように指導された。行政指導が入らなければ話し合いにすら応じないのが実情である。

原告「ところで契約書では瑕疵担保責任を二年間に限定しているが、二年経過したら主張できなくなるのですか?」

大島「瑕疵ではないので、二年過ぎても問題ありません」

大島は「問題ない」と回答したが、「不動産営業は口頭では嘘八百を並べるので、信用してはならない」とは原告を取材したジャーナリストの言葉である。

 

被告メール(2004126日)126日、東急不動産メールアドレスより、一二月一日の問い合わせについて近日中に文書で通知するとの返信がある。

弊社ホームページよりお問い合わせいただいた件

 

平素よりお世話になっております。

いただいておりましたお問い合わせに関しましては、弊社担当の大島より近日中に文書にてご通知致しますので、よろしくお願い申し上げます。

 

東急不動産

 

メールでの再問い合わせ

原告メール(2004127日)127日、メールで1130日付の文書に対する疑問点をまとめて再問い合わせする。

東急不動産御中

 

お世話になります。林田です。

下記、ご対応ありがとうございます。

前後してしまい申し訳ありませんが、貴社住宅事業本部第四事業部大島氏から1130日付で発送された手紙に対して、下記に再問い合わせ事項をまとめました。

一部は既に問い合わせしているにもかかわらず、回答がなされていないものに対してです。回答内容はとても受け入れられるものではないどころか、回答者の人格を疑いたくなるような表現もありました。

近日中に通知されるという文書での回答には間に合わないと思いますので、そこには反映されなくても構いませんので、ご対応よろしくお願いします。

----------------------------------------------------------------------

1.

「平成1411月時点にて隣地所有者様より立て替えたい旨内容を聞いておりましたが、……建替時期・建築概要(構造・階数など)が確定しているものではないと当社にて判断させていただきました」とありますが、1015日付の手紙では「アルスが建ってからすぐに建てる旨、3階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨の内容は伺っておりました」とあります。両者の内容は明らかに矛盾しています。大島氏のいい加減さは今に始まったことではなく、既に何度も指摘していることですが、都合が悪くなると前言を翻す態度は悪質であり、論理一貫した説明を要求します。

 

2.

同じく「平成1411月時点にて隣地所有者様より立て替えたい旨内容を聞いておりましたが、……建替時期・建築概要(構造・階数など)が確定しているものではないと当社にて判断させていただきました」についてですが、消費者に都合の悪い事実を貴社の判断で伝えないことが許されるならば、消費者契約法にて事業者が重要事項などを消費者に告げるよう定めている意味がありません。売れるはずがない欠陥物件を業者が押し付けることができます(実際、301号室はまさにその物件であり、それにより購入者は大損したわけですが)。一切の非を認めず、物件の価値下落を購入者に負担させるのは容認できません。

仮に百歩譲って、不確定だから伝えなくてよいとの貴社にこの上なく都合のよい論理に立つとしても、不確定と思われる根拠と共に、都合の悪い事実を伝えるべきであり、聞いているのに伝えないで隠すことは正当化されません。

 

3.

隣地の建設により、日照・眺望が遮られるとの主張に対して、「LD側からの採光を妨げるものではありません」と回答しています。これにより、購入者が被る甚大な損害自体を全否定しようとしていますが、一面だけは採光できるから我慢しろ、などという暴論は悪徳業者の本音をうかがうことはできても到底受け入れられるものではありません。撤回を要求します。しかもアルスはパンフレットで「二面採光で心地よい空間を演出します」と日照のよさを強調しています。

そもそも隣地に3階建てが建設されたら北側に面する2部屋の窓は独房のごとく壁に覆われてしまいます。そのようなことは現地を検分すれば一目でわかることです。そのようなこともこちらから指摘されないとわからないならば大島氏には本件を担当する資格はありません。担当者の交代を要求します。

 

4.

「原告様自身も実際に現地を確認して東急リバブルより説明を受けた」とありますが、隣地に三階建てが建てるという説明は全く受けておりません。この点の説明がなされなかったことは東急リバブルの今井氏、宮崎氏、中田氏が一貫して認めていることです。何を持って説明を受けたとするのか、納得のいく説明を要求します。

そもそもこのことは引継ぎの際に宮崎氏から聞いておくべき最低限の事と思います。大島氏は先にも私と宮崎氏で取り決めた連絡先とは別の場所に手紙を送付し、こちらに甚大な迷惑をかけたにもかかわらず、無反省ですが、最低限の引継ぎもしていないならば担当者たる資格はありません。矢張り担当者の交代を要求します。

また、現地の確認ついても隣地が建替えられる前のまだ眺望がよい時期のもので、壁がせり出し独房のような状況を確認したわけではありません。もし東急リバブル担当者より、隣地所有者から3階建てを建てる意向を聞いているとの説明があれば、それを推測し、独房のような状況でも我慢する必要がありますが、何ら説明を受けていないことは上述の通りです。

 

5.

契約解除の申し入れを拒否し、自社の一切の責任を否定しますが、上述の通り、消費者に都合の悪い情報を事業者が勝手に不確定なものと決め付けて伝えないことは許されません。2004123日に東急リバブル宛で伝えたように消費者契約法4条に基づき、購入契約を取消します。購入代金2870万円を速やかに返還してください。

 

6.

こちらの手紙が半月ほど放置され、返事が遅れたことに対して、その後に来た手紙ではお詫びの一言もありませんでした。電話で云々とありますが、先の問い合わせでも「こちらの質問を催促するまで半月以上放置したにもかかわらず、その回答の手紙には回答遅延に対する一言のお詫びもありませんでした。」と書いており、一貫して文書を問題としています。「ご容赦いただくよう」とありますが、文中に一言もお詫びがないのに、容赦のしようもありません。

それとも、口頭では兎も角、文書では何があってもお詫びはしないということでしょうか。確かに口頭ならば「言った、言わない」の話に持ち込めますし、上述のように前後の手紙の論理矛盾を指摘されることはありません。納得のいく説明を要求します。他にも大島殿は初回の文中で追伸を使用するなど、相手に最低限の敬意を払う意思さえ感じられません。

 

7.連絡方法について

連絡方法については電話と住所とがありますが、回答では前者しか触れられていません。回答がないということは、後者については未だ無反省であると判断せざるを得ませんが、きちんと引継ぎがなされているのか、明確な説明を要求します。

電話については宮崎氏とは確かに携帯電話で連絡していましたが、出られない時が少なくなかったので112日付の手紙のように記述させていただきました。回答を読むと前任者の時の方法と112日付の手紙の指定が全く同一のようにとらえておられるようですが、手紙をお読みいただければお分かりになるはずですが、そのようには記述されておりません。他のことは引き継いでないのに、自分に都合のいいことに限っては引き継ぎを出して正当化する姿勢には呆れました。112日付の手紙をお読みでなければ再読お願いします。

 

8.担当窓口について

以前より指摘していることですが、面識もなく、回答は遅く、回答漏れもあるような対応をする大島氏が担当であることに大きな不満を抱いています。ここに改めて上述の理由を付して、担当者の交代を要求します。

また、回答文中に窓口として指定されたお客様相談室には既に何度も電話しておりますが、ことある毎に「事業主に話をしろ」とたらい回しにされ、何ら対応をしていません。そのような部署を担当窓口として指定するのは、誠意ある対応とは言えません。再考を要求します。

 

9.連絡が取れない点について

連絡が取れないことに対し、「平日については打ち合わせ等業務が多く席を外す場合もございます」と正当化しているが、そもそも業務多忙で連絡に出られない方を唯一の担当者に指定することは、会社として誠意ある対応とはいえません。担当者の交代を要求します。

また、「ご伝言いただければ折り返しお電話させて頂きます」とありますが、そのようなことはこちらに言わせるものではなく、真面目に応対するつもりであるならば、そちらの方から提案していくべきものでしょう。1115日に三度も大島氏の直通電話に電話しましたが、「席を外していていつ戻るかわからない」と答えるのみで、コールバックの話は全く出ませんでした。

 

10.隣地所有者への確認の件

先行して既に指摘している点です。

-----------------------------------------------------------------

 

最後に昨日19時頃、お電話いただき、母が対応しましたが、その際に下記のやり取りがなされたと聞いております。

-----------------------------------------------------------------

問い「契約書では瑕疵担保責任を2年間に限定しているが、2年経過したら主張できなくなるのか」

答え「瑕疵ではないので、2年過ぎても問題ない」

-----------------------------------------------------------------

口頭で聞いただけですので、誤解がある可能性がありますが、上記は正しいでしょうか。

もし正しい場合、御社はこれまで本件に関して一切の非を認めていませんが、本件は何の問題と考えておられるのでしょうか?

 

以上、ご対応よろしくお願いします。

 

【協議の連絡】128日、東急不動産から手紙が届く。東急リバブル渋谷センター(渋谷東急プラザ)にて経緯を説明したい旨が記載されていた。東急リバブルお客様相談室藤田室長代理が協議の担当者となるので、不明点は藤田まで問い合わせするようにとも書かれていた。

苦情処理に向こうから出向かず、本社に呼びつける。全国に支社支店・営業所を有しているにもかかわらず、はるばる渋谷まで呼びつけるのは相変わらず無礼な態度である。礼儀を知らない悪徳不動産営業には「こちらからお伺いするのが筋です」との発想は皆無のようである。

東急リバブル及び東急不動産が誠意ある対応をしてこなかったことが今日の事態を招いていることを、全く自覚していない。しかし、原告はあえて譲歩した。どうしても交渉を実現させたかったからである。相手の目を見て交渉する、それが怒りを持続させるし、その結果として知恵も湧く。

129日、大島から電話がある。91211時から、場所は東急リバブル渋谷センター(渋谷東急プラザ)の六階会議室と一方的に指定される。

 

被告メール(20041210日)】一二月一〇日、東急不動産メールアドレスより、一二月七日付のメールに対する回答について、一二月一三日に改めて連絡する旨、返信される。しかしこの内容は後に大島により、反故にされる。

平素よりお世話になっております。

今月7日夜にいただいておりましたお問い合わせに関しましては、誠に恐れ入りますが、本日時点で明確にご回答を申し上げられる状況に至っておりません。12/13(月)に改めてご連絡申し上げます。

よろしくお願い申し上げます。

 

東急不動産

 

無礼な協議

【無礼】一二月一二日、東急リバブル渋谷センター(渋谷東急プラザ)六階会議室にて協議が行われる。電話で大島は「建物の入口でお待ちしています」と言っていたが、一一時になってもいない。不安の微粒子が原告の心で踊りまわった。自らエレベータで七階まで上がる。

事務所の受付で来訪の目的を告げる。

「アルス契約解除の件で藤田お客様相談室長代理と協議に来ました」

しかし受付の担当者は困惑の色を浮かべた。「何も聞いていない」という様子であった。受付担当者は「確認する」と言って、その場で待たされた。東急リバブルには訪問客を待たせる習慣があるようであった。

しばらく待つと、中年の小柄な男性がやって来た。男性の顔にははっきりした挑戦ではないが、どことなくこちらの怒りを誘う大胆さがあった。それは見る者の胸に不快な気分を醸し出す表情であった。闇の深淵から立ち現れた怪物のような目つきをしていた。

原告は男性から忌避すべきものを感じ取った。男性は「こちらへ」と言って原告を案内した。男性が案内する廊下は静まり返って薄暗く、古い時代のトンネルを思わせた。原告の足は上手く運ばなかった。まるで何者かに呼ばれて一歩ずつ海の深みに踏み込んでいく動物のようであった。

この男性についていくことは、得体のしれない野獣の住む穴に入っていくような気がした。奈落に落ちていくような不安があった。地の底を越えて、更に奥まで引きずり込まれていきそうであった。腐臭漂う盗賊の巣窟に足を踏み入れる方が、まだ気楽だった。原告は「やむをえない」と自分に言い聞かせ、ついていく。

男性は扉を開けた。暗く冷たい空気が微風となって流れ出た。通された先は、東急リバブルのショールームからはかなり離れたところにある会議室であった。客を迎え入れる応接室ではなく、文字通り会議室である。絵が飾られていたり、年代物の調度品が置かれたりすることはなく、殺風景なただの会議室である。一輪の花も一枚の絵も飾っていなかった。全てが外界との接触を拒絶する冷ややかさに満ちていた。室内は乾いて埃っぽい空気に満たされていた。

会議室は縦長の部屋で、中央に長机を設置し、左右に椅子が並べてあった。出入口から見て奥の側には既に四人の男性が座っていた。出入り口から遠い側が上座であり、来客はそちらに通し、社内の人間は出入り口に近い側に座るのがビジネスマナーである。しかし、四人とも上座から動こうとせず、原告を下座に着席するよう薦めた。

この時点で東急不動産が相手に敬意を全く払う気がないことは明白であった。悪徳不動産営業には常識も社交儀礼も欠けていた。代わりに常人の数倍ほど厚い面の皮と太い神経を持ち合わせているようである。協議が最初から非友好的な雰囲気で始まったのも当然の成り行きである。後から考えると、相手の自尊心を傷つけ、怒らせて自制心を失わせることで、協議を有利に進めようと考えたのかもしれない。

 

【悪徳不動産営業】四人は一応人間の形をしているが、最初から腐敗した状態に見えるように作られたビニール人形のように見えた。愛嬌や親しみに満ちているとは表現し難かった。

善良とは程遠い連中であった。雰囲気は下品かつ粗暴で、悪徳不動産業者にでもならない限り職業につけそうにない。服装は無個性なスーツであるが、普通に着こなしていても奇妙に歪んで見えるのは、見る側が悪徳不動産営業の毒気に圧倒されてしまうからかもしれない。

原告は会釈したが、四人はふっと目を泳がせて何も見なかった顔をした。原告は輪郭がぼやけたビデオ映像を見ているようであった。皆、無表情であった。顔は汚れた粘土人形のようであった。眼や鼻もあり、口もあるようようだったが、全て本来の秩序を失って崩れかけており、グロテクスの極みであった。

両目だけが悪意に満ちた光を放射している。一人一人顔立ちが違うのに目つきだけがそっくりなのが不気味である。一点を見据えていながら焦点のぼんやりしたような、他人を見ながら自分自身の内側を見据えているような目。人間の心を殺ぎ落とした目であった。

その目には個性や自省の光はなく、権威や命令に盲従する狂信者の光が満ちていた。その陰惨な目つきからは「気味が悪い」という言葉の意味を実感せずにはいられなかった。胃が重苦しくなり、心臓が痛くなる種の気を漂わせている。できることならば、回れ右して逃げ出してしまいたいところであった。

悪徳不動産営業の目には弱々しい人間と映ったことだろう。敵陣に迷い込んだ残党兵士のように思えたかもしれない。とはいえ、これは悪徳不動産業者が汚す地上だからこそ、弱々しいと分類されるだけのものである。飛び立つ寸前の鳥はどうであろう。落ち着かず、そわそわと羽ばたく姿は弱さそのものである。

四人のうち、面識あるのは一番手前に座っていた宮崎だけであった。宮崎からは九月に対峙した時よりも一段と強い悪意のエネルギーが放射されていた。害意、敵意、悪念といったマイナスの精神波が原告に向けて放射されていた。

それでも、それ以外の人相の悪さは宮崎の比ではなかった。宮崎は消費者と接することがあるために、悪徳不動産営業の本性を隠蔽する術も心得ている。しかし、それ以外の人間は悪徳不動産業者の本性が丸出しであった。

悪徳不動産営業が五人も揃うと、全員から放射される毒念の強烈さで、気の弱い人間ならば失神してしまうのではないかと思われた。墓場で沐浴するようなものであった。十九世紀の貴婦人ならば「あれー」と一声、脳貧血を起こして倒れてしまうかもしれない。悪意と憎悪の波動が原告を締め付け、原告は息苦しさに襲われた。このまま床にへたりこみ、両手で耳を押さえてしまいたかった。

彼らは限りなく猛悪で貪欲であった。他者に損害を負わせて平然とする精神が悪徳不動産業者の今日をあらしめていた。人間は現在の有様を見れば過去のことも九割方わかるという言葉は真実である。ヤクザと間違えられても仕方のない面を有していた。彼らの身体を叩けば埃の二、三キロは出てくるに違いない。

 

【紹介】初対面の人物が多かったため、協議は紹介から始まった。人間は先ず、うわべの印象によって他人を判断するものである。初対面の場では服装や話し方、仕草、表情といった目に見える要素が第一印象を左右する。靴、声の質、指先、髪型など細かいところも含め、原告は内心で容赦なく減点していった。

最初に一番奥に座っていた年長の男性が林正裕と名乗る。肩書きは東急不動産住宅事業本部第四事業部グループリーダーであった。最初から威圧感をこめた口調であった。

細い体に風船のような丸い頭部。痩せているというより、腐食している印象であった。生気のない肌は青黒く、ほとんど粘土色をしていた。銀髪で顔の肉が薄く、頬も顎もとがった険阻な顔立ち。両頬がげっそりとこけて、それが陰険そうな印象を与える。縁なしメガネの奥の黄色っぽい両目。瞳には光があったが、それは水死体に群がる夜光虫の光であった。どことなく地球人離れしている。

その隣にいた眼鏡をかけた中年男性は野間秀一で、同じく東急不動産住宅事業本部第四事業部の課長である。欲望の粘土を悪徳の汚水でこねあげ、利益の火で焼き上げたような中年男の顔である。オリーブオイルでも塗りたくったかのように、広すぎる額をテカテカ光らせていた。

野間は太って脂ぎっていた。縦に短く、横に長い。前後左右の四方向に膨張し、ゆで卵のような体系である。特筆すべきは全身から垂れ下がる肉である。頬から腹から尻から腿から皮下脂肪が溢れ出している。全身から汗と一緒に俗臭と銅臭が噴き出し、毛穴からは金銭欲が蒸気のように出ているように見えた。スポーツも肉体労働も彼とは無縁だったであろう。虚飾と退廃ばかりを呑み込み、ぶくぶくと肥えた。迫力や貫禄や風格には全く昇華していない。

林も野間も同じ課長であるが、林はグループリーダーで野間はその部下であった。林は細長く、野間は丸い。並ぶとアラビア数字の10を思わせる。

原告「野間さんのお名前は、前に東急リバブルの今井さんが訪問した際に東急不動産側の担当者として紹介されましたので、存じております」

野間「そうですか」

原告「はい。今井さんは東急不動産の担当者として、松岡リーダーの下に野間さんがいて、現場では関口さんという方が動かれていたと説明されました」

野間「最初はそうでした」

原告「今井さんからは、そのような説明を受けたので、突然、大島とかいうわけの分からない人間が無礼な手紙を書いてよこしたので、まともな応対をしていないと思い、腹を立てました」

野間「長いプロジェクトでは途中から人が代わることはよくあります」

原告「今回の問題では最初の時のやり取りが問題なので、後から入った事情を知らない人では話になりません」

一見もどかしい会話が続く。だが一語一語に刃や針が潜んでいた。軽いジャブの応酬である。

続いて原告を案内した男性が名乗る。

「東急リバブルで契約を担当している栗原です」

渡された名刺には住宅営業本部事業推進部契約管理課課長とあった。

栗原「お客様相談室の藤田室長代理は、所用により欠席します」

東急不動産は手紙で話し合いの担当者として、藤田室長代理の名前を挙げていたが、その人物が欠席したのでは話にならない。責任者が事前の連絡もなしに土壇場で欠席する。ここにも東急不動産の消費者をばかにした姿勢がうかがえる。たらい回しにした手前、都合が悪いから欠席したというのが正直なところであろう。

最後に野間の隣に座っていた男が、東急不動産住宅事業本部第四事業部の大島と名乗る。五人の中で一番影の薄い男であった。悪徳不動産営業には珍しいことではないが、チンピラにしか見えない悪相である。風采も上がらず、どうみても新米である。

頭の鉢が大きく開いているわりには顎の方が細いため、逆三角形に見える顔立ちの中に心もち吊り上った二本の眉と腫れぼったい感じのする小さな目が並んでいた。目はくぼみ、前歯は突き出し、風格はまるでない。軽薄を絵に描いてコンピュータグラフィックスで動かしたような男である。

一見、睡眠不足のようだが、一方でどのような光の下でも、どのような時刻でも、満員の賑やかな会場であっても、うつらうつらできそうな容貌である。大島に会ったことのある元区議は大島を「ちゃらんぽらん」と評したが、原告も全く同じ印象を受けた。

もって生まれた特性であり、こればかりは真似のきかない代物である。恐ろしく高度な高飛び込みを真似ようとするのに似ている。勇気を振り絞って飛び込み台の端まで行くが、それで終わりである。ペタリと座り込んでベソをかくのが関の山。はっきりいって話しにならないという印象を受けた。道化役でさえ務まりそうにない。

原告「大島さんはアルスに関係していたのですか?」

大島「はい」

原告「隣地所有者には会ったことがありますか?」

大島「いいえ」

原告「それでは隣地所有者から聞いた話も全て他の人から聞いた話なのですね」

大島は面白くない光線をむき出しにした。

原告「そもそもアルスの建設時は関口さんという方が担当者だったと聞いています」

宮崎「東急不動産の体制をもう一度説明させていただきますと、最初は松岡リーダーが責任者で、その下に野間課長がいて、関口が担当していました」

原告「その話は今井さんより聞いていました」

宮崎「二〇〇三年四月からここにいる林リーダー、野間課長、大島に代わりました」

 

【事実関係】大島「隣地所有者が井田に話したことは聞いていました。しかし確定的な事実ではないので、ご説明しませんでした」

原告「隣地所有者はアルスの建設後すぐに建てると言いました。建物も三階建てと説明しています。その事実を否定するのですか」

大島「細かい点の違いはありますが、事実関係は大体一致しています」

大島の声にはからかうようなニュアンスが含まれていた。最も嫌いなタイプの声である。相手が自分より不利な立場にいる時にだけ使う声である。原告は体内を循環する血液の温度が上昇するのを自覚した。

「デタラメを言わないでください。全く違うでしょう。隣地所有者は井田さんに201号室と301号室の購入者に予め説明することを依頼し、井田さんは承知したと言っています」

大島「依頼があったことは聞いています。しかし引き継いだ後、社内で検討した上で、説明しないことに決定しました」

野間「全部知っていたのですよ」

野間の声には露骨な冷笑の波動があった。その顔に異様な生気が浮き上がるのを見ながら、原告は血管に嫌悪感が満ち始めるのを自覚した。唇の両端がまくれ上がり、戯画化された悪魔の容貌になった。

原告「隣地所有者は購入検討者に説明することを依頼しています。それも知っていたのですか」

野間「はい」

原告「知っていたが、故意に説明しなかったということですか」

野間「故意ではない。説明できなかった」

原告は野間の太い鼻柱を見つめた。そこには金儲けのためには、どんな嘘も詭弁もいとわない人間の残酷さが感じられた。「騙された奴が悪い」と思っているのだろう。

原告「知っていたのだから故意でしょう。知らなくて説明できなかったのならば違いますが」

脂ぎった顔の二つの丸い目に強い光がきらめく。脂っぽい光であった。敵意と嘲弄をこめて、上唇がまくれあがる。

野間「うちとしては言いたかったが、説明できなかった。隣地にあのような汚い建物があることはマンションにとって、いい材料にならない。むしろ建替えられることで喜ぶ人もいる」

野間は被害者感情を逆なですることを平然と言ってのけた。居住者の立場を無視した暴論である。購入者の置かれた状況に対する同情は皆無である。それが悪徳不動産業者の論理かもしれないが、それにしても相手を怒らせないような別の言い方もあるはずである。

しかも腕を組んでニヤニヤと下品な笑顔を浮かべており、屑物件をつかまされて「ザマーミロ」と言わんばかりである。食用蛙のように醜怪で、食用蛙よりはるかに邪悪な顔が首の上に乗っている。食用蛙と野間の間に差があるとすれば、野間は煮ても焼いても食えないということであろう。むしろ人間と蛙の双方を侮辱し冒涜する存在である。

普通の人間ならば腹の中では「あの野郎!」と思っても、本人を前にすると、「元気ですか」と、もっともらしい言葉で取り繕うものである。特に日本では、場の雰囲気、立場をわきまえることが品位、礼儀とされている。

日常の会話をきっかけに、自分の可能性を大きく広げる人もいれば、台無しにしてしまう人もいる。意外にも日常のちょっとした会話が交渉事の世界で成否を分けることもある。会話は毎日するものだから、その積み重ねの影響は、決してあなどれない。

野間とは、ほんの数分前に知り合っただけだが、実に不愉快な人物である。世の人間が感じのいい人と悪い人に二分されるならば野間は圧倒的に後者の部類に属すことになる。ハムスターやウサギだって、気長に接すれば多少は分かり合えるものであるが、野間はそれ以下である。野間のような人物とは分かり合いたくない。理解してしまったら終わりである。

野間の表情と口調から「他人の不幸は蜜の味」との言葉通り、他人の不幸を喜んでいることは明らかである。「他人の不幸は、ええ酒のつまみや。がははは。汚いマンションには日当たりがない方がお似合いやで」とでも思っているのだろう。

他人を苦境に追いやっても少しも良心が痛まないどころか、「お前の苦労なんぞ知ったことではない」とでも言いそうである。首吊りの足を平気で引っ張れる人間がいるとすれば、それは野間のような人間であろう。このような人間が、騙し売りを行い、顧客の被害の上で、のうのうと給料とっている。

他に楽しみのない中年の社畜にとっては、欠陥不動産を売りつけるのが生きがいであり、欠陥物件を買わされた哀れな被害者を痛めつけるのが人生最大の楽しみなのかもしれない。日頃から不平不満だらけで、「幸福そうな顔をした奴らは忌々しい。どいつもこいつも不幸にしてやれたら」との鬱屈した感情が蓄積しているようである。

「人を差別することで自分の優越感を確認したい」「弱い者をいじめて鬱憤を晴らしたい」といった、人間の持つ醜い面だけが肥大化している。このような人間が不動産業界の胡散臭いイメージを定着させている。

原告「随分牽強不快な話ですね。二階と三階の部屋は隣地が建替えられることで、日照・眺望が妨げられます。それをプラスと考えるならば余程おめでたい人でしょう」

野間「建替えをプラスに見るかマイナスに見るかの問題です」

野間は歪んだ口から歪んだ笑いを吐き出す。悦に入った笑い声が綺麗とはいえない口から流れ出て、墨のように空気を汚した。笑声まで食用蛙に似ている。歯茎をむき出しにした笑顔には本物の愉悦があった。耳から入ってくる野間の言葉は卑しく響き、ひどく浅ましく汚かった。

そこには知性も理性も遠慮して顔を引っ込めていた。もしかすると引っ込めるだけのものも最初からないのかもしれない。この男は口をきかない方がいい。発言する度に安っぽい本性がむき出しにされる。話せば話すほど底が見えてくる。ルックスが悪くても別に普通に話せば良いのだが、喋る度に下品さを感じてしまう。銭に取り付かれた卑しい顔を毎日、鏡に写して反省した方がいい。

原告「被害を与えられて笑っている人などいますか。怒らない方がおかしいでしょう。中には特異なおめでたい考えの人がいるかもしれません。大島さんのように一面の採光は残るのだから我慢しろ、などというふざけた考えの人ならば、そうでしょう」

大島は顔色を変えた。暖炉の火が燃え移ったような顔色である。ごく希少な忍耐という資源が、たちまち底をついたらしい。他人を平然と侮辱し、何ら反省しないが、自分に対する発言にだけは人一倍敏感なようである。

不満と怒りが大島の体内で膨張しているのが、外からも明確にうかがえた。深刻な怒りと憎悪がむき出しになり、面上を荒れ狂った。理性が支配する領域は縮小し、どす黒い怒り、憎悪、怨念等の破片が渦巻いて意識野を流れる。

原告「しかし、日照や眺望がなければマイナスに評価するのが一般の感覚です。マイナスにこそなれ、プラスになることはありません」

野間「・・・・・・」

一瞬の沈黙が無限の嵐をはらんだ。原告は殊更挑発した訳ではない。率直に正論を述べただけである。

原告「家を買う時に第一に見るのが日当たりです。真っ暗になってよかったという、おめでたい人は東急不動産のような悪徳業者にとっては都合のいいカモでしょうが、それは普通の人の感覚とは違います。正常な消費者はそれほどお人好しではありません」

実際、パンフレットに記述されているように大きなウリである日照がなければアルスなどは監獄同然の屑物件に過ぎない。拝金病の重症患者にとってはどのような妄想も妄想とは思われないようである。

その後も野間は被害者感情を逆なでする発言も執拗に繰り返した。その間、大島は何がなんだかわからないというように首を伸ばしてキョロキョロするばかりであった。

 

【会社の判断】原告「隣地の建替えを説明しないことに決定したと言いますが、具体的には誰が決定したのですか」

実際、担当者を自称する大島は後からプロジェクトに入ってきた新参者で、礼儀も知らない無礼者に決定権があるとも思えない。

しかし、原告の問いに対しては、野間は相変わらず下品な笑いを浮かべながら、的外れの答えを返すのみであった。原告の疑問に答えようとの誠意は少しも示さなかった。

野間「会社としての判断です」

社畜は会社の看板を掲げないと、自己の判断を正当化することもできないようである。他人が作ってくれた権威や組織に寄生しているだけで、自分では何一つ作り出すことはできない。実力の乏しい人間に限って、他人の権威で空威張りしたがるものである。

原告「だから、その判断をしたのは誰ですか」

原告は怒りのあまり、泣きそうになる。

野間「法人としての会社です」

原告「前に今井さんが来た時は、隣地所有者が誰に話したのか調べてくれ、と言ったのに、こちらが追及する場合は『会社として』で逃げるのは卑怯です」

悪徳不動産営業は沈黙した。しかし、互いに目を見合わせ、眉を上げたり、薄ら笑いを浮かべたりして、自分達が何一つ同意するつもりはないことをわからせようとしていた。悪徳不動産営業は嘲笑の波動で原告を包囲していた。同情や好意を込めた波動は一つもなかった。

 

【反故】原告「説明しなかったことにより、隣地所有者と井田さんとの間でなされた約束は反故にされたことになります。東急不動産は隣地所有者の信頼を裏切ったわけです」

大島「引き継いだというのは話を聞いたということで、約束を履行する義務はありません」

木で鼻をくくったような返事に原告は我が耳を疑った。あまりの非現実的な主張に直面し、神経が麻痺して瞬間的に動けなくなってしまった。頭の中が真っ白になり、目に見えない毒蛇が神経網の中で走り回っているようであった。狂っているとしか言いようのない企業倫理であった。

原告「無責任な話ですね。私への対応も無責任でしたが。井田さんは東急不動産の窓口として約束したのですから、担当者が代わっても、隣地所有者が約束を果たしてくれるのは期待するものでしょう」

大島「……」

原告「説明しないと決めたことについて隣地所有者に説明しましたか」

大島「していません」

無責任にも大島は平然と答えた。大島ののっぺりとした顔には罪悪感は皆無であった。禁煙と明記してある場所で喫煙するようなタイプの人間なのだろう。原告は口の中が干上がるのを自覚しながら、茶を飲む気にもなれなかった。さすがにまずいと思ったのか、野間が口を挟む。

野間「隣地所有者に対しては謝罪しなければならないと思っている」

原告「それで実際に謝罪したのですか」

野間「していないが、近々にするつもりです」

しかしその後も一二月中には謝罪どころか、東急不動産が隣地所有者に会ったこともない。隣地所有者宅を訪問するのは翌年一月になってからである。しかも原告の確認に対しては、「謝罪するか否かについては、原告様のご心配の及ぶところではございません」と回答を拒否した。

 

【販売代理会社の悪意】原告「東急不動産は一一月三〇日の手紙で『原告様ご自身も実際に現地を確認して東急リバブルより説明を受けた後、ご契約をさせて頂いたと報告を受けております』と書いています。私が契約時に隣地建替えの説明を聞いていたと主張したいようですが、そのような事実は全くありません。東急リバブルから一体どのような報告を受けたのですか」

大島「それは現地を確認して、重要事項の説明を受けたということです」

原告「契約時の現地には三階建ての建物は建てられていませんでした。だからその時の現地を確認しても全く意味がありません。重要事項にも隣地建替えの話は一言も書いてありません」

大島「……」

原告「そもそも現地を見たことあるのですか」

大島は猿のように歯をむき出して笑った。表情を隠すための笑いであるように、原告には思えた。目に付いたのは黄ばんだ不潔な歯である。

「現地を見たことあるのですか」

大島の回答がないので、原告は同じ問いを発した。

「はい」

原告の追及に観念して大島は答えた。相変わらずヘラヘラと笑っていたが、瞼と口の端が小さく痙攣していた。担当者を自称する以上、現地を知らないと答えるわけにもいかない。しかし途中からプロジェクトに入ったという大島が現地を知っているかは怪しいものである。

原告「どんな報告を受けたかは知りませんが、大島さんでは話になりません。隣地建替えの説明がなされていないことが大前提だと思っていましたが、東急リバブルは私に説明したのですか」

「説明する義務はない」

宮崎は昂然と面を上げた。煮えたぎる溶鉱炉のような両目が原告を睨みすえる。最初から敵意むき出しである。顔には朱がさし、耳まで染めている。額の隅には青く紐のような血管が浮かんでいる。その声はウニの棘よりも尖っていた。

原告「理由付けは聞いていない。説明したのか、していないのか」

宮崎「説明する義務がなかったから、説明しなかった」

数ヶ月前と全く正反対のことを宮崎は言った。原告は驚愕に耐えられず、息を呑んだ。長机に置かれた湯飲みに伸ばした手も止まってしまった。

原告「東急リバブルは契約時には隣地所有者の話を知っていたのですか」

宮崎「知っていた」

この話は全くの初耳であった。そもそも東急リバブルに電話した際にリバブル側は話を聞いていないから東急不動産に調査させるという話であった。加えて、東急リバブルが東急不動産から既に話を聞いていたならば、原告側に隣地所有者が誰に話したのかを調べさせる必要はなかった。聞いていたのであれば相手が井田であることも知っていた筈である。知っているにもかかわらず、わざわざ無意味な調査をさせるのは、クレーム隠しを行った三菱自動車が優良企業に思えるほど、この上なく不誠実な対応である。

原告「電話で話した時は、東急リバブルとしては隣地所有者に会ったこともないし、聞いてしないので東急不動産に確認すると答えたでしょう」

宮崎「電話だけだと、そういう誤解を与えたのかもしれませんが、事情をよく知っている東急不動産に確認するという意味です」

相変わらず、自分は悪くない、誤解した相手が悪いとして非難の矛先を相手に向ける論理である。典型的な悪徳不動産営業である宮崎は絶対に自己の非を認めることはないのである。

宮崎「建替えについて聞かれたら説明するつもりだった」

聞かれれば答えるといいうことは、聞かれなければあえて都合の悪い事実は黙っておこうという魂胆を意味する。しかも原告は「隣地所有者が隣地を建替えする予定がありますか」などという予め建替えを予測しなければ答えられないような質問はしていないし、そもそも普通できないものだが、隣地の建物が何であるかについては確認している。

加えて野間は「言いたくても、言えなかった」と不動産業者にとって説明できない事項であったと主張している。これは「聞かれたら説明するつもりだった」との宮崎の言葉とは完全に矛盾する。しかし残念ながら原告は悪徳不動産営業の毒気に当てられて、その場で両者の矛盾を追及するまでは頭が回らなかった。

 

【クレーム】「原告さんからの問い合わせがうるさいと隣地所有者から康和地所に対して、クレームが来ている」

野間は、まるで原告が営業妨害をやっているかのように激しく非難した。どちらがクレームをつけいるのか分からないほどであった。それは、ほとんど面罵に近かった。粘着質の意地悪さを込めた脅しである。

他人に屈辱を与えることで自分の優位性を確認しているかのようであった。自分自身の屈辱(悪徳不動産営業として自己の職業に誇りを持てないこと)に対する自覚が奇怪な方向へ歪み、他人の屈辱を望む心の火に風を吹き込んでいた。

しかし、これはとんでもない言いがかりである。原告に隣地所有者に確認することを要求したのは東急リバブルの今井であり、原告は要求に従ったことになり、被告に非難されねばならない筋合いはない。東急不動産が原告の問い合わせに最初から正直に回答していれば、原告が隣地所有者に確認する必要も生じなかった。

この攻撃は原告の心理的混乱を狙ったものであり、その卑劣な狙いはある程度奏功した。憤りと不快感が喉元までこみ上げてくる。怒りをぶつけなければ、自分の心が壊れてしまいそうであった。正直、ある単語やある単語を使って罵り返してやりたいという誘惑に駆られた。

体中の血が酸に変わったような気持ちを味わいながら、口から飛び出しそうになった鋭い言葉を抑えるのがやっとであった。あまりの悔しさに身内の震えが止まらなかった。怒気のために心臓が苦しくなってしまったほどである。それでも背筋を伸ばし、どうにか圧迫を押しのけることができた。

 

【曇りガラス】原告「アルスのDタイプでは三階までが曇りガラスで四階以降が透明ガラスとなっています。これは東急不動産が、三階建てへの建替えを事前に知っていたことを裏付けます」

野間「会社の判断で、隣地が建つとしても三階建てまでだろうとの推測に基づき、決定した」

原告「判断する時点では隣地所有者から三階建てに建替えたいとの話を聞いていたのではないですか。それとも隣地所有者からの話を聞いていない人が判断したのですか」

野間「聞いていた」

原告「それならば、曇りガラスにした判断は隣地所有者の話を聞いたから、ではないか」

野間「会社の判断で行った」

原告「だから会社が判断する材料として隣地所有者の話があったのでしょう」

野間「そうだ」

原告「隣地所有者は三階までを曇りガラスにしたことについて、井田さんから報告されたと言っています」

野間「それはただ、お話したということです」

原告「洋室の窓が羽目殺しになっているのは何故ですか」

大島はしばらく手元の資料を探した後で回答した。

「階段の近くにある窓は羽目殺しにしなければならないという消防法上の制約によるものです」

原告「そのような規制があるならば三階までではなく、四階以上も羽目殺しになっていなければおかしいでしょう」

大島「四階以上のことは301号室の購入者には関係のない話です」

大島は、資料を探しながら自信なさげに回答した。本当に分かった上で回答しているのか、信頼が持てなかった。担当者として十分な知識を持っているのか非常に疑わしい。「情報を出し惜しみしているのか、それとも何も知らないのに知ったふりをしているのか」と問えば後者の可能性が高い。

知識もないのに確認もせず、その場で適当に繕って、丸め込んでしまおうという態度が見え透いていた。思いつきで発言しているような自称担当者の知性に対して、原告は絶望的な思いを抱かざるを得なかった。

「窓を開けられなければ、逃げられず、焼け死んでしまいかねため、消防法かえって危険では」とは、後日、原告を取材したジャーナリストのコメントである。羽目殺しの窓は見方によっては居住者が勝手に牢獄の窓から脱出しないようにガードしているようでもある。

 

【隣地所有者に直接確認する件】原告「九月に東急リバブルの今井さんと宮崎さんが隣地所有者と直接話して事実確認することを約束していただいたのですが、未だになされていません」

これは既に何度も行っている要求で、ずっと黙殺され続けてきたものである。

大島「する必要はない」

この発言により、担当者を自称する大島は事実関係を把握する努力すらしようとしないことが改めて明らかになった。

原告「必要があるかないかではなくて、約束は果たしてください」

大島「原告さんと宮崎さんの間で約束したことで、引き継いだ私には応じる責任はない」

担当者が変われば以前の担当者に約束したことは全て保護にできるという身勝手な論理である。東急不動産のこの上ない悪徳企業ぶりがよくわかる一言である。屑物件を売りつけた客との約束など守る必要はないということであろう。

原告「仮に引継ぎ後に約束を守れない理由ができたとしても、その時点で相手に断りの連絡をしようとはしないのですか」

大島は口を醜く半開きにして相手を嘲笑していた。悪意に満ちた薄い笑い。エヘラエヘラ、としか形容できない笑いであった。裏に何かを隠していることを感じさせる安っぽい詐欺師の笑みであった。

大島「隣地所有者は現在建替えを行っており、二〇〇三年一一月時点とは状況が変わります。現在は当事者になっています」

原告「当事者というならば井田さんや東急不動産の人間も当事者でしょう。身内だけは特別扱いということですか」

身内の人間のみからのヒアリングを真実とし、自分に都合の悪い意見を言う立場の人間は当事者といる理由で確認しないならば、どのようにでも事実を歪曲することができてしまう。当事者というならば東急不動産も当事者である。自己の利益のために最も嘘をつきかねない立場にあり、実際にこれまでも偽りの回答を並べている。

原告「大島さんはこれまでに隣地所有者に会ったことがありますか」

大島「ありません」

原告「ということは、これまでの回答は、他の人から聞いた話をまとめたものということですね」

大島「そうです」

原告「身内の人間からしか聞いていないというわけですか。結局、担当者が勝手に大島さんに代わってから何一つまともな対応をされたことがないことになります」

大島は目をぎょろつかせ、醜悪に顔を歪めた。原告は正視に耐えなかった。

原告「典型的な悪徳企業の対応ですね。手紙の回答を半月以上も放置することももっともです」

しかし大島は最後まで自分の不手際を何一つ認めようとせず、相変わらず口を半開きにしていた。担当者が大島に交代して以来、何一つまともな対応がなされたことはなく、不手際を指摘しても一言のお詫びも述べたことはないが、担当者に不信感を抱き、担当者の交代を要求する理由がまた一つ追加されたことになる。

大島には事実も真実も必要ないようである。自己満足さえあればよく、自分一人が納得できればよい。主観だけで生きられる人種なのである。道徳的に破綻しており、良心のかけらも感じられない。心のたがが外れてしまっている。

林「今回、協議することになったのはこれまでの対応に不手際があったことのお詫びの意味もあります」

原告「お詫びで自社まで呼びつけるとは結構な身分ですね。原告家に伺う必要はないということですか」

大島「そういうことではありません。今回こちらの人数が多いので、渋谷で提案させていただきました」

原告「全国に支社支店営業所があるにですから、私の便を考えるならば埼玉でやればいいでしょう」

大島は口を半開きにしたままで、何ら答えようとしなかった。

 

【目隠し】原告「ピーエス三菱から隣地所有者に『費用はうち持ちでやるので、窓に目隠しをしませんか』との依頼がなされたそうです。この話はご存知ですか」

野間「それはいつのことですか」

原告「私が隣地所有者から聞いたのが今年の一〇月頃です。だから、それ以前の話になります」

野間「聞いていない」

原告「施工会社は事業主の指示によって動くものと考えていましたが、施工会社が勝手にそのようなことをすることはありますか」

野間「事業主の指示なく、施工会社が動くことはない」

原告「隣地所有者は所長と話したと言っています。ピーエス三菱の所長の姓は何と言いますか」

大島「答える必要がないので、答えません」

自社に都合の悪い質問には無視を決め込む無責任な対応である。原告は体内で怒りが火柱となって噴きあがるのを自覚した。視界が赤く染まるのではないか、と思われるほどであった。

原告「必要はあります。事実認識が違うのですから、調べる必要があるでしょう」

大島「山下です」

大島は回答を拒否しておきながら、不誠実にもあっさりと前言を翻し、所長の名字を述べた。風に舞う塵のように軽佻浮薄な性格である。

 

【回答の不備】原告「東急不動産からの手紙は、最初は大島さんの名前だけでしたが、途中から社印が入っているものになりました。この違いは何ですか」

野間「意味がありません」

原告「意味がないならば、どうして違うのですか」

原告の質問に回答できた者はいなかった。

原告「大島さんからの手紙はこちらの質問に全く答えていません。手紙を理解しているかも疑わしいと思っています。手紙を読んでいますか」

大島「読んでいます」

原告「ならば質問に答えていないのは何故ですか」

大島「それが回答の全てでした」

吐き出すような大島の口調は暗く、怒りに満ちたものであった。

原告「今日の話し合いでも、回答にはない事実がたくさん出てきました」

大島「手紙で足りないところを今日の話し合いで説明しています」

原告「それはつまり手紙では不足があったということでしょう」

大島は何も答えず、だらしなく口を半開きにして侮蔑的な笑いを浮かべるだけだった。

原告「大体、回答するまで半月も放置したり、文中に追伸を用いたりしていますが、一言のお詫びもないことはどういうことですか。文中に追伸を使うことがビジネスマナーではありえないことをわかっているのですか」

しかし、大島は一言の謝罪も口にせず、相変わらず口を醜く半開きにして侮蔑的な笑いを浮かべていた。

原告「大島さんは手紙で『LD側からの採光を妨げるものではありません』と回答したが、一面だけの採光で我慢しろ、というような論理が通ると思っているのですか」

大島「事実です」

原告「事実を聞いているのではない。聞かれた問いに対して無関係な事実を回答しても意味がないでしょう」

大島「……」

原告「主観的立場ではなく、もう少し客観的な立場から物事を見て欲しいものです」

悪徳不動産営業達は不安と不快感に満ちた視線を交差させた。

原告「大島さんは人の手紙を読んでないので、的外れな回答をしても仕方がないのかもしれませんが」

大島の不誠実な応答に対し、原告の怒りはとどまるところを知らなかった。胸の炎はますます激しさを増していく。その口から発せられた憤怒が自己の耳を通って再び体内に流れ込み、その激情をますます煽り立てた。

原告「もし私が隣地の建設により、リビングの採光が妨げられると主張したならば、そのような反論は成り立ちますが、私はそのようなことを言いましたか」

大島「メールで『301号室には日中であるのに深夜の如く、全く日照があたらなくなる』と書いています」

原告「建替えられるならば、実際にそうなるのですから、間違っていないでしょう」

大島「301号室全体として、ということです」

原告「誰が西側の話しをしましたか。大島さんは途中から担当になり、まともに引継ぎもしていないようなので知らないのも無理はないのかもしれませんが、話の流れを見れば明白でしょう」

大島は人の手紙は少しも読まず、自らの創作になる架空の物語に対して反論したようであった。実際、上記のような反論が成り立つと本気で考えているならば、こちらの手紙を全く読んでいないか理解しようとしていないものと疑わざるを得ない。「悪徳不動産営業が言えば道理が引っ込む」とでも思っているのだろうか。愚かな希望的観測は常識的な思考の邪魔をするものである。十五年戦争当時の日本軍のように客観的な状況分析なしで希望的観測ばかりを肥大化させているようである。

原告「大島さんは、アルスの間取りを知っているのですか。現地に行かれたことはあるのですか」

原告は何度も非難し、非難の趣旨を真面目に説明した。しかし大島からは一言のお詫びも訂正も撤回もなされなかった。抗議をしても、それを受け入れて反省する気は皆無であった。自浄作用が著しく鈍っている人間には常識的な判断は通じないようである。普通の言葉の通じにくいような、常識人の感覚から少しずれた奇妙の感じを体中から放っていた。

大島は口を半開きにしてヘラヘラ笑っているだけであった。聴覚神経を汚染するような汚らしい笑い声であった。その口を半開きにした醜悪な表情は相手を小馬鹿にしたものであり、生理的嫌悪感さえ覚えた。元々、大島は他人に不快感を与えやすい態度の持ち主ではあったが、この時ほど原告を不快にさせたことはなかった。

大島は、あまりにも醜悪であった。人間というものの醜さが露骨に内面から滲み出ていた。人間性の最も醜悪な部分を露出して平然と生きてきた人物のようであった。このような人間が存在することに対し、一体、我々に何ができるのであろうか。

 

【お客様相談室の対応】原告「東急リバブルお客様相談室には何度も電話をかけたが、『事業主に聞け』とたらい回しにされました」

栗原「東急リバブルは販売代理であり、当事者である」

原告「それならば、お客様相談室は、何故、たらい回しにしたのかですか」

栗原「お客様相談室の対応は不適切だった」

不適切と言いつつも、栗原の態度は傲慢で謝罪の言葉は皆無であった。それどころか細めた目の奥からは毒々しい侮蔑の光が漏れていた。

原告「藤田室長代理からも、別会社なので無関係とたらい回しにされた。そのせいでこちらは無駄な電話を何度もする羽目になった。ただの受付担当者ならば兎も角、室長代理という地位にある実物でも、不適切な対応をしたのは何故か」

栗原「恐らく東急不動産の方が事実関係を詳しく知っているので、そちらに聴いた方がいいという意味でしょう」

原告「事実関係に詳しいかということと契約上の責任があるかということは違うでしょう」

栗原は原告の気迫に飲まれた格好で口をつぐんだ。

原告「今日、東急リバブルにも責任があるとのお話をうかがいましたので、今後も東急リバブルに問い合わせしても問題ないですね」

「……勿論です」

栗原はやや間を置いてから、渋々答えた。

 

【大阪高裁判決】原告「東急リバブルは他でも不利な事実を説明しないで物件を売却するようなことをしているそうですね。大阪高裁の判決は新聞で見ました」

大阪高裁の判決とは一二月二日に出された判決で、中古物件の仲介に際して、東急リバブルが迷惑隣人の存在を説明せずに売却したとして、買主から説明義務違反で訴えられた事件である。前の売主が家を売り出した理由もその隣人の迷惑行為に耐えられなかったためであった。それにも関わらず仲介した東急リバブルは迷惑隣人について説明しなかった。大阪高等裁判所は説明義務違反を認定し、東急リバブルに損害賠償の支払いを命じた(「「子ども嫌いの隣人」知らせず住宅販売 業者に賠償命令」朝日新聞20041203日)。

迷惑隣人と作業所の建築とで内容は異なるが、販売の際に不利な事実を説明しなかった点でアルス301号室の問題と共通する。

栗原「それについては説明させてください」

栗原は手を前に出して、原告の話を強引にさえぎった。

原告「随分、不誠実な対応をされたとうかがっております」

論理の通じない相手であるが、せめて言いたいことを言ってやらねば気が治まらなかった。精神衛生の保持が万事に優先する場合もある。

栗原「世間では面白おかしく報道されているが、事実関係が正しく伝えられていない。隣人というのは病気の方で、プライバシーに関わることです」

原告「子供の声がうるさいとの苦情が来た、とか、迷惑行為を繰り返し受けたという事実はプライバシーとは関係ないでしょう」

栗原「買主は隣人をビデオカメラで撮影するようなことをしていたのですよ」

大阪高裁判決については原告も事前にメールで言及していたので、東急リバブル側の言い分を用意してくると思ったが、買主の行動を非難してくるとは思わなかった。原告のトラブルについては影で何と言われているかわかったものではない。

原告「しかし、東急リバブルは以前に隣人の存在が原因で仲介が失敗に終わったことがあったのに、そのことも説明しなかったと記事に書いてありました」

栗原「弊社としては上告させていただきました」

上告したということは、説明しないで販売したことについて何ら反省していないということである。悪徳不動産業者の本性丸出しである。

 

一方的な切り上げ

【一方的な切り上げ】今まで沈黙を守っていた林が突然話し始めた。

林「我々は、ずっとこのやり方で販売してきました。もし判決で違法と判断されれば、改めなければならないが、契約解除までは受け入れられない」

林の体や表情には動きが全くなく、口だけが動いている。最小限の必要なことですら話そうとしないにもかかわらず、利己主義を正当化する演説は長々と続けるつもりであった。

原告「解除までは、とはどういうことか。これまでの主張では一切の非を認めていないのではないか」

野間「一切の非はない」

相変わらず欠陥物件をつかまされた哀れな被害者を見下す口調で、野間は放言した。野間の口調、毒を染み込ませてくるような口調に原告は慣れてしまっていた。しかし、慣れたからといって不快さが一ミリでも薄れるわけではなかった。

林「後は弁護士でも都庁にでも、どこでも好きなところに行ってください。我々としては逃げも隠れも致しません。今日のところは、これでお引き取り下さい」

林は語尾が震えるほどの力のこもった声で居丈高に言いつのった。言い終わると、原告のことなど忘れたように、原告のことなど見たこともなければ見えてもいないように両目から表情を消した。

有無を言わせぬ態度で協議を一方的に切り上げようとした。一般消費者が裁判所に訴えることはめったにないと高を括っているのであろう。実のところ、「消費者は何度騙されても懲りない。マスメディアはとっくに批判能力を失っている。だから我々も上手い汁をすえる」というのが悪徳不動産営業の本音である。

原告「本日の東急不動産の説明には何一つ同意できるものはありませんでした」

原告は裁判を検討していることにも言及した。予告する必要はないものだが、相手にも十分な覚悟と準備をする余裕を与えた上で、東急不動産の詐欺的商法という真実を明らかにしたかったためである。

 

【メールの反故】大島「一二月一〇日に原告さんにメールを送りましたが、担当者が本日の話し合いを知らない段階で、出してしまったものですので、それはなかったことにして下さい」

原告「どういうことですか」

大島「一二月七日付のメールに回答すると書きましたが、今日の話し合いで回答に代えさせて下さい」

回答を拒否すると言うのである。原告は大島とこのような無責任な人間を従業員として受け入れている悪徳不動産業業者とに改めて深刻な嫌悪を感じた。

原告「メールの質問には全然回答していないでしょう。それならば今から聞いていないことを質問しますが、いいですか」

林「社印付の文書で回答します」

協議を早く切り上げたい一心からか、林は妥協の姿勢を見せた。

原告「いつまでに回答するのですか」

大島「いつになるか分からない。気が向いたら回答します」

不快感をあらわにした顔を向け、大島は言い放った。相変わらずの不誠実な応対であり、大島には適当にその場をごまかすだけで回答を出す気がないことが明白であった。ここでも林がとりなした。

林「一週間以内に回答します。元のメールが質問番号を振っているため、それに対応して回答します」

原告「お電話では内容証明郵便についても、回答いただけるとの話でした」

野間「話した通り、契約解除には応じられない」

野間は相変わらず自分の考えでニヤニヤしていた。不愉快きわまる表情だが、あえて何を考えているかは問い質さなかった。内容を聞いてしまったならば、もっと不愉快な気持ちになるであろうことが予想できたためである。

原告「文書で出したのですから、文書で回答するのが筋でしょう」

林「あわせて回答します」

 

【不誠実な対応】協議は東急不動産により一方的に切り上げられた。悪徳不動産営業達は内心はともかく、表情は薄ら笑いをたたえて、原告をエレベータまで送り出した。下級悪魔めいた笑顔であった。最後に悪徳不動産営業は一礼したが、その儀礼に原告が応じなったことは当然であった。虚礼の極みとは、まさに悪徳不動産営業のやりようであった。

東急不動産にとって消費者との協議は見せかけの飾りごとに過ぎない。協議の間、東急不動産の担当者は誰一人メモをとる人はいなかった。さぞかし記憶力が良いのか、この協議で何も決めるつもりがないのかの何れかである。

原告にとってはとても我慢の要した協議であった。その夜は悔しくて一睡もできず、一晩中泣き明かした。神経がささくれ立ち、眠りの妖精は遠ざかってしまった。そのような夜でも星はいつもと変わらず輝いていた。野間や大島の嘲笑的、侮蔑的な発言や態度には腹が立つことこの上なく、協議後は東急不動産の不誠実さを一層印象付け、契約取消しの正当性を一層強める結果となった。

 

回答拒否

【回答】一二月一八日、東急不動産から手紙が届く。今回は林・野間・大島の連名で出状されているためか、これまでの大島一人による手紙と比べると内容が多少は充実していた。期日も大島の対応とは異なり、「一週間以内」という約束を守っていた。

会った時の印象でも、大島は原告の質問に対して、何一つ直接的に回答せず、口を半開きにして醜く笑うだけで、話にならないことは明白だった。むしろ東急不動産は誠実に対応する姿勢がないから、大島のような、およそ客の前に出せないようなビジネスパーソン失格者を担当者としたと考えることができる。

回答は冒頭でこれまでの不手際について謝罪していたが、形式的なもので反省の気持ちは全く感じられなかった。内容は従来の主張を繰り返すだけで前進はなかった。「ただの頭だけならいくらでも下げるが、利害が発生し得るものには聞く耳を持たない」という姿勢には疑問を感じずにはいられなかった。

 

東急不動産回答文書(住宅事業本部、社印付、20041216日)

拝啓、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

さて、平成16127日付にて原告様より弊社ホームページへお問い合わせのありました件についてご回答させて頂きたく存じます。

まず、原告様からのご指摘がありましたご返事が遅れた点、これまでの弊社並びに東急リバブル担当の対応が不十分であった点、また、弊社と東急リバブルとの連絡が不十分であった点については深くお詫び申し上げます。今後このような事がないよう善処させていただきます。

1及び2について

ご回答⇒平成1411月時点でW様が康和地所井田氏を経由して、下記のご意向をお持ちであることは伺っておりました。

・アルス東陽町が建ってからすぐに建てたい。

・3階建てを建てたい。

・住まいと仕事場が一緒であるから騒音がある。

しかしながら、その時点ではW様宅建替については建築時期・建築概要(構造・階数など)が不確定であり、不確定事項を重要事項説明書に記載する訳にはいかず、将来建つ可能性があるものとして(隣地所有者様に限らず)、重要事項説明書にある「周辺環境について」との項目に記載をさせていただきました。原告様に隣地所有者様宅建替についてご説明をさせて頂かなかったのは故意ではなく不確定な事項をお伝えすることにより、誤解等を招く可能性があるからです。

 

3.について

ご回答⇒「LD側からの採光を妨げるものではありません。」の記載についてですが、301号室居室全体として全く採光を妨げるものではないとの内容で記載させて頂きました。

 

4.について

ご回答⇒「原告様自身も実際に現地を確認して東急リバブルより説明を受けた」という表現については、現地周辺の状況を原告様ご自身が確認された上で、東急リバブルより購入にあたっての重要事項説明を受けた事実について記述したものです。また、その説明の中では前述の通り隣地所有者様宅建替えについては不確定事項であり原告様にご説明はさせて頂いておりません。

 

5.について

ご回答⇒原告様からの消費者契約法第四条の規定に基く購入契約の取消し及び購入代金2870万円の返還のお申し込みについてですが、前述の通り、隣地所有者様宅建替については平成1411月時点において不確定事項である為、重要事項説明書の「周辺環境について」の中の記載にとどめております。

なぜならば、不利益となる事実について告知を怠ったのではなく、建替の計画自体が不確定であった為、具体化していない計画については説明することによって原告様に誤解(環境の変化)を生じさせる可能性があるからです。

以上の理由により弊社としましては消費者契約法第四条に基く購入契約の取消し及び購入代金の返還についてはお受け致しかねます。何卒ご理解頂ける様宜しくお願い申し上げます。

 

【国土交通省への資料提出】一二月二〇日、原告は今までの手紙などを国土交通省に提出する。

 

原告の反論

原告メール(20041221)】一二月二一日、東急不動産メールアドレス宛てに反論のメールを送付した。

東急不動産御中

 

20041216日付のお手紙いただきました。

これまでの大島氏の対応とは異なり、人が変わるとかくも変わるものかと感心しております。しかしながら、未だ回答には不明な点があり、確認したい点が御座います。ご回答宜しくお願いします。

 

1.問い合わせ内容は下記でした。しかしながらご回答には両者の手紙の内容が矛盾している点についての説明が何らありませんでした。論理一貫したご説明をお願いします。

--------------------------------------------------------

「平成1411月時点にて隣地所有者様より立て替えたい旨内容を聞いておりましたが、……建替時期・建築概要(構造・階数など)が確定しているものではないと当社にて判断させていただきました」とありますが、1015日付の手紙では「アルスが建ってからすぐに建てる旨、3階以上は建てない旨、住まいと仕事場が一緒になるから騒音がある旨の内容は伺っておりました」とあります。両者の内容は明らかに矛盾しています。大島氏のいい加減さは今に始まったことではなく、既に何度も指摘していることですが、都合が悪くなると前言を翻す態度は悪質であり、論理一貫した説明を要求します。

--------------------------------------------------------

 

2-1.「建替については建築時期・建築概要(構造・階数など)が不確定」とありますが、その前段で貴社自身が「アルスが建ってからすぐに建てたい」「3階建を建てたい」と聞いていたと記述しています。時期も階数もきちんと聞いているにもかかわらず、それを不確定と決め付けるには相当の理由が必要です。納得のいく理由の説明をお願いします。

 

2-1.「説明をさせて頂かなかったのは故意ではなく」とありますが、故意とは「わざとすること」であり、「結果の発生を意図または認容している場合」とあります。知っていて説明しなかったならば故意に当たります。知っていたにもかかわらず故意ではないと言い張るのは、いかなる理由からですか。ご説明をお願いします。

 

2-2.「不確定な事項についてお伝えすることにより、誤解等を招く可能性がある」とありますが、説明をしないことにより、隣地所有者には何ら建替えを考えていない、少なくとも東急不動産はそのような話を全く聞いていないという誤解を招くことになります。実際、買主はそのような誤解を抱き、屑同然の物件を高い金額で購入してしまいました。もし消費者と誠実に向き合い、誤解を避けようとするつもりがあるならば、この点の誤解も生じさせないようにする必要があります。それを怠ったということにより、消費者は誤認して無価値の物件を購入したのですから、消費者契約法により、契約を取消す十分な理由になります。そうでないというのでしたら、納得のいく説明をお願いします。

 

2-31212日の話し合いにおいて東急リバブル宮崎氏は「隣地所有者の話を、東急不動産を通じて販売時には知っていたが、話さなかった。購入者から聞かれれば話した」と回答しています。聞かれれば話したということは説明しても構わない情報ということであり、誤解を招く可能性があるから説明できないという主張は、上記とは矛盾します。論理一貫した説明をお願いします。

 

2-4.建替計画が不確定である理由について何らが回答を得られていませんが、過去の手紙では、隣地所有者による「建築費用捻出困難」との発言が理由として挙げられていました。この点につき、実際に隣地所有者に確認いたしました(20041215日)。これは本来、貴社がやるべき仕事と考えますし、実際にその旨依頼し、承諾を得ましたが、無責任な大島氏に担当者が交代し、反故にされました。

隣地所有者は「そんなことをいつ誰に言ったのか聞いてくれ」「まるで資力のない人のように貶めるのは名誉毀損だ」と怒っていました。

この言葉は隣地所有者が条件として交わした約束項目の頭部又は語尾に常についています。いつ頃からなぜつけることを決めたのですか。貴社の判断とした内容を具体的にご説明お願い致します。誰がいつ隣地所有者より聞いて、約束項目の頭部又は語尾につけるように提案したのかお伺いします。

「建築費用捻出困難の発言により」が付くことにより、隣地所有者の意図とは正反対に「すぐに建てます」は打ち消されます。聞いた側は「結局は建たない」と誤認しかねません。即ち隣地所有者の伝えたい本意とは逆の方向を想像してしまいます。この言葉を付すことにより、隣地所有者の意図の打消しを図ったと思われます。

東急不動産は買主に、隣地所有者と約束したことの一切を伝えなかった。その理由付けのために隣地所有者がたまたま喋ったことを都合よくつけたことと思われます。

これは買主を騙す行為であり、実際、買主は日照のない無価値なマンションを購入してしまったことになります。大島氏のような傲慢無礼な人間は別の方角から採光があるから我慢しろ、などと、この上なくふざけた発言をしていますが、そのような主張は到底容認できません。隣地所有者に対しても裏切り行為に当たります。しかも1212日の話し合いでの野間氏の発言とは反対に未だに謝罪がなされていないと伺っております。今まで築き上げてきた信用の上にある大会社の品位と信条が疑われます。隣地所有者との約束を破り、話の内容を都合よく曲解して隣地所有者を騙し、買主も騙し続けておきながら、全ての行為を当社の判断と正当化することで逃げています。その責任の所在をお伺いします。

 

3.「LD側からの採光を妨げるものではありません」は「301号室居室全体として全く採光を妨げるものではないとの内容で記載させて頂きました」とありますが、こちらはLD側の採光を問題にしたことは一度もありません。建替えは北隣であり、それによって日照・眺望が皆無になると主張しています。こちらが先に書いた「日中であるのに深夜の如く、全く日照があたらなくなるという」に対する反論としては何ら成り立ちません。

この件についての契約解除を申し入れに対し、それを受け入れないものとして否定する論拠として上記を述べる理由を明確に説明してください。一面だけでも残ればいいだろうというのは悪徳企業の本音としてよく理解しましたが、全く成り立ちません。

上記発言は発言者の人格を評価する上で貴重な資料となるものですが、購入者を馬鹿にすることこの上ありません。改めて撤回を要求します。元々、大島氏には文中に追伸を使用するなど客を客とも思わない態度があり、何ら反省していません。

 

4.「建替については不確定事項であり、原告様にご説明はさせて頂いておりません」とありますが、それならば、「原告様自身も実際に現地を確認して東急リバブルより説明を受けた」ことは契約解除を拒否する理由にはなりません。実際に説明を受けたらば、現在の301号室のようにどんなに問題のある物件でも納得して購入したことになりますが、売主から売主の知っている事実を伝えられていないで購入した以上、説明を受けたことにはならず、これを理由とすることはできません。理由とする納得のいく説明をお願いします。

 

5.東急不動産は一切の責任を否定していますが、その論拠はこれまで上げた通り、何一つ納得できるものではありません。責任が皆無であり、301号室が無価値となったことを買主側の責任とあくまで言い張るならば、これまでの質問について納得のいく説明をお願いします。

 

8.担当者の交代要求については回答がありませんが、担当者交代を要求する理由についても反論もありません。1212日の話し合いで林リーダーが責任者であり、また、リバブルとしても代理人として対応する旨、栗原課長より、伺いましたので、そのように理解致します。

 

10.隣地所有者への確認の件については、全く回答がありませんでした。現在まで何らなされていないどころか、謝罪すら行われていないと伺っております。口頭での話は後でいくらでも打ち消せるというのが悪徳業者の流儀なのでしょうが、なされていないことについて明確な説明をお願いします。

 

以上、宜しくお願いします。

 

回答拒否

【再問い合わせ】一二月二七日、東急不動産からは何の連絡もないので、東急リバブルのWebフォームに問い合わせする。下記の前書きで始め、以降に一二月二一日に東急不動産に宛てたメールを添付する。

それにしても、問題解決のための対応がどうしてこうも遅れるのか。そこには矢張り悪徳不動産業者の組織の体質に問題があると思えてならない。

 

東急リバブル宛原告メール(20051227日)

マンション301号室売買契約取消しの件

 

東急リバブル御中

 

掲題の件につきまして、1221日に東急不動産宛に下記内容で問い合わせいたしましたが、既に1週間近く経つのに回答はおろか何らの連絡もありません。そのため代理人たる貴社に再問い合わせ致します。

現在のところ、契約取消しの理由は隣地の建替えにより、301号室の日照・眺望が妨げられ、騒音が発生することを事業者が知っていたにも関わらず何らの説明もなされなかった点にあり、それだけでも十分な理由になることは言うまでもありませんが、このように対応が悪く不誠実であると、他にも欠陥や問題があるのではないかとの疑いが生じるのも自然な流れであり、取消しの意思表示の正当性に益々確信を強める結果になります。

下記につき、ご回答のほど宜しくお願いします。

 

【回答拒否】一二月二八日、東急不動産メールアドレスから返信される。

12/21 原告様よりEメールにてお問合せいただいた件につきましては、現在弊社顧問弁護士と打ち合わせ中ですので、平成17110日迄にご返答させていただきます。

尚、今後この件については弊社顧問弁護士またはアルス担当者(林、野間、大島)に窓口を一本化して対応させていただき、本メールからの回答は差し控えさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

ここでは窓口を一本化するとの名目により、今後の回答を拒否することを一方的に通告してきた。しかし、この名目は以下の理由により、全く成り立たず、東急不動産は一方的に一切の回答を拒否したものと判断せざるを得ない。

第一に、一本化すると言いつつ、「弊社顧問弁護士またはアルス担当者(林、野間、大島)」として一本化していない。連絡先も書いていない。これでは原告はどこに問い合わせすればよいかわからない。この後も東急不動産から窓口及び連絡先の説明は一切なされていない。

第二に、そもそも原告がメールで問い合わせすることになった経緯は、大島に直接手紙を出しても半月以上放置された挙句、まともな回答が返ってこないためである。過去の経緯を鑑みれば、大島に直接問い合わせしても、また放置されることは確実である。

第三に、窓口の選択肢として顧問弁護士を挙げている。ここには交渉技術も法知識もある専門家に委ねた方が楽だという打算が見え隠れする。弁護士という肩書きを出せば、びびって逃げ出すのではという計算もあるのかもしれない。

本来ならば幹部自らが責任を持って解決に奔走し、その結果を成長の糧とすべきである。自らの不誠実・無責任な対応により深刻化させてしまったトラブルを他人任せで解決しようとする。欠陥や失敗を成長の糧とすることなく、自ら交渉の窓口を閉ざしてしまう。まるで貝のように殻に閉じこもってしまう。危険な敵に追われると、砂に頭を埋めて相手を見ないようにするというダチョウにも似ている。

 

一方的な最終回答

【東急不動産からの回答】二〇〇五年一月九日、東急不動産から回答が届く。相変わらず、原告の質問には何ら回答せず、自社の一方的な主張を繰り返すだけである。原告の問い合わせを全く読まなくても、書けるものである。

回答では「具体的な建替え図面などの提示があったわけではなく」と隣地所有者が図面を提示しなかったのが悪いと主張したいようであるが、実態は異なる。隣地所有者による口頭の説明だけで井田は購入者には説明すると約束している。「説明するためには図面が必要」などの要求は井田からは全くなされていない。

しかも隣地所有者への謝罪については一二月の協議で行うと発言したにも関わらず、「謝罪するか否かについては、原告様のご心配の及ぶところではございません」と反故にしている。

 

東急不動産回答文書(住宅事業本部、社印付、200518日)

拝啓、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、平成161221日付にて原告様より、Eメールにてお問い合わせのありました件についてご回答させて頂きたく存じます。

 

1.2について

ご回答⇒平成1411月時点でW様が康和地所井田氏を経由して、下記のご意向をお持ちであることは伺っておりました。

・アルス東陽町が建ってからすぐに建てたい。

・3階建てを建てたい。

・住まいと仕事場が一緒であるから騒音がある。

しかしながら、その時点ではW様宅建て替えについては、具体的な建築図面などの提示があった訳ではなく、建築時期・建築概要(構造・階数など)が不確定であると判断せざるを得ませんでした。その為ご契約者の皆様には「周辺環境について」との記載をさせて頂きました。

不確定な事項を説明しない事が弊社がW様から建替の話を全く聞いていない事だとの誤解を招くことではございません。弊社はW様のお話を聞いた上で建替計画に具体性がないと判断させて頂きました。隣地所有者様宅建替えについて原告様にご説明できなかったのは建替自体が不確定な為「結果の発生」自体も不確定であることによります。

また、「W様の建替費用捻出が困難である」については弊社担当者が平成1411月にW様から伺った話を記載させて頂きました。

 

3.について

ご回答⇒平成161216日回答文記載の通り、「LDからの採光を妨げるものではありません。」の記載についてですが、居室単体ではなく301号室居室全体として全く採光を妨げるものではないとの内容の記載です。

 

4.について

ご回答⇒前述の通り不確定事項についてご説明はしておりませんが、将来建つ可能性があるものとして重要事項説明書の「周辺環境について」の項目に記載させて頂きました。現地周辺の状況を原告様ご自身が確認された上で、東急リバブルより購入にあたっての重要事項説明(「周辺環境について」の項目も含め)を受けてご購入されたものであると理解しております。

 

10.について

ご回答⇒W様へはこちらからご挨拶に伺う旨申し入れを行いました。謝罪するか否かについては原告様のご心配の及ぶところではございません。

 

情報交換

【費用捻出困難】20031217日、隣地所有者と会って話す。隣地所有者から東急不動産からの電話内容を聞く。

原告「東急不動産は説明しなかった理由として、隣地所有者が『建築費用の捻出が困難』と発言したことを強調しています」

隣地所有者は憤懣やる方ないといった表情で口を開いた。

「資力のない人間みたいに言うのは名誉毀損だ」

原告「東急不動産からの回答では決まり文句のように費用捻出困難と書いています」

隣地所有者「俺が死んでいたら、嘘を言ってもばれないが、生きているのだから、すぐばれてしまう」

隣地所有者は東急不動産に対して相当立腹していた。

 

【二階住人】一二月二三日、二階住人が来訪し、情報交換する。

原告「東急不動産は、北側が潰れても西側があるから日照は全く妨げられない、などとふざけた回答をしています」

二階住民「舐めているな」

二階住民はうめくように言って腕を組んだ。この短い言葉に込められた悔しさは、原告も同感であった。

二階住人「私の家も建替えにより、真っ暗になります。それで市役所など、色々なところに相談していたところです」

原告「建替え前は二階建てでしたが、二階の日照は問題なかったのでしょうか」

二階住人「はい。高さが違うので、妨げにはなりませんでした。このマンションを買う時に販売担当者の宮崎より、建設中のマンション二階居室の窓から撮影された写真の提示を受けました。写真では大丈夫だったので、購入を決めました」

原告「それでは宮崎は日照・眺望は大丈夫と念押しして販売したわけで、完全に詐欺ですね」

 

【四階住人】一二月二三日、四階住民と情報交換する。四階住民の販売担当者は宮本であったが、販売時に隣地建替え計画の説明を受けたという。売主にとっては、四階購入者には説明する方がいい。

建替えられれば、ずっと三階までになるから、かえって利益になる。四階購入者に「三階が建つ」とは余程確実ではないと言えない。四階や五階が建てられてしまったら、トラブルになるのは確実である。東急不動産が二階と三階の購入者に不利益事実を故意に告げなかったことが明らかになった。

 

【隣地所有者】一二月二六日、原告は隣地所有者と会って話す。

原告「東急不動産は説明しない理由として、建築費用捻出困難という発言をあげています」

隣地所有者「人をばかにしている言い方だ」

声には凛とした力がこもっていた。

原告「それから建築確認がなかったとも言っています」

隣地所有者「うちくらいの規模の建替えでは建築確認申請の公示は必要ない」

原告「そうなのですか」

隣地所有者「この問題について二階住人からも問い合わせが来た」

原告「私の方からも状況は説明しました」

 

【隣地所有者】一月二六日、原告は隣地所有者と会う。隣地所有者は一月一三日の東急不動産訪問のやり取りを話す。

隣地所有者「大島というのは話にならない。言葉遣いもなってない」

原告「東急不動産は自社に一切非がないとして、話し合いにも応じません。裁判しかないと考えていますが、その場合に証人として証言して下さることは可能でしょうか」

隣地所有者「いいよ」

隣地所有者は快諾してくれた。原告は自分が長い夏の乾季の後に雨が降り出して、久しぶりに息を吹き返した枯れ木のように感じられた。大きな船に乗り込み、邪魔する者のない広い海に颯爽と乗り出していくような気分になった。豊穣の海は、じれるような低いうなり声をあげながら、船を待ち焦がれているかに見えた。

 

宮崎の矛盾

【引継ぎ会】一二月二七日、宮崎に電話する。

「東急リバブルが、隣地の建替えを知っていたというのは本当ですか」

これに対して宮崎は「年月が経過し、記憶が曖昧になっています」と断った上で引継ぎ会について説明した。

二〇〇二年一二月から二〇〇三年三月の間に東急不動産と東急リバブル各社数名でアルスの引継ぎ会が行われた。東急不動産からは関口が参加していた。ここで北側隣地建物について以下のやり取りがなされた。

東急リバブル「これは何ですか」

東急不動産「これは倉庫で将来建替えの可能性がある」

宮崎は「議事録も何もなく、記憶もはっきりしないので当時の出席者に連絡を取り、他に思い出すことがあったら再度説明します」と述べて電話を切った。

宮崎は最初の電話では、隣地の建替えを知らないと回答しており、嘘をついたことになる。改めて突っ込まれたので、思い出したという言い訳は成り立つかもしれない。しかし、周辺環境について確認した重要な会合を忘れていた、及び議事録がないという時点で、いい加減な不動産仲介業者であることを示しており、宮崎は宅建主任者失格である。ここからは、不正の発覚を恐れて証拠の隠滅を常にしており、足跡を残さないことに細心の注意を払う悪徳不動産業者の本性を実感することができる。

しかも「これは何ですか」と質問し、「これは倉庫で将来建替えの可能性がある」との回答を得ていたならば、購入者に対しても、「資材置き場です」で終わらせずに同様の回答をすべきである。

 

【引継ぎ会】一月二一日、宮崎から電話を受ける。

「東急リバブルの宮崎と申しますけど、今、大丈夫ですか」

「お願いします」

「声が遠いようですけど、聞こえますか」

「大丈夫です」

「先日の件で、当時の担当者に確認したのですが、かなり記憶が不明確なのですよ。誰が出席していたか、とかですねえ。後はどういった話だったとか」

「ええ」

「現状はこうだったという、お話ができないのですけれども」

「そうですか」

「はい」

「前回のお話ですと、東急リバブルさんの方から東急不動産に対して、『この建物は何ですか』という質問があったわけですね」

「その質問は私の方でもしていると思います」

「宮崎さん御自身もされたということですね」

「はい」

「それに対して、東急不動産の方は『もしかしたら将来的に建替えするかもしれない』ということを言ったわけですよね」

「ええと・・・・・・。そのニュアンス自体がそういった話だったのか、もうちょっと『建替えたいみたいだよ』とか、かなり建替える可能性が少ないということで認識しておりました」

「ニュアンス的に建替える可能性が低いのではないかということですか」

「という風に私共の方では受け取っていました」

「なるほど」

「本来ですと、東急不動産の大島さんが言われているように、ある程度の建築時期と建築階数が分かっているのであれば、引継ぎの時に東急不動産側から、そういう旨、お話があってもいいじゃないかということですよね」

「建築計画が出ている場合については、『いついつに建築確認が出ていて、こういった構造ですよ』というような説明がなされますね」

「そのような説明は全くなかったわけですよね」

「やはり建築確認が出てないということで、建物の構造とかですね、高さとかは全然分からなかった」

「東急不動産の方は建替え予定の検討が全くなければ、何も言及しなかったと思うのですけど、その点でこれから販売していくにあたって、周辺環境は大事ですよね」

「はい」

「それを聞いていく義務や責任は東急リバブルの方にはなかったのですか」

「あのー。ですから、『何ですか』という確認はしました」

「具体的に何階になるのか、建築時期がいつ頃になるのか、という突っ込んだ質問はしなかったのですか」

「ええ、具体的な話はなかったので、それで終わったわけですね」

「それはその質問をしたということですね。建築時期とか建築階数はどれくらいですか、という質問はあったわけですね」

「あのー。それは多分ですね、そういう具体的な話まで行ってないはずですね。要は初めの段階で建替えの具体性がなかったものですから、質問はしていないと思います」

「そうですか」

「はい」

「他に確認された方というのは?」

「あのー。確認したというのは、その当時、あのー、私の上司であった担当と後は一緒に販売活動をしていた営業担当です」

「その方達も周辺環境の調査については、あまり動いていないということですね」

「ええ、あのー。どこで話をしたかとか、そういうこともちょっと覚えていないのですね」

「マンションそのものを売るわけですから、引継ぎの議事録がないとか、問い質されて分からない、というのは問題があるのではないですか。不動産を販売していくにあたって」

「あのー。確かにですね。そういったものをやはりそのー、えー、ある程度情報を提示する必要があるわけですね」

「ええ」

「そういうものを最終的に整合したのが『ご購入のしおり』で、それが引継ぎの内容なのですよ」

「『ご購入のしおり』は契約する人間向けに対して必要なものですよね」

「はい」

「企業間ですよね。東急リバブルさんと東急不動産さんという企業間ですよね」

「はい」

「その企業間での議事録というものがあってもいいと思うのですが」

「あのー。今回の件に関してはそれがないですね」

「全くないということですか」

「はい」

「わかりました。ではこの件は東急不動産の方でも議事録は残ってないということですか」

「恐らく、そうですね」

「ないということですか」

「はい」

「わかりました。またちょっと検討して連絡します」

「はい、わかりました」

「よろしくお願いします」

 

提訴

【弁護士】一月二四日、原告が交渉権限を委任した弁護士が東急不動産に電話する。東急不動産が窓口として弁護士に言及したため、原告も弁護士に委任した。対応したのは大島であった。

弁護士「アルス301号室契約解除の件で協議したい」

大島「主張に応じる意思はない。話し合いの余地は全くありません」

弁護士「応じられないなら、訴訟をするしかないと考えている。訴訟を起こす以外に方法はないのか、お願いします」

大島「裁判所でお話します」

あまりに強硬かつ強引な回答であり、話し合いの余地すら持とうとしない。こうなると妥協も譲歩も、最早あり得ない。何らの非を認めず、話し合いに応じる姿勢を見せなかった。アルスが売主でさえ買い取りを拒む屑物件であることはよく理解できる。

 

【国土交通省】一月二八日、国土交通省関東地方整備局建政部建設産業課は、アルスの件で東急リバブル及び東急不動産を呼び出す。東急リバブル・藤田、栗原、東急不動産・林、大島が行く。

東急不動産側「三階建てを建てることは聞いているが、口頭であったこと、図面がないこと、隣地所有者が資金難であったことから、建てるかどうか分からないと判断した。そのため説明はせず、重要事項で周辺環境は将来変わる場合があると説明した」

原告は二月九日の国土交通省担当者からの電話で、この話を聞く。担当者は「隣地所有者に建替えの意思があったかどうかが判断になる」と述べた。「裁判官が宅建法上の問題があると言ったら処分を検討することになるので、連絡下さい」と原告に依頼した。

 

【提訴】二月一八日、原告は東急不動産を被告とし、消費者契約法4条(不利益事実不告知)に基づき、マンション購入契約の取消し及び購入代金の返還を求めて東京地裁に提訴した。

訴状は下記のように記述する。

被告(事業者)は、原告(消費者)との本件不動産売買契約の締結について勧誘するに際し、日照・眺望・通風・景観等の住環境に関する重要事項について、原告に対し、原告の利益を告げるとともに、原告の不利益となる事実(マンション完成後すぐに北側隣地に3階建の建物が建築され、前記住環境が極端に悪化すること)を故意に告げなかった者であり、その不告知によって、原告は、そのような不利益事実が存在しないとの誤認をし、それによって前記売買契約締結の意思表示をしたことが明らかであるから、本件不動産売買契約を取消すことが出来る(消費者契約法4条)。

東急不動産に主張したいことはたくさんある。強引な販売方法、契約後のトラブルにおける顧客対応の悪さ、不誠実、嘘で固めた回答、居留守、たらい回し、時間稼ぎ等である。一方、要求内容は「約束通りに代金を支払ったのだから、約束通りのものを引き渡してほしい。引き渡したものが約束通りのものでなければ受け取れないので、代金を返してほしい」という単純なものである。当たり前の権利を主張しているだけである。誰にも気兼ねすることのない内容である。

結果はもとより、売らんがための詐欺的販売手法と、その後の嘘で固めた応対で消費者を翻弄させ、ごまかそうとした態度が許せなかった。大企業として数々の肩書きを掲げて信用を売り物にしておきながら、平気で嘘をつく悪徳不動産業者の態度が許せなかった。東急不動産に法令順守の思想が欠如していること、行政機関(国土交通省、都庁)に平然と虚偽の報告をしてごまかしたことも許せなかった。

提訴は真相を知って以来、苦しめられ続けてきた悪夢を断ち切るためでもあった。東急リバブル及び東急不動産の騙し売りを思い出し、眠りにつけない夜もあった。何も手を講じないでいたら、受けた傷はそのまま残ってしまう。

熱を伴った激しい痛みは止むとしても、傷はただれ、痛みはあとをひき、完治の望みは消えうせてしまう。このままでは悔しさばかりが残り、納得できなかった。自分を押し殺していると、息苦しさはつのり、いつかは偽りに変わる日が来ることになる。

「もう争いごとはたくさんだ、静かに暮らしたい」という負け犬の発想はなかった。逆に静かな暮らしを求めるからこそ、提訴が必要であった。空が晴れ渡るのは台風が通過した後である。正々堂々と真正面からこの状況に挑み、勝利することが求められた。こちらが完全に事実に根ざしていて、向こうが嘘をついているのだから、戦わないわけにはいかなかった。己の生き方に重きをおく原告にとって、譲れない選択であった。

悪徳不動産業者は回答拒否で終わらせたつもりになっているだろうが、何も解決してはいないことを思い知らなければならない。世界は愚か者達が考えているほど単純には進まない。これまで東急不動産は多くの過ちを犯してきたが、状況判断も間違っていることを思い知ることになる。東急不動産は色々な場面で大切な事象から目を背けてきた。当初からの無責任さと杜撰さ、後手に回る対応の遅さと小出しの回答しか出せない小心ぶりが、ここまで問題を大きくしたことを肝に命じるべきである。

「やってみせる。この勝負に全てをかけてもいい。そしてここを勝ち抜く」

多くを失い、打ちひしがれている心の奥になお秘められている力こそ、信じる価値のあるものであった。もう後戻りはできない。自分は一生、東急リバブル及び東急不動産の不正を追及していくに違いない。日常がやけに色褪せて思えた。

 

【答弁書】三月一四日、東急不動産から答弁書が届く。「請求の原因に対する答弁」では「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」としながら、「請求の原因に対する認否」には「追って主張する」とあるのみである。一般に答弁書は原告主張の事実について反論があれば反論するものであるが、東急不動産は「追って主張する」とあるのみで、具体的な事実を何ら明らかにしていない。どこまでも不誠実な対応である。

あわせて訴訟委任状の写しも届く。訴訟委任状は311日付で三人の弁護士(井口寛二、野村幸代、上嶋法雄)に委任していた。提訴が218日であることを考えると、随分遅い対応である。200512月の渋谷での協議の席上で林や野間は既に「弁護士に相談している」と発言していたにも関わらず、である。

 

【弁護士経歴】弁護士は三名で、三人とも井口寛二法律事務所に所属する。

井口寛二弁護士は1945年生まれで、経歴は以下の通り。

19693月、東京教育大学文学部社会科学科法律学専攻を卒業。

19694 月〜19733月、国家公務員試験上級試験合格。

19754月、弁護士登録、第二東京弁護士会入会。

19814月〜19833月、司法修習委員(幹事)。

19894月〜19943月、 第二東京弁護士会民事介入暴力被害者救済センター運営委員会委員(1990年度副委員長、1993年度委員長)。

19964月〜19974月、東京家庭裁判所調停委員。

1996年以降、警察大学校講師。

19974月〜20003月、司法研修所刑事弁護教官。

19984月以降、民事介入暴力被害者救済センター運営委員会委員(2000年度委員長)。

2001年以降、私立大学法学部労働法教授

2004年以降、私立大学法学部・法科大学院教授。「雇用と法」「労働紛争処理」「面接と交渉技術の基礎」を教える。

その他、建材メーカーが設立した財団法人トステム建材産業振興財団の評議員に就任している。特定非営利活動法人歯科医療情報推進機構の監事でもある。社団法人日本経営協会が実施する通信教育講座「労働法入門コース」の講師でもある。

野村幸代弁護士は1970年生まれで、1993年に早稲田大学法学部を卒業し、1999年に弁護士登録(東京弁護士会)をした。人事訴訟法解説書の執筆者の一人になっている。

上嶋法雄弁護士は東京弁護士会に所属し、2003年から2004年の間に日本マンション学会会員となっていた。私立大学の法学検定試験講座で民事訴訟法の講師を務める。

 

弁論開始

【第一回口頭弁論】三月二三日、第一回口頭弁論が開かれる。法廷は518号で、開廷時刻は一三時半である。

裁判官「被告から、出頭できないと連絡がありました。よって答弁書を擬制陳述します」

弁護士「私の方には何の連絡もありませんでした」

弁護士は後に「欠席する場合は、相手の弁護士に連絡を入れておくのが普通」と原告に語る。

弁護士「既に被告は不利益事実も不告知も認めています。そのため、本日、被告が出席すれば早速手続きを進めていただきたいと考えておりました」

裁判官「被告との交渉は全て本人が直接行われたのですか」

弁護士「ほとんど本人です。私からは最後に一回だけ被告の担当者に電話しました。『訴訟を起こす以外に方法はないのか、お願いします』と言ったところ、『裁判所で話します』との答えでした」

同日、隣地所有者に会い、第一回口頭弁論の結果を報告する。

 

【準備書面送付】四月一二日、被告より準備書面の写しが送られる。準備書面は誤字だらけであった。偉そうなことを主張する前に、中学生の使う国語辞典くらい開くべきであろう。

 

【第二回口頭弁論】四月二〇日、第二回口頭弁論が開かれる。法廷は625号で、開廷時刻は一〇時半である。被告は三人の弁護士を付していながら、出席したのは井口弁護士一人だけであった。原告も原告代理人も傍聴人も書記官も皆、黒か紺のスーツを着ているにもかかわらず、被告代理人だけはグレーで、場違いな印象を与えた。

服を着た時やネクタイした時に何故か気がシャンとすることがある。衣・食・住と言われるが、正にその順番通りであると実感することがある。やはり、それなりの服装というものが世の中には存在する。

傍聴席には大島ともう一人の男性が座っていた。被告代理人も含め、三人で行動していたため、被告従業員若しくは被告代理人の法律事務所のスタッフと思われる。原告の弁護士は「法務か総務の人間では?」と話した。

 

偽りの謝罪

【隣地所有者への電話】1215日、隣地所有者宅に東急不動産の課長と名乗る人物から電話がある。この人物は恐らく野間と推測される。

課長「二人でご挨拶にうかがいたい」

隣地所有者「謝罪するならば、まず原告さんにすべき」

課長「隣地所有者にご挨拶したい」

隣地所有者「怒られるのを覚悟しているならば時間をとる」

 

【隣地所有者宅訪問】2005113日、井田、関口、野間、大島の四名が隣地所有者を訪問し、原告宛東急不動産回答文書について話をする。

隣地所有者(東急不動産の回答文を見せながら)「この中に書いてあることで、本当のことと嘘のことがどれだか、言ってみな」

東急不動産側「……」

隣地所有者「等価交換方式なんて、いつ言ったんだよ。侮辱罪で損害賠償もらいたい」

大島「言葉が足りませんでした」

大島は何を言っても、「言葉が足りませんでした」としか言わず、全く話にならなかった。そもそも建設時の事情を知っているのは井田、関口、野間であって、大島は全く関係ない。新米なのでオマケでお供したのだろうが、来る必要のない人物であった。

隣地所有者「ここには、東急不動産は手紙で、塀をフェンスにするかコンクリートにするかについて俺に相談していないと書いているが、これは嘘だ」

東急不動産側「……」

隣地所有者「何故、私との約束を破り、私の事を中傷する文章を書いたのか」

大島「その時の関係者から話を聞いて書いた」

隣地所有者「私は関係者ではないのですか?」

大島「関係者です」

隣地所有者「じゃ、何故聞かなかった?」

大島は、うつむいたまま無言であった。

井田「私からの連絡がうまく伝わらなかったと思います」

隣地所有者「それは会社の問題で私との約束には関係のないことで会社のミスでしょう」

井田「・・・・・・」

野間「でも隣地所有者さんから平成1411月に銀行を紹介しろとの発言があり、あと関口からも図面を見せて下さいと言ったが、図面もないと言ったので、あのように解釈した」

隣地所有者「平成1411月に初めて関口さんに会いました。井田さんから関口さんは、私が建築をするという話を聞いて(関口さんが)「一緒の時期に建てませんか」と言うから「だったら銀行を紹介してくれよ。金が出来たらすぐにやってあげるよ。図面は一年後(マンション完成予定が平成159月)だから、まだ書いていない」と言った話で、誰も資金が出来ないとは言っていない。関口君の一緒に建てようという要望に応える為に言ったのです」

野間「井田さんから聞いて知っていました」

関口「でも図面を見せて下さいと言いました」

隣地所有者「図面がなければ二階、三階の人に言えないと言いましたか?その後も図面を見せてくださいと言いましたか?」

関口「いいえ、言いません」

隣地所有者「どうして言ってくれなかったのか?」

東急不動産側「・・・・・・」

隣地所有者「口頭だけでは二階と三階の人に説明することを約束できないとか、図面が必要とか、東急不動産に言われたのですか」

大島「言葉が足りませんでした」

隣地所有者「井田に聞いている」

井田「言われていません」

隣地所有者(井田に向かって)「お前はどっちの人間だ?」

井田「東急不動産の窓口です」

隣地所有者「では、自分達(会社)に都合のいい解釈をしたのですね」

野間「そのように受け止められても仕方ありません」

隣地所有者「勝手な解釈でしょう。私のこと、資産を調べたのですか?」

大島「調べていません」

隣地所有者「調べもしない。私にも聞かないで都合のよい解釈をしただけじゃないですか?」

野間「そういうことになります」

大島「そういうことですね」

隣地所有者「何故一言、私に『図面がないと言えない』という話をしてくれなかったのか。言ってくれれば協力したのに」

野間「渡辺さんに言っておけば、こんなことにはならなかった」

隣地所有者「こういう騒動が嫌だから二階、三階の人に言ってくれと何度も言ったのに・・・。井田君と約束したのに・・・」

井田「渡辺さんは約束を守ってくれた」

約束通り、アルスの建設後に三階建てを建てたことを指す。

隣地所有者「二階、三階の購入者に言わないことは誰が決めたか」

野間「私達です。原告さんには重要事項で周辺環境が変わる可能性があることを説明しています」

隣地所有者「重要事項はマンションの住人全員に対してのもので、俺の言ったことは書いていないじゃないか」

野間「伝えるべきものを伝えなかったのは悪かった」

隣地所有者「説明しないことは何時決めたのですか」

野間「200312頃です。販売を2月に開始しました」

隣地所有者「確認する時間は十分にあった。何で聞いてこない」

野間「申し訳ない」

隣地所有者「では早く文書の訂正をして下さい。名誉も」

野間「なるべく早く文書の訂正をします」

大島「はい」

野間「どうして約束が守れなかったか。以前、東急不動産が建築したマンションが、規模は違うけど、ここと同じように隣が建てるという話を購入者に話して売ったところ、隣の建物の形状が変わってしまい、購入者から訴えられて負けた事があり、だから隣地所有者さんが三階といっても四階、五階を建てられたら困ると思って言えなかった」

隣地所有者「それなら、なおさら一言、言ってくれればよかったのに」

東急不動産側「……」

隣地所有者「そういうことが勝手な解釈と言うのだよ。だからこの問題は君達(会社)の100%ミスだね」

野間「いや100%ではないと思う」

隣地所有者「どこが100%じゃないのですか。今回のことは百パーセントお前達が悪い」

野間「いや90%くらいです」

隣地所有者「残りの10%は何だ」

野間「重要事項で説明させていただきました」

隣地所有者「重要事項が俺の話を説明したことになるなら、俺の話を聞いていなければ重要事項説明の周辺環境部分は何も書かなかったことになるのか」

野間「ムニャムニャムニャ・・・・・・」

野間の言葉は意味を持たなかった。野間自身、自分の口にした台詞の意味が分かっていなかった。ただ、同様を隠すための台詞を吐き出すしかなかった。

隣地所有者「早く訂正してください。よろしくお願いします」

野間「わかりました」

しかし、原告に対する文書に訂正は一切なされなかった。それどころか、国土交通省や裁判所に対しても、同じ主張を続けることになる。

隣地所有者「この問題が解決するまで建替え工事を停止している。工事が停止しているのは東急不動産の責任だ」

野間「建ててもいいですよ。違反建築でなければやってください」

アルス住民の住環境の悪化を望むかのような言い方であった。

野間「原告さんとは仲が悪いのですか」

隣地所有者「いいや、普通だ。隣同士、会えば挨拶している」

 

国土交通省への虚偽報告

【原告からの報告】2005213日、原告は隣地所有者に会う。

原告「一月二八日に東急リバブルと東急不動産の担当者が国土交通省に呼ばれて釈明したそうです。東急不動産側は隣地所有者から建替えの話は聞いていたが、資金難であること、口頭のみの話であること、図面がないことから説明しなかったと主張しました」

隣地所有者「まだ費用がないと言っているのか。この前、謝りに来たばかりというのに、自分の身を守るために、国土交通省にまで俺が資金難など話しているのは許せない。」

原告「実際、嘘ばかりです」

隣地所有者「向こうが言っているのは全部嘘だ」

原告「行政も東急不動産の主張を丸呑みにせず、その辺をきちんと確認すればいいのですが」

隣地所有者「これは俺の名誉の問題でもある。名誉毀損で東急不動産に損害賠償を請求したい。他にも嘘があるだろうから、東急不動産とのやり取りの資料があったら、見せて欲しい」

原告「コピーをとってお渡しします」

隣地所有者「つい先日、大島から電話があった。二階の人には不動産の減価分を損害賠償する方向で進めている。原告さんに対しても、そのように言おうと思っていると言っていた」

原告「そのような話は全く聞いていません。私に対する対応とは全く異なります。先月、弁護士の先生が東急不動産に電話した時も、『訴訟の場でお話します』と言って、全く話し合いに応じようとはしませんでした。そのため、裁判するしかないと考えています」

隣地所有者「東急不動産との交渉の中で、また嘘を言ってきたら、俺の名前を出していいから『隣地所有者に確認してください』と言ってください。知らないところで俺の責任にされたらたまらない」

原告「わかりました」

隣地所有者「東急不動産の回答を読み返すと、嘘をついているところや矛盾しているところだらけである。建替えについても前の手紙では『建てる』となっているのに、後からは『建てたい』となっている」

原告「はい」

隣地所有者「未だに資金のことを理由にあげていることが許せない。図面がないもそうだが、東急不動産に都合の悪いことは全て俺のせいにして非難している。明日にでも大島に電話して文句を言う。東急不動産の人間を呼び出して話し合わせるつもりだ。できれば原告さんも同席してください」

原告「はい」

隣地所有者はマンション建設に際し、東急不動産に最大限の協力をしていた。にもかかわらず、隣地所有者の依頼は完全に無視されたどころか、各所で「資金調達が困難」「計画が確定的ではない」と侮辱されたとあっては、黙っているわけにはいかなかった。

 

【逆ギレ】二月一四日、隣地所有者は東急不動産に電話し、国土交通省への報告内容について説明を要求した。大島は報告内容を説明した。報告内容のあまりの酷さに隣地所有者は驚いた。

隣地所有者「内容を確認するので、ファックスで送ってください」

大島「ファックスは駄目です。今からお持ちします」

二月一五日、大島が国土交通省に提出した書類を持ち、一人で隣地所有者宅を訪問する。大島は最初から憤懣やるかたないという様子であった。憤怒の赤い絵の具が大島の顔に塗られていた。隣地所有者は報告書を読み唖然とした。

報告書は東急リバブルと東急不動産の連名で出状されており、建替えを購入者に説明しなかった理由として「資金調達困難」と書かれていた。「重要事項で説明しているため、事実不告知には該当せず、宅建法には違反しない」と主張していた。

隣地所有者は、コピーしようとしたところ、大島に拒否した。写真を撮ろうとしたが、それも拒否した。仕方がないため、書き写した。

隣地所有者「この前、謝りに来たばかりなのに、国土交通省で同じことを話しているのはどういうことか」

大島は口を半開きにして、ヘラヘラしていた。

隣地所有者「前(113日)に約束した訂正文どころか、もっとひどい文章になっているね。資金調達困難は今までの手紙で書かれていたものよりももっと悪い」

大島「これは井口弁護士が書いたものです」

隣地所有者「113日の話でわかってくれたのではないの?」

大島「わかっています」

隣地所有者「何故・・・・・・」

大島「・・・・・・」

隣地所有者「ここまでひどいと名誉毀損にならないの?これは公文書じゃないの?」

大島「・・・・・・」

隣地所有者「手紙では11月に聞いただけで、「その後隣地所有者様より具体的なお話を伺っておりません」と書いてあるが、12月にも言っているし、その後だって言っている」

大島「・・・・・・」

隣地所有者「君じゃ話にならないから会社に電話する。ペーペーと話しても仕方がないから、部長の名前を教えて下さい」

この程度の発言に大島が反応するとは隣地所有者は思ってもいなかった。しかし大島は一瞬で沸騰した。どす黒い怒りの波が顔を横切る。仕事は全くといっていいほどできないくせに、プライドだけは人一倍高い。誇り高いのではなく、病的な自尊心を傷つけられたくないだけである。

自分に自信のない者は、自分の存在意義が疑われると逆上する。「自分が軽視された」と思った時、たちどころに大島の貧弱な忍耐心は蒸発し、怒りの水蒸気が意識空間に溢れる。憤怒と憎悪は限界を越え、理性は蒸発して激情だけが煮えたぎった。

怒った大島は無礼なことに辞去の挨拶もせずに帰ってしまった。大島の行動は常軌を逸しており、大変由々しき問題である。大島には、まるで何処かのテロリスト集団のように、この先何をするか分からないといった不気味さがある。些細なことですぐにカッとなってしまう。自分に不都合であれば、感情を爆発させて後先を考えずに行動する。それが、どのような結果をもたらすかを想像できない。

本能のままに突進し、とどまると